今回は、お尻から太腿の裏、そして足の裏にかけてしびれや痛みを生じる『坐骨神経痛』の原因・診断方法・治療についてお伝えしていきます。
目次
今回の10秒まとめ
①坐骨神経痛とは、腰からお尻、太ももの後面を通り、枝分かれしながら足までつながっている「坐骨神経」に圧迫または、刺激が加わることで現れる、痛みやしびれなどの症状のことです。
②坐骨神経痛の原因は、仙腸関節障害、梨状筋症候群、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、などの疾患が挙げられます。
③坐骨神経痛の症状は、坐骨神経の領域、つまり、お尻、太もも裏、ふくらはぎ、足にかけての部位に、鋭い痛みやしびれ、張り、冷感や灼熱感、締めつけ感などの症状があらわれます。
④坐骨神経痛の診断は、その症状や腰椎レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査を行うことで診断していきます。
⑤坐骨神経痛の治療は、「坐骨神経痛の症状に対して」と、その「原因となる疾患に対して」治療を行います。薬物療法やブロック注射、リハビリテーションでのストレッチや運動をおこない、症状の軽減を図ります。
坐骨神経痛とは
坐骨神経痛とは、腰からお尻、太ももの後面を通り、枝分かれしながら足までつながっている「坐骨神経」にさまざまな原因によって圧迫または、刺激が加わることで現れる、痛みやしびれなどの症状のことです。坐骨神経は、前述した通り、腰、お尻、太もも裏、ふくらはぎ等までつながっている神経のため、様々な部位に症状が現れます。
また、坐骨神経痛は、疾患名ではなく、あくまで症状を表す言葉です。そのため、症状を引き起こす原因を突き止めることが必要になります。
坐骨神経痛の原因
坐骨神経痛の原因は、
①脊柱管外での坐骨神経の圧迫
②脊柱管内での坐骨神経の圧迫
の2つに分けられます。
①脊柱管外での坐骨神経の圧迫
代表的な疾患は以下の2疾患です。
①仙腸関節障害
②梨状筋症候群
両疾患が混合している場合も多く認めます。
①仙腸関節障害
仙腸関節とは、背骨と骨盤をつなぐ関節のため、上半身の重みを骨盤に伝える部分であるため、複数の靭帯によって非常に強く固められ、動きの少ない関節と言われております。
この部分に障害を生じることで腰痛や下肢痛を認める場合があります。
詳しくは、下記の記事をお読みください。
腰痛・臀部痛を認める仙腸関節障害の診断と治療
②梨状筋症候群
梨状筋症候群とは、お尻の深いところにある「梨状筋」という筋肉が硬くなったり、引き伸ばされたりすることで、その下を通っている坐骨神経を圧迫してお尻や太もも裏にかけてしびれが出現する疾患です。梨状筋症候群は、股関節周辺の筋肉の使い過ぎや長時間座っていることが原因として挙げられます。
梨状筋症候群について詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。
座っているとお尻・足が痛い・痺れる:梨状筋症候群の症状・原因・治療
坐骨神経痛の症状が出ているとしても、上記のような原因となる疾患を鑑別していくことが重要です。
脊柱管内での坐骨神経の圧迫
脊柱管内で神経が圧迫される代表的な疾患は、次の2つです。
①腰椎椎間板ヘルニア
②腰部脊柱管狭窄症
①腰部脊柱管狭窄症
高齢者の腰痛・下肢痛の場合で真っ先に疑う疾患が、腰部脊柱管狭窄症です。
詳しくは下記の記事をお読みください。
腰部脊柱管狭窄症とは、原因・症状・治療法について
②腰椎椎間板ヘルニア
比較的若年者で、坐骨神経症状を認めた場合、腰椎椎間板ヘルニアを疑います。
詳しくは下記の記事をお読みください。
腰椎椎間板ヘルニア:腰から足のしびれ・痛み
坐骨神経痛の症状が出ているとしても、上記のような原因となる疾患を鑑別していくことが重要です。
坐骨神経痛の症状
坐骨神経痛の症状には下記のようなものが挙げられます。
① お尻、太もも裏、ふくらはぎ、足に、鋭い痛みやしびれ、張り、冷感や灼熱感、締めつけ感
② 症状の出現部位は、お尻から足までの「一部分だけ」の場合と、「下肢全体」の場合がある
③ 体幹の前屈または後屈で症状が増悪する
また、疾患に応じて特徴的な症状が出現します。
