頚椎ヘルニアの原因と治療法|専門医による診断と対策
首の痛みや手のしびれは、多くの方にとってつらい症状です。これらの症状が頚椎(けいつい)ヘルニアや頚椎椎間板(けいついついかんばん)ヘルニアによるものかもしれません。
この記事では、頚椎ヘルニアの原因、代表的な症状、専門医が行う診断方法、そして様々な治療法について詳しく解説します。
ご自身の症状を理解し、適切な対策を講じるための一助となれば幸いです。頚椎ヘルニアは、早期の適切な対応が重要となる疾患の一つです。情報を得ることで、不安を軽減し、前向きに治療に取り組むきっかけにしてください。
目次
頚椎ヘルニアとは?その基礎知識
頚椎ヘルニアは、首の部分にある骨、つまり頚椎の間にある椎間板という組織に問題が生じることで発症します。まずは、頚椎の構造やヘルニアが起こる仕組みについて理解を深めましょう。
頚椎の構造と役割
頚椎は7つの骨が積み重なって構成されており、頭を支え、首を様々な方向に動かす役割を担っています。
それぞれの頚椎の間には、クッションの役割を果たす椎間板が存在します。椎間板は、中心部にあるゼリー状の髄核(ずいかく)と、それを取り囲む線維輪(せんいりん)という丈夫な組織でできています。
椎間板の重要な機能
| 機能 | 説明 | 重要性 |
|---|---|---|
| 衝撃吸収 | 歩行や運動時の衝撃を和らげ、脳や脊髄を守ります。 | 日常生活での首への負担軽減 |
| 可動性 | 首を前後左右に曲げたり、回したりする動きを滑らかにします。 | 柔軟な首の動きの実現 |
| 安定性 | 頚椎同士を連結し、首の構造を安定させます。 | 頭部を支える基盤 |
ヘルニアが起こる仕組み
何らかの原因で椎間板に強い圧力がかかったり、加齢によって椎間板が変性したりすると、線維輪に亀裂が入ることがあります。その亀裂から髄核が外に飛び出してしまう状態を「ヘルニア」と呼びます。
頚椎でこの状態が起こった場合を頚椎ヘルニア、または頚椎椎間板ヘルニアと言います。飛び出した髄核が、近くにある神経(脊髄や神経根)を圧迫することで、様々な症状が現れます。
頚椎椎間板ヘルニアとの違いは?
「頚椎ヘルニア」と「頚椎椎間板ヘルニア」は、基本的には同じ病態を指す言葉として使われることが多いです。椎間板の組織が飛び出して神経を圧迫する状態を指すため、どちらの名称も間違いではありません。
医学的には頚椎椎間板ヘルニアがより正確な表現ですが、一般的には頚椎ヘルニアという呼称も広く用いられています。
発症しやすい年代や性別
頚椎ヘルニアは、比較的幅広い年代で発症する可能性がありますが、特に30代から50代の男性に多い傾向があります。
しかし、近年ではスマートフォンの長時間利用など、生活習慣の変化に伴い、より若い世代や女性にも見られるようになっています。
発症に関わる主な要因
- 加齢
- 性別(男性にやや多い)
- 生活習慣(姿勢、運動不足など)
- 遺伝的素因
頚椎ヘルニアの主な原因
頚椎ヘルニアは、様々な要因が複合的に関与して発症すると考えられています。主な原因を理解することで、予防にもつながります。
加齢による椎間板の変性
年齢を重ねるとともに、椎間板の水分量が減少し、弾力性が失われていきます。この椎間板の変性が進行すると、線維輪がもろくなり、髄核が脱出しやすい状態になります。
これは誰にでも起こりうる自然な変化ですが、頚椎ヘルニアの最も一般的な原因の一つです。
椎間板変性の進行段階
| 段階 | 椎間板の状態 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 初期 | 水分量やや減少、弾力性低下の始まり | 自覚症状はほとんどないことが多い |
| 中期 | 水分量減少、線維輪に微細な亀裂 | 首の違和感や軽い痛みが出ることがある |
