足立慶友医療コラム

股関節の痛みで受診すべき病院|何科に行くべきか

2026.04.10

股関節に痛みを感じたとき、何科を受診すればよいのか迷う方は少なくありません。結論から申し上げると、股関節の痛みはまず整形外科を受診するのが基本です。

ただし、発熱を伴う場合や全身の関節が痛む場合には、リウマチ科や内科が適していることもあります。

この記事では、整形外科医としての臨床経験をもとに、股関節の痛みで受診すべき診療科や病院選びのポイント、代表的な病気、受診前のセルフチェック方法、検査の流れまで幅広く解説します。

痛みを我慢して放置すると歩行に支障をきたす恐れがあるため、早めの受診が大切です。

股関節が痛いときは整形外科を受診するのが正解

股関節の痛みで病院を受診する際、基本となる診療科は整形外科です。骨や関節、筋肉、靭帯など運動器全般を専門とする整形外科であれば、股関節の痛みの原因を総合的に診断できます。

股関節の痛みで迷ったら、まず整形外科を選ぼう

股関節の痛みは、関節そのものの変形や炎症だけでなく、周囲の筋肉や腱の損傷が原因で生じることもあります。整形外科ではレントゲンやMRIを用いた画像検査を行い、痛みの原因を特定したうえで治療方針を立てます。

「何科に行けばいいかわからない」と悩んで受診をためらう方がいますが、股関節周辺の症状であれば整形外科を選んでおけば間違いありません。予約なしで当日受診できるクリニックも多いため、痛みを感じたらまず最寄りの整形外科を訪ねてみましょう。

内科やかかりつけ医経由で紹介を受ける方法もある

持病があって日頃からかかりつけ医に通っている場合は、まずその医師に相談するのもよい選択です。かかりつけ医から整形外科への紹介状を書いてもらえば、スムーズに専門的な診察を受けられます。

とくに糖尿病や高血圧など全身疾患をお持ちの方は、内科的な管理と並行して整形外科を受診することで、より安全な治療計画を立てることができるでしょう。

股関節の痛みで受診すべき診療科の比較

診療科適しているケース受診の目安
整形外科股関節周辺の痛み全般歩行時・動作時の痛み
リウマチ科全身の関節の腫れや痛み朝のこわばり・左右対称の痛み
内科発熱を伴う関節痛感染症や内臓疾患の疑い
婦人科妊娠・産後の股関節痛骨盤周辺の違和感

リウマチ科や婦人科が適しているケースもある

朝起きたときに両手の指がこわばる、複数の関節が同時に腫れるといった症状がある場合は、関節リウマチの可能性も考えられます。そうした場合はリウマチ科への受診が適しているといえるでしょう。

また、妊娠中や産後に股関節が痛む方は、骨盤の開きやホルモンの変化が原因であることも多く、婦人科や産科の医師に相談するのが賢明です。自分の症状に合った診療科を選ぶことが、早期回復への近道になります。

股関節の痛みを引き起こす代表的な病気にはこんなものがある

股関節の痛みの背景には、加齢による変形から骨の壊死、炎症性疾患まで、さまざまな病気が隠れています。原因によって治療法は大きく異なるため、まずは代表的な疾患を把握しておきましょう。

変形性股関節症は中高年女性に多い

変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減って骨同士がぶつかることで痛みを生じる病気です。日本では先天性の臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)を背景に発症する方が多く、50代以降の女性に好発します。

初期には立ち上がりや歩き始めに軽い痛みを感じる程度ですが、進行すると安静時にも痛みが出て、関節の動きが制限されるようになります。早い段階で整形外科を受診し、レントゲンで関節の状態を確認することが治療の第一歩です。

大腿骨頭壊死症は早期発見が治療のカギになる

大腿骨頭壊死症(だいたいこっとうえししょう)は、大腿骨の先端にある骨頭への血流が途絶え、骨が壊死する病気です。ステロイド薬の長期使用やアルコールの過剰摂取がリスク要因として指摘されています。

