足立慶友医療コラム

脊椎圧迫骨折:リハビリや日常生活の注意点について

2020.02.17

腰背部

今回は、高齢者でとても多い脊椎圧迫骨折の日常生活での注意点についてお伝えします。

今回の10秒まとめ

①脊椎圧迫骨折は、1つの椎体が潰れてしまうと、2つ、3つと圧迫骨折が続きやすい傾向にあるので、脊椎圧迫骨折にならないための日常生活の注意点を知り、管理することが必要です。

②日常生活の中での、身体を丸める、捻る動きは、骨折部の圧壊を進めてしまう原因になります。道具の使用や方法を工夫して、骨折部に負担がかからないように生活していきましょう。

③骨折部の安静のためにコルセットを装着します。コルセットが必要な時期はしっかりとつけて生活しましょう。

④脊椎圧迫骨折は円背姿勢との関連もあるため、良い姿勢が取れなければ、歩行補助具を使用して移動するようにしましょう。

⑤脊椎圧迫骨折の予防のために、転倒をしないための筋力強化や体づくりや、再骨折を防ぐために骨粗鬆症の治療を行っていきましょう。

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脊椎圧迫骨折について

脊椎圧迫骨折は、いつのまにか骨折と言われるように、高齢者でとても多い骨折の一つです。

概要や治療については、以下の記事を参考にしてください。

腰椎圧迫骨折:高齢者の持続する腰痛

脊椎圧迫骨折は、1つの椎体が潰れてしまうと、2つ、3つと圧迫骨折が続きやすい傾向にあります。なので、脊椎圧迫骨折にならないための日常生活の管理が必要です。

圧迫骨折後の姿勢で注意すること

身体を丸める、捻る動きは、骨折部の圧壊を進めてしまう原因になります。

安静による骨折部の回復過程を阻害することになりかねます。

受傷直後等は特に注意が必要で、コルセットをしていれば、動き自体が制限されますが、ついついやってしまいがちな動きに注意です。日常生活の中で起こりうる身体を丸める、捻る動きは以下の動きになります。

・靴の脱ぎ履き
・頭を洗う時の屈み動作
・下の物を拾う、取る動き
・寝返り起き上がりの動き
・後ろを振り向く動き

受傷機転として、上記の動きをした際に痛みが強くなったという人も多いです。

そんな動きの中で、骨折部に負担をかけないための方法は以下の通りになります。

・身体の伸びた姿勢を保つこと
・身体を丸太用のイメージで動くこと
・足を持ち上げて靴を履く
・物を拾う時は足を曲げてしゃがむこと

こういった意識をすることで、
骨折部の安静を保つことにつながり、
再骨折のリスクを減らすことにもつながります。

痛みがなくなったから、といって、
無理な動きをしてしまうと、再骨折のリスクも高まりますので、気を付けましょう。

圧迫骨折後のコルセットの着用

コルセットは、骨折部の安静を保つための治療用装具になります。

コルセットを装着していないと、座ったり、立ったりした時に、重力がかかり、脊椎が潰れてしまう方向にストレスがかかります。つまり、骨折の圧壊を進めてしまいます。それを防ぐためのコルセットです。

コルセットは基本的には寝る時も含め『常に』着用します。しかし、痩せ型の方はコルセットが皮膚にあたり褥瘡(いわゆる床ずれ)が起こってしまう場合もありますので、横になっている時は緩めて着用したり、横になる時のみ着用を止める、などの対応を行う場合もあります。

コルセットを付けてみると、少し苦しく感じたりすることもあるかと思いますが、専門の義肢装具士に見てもらい、調整しながら装着をして、生活していきましょう。

コルセットの着用期間は、痛みや骨折からの経過を見て、装着しなくても良い時期(おおむね受傷後約2ヶ月程度)になれば、外して生活することになります。着脱の時期については、担当の医師と相談し決定します。