| 後期 | 著しい水分量減少、線維輪の断裂、髄核の突出 | ヘルニアによる神経圧迫症状が出現 |
日常生活における不良姿勢
長時間のデスクワークやスマートフォンの使用、猫背などの不良姿勢は、頚椎に持続的な負担をかけます。
特に、頭を前に突き出した姿勢は、頚椎への負荷を増大させ、椎間板の変性を早める可能性があります。
デスクワークと頚椎への負担
パソコン作業などで長時間同じ姿勢を続けることは、首の筋肉の緊張を引き起こし、血行不良を招きます。この状態が続くと、椎間板への栄養供給も滞り、変性を助長する可能性があります。
モニターの位置や椅子の高さを調整し、正しい姿勢を保つことが大切です。
スマートフォン操作時の注意点
スマートフォンを見る際、うつむいた姿勢になりがちです。この姿勢は、頭の重さが頚椎に直接かかり、大きな負担となります。
意識して画面を目線の高さに近づける、長時間の連続使用を避けるなどの工夫が必要です。
スポーツや事故による外傷
ラグビーや柔道などのコンタクトスポーツ、あるいは交通事故や転倒などによって頚椎に強い衝撃が加わると、急性の頚椎ヘルニアを発症することがあります。
若い世代の頚椎ヘルニアでは、このような外傷が原因となるケースも少なくありません。
その他の要因(遺伝的要素や喫煙など)
頚椎ヘルニアの発症には、遺伝的な体質が関与している可能性も指摘されています。また、喫煙は椎間板の血流を悪化させ、変性を促進すると考えられています。
禁煙は、頚椎ヘルニアの予防だけでなく、全身の健康維持にも重要です。
頚椎ヘルニアの代表的な症状
頚椎ヘルニアの症状は、ヘルニアがどの部位の神経を圧迫するかによって様々です。代表的な症状を理解し、早期発見につなげましょう。
首の痛みや肩こり
頚椎ヘルニアの初期症状として、首の痛みや肩こりが現れることがあります。寝違えたような痛みや、首を動かしたときの痛みが特徴的です。
ただし、これらの症状は他の原因でも起こりうるため、頚椎ヘルニア特有の症状とは言えません。
腕や手のしびれ・痛み(神経根症状)
椎間板から飛び出したヘルニアが、脊髄から分岐して腕へ向かう神経の根元(神経根)を圧迫すると、その神経が支配する領域に沿って、腕や手にしびれや痛みが生じます。
これを神経根症状と呼びます。多くの場合、片側の腕や手に出現します。
どの神経が圧迫されるかで症状が異なる
頚椎には複数の神経根があり、圧迫される部位によって症状の現れ方が異なります。
例えば、第5頚神経根が圧迫されると肩から腕の外側、第6頚神経根では親指側、第7頚神経根では中指周辺にしびれや痛みが出やすい傾向があります。
症状が現れる部位の具体例
| 圧迫される神経根 | 主な症状が現れる部位 | 感覚障害の例 |
|---|---|---|
| 第5頚神経根 (C5) | 肩、上腕の外側 | 肩周辺の感覚が鈍くなる |
| 第6頚神経根 (C6) | 前腕の親指側、親指、人差し指 | 親指や人差し指のしびれ |
| 第7頚神経根 (C7) | 上腕の後面、前腕の後面、中指 | 中指のしびれ、腕の力が入りにくい |
| 第8頚神経根 (C8) | 前腕の小指側、薬指、小指 | 小指側のしびれ、握力低下 |
手足の動かしにくさ・歩行障害(脊髄症状)
ヘルニアが脊髄本体を圧迫すると、より深刻な症状が現れることがあります。これを脊髄症状と呼びます。
手の細かい動き(箸を使う、ボタンをかけるなど)がぎこちなくなったり(巧緻運動障害)、足がもつれて歩きにくくなったり(歩行障害)、手足のしびれが両側に現れることもあります。
脊髄症状が進行すると
脊髄症状が進行すると、排尿や排便のコントロールが難しくなる排尿・排便障害に至ることもあります。これらの症状は、日常生活に大きな支障をきたすため、早期の対応が求められます。
- ボタンがかけにくい
- 字が書きにくい
- 階段の上り下りが怖い
- 頻尿、尿漏れ
その他の症状(頭痛、めまい、排尿障害など)