初期には痛みがほとんどなく、壊死が進行して骨頭がつぶれ始めてから激しい痛みが出ることもあります。MRI検査で早期に発見できれば、関節を温存する治療の選択肢が広がるため、リスク因子に心当たりがある方は早めに整形外科で相談してください。

関節リウマチや感染性関節炎も股関節に痛みを起こす

関節リウマチは免疫の異常によって関節に炎症が起きる病気で、手指の関節だけでなく股関節にも症状が及ぶことがあります。朝のこわばりや複数の関節の腫れを伴う場合には、リウマチ科での精密検査が求められます。

一方、感染性関節炎は細菌が関節内に入り込んで強い炎症を引き起こす緊急性の高い病気です。高熱とともに股関節が急激に腫れて動かせなくなった場合は、速やかに病院を受診してください。

股関節の痛みを起こす主な病気と特徴

病気好発年齢主な症状の特徴
変形性股関節症50代以降動き始めの痛み、可動域の低下
大腿骨頭壊死症30〜50代急な股関節の痛み、歩行困難
関節リウマチ30〜60代朝のこわばり、左右対称の関節痛
感染性関節炎全年齢高熱、関節の強い腫れと発赤
臼蓋形成不全若年〜中年長時間歩行後の鼠径部痛

病院に行く前に試してほしい股関節の痛みセルフチェック

受診前に自分の痛みの状態を整理しておくと、医師に的確な情報を伝えることができ、診断がスムーズに進みます。以下のポイントを事前に確認してから病院へ向かいましょう。

歩き始めに痛むか、動かさなくても痛むかで状況が変わる

股関節の痛みが「動き始め」に限られるのか、それとも「じっとしていても痛い」のかは、原因疾患を絞り込むうえで大切な手がかりです。

動作時に限って痛む場合は変形性股関節症の初期である可能性が高く、安静時にも痛みが続くなら炎症や壊死など、より深刻な状態が疑われます。

痛みの場所は鼠径部・太もも・お尻のどこに出ているか

股関節の病気では、鼠径部(そけいぶ=足の付け根の前側)に痛みが出ることが多いですが、お尻や太ももの外側に痛みを感じる方も少なくありません。痛みの部位によって疑うべき疾患が変わるため、受診時に「どこが痛いか」を正確に伝えることが大切です。

痛みの部位と考えられる原因

痛みの部位考えられる原因関連する診療科
鼠径部(足の付け根前側)変形性股関節症、関節唇損傷整形外科
お尻の奥梨状筋症候群、坐骨神経痛整形外科
太ももの外側大転子滑液包炎整形外科

すぐに受診すべき危険な股関節の痛みサインを見逃さない

股関節の痛みの中には、一刻も早く病院で診てもらうべき緊急性の高いものがあります。38度以上の発熱と同時に関節が腫れて赤くなった場合は、感染性関節炎の可能性があるため、その日のうちに受診してください。

また、転倒後に脚を動かせなくなった場合は大腿骨の骨折が疑われます。高齢者では大腿骨近位部骨折が寝たきりにつながることもあるため、救急外来を含めて迅速な対応が求められるでしょう。

股関節の痛みで整形外科を受診したら、どんな検査が行われるのか

整形外科を受診すると、問診と身体診察に加え、画像検査や血液検査を組み合わせて痛みの原因を探っていきます。検査内容を事前に把握しておけば、受診時の不安も軽減できるはずです。

レントゲン検査で骨の状態を確認する

もっとも基本的な検査がレントゲン(X線)撮影です。関節の隙間が狭くなっていないか、骨棘(こつきょく=骨のとげ)が形成されていないか、骨頭の変形がないかなどを画像で確認します。