圧迫骨折後の歩行補助具(杖・シルバーカー)の使用

杖やシルバーカーなどの歩行補助具を使うことは、腰痛に加えて、脊椎圧迫骨折の予防にもつながります。

圧迫骨折の多くは、円背姿勢となるため、腰や膝に手を当てて歩いている方も多くいます。

身体を伸ばしたり、上半身を起こすことができずに体幹が前傾してしまう人がいれば、迷わず杖やシルバーカーを使って移動するようにしましょう。

円背姿勢のように、腰や背中が丸くなってしまうと、重力に対して身体を持ち上げる負荷が高くなり、腰痛になりやすくなります。
バランスも取りにくくなり、転倒リスクも高くなります。

仰向けに寝られないほど円背が強い場合は、無理に仰向けに寝ないようにして、
横向きで寝るなり、立った時に背中を伸ばすようにするなど、身体に普段の少ないような工夫をしても良いでしょう。

圧迫骨折後のリハビリ

圧迫骨折のリハビリテーションは、受傷後の時期に応じて内容を検討する必要があります。

受傷直後からコルセットが完成するまで

ベッド上でできる、関節可動域訓練や筋力訓練を積極的に行う時期

コルセットができるまでは、立位や座位でいると圧迫骨折を起こしている腰椎がさらに潰れてしまう可能性があります。

そのため、コルセットが完成するまでの期間(約1週間程度)基本的にベッドでの安静が必要となります。

しかし、ベッド上で安静にしているだけでは全身の筋力が低下してしまいます。

入院することのメリットは、ベッド上で安静にしながらも、全身の関節可動域訓練や筋力訓練ができることです。

コルセット完成後からコルセット終了まで

下肢筋力の向上やバランス能力の向上のために積極的な歩行訓練を行う時期

コルセット完成後は積極的に歩行訓練を行い、下肢筋力の向上を目指します。

そもそも、脊椎圧迫骨折は、軽微な転倒や尻餅をついたりすることで受傷します。転倒をしないためには、貸し筋力の向上やバランス訓練などのリハビリが必要です。

コルセットの終了のタイミングは、レントゲン検査などで圧迫骨折部分の骨癒合を見ながら決定します。基本的には2ヶ月ほどコルセットを着用していだたくことになります。

コルセット終了後

コルセット使用により弱った体幹の筋力を取り戻す時期

コルセット終了後に体幹の筋力の改善のためのリハビリを行わないと、慢性腰痛の原因となります。

そのために、ある一定の姿勢を維持するなど体幹のスタティックトレーニングを中心に行う必要があります。

また再転倒しないために、全身の筋力が低下しないように定期的な運動を行うように心がけていきましょう。

再び圧迫骨折をしないための骨粗鬆症治療

腰椎圧迫骨折の背景には、骨密度の低下、いわゆる骨粗鬆症の存在が問題となります。

再骨折を予防するために、骨粗鬆症についてもしっかりと治療するようにしましょう。

骨粗鬆症に関しては下記の記事をご確認ください。

骨粗鬆症ってどんな病気なの?

まとめ

腰痛は放っておくと、慢性的な症状になりかねません。

もし圧迫骨折だとしたら、それが悪化しないように治療、管理していく必要があります。

脊柱圧迫骨折の日常生活の管理についてお伝えしてきました。

主な訴えは腰の痛みです。特に転倒後に腰痛を認める場合は脊椎圧迫骨折の可能性がありますので、当院までご相談ください。

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整形外科の診療に必要な設備が整った診療所

当院は、各種専門領域を持った医師の診療に加え、大学病院と同様の医療機器を有し、かつ、理学療法士・作業療法士によりリハビリテーションも積極的におこなっている診療所です。また、併設の慶友整形外科脊椎関節病院では手術加療も行なっております。

そのため当院では、整形外科疾患におけるほぼ全ての治療を提供することができます。

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Author

高橋佳佑

理学療法士、ピラティスインストラクター

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