頚椎ヘルニアの症状は多岐にわたり、頭痛(特に後頭部痛)、めまい、耳鳴り、眼精疲労などを伴うこともあります。これらの症状は、自律神経の乱れが関与している可能性も考えられます。
頚椎ヘルニアの検査と診断
頚椎ヘルニアの診断は、問診、身体診察、そして画像検査を組み合わせて総合的に行います。正確な診断が、適切な治療への第一歩となります。
問診と身体診察の重要性
医師はまず、患者さんの症状について詳しく話を聞きます。いつから、どのような症状が、どこに、どの程度の強さで現れているか、症状が悪化する状況や楽になる状況などを具体的に確認します。
症状の詳しい聞き取り
日常生活で困っていることや、過去の病歴、仕事内容、生活習慣なども重要な情報となります。これらの情報から、頚椎ヘルニアの可能性や重症度を推測します。
神経学的検査
次に、実際に首や腕を動かしてもらったり、感覚や力の入り具合を調べたりする神経学的検査を行います。ハンマーで腱を叩いて反射を見たり、特定の姿勢で症状が誘発されるかを確認するテスト(誘発テスト)も行います。
主な誘発テスト
| テスト名 | 方法 | 陽性の場合 |
|---|---|---|
| スパーリングテスト | 患者の頭部を患側へ傾け、軽く圧迫する | 腕や手に痛みが放散する |
| ジャクソンテスト | 患者の頭部を後屈させ、患側へ傾ける | 腕や手に痛みが放散する |
画像検査の種類と目的
問診や身体診察で頚椎ヘルニアが疑われる場合、画像検査によってヘルニアの有無や状態を詳しく確認します。
レントゲン(X線)検査
レントゲン検査では、頚椎の骨の形状や並び、骨棘(こつきょく:骨のトゲ)の有無などを確認します。椎間板自体は写りませんが、椎間板腔(椎間板のあるスペース)の狭小化などから、椎間板の変性を間接的に推測することができます。
また、他の骨の病気との鑑別にも役立ちます。
MRI検査
MRI検査は、頚椎ヘルニアの診断において非常に重要な検査です。磁気を利用して体の断面を撮影するため、椎間板や脊髄、神経根の状態を鮮明に映し出すことができます。
ヘルニアの大きさや位置、神経への圧迫の程度などを詳細に評価できます。
CT検査
CT検査は、X線を使って体の断面を撮影する検査です。骨の細かい構造を詳細に描出するのに優れており、骨棘や靭帯の石灰化などを確認するのに役立ちます。
MRI検査を補完する目的で行われることがあります。
診断確定までの流れ
一般的に、問診と身体診察で頚椎ヘルニアを疑い、レントゲン検査で骨の状態を確認し、MRI検査でヘルニアの存在と神経圧迫の状況を確定するという流れで診断が進められます。
これらの検査結果を総合的に判断し、最終的な診断を下します。
頚椎ヘルニアの治療法:保存療法
頚椎ヘルニアの治療は、多くの場合、まず保存療法から開始します。保存療法とは、手術以外の方法で症状の改善を目指す治療法です。
保存療法の基本方針
保存療法の主な目的は、痛みの軽減、炎症の抑制、そして神経症状の改善です。患者さんの症状や状態に合わせて、様々な治療法を組み合わせて行います。
多くの場合、数週間から数ヶ月で症状の改善が期待できます。
薬物療法
痛みが強い場合には、薬物療法を行います。症状の種類や程度に応じて、以下のような薬が使用されます。
消炎鎮痛薬の種類
| 薬剤の種類 | 主な作用 | 代表的な薬剤(例) |
|---|---|---|
| 非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) | 炎症を抑え、痛みを和らげる | ロキソプロフェン、ジクロフェナク |
| アセトアミノフェン | 中枢神経に作用し、痛みを和らげる | カロナール |
神経障害性疼痛治療薬
神経が圧迫されることによって生じるしびれや痛み(神経障害性疼痛)に対しては、プレガバリンやミロガバリンといった神経障害性疼痛治療薬が有効な場合があります。