① 腰椎椎間板ヘルニアの場合は腰を丸めると症状が増悪
② 腰部脊柱管狭窄症の場合は腰を反らすと症状が増悪
③ 梨状筋症候群の場合は長時間座り続けることが困難
そして、尿失禁や会陰部の異常感覚などの膀胱直腸障害がある場合は、腰椎疾患が重症化している場合がありますので、検査が必要です。
坐骨神経痛の検査・診断
坐骨神経痛は疾患ではなく症状なので、症状を引き起こす原因となる疾患について、検査をして、診断していきます。
症状について問診を行い、痛みやしびれの部位を確認し、圧痛等を確認していきます。痛みやしびれが坐骨神経領域と一致するかを診ていきます。腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、変形性腰椎症に関しては、腰椎レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査を行うことで診断していきます。
坐骨神経痛の治療と予防
坐骨神経痛の治療
坐骨神経痛の治療は、保存的治療から始め、症状が改善しない場合、下肢に麻痺症状が生じた場合や膀胱直腸障害など症状が増悪した場合に、外科的治療を検討します。
保存的治療としては、鎮痛薬などの薬物療法やブロック注射で痛みの軽減を図ります。リハビリテーションにおいて、ストレッチや運動をおこない、症状の軽減を図ります。特に梨状筋症候群に関しては、梨状筋の硬さが問題となることが多いため、ストレッチやリラクゼーションにて緊張をほぐしていきます。緊張をほぐすことで、坐骨神経の圧迫をやわらげ、症状の改善をはかります。
坐骨神経痛の治療は、「坐骨神経痛の症状に対して」と、その「原因となる疾患に対して」治療を行います。
坐骨神経痛の予防
坐骨神経痛の予防として、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、変形性腰椎症などの腰椎疾患、それに加えて梨状筋症候群にならないようにしていくことが必要です。そのため、日常生活の中で腰椎への負担を少なくし、梨状筋等の股関節周囲筋のストレッチや背骨をしっかりと動かしていきましょう。
仕事の中で、長時間のデスクワーク、立ち仕事など、長時間の同じ姿勢でいることが多い人は、腰椎へのストレスや坐骨神経に圧迫を加えやすいです。しっかりと仕事の合間に、姿勢を崩してリラックスしたり、ストレッチをしていきましょう。いくら良い姿勢を取っていても、長時間のストレスには敵いません。必ず姿勢を変えるように心がけてください。そして、坐骨神経痛にならないようにしていきましょう。
当院では、下肢の痺れを認める患者様に対して、脊椎疾患の専門家が診察を行っております。
坐骨神経痛でお悩みの患者様は、是非一度当院までご相談ください。
当院のご紹介
整形外科の診療に必要な設備が整った診療所
当院は、各種専門領域を持った医師の診療に加え、大学病院と同様の医療機器を有し、かつ、理学療法士・作業療法士によりリハビリテーションも積極的におこなっている診療所です。また、併設の慶友整形外科脊椎関節病院では手術加療も行なっております。
そのため当院では、整形外科疾患におけるほぼ全ての治療を提供することができます。
当院の『7つの特徴』や『ミッション』についてご案内いたします。
各部門の専門家が集まった特殊外来を設置
当院は、一般的な関節の痛みや筋肉の痛みを診る整形外科の他に、「脊椎(首・腰)」、「肩関節」、「股関節」、「膝関節」、「手」、「足」とそれぞれの専門家が集まった専門外来を用意しております。
他院で診断がつかない症状に関して、各領域の専門家が診察をいたします。
手や足が痺れる、膝や股関節は痛い、背中が曲がってきたなどの症状でお困りの方へ。
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腰が痛い、姿勢が悪い、歩くとふらつくなどの症状でお困りの方へ。
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当院では交通事故診療に強い整形外科専門医が治療を行います。ぜひ一度ご相談ください。
当院は、整形外科専門医が交通事故治療を行う医療機関です。