足立慶友医療コラム

頸椎症性神経根症:肩から腕の痛みや痺れの原因・治療

2019.08.02

頚部, 上肢

肩甲骨周囲の痛み・痺れを訴えて整形外科を受診される方で、腕まで症状の広がりを認める場合、頸椎症性神経根症を疑う必要があります。

(今回も日本整形外科学会が提供している、「頸椎症」のパンフレットを一部使用しております。こちらもお読みください。)

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今回の10秒まとめ。

① 頸椎症性神経根症とは、加齢によって頸椎が変形する頸椎症により、神経根が障害を受け症状が出現する疾患。

② 片側性の肩甲骨周囲や腕の痛み・痺れを認める。

③ 頚部後屈で症状が増悪する場合、頸椎症性神経根症を積極的に疑う。

④ 症状の場所から傷んでいる神経根が推測できる。

⑤ 治療の第一選択な内服治療と患部安静。また、リハビリテーションによる姿勢矯正も有効である。

⑥ 不良姿勢が症状増悪の原因となり得る。

⑦ 保存療法やリハビリテーションでも症状が改善しない場合は、手術加療も考慮する。

頸椎症性神経根症とは?

頸椎症性神経根症について理解を深めるために、まずは「頸椎症」と「神経根症」に分けて考えます。

頸椎症とは?

頸椎症とは、加齢によって頸椎が変形していることを意味します。

頸部には7つの頸椎と呼ばれる骨が集まり、脊柱管と呼ばれる神経の通り道を形成しています。

1つ1つの頸椎の間には椎間板と呼ばれるクッションがあります。

椎体の加齢性変化によって、椎間板が潰れ、横に広がり、それに合わせて骨も骨棘と呼ばれる出っ張りが形成されます。

このような変形を頸椎に認めた場合、頸椎症と診断します。

神経根症とは?

脊柱管内を通る神経には2つの名前があります。

神経の本幹で脊柱管内を首から腰にかけ通っているものを脊髄、脊髄から椎間孔(ついかんこう)という穴を通って左右の腕や背中そして足に分岐するものを神経根と呼びます。

この神経根が何らかの原因でダメージを受けたものが神経根症であり、脊髄が何らかの原因でダメージを受けたものを脊髄症と呼びます。

「頸椎症」+「神経根症」=「頸椎症性神経根症」

よって頸椎症性神経根症とは、「加齢性の変化によって頸椎が変形し、その変形が神経根にダメージを与えた症状が出現した疾患」を意味する言葉です。

同様に頸椎症性脊髄症とは、「加齢性の変化によって頸椎が変形し、その変形が脊髄にダメージを与えた症状が出現した疾患」を意味する言葉です。

頸椎症性神経根症の症状は?

症状

  • 片側性の肩甲骨周囲及び腕の痛み痺れ。
  • 上肢の腱反射低下。
  • 上肢の筋力低下。
  • 上肢の知覚鈍麻。

頸部脊柱管から上肢や背中に伸びる神経根は伸びた先の感覚や運動を支配しているため、神経根にダメージが生じると腕や背中の感覚や運動に障害が生じます。

もっとも多い症状は、痛みや痺れです。

頸椎症性神経根症の特徴は?

特徴

  • 頚部を後屈すると症状誘発。
  • 痛み痺れの部位からダメージを受けている神経根がわかる。

特徴として、頚部を後屈した状況で頭の先から下に圧迫を加えると、症状が出現or増悪することが挙げられます。

また、症状が出現している場所によって、ダメージを受けている神経根の位置がわかります。

頸椎症性神経根症の診断は?

診断

  • レントゲンやMRIで椎間孔の狭窄を見つける。
  • レントゲンやMRIで頸椎症性脊髄症など他の疾患を否定する。
  • 特徴や症状から神経根症と判断する。

特徴的な症状や所見からある程度神経根症であるということは判断が可能です。

MRIにて神経根の狭窄の程度や、頸髄症などの他疾患を否定する場合もあります。

頸椎症性神経根症の治療は?

治療

  • 抗炎症薬や神経障害性疼痛用の治療薬の内服
  • 頚部安定のための頸椎固定
  • 姿勢改善のための運動療法
  • 狭窄部解除のための手術

多くの場合、内服と患部の安静や後述の運動療法で数ヶ月以内に症状が改善します。

治療の第一選択は、内服治療です。一般的に抗炎症作用のあるNSAIDs(ロキソニン®️など)や神経障害性疼痛に効果があるプレガバリン(リリカ®️)やミロガバリンベシル酸塩(タリージェ®️)などの処方を行います。

症状が強い場合は、患部安静確保のために頸椎固定なども検討します。

また、頭部が体幹に対して前方に出てしまう不良姿勢(ヘッドフォワード)がある場合、頸椎の力学的負荷を増大させ症状が増悪する可能性もあるため、不良姿勢を改善する運動療法(いわゆるリハビリテーション)も必要になります。

ヘッドフォワードに対しては、下記の記事も参考にしてください。

手根管症候群:手のしびれ・握力低下の原因と治療

一定期間、上記を治療を行っても症状が改善しない場合、手術加療も検討します。

似たような症状を認める疾患

同様に肩から手のしびれを生じる疾患

・頸椎椎間板ヘルニア

・胸郭出口症候群

手の痺れを認める疾患

・手根管症候群

上記の疾患については、下記の記事をお読みください。

頸椎椎間板ヘルニアの症状・診断・治療

胸郭出口症候群:肩から手にかけてのしびれや痛み、ダルさ

手根管症候群:手のしびれ・握力低下の原因と治療

肩から腕の痛みや痺れでお困りの方は、一度当院までご受診ください。

 

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当院のご紹介

整形外科の診療に必要な『すべて』が揃った診療所

当院は、各種専門領域を持った医師の診療に加え、大学病院と同様の医療機器を有し、かつ、理学療法士・作業療法士によりリハビリテーションも積極的におこなっている診療所です。また、併設の足立慶友リハビリテーション病院では手術加療も行なっております。

そのため当院では、整形外科疾患におけるほぼ全ての治療を提供することができます。

初めての患者さまへ当院のご紹介

当院の『7つの特徴』や『ミッション』についてご案内いたします。

各部門の専門家が集まった特殊外来を設置

当院は、一般的な関節の痛みや筋肉の痛みを診る整形外科の他に、「脊椎(首・腰)」、「肩関節」、「股関節」、「膝関節」、「手」、「足」とそれぞれの専門家が集まった専門外来を用意しております。

他院で診断がつかない症状に関して、各領域の専門家が診察をいたします。

整形外科のご案内

手や足が痺れる、膝や股関節は痛い、背中が曲がってきたなどの症状でお困りの方へ。

都内最大級のリハビリ室を完備

患者様の健康を取り戻すため、当院ではリハビリテーションに力を入れております。

国家資格を有するセラピスト達が、責任を持って治療を行います。

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交通事故診療に強い整形外科専門医が診察

不幸にも交通事故に遭われた患者様の多くは、「事故のことは保険屋さんに聞けば良いが、体の不調をどこに相談すれば良いのかわからない」という悩みを抱えていらっしゃいます。

当院では交通事故診療に強い整形外科専門医が治療を行います。ぜひ一度ご相談ください。

交通事故にあわれた方へ

当院は、整形外科専門医が交通事故治療を行う医療機関です。

Author

北城 雅照

医療法人社団新潮会 理事長
医師・医学博士、経営心理士

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