これらの薬は、過敏になった神経の興奮を鎮めることで効果を発揮します。
筋弛緩薬やビタミンB12製剤
首や肩の筋肉の緊張が強い場合には、筋弛緩薬が処方されることがあります。また、末梢神経の修復を助ける目的で、ビタミンB12製剤が用いられることもあります。
理学療法・運動療法
理学療法や運動療法は、痛みの軽減、首の可動域の改善、筋力の維持・向上を目的として行われます。専門の理学療法士の指導のもと、個々の状態に合わせたプログラムが組まれます。
牽引療法
頚椎牽引療法は、専用の装置で首をゆっくりと引っ張り、椎間板への圧力を軽減し、神経根の圧迫を和らげることを目的とします。効果には個人差があります。
温熱療法・電気療法
患部を温める温熱療法や、低周波・干渉波などを用いる電気療法は、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげ、痛みを軽減する効果が期待できます。
ストレッチや筋力トレーニング
首や肩周りの筋肉の柔軟性を高めるストレッチや、頚椎を支える筋力を強化するトレーニングを行います。ただし、症状が悪化する可能性もあるため、自己流で行わず、必ず専門家の指導を受けてください。
装具療法(頚椎カラー)
頚椎カラーは、首の動きを制限し、頚椎を安静に保つことで、椎間板への負担を軽減し、痛みを和らげる目的で使用します。主に症状が強い急性期に短期間使用することが多いです。
頚椎カラー使用のポイント
- 医師の指示に従い、適切な期間使用する
- 長期間の使用は筋力低下を招くことがある
- 装着時のフィット感が重要
神経ブロック注射
痛みが非常に強い場合や、内服薬だけでは効果が不十分な場合に、神経ブロック注射を行うことがあります。
これは、痛みの原因となっている神経の近くに局所麻酔薬やステロイド薬を注射し、痛みを直接抑える治療法です。効果は一時的な場合もありますが、痛みの悪循環を断ち切るのに役立ちます。
頚椎ヘルニアの治療法:手術療法
保存療法を行っても症状が改善しない場合や、麻痺が進行する場合、日常生活に大きな支障が出ている場合には、手術療法が検討されます。
手術療法を検討するケース
手術を行うかどうかは、症状の程度、神経障害の進行具合、画像所見、そして患者さん自身の生活状況や希望などを総合的に考慮して判断します。
手術を検討する主な状況
| 状況 | 具体的な内容 | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 保存療法で効果不十分 | 数ヶ月間の適切な保存療法でも痛みが改善しない、または悪化する | 日常生活への支障度合い |
| 進行性の麻痺 | 腕や手の筋力低下が進行する、巧緻運動障害が悪化する | 神経機能の回復可能性 |
| 強い脊髄症状 | 歩行障害、排尿・排便障害が出現・悪化する | 不可逆的な変化を防ぐ必要性 |
| 耐え難い痛み | 日常生活が著しく困難になるほどの激しい痛み | QOL(生活の質)の著しい低下 |
代表的な手術方法
頚椎ヘルニアの手術方法には、いくつかの種類があります。ヘルニアの部位や大きさ、患者さんの状態などによって、適切な術式が選択されます。
頚椎前方除圧固定術 (ACDF)
首の前方から切開し、問題のある椎間板とヘルニアを切除した後、その部分に患者さん自身の骨(自家骨)や人工骨を移植し、金属製のプレートなどで固定する手術です。
頚椎の安定性を高めることができます。
頚椎後方椎弓形成術 (ラミノプラスティ)
首の後方から切開し、脊髄が通っている脊柱管を広げる手術です。椎弓という骨の一部を切り開いて持ち上げ、人工骨やスペーサーを挿入して固定します。
複数の椎間で脊柱管が狭くなっている場合に選択されることが多いです。
人工椎間板置換術 (ADR)