立った姿勢で撮影する「荷重位レントゲン」では、体重がかかった状態での関節の状態を評価できます。初回受診時にはまずこの検査が行われるのが一般的です。

MRI検査では軟骨や靭帯の損傷まで映し出せる

レントゲンで異常が見つからなくても痛みが続く場合には、MRI検査が行われます。MRIは骨だけでなく軟骨、関節唇(かんせつしん)、靭帯、筋肉といった軟部組織の状態を詳しく描出できる検査です。

とくに大腿骨頭壊死症の早期診断や、関節唇損傷の発見にはMRIが欠かせません。検査自体は30分ほどで終わり、被ばくの心配もないため、医師から勧められたら積極的に受けることをおすすめします。

血液検査でリウマチや感染症の有無がわかる

股関節の痛みの原因が炎症性疾患や感染症にある場合、血液検査が診断の決め手になります。CRP(C反応性タンパク)や赤沈(せきちん=赤血球沈降速度)の値が高ければ、体のどこかで炎症が起きているサインです。

リウマチ因子や抗CCP抗体の検査を追加することで、関節リウマチかどうかの判定もできます。画像検査と血液検査を組み合わせることで、より正確な診断にたどり着けるのです。

股関節の痛みで行われる主な検査一覧

検査わかること所要時間の目安
レントゲン骨の変形、関節の狭窄5〜10分
MRI軟骨・靭帯の損傷、壊死20〜40分
血液検査炎症反応、リウマチ因子採血5分(結果は後日の場合あり)
超音波検査滑液包の腫れ、筋肉の状態10〜15分

股関節の痛みを放置すると歩行困難につながる恐れがある

「少し痛いだけだから」と我慢を続けると、関節の変形が進行し、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。痛みの初期段階で適切な治療を受けることが、将来の歩行機能を守るために重要です。

初期の違和感を無視すると変形が進行しやすい

変形性股関節症の場合、軟骨のすり減りはゆっくりと進行します。初期の「なんとなく重い」「長く歩くと付け根が痛くなる」といった違和感の段階で整形外科を受診すれば、運動療法や体重管理など保存的な治療で症状をコントロールできる可能性が高いです。

しかし放置して末期まで進むと、人工股関節置換術(じんこうこかんせつちかんじゅつ)以外の選択肢がほとんどなくなってしまいます。

痛みをかばう姿勢が膝や腰にまで負担を広げる

股関節に痛みがあると、無意識のうちに痛い側をかばって歩くクセがつきます。その結果、反対側の脚や膝、腰に過度な負担がかかり、二次的な痛みを引き起こすことが珍しくありません。

股関節の痛みが波及しやすい部位

波及先起こりやすい症状原因
膝関節内側の痛み、水がたまるかばい歩きによる過荷重
腰腰痛、椎間板への負担骨盤の傾きの変化
反対側の股関節両側の股関節痛片側への過剰な体重負荷

手術を回避するためにも早めの受診で選択肢を広げたい

股関節の病気は早期であるほど保存的治療(手術をしない治療)の選択肢が多く、生活の質を維持しやすくなります。リハビリテーションでの筋力トレーニングや、関節への注射療法、装具の使用など、段階に応じたさまざまな治療が受けられます。

逆に、受診が遅れて関節の破壊が進むと、手術以外では痛みを取り除けなくなることも。「まだ大丈夫」と自己判断せず、違和感の段階で専門医を訪ねる行動が、将来の自分の脚を守ることにつながります。

股関節に負担をかけない生活習慣が痛みの悪化を防ぐ

病院での治療と並行して、日々の生活習慣を見直すことで股関節への負担を減らせます。薬や手術だけに頼るのではなく、自分でできるケアを続けることが、痛みのコントロールに直結するのです。

体重管理と適度な運動が股関節への負担を軽くする

体重が1kg増えると、歩行時に股関節にかかる負荷は約3kg増えるといわれています。肥満傾向の方は体重を適正範囲に近づけるだけで、股関節への負担を大幅に減らすことが期待できます。

運動は水中ウォーキングやプールでの水泳、自転車エルゴメーターなど関節への衝撃が少ない種目がおすすめです。医師や理学療法士に相談しながら、