首の前方からアプローチし、傷んだ椎間板とヘルニアを切除した後、人工の椎間板を挿入する手術です。従来の固定術と異なり、手術後も首の動きがある程度保たれることが期待されます。
適応となるケースは限られます。
手術のリスクと術後の経過
どのような手術にも、感染症、出血、神経損傷、麻酔に伴う合併症などのリスクが伴います。手術前に医師から十分な説明を受け、理解することが大切です。
術後は、リハビリテーションを行い、徐々に社会復帰を目指します。回復にかかる期間は、手術方法や個人の状態によって異なります。
頚椎ヘルニアの予防と日常生活の注意点
頚椎ヘルニアの発症や再発を防ぐためには、日常生活での心がけが重要です。正しい姿勢、適度な運動、そして生活習慣の見直しを意識しましょう。
正しい姿勢を意識する
頚椎への負担を軽減するためには、日頃から正しい姿勢を保つことが基本です。特に長時間同じ姿勢をとることが多い方は、意識的に姿勢をチェックしましょう。
座るときのポイント
椅子に深く腰掛け、背もたれを使い、骨盤を立てるように意識します。顎を軽く引き、頭が体の真上にくるようにします。
パソコンのモニターは目線の高さかやや下になるように調整し、肘の角度が90度程度になるように机や椅子の高さを調整します。
立つときのポイント
横から見たときに、耳、肩、股関節、膝、くるぶしが一直線になるように意識します。お腹に軽く力を入れ、胸を張りすぎないように注意しましょう。
適度な運動とストレッチ
首や肩周りの筋肉の柔軟性を保ち、筋力を維持することは、頚椎の安定性を高め、ヘルニアの予防につながります。ただし、痛みがあるときは無理をせず、医師や理学療法士に相談しながら行いましょう。
首や肩周りの筋肉をほぐす
ゆっくりと首を回したり、肩を上げ下げしたりするストレッチは、筋肉の緊張を和らげ、血行を促進します。ウォーキングなどの全身運動も、血行改善や筋力維持に効果的です。
予防に役立つ簡単な運動の例
| 運動の種類 | 目的 | 注意点 |
|---|---|---|
| 首のゆっくりとした回旋 | 頚部の柔軟性向上 | 痛みが出ない範囲で、反動をつけずに行う |
| 肩甲骨の寄せ運動 | 肩周りの筋肉の活性化 | 胸を張る意識で、ゆっくりと行う |
| 顎引き体操 | 頚椎の自然なカーブの維持 | 後頭部を壁につけた状態で行うと効果的 |
無理のない範囲で行うことの重要性
運動やストレッチは、継続することが大切です。しかし、痛みを感じる場合はすぐに中止し、専門家に相談してください。自己判断での無理な運動は、かえって症状を悪化させる可能性があります。
日常生活での工夫
日々の生活の中で、頚椎に負担をかけないような工夫を取り入れることも予防につながります。
就寝時の枕の選び方
枕の高さは、頚椎の自然なカーブを保てるものが理想です。仰向けに寝たときに、首の骨が緩やかなS字カーブを描き、顔の角度が床と平行からやや下向き(5度程度)になる高さが目安とされます。
横向きに寝る場合は、首の骨が背骨と一直線になる高さが良いでしょう。素材や硬さも、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
重いものを持つ際の注意
重いものを持つときは、膝を曲げて腰を落とし、荷物を体に近づけて持ち上げるようにしましょう。
片方の手だけで長時間重い荷物を持つのは避け、左右均等に持つか、リュックサックなどを活用すると良いでしょう。
禁煙のすすめ
喫煙は、椎間板の栄養血管を収縮させ、変性を促進する可能性があります。頚椎ヘルニアの予防だけでなく、全身の健康のためにも禁煙を強く推奨します。
頚椎ヘルニアに関するよくある質問(Q&A)
最後に、頚椎ヘルニアに関して患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q1. 頚椎ヘルニアは自然に治りますか?
A1. 小さなヘルニアや症状が軽い場合、保存療法によって自然に症状が軽快したり、ヘルニア自体が縮小したりすることはあります。しかし、全てのケースで自然治癒するわけではありません。
症状が続く場合は、専門医の診断を受け、適切な治療を開始することが重要です。
Q2. どのような枕を使えば良いですか?
A2. 一概に「この枕が良い」とは言えません。重要なのは、寝たときに頚椎が自然なカーブを保てる高さと硬さであることです。高すぎる枕や低すぎる枕、柔らかすぎる枕は、首に負担をかける可能性があります。
実際に試してみて、首や肩がリラックスできるものを選びましょう。オーダーメイド枕や、専門家のアドバイスを受けるのも一つの方法です。
枕選びのチェックポイント
| ポイント | 確認事項 | 理想的な状態 |
|---|---|---|
| 高さ(仰向け) | 首のS字カーブ、顔の角度 | 頚椎が自然なカーブを保ち、呼吸が楽 |
| 高さ(横向き) | 首の骨と背骨のライン | 首の骨が背骨と一直線になる |
| 硬さ・素材 | 頭の沈み込み具合、通気性 | 適度な反発力があり、頭が安定する |
Q3. マッサージや整体は効果がありますか?
A3. マッサージや整体は、首や肩周りの筋肉の緊張を和らげ、一時的に症状が楽になることがあります。しかし、頚椎ヘルニアの原因である神経圧迫を直接解消するものではありません。
施術を受ける場合は、必ず事前に医師に相談し、国家資格を持つ専門家(あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師など)による、頚椎に過度な負担をかけないソフトな施術を選ぶようにしましょう。
強い力での矯正や、首を急にひねるような手技は症状を悪化させる危険性があるため避けるべきです。
Q4. 症状が悪化する前に気づくサインはありますか?
A4. 初期には、首の軽い痛みやこり、動かしにくさといった症状が現れることがあります。その後、腕や手へのしびれや痛みが放散するようになったり、特定の動作で症状が強くなったりする場合は、ヘルニアが悪化している可能性があります。
また、以前はなかった手先の使いにくさ(ボタンがかけにくい、字が書きにくいなど)や、歩行時のふらつきなどが出てきた場合は、脊髄症状の始まりも考えられるため、早めに専門医を受診することが大切です。
注意すべき初期サイン
- 持続する首の痛み、肩こり
- 特定の方向に首を動かすと痛みが強まる
- 腕や指先に時々しびれを感じる
- 朝起きたときに首が痛むことが多い
以上
参考文献
WONG, Jessica J., et al. The course and prognostic factors of symptomatic cervical disc herniation with radiculopathy: a systematic review of the literature. The Spine Journal, 2014, 14.8: 1781-1789.
WOODS, Barrett I.; HILIBRAND, Alan S. Cervical radiculopathy: epidemiology, etiology, diagnosis, and treatment. Clinical Spine Surgery, 2015, 28.5: E251-E259.
MATSUMOTO, Morio, et al. Relationships between outcomes of conservative treatment and magnetic resonance imaging findings in patients with mild cervical myelopathy caused by soft disc herniations. Spine, 2001, 26.14: 1592-1598.
ALENTADO, Vincent J., et al. Optimal duration of conservative management prior to surgery for cervical and lumbar radiculopathy: a literature review. Global spine journal, 2014, 4.4: 279-286.
WANG, Shunmin, et al. Classification of cervical disc herniation myelopathy or radiculopathy: a magnetic resonance imaging-based analysis. Quantitative imaging in medicine and surgery, 2023, 13.8: 4984.
BONO, Christopher M., et al. An evidence-based clinical guideline for the diagnosis and treatment of cervical radiculopathy from degenerative disorders. The Spine Journal, 2011, 11.1: 64-72.
IYER, Sravisht; KIM, Han Jo. Cervical radiculopathy. Current reviews in musculoskeletal medicine, 2016, 9: 272-280.
CARIDI, John M.; PUMBERGER, Matthias; HUGHES, Alexander P. Cervical radiculopathy: a review. HSS Journal®, 2011, 7.3: 265-272.
Symptoms 症状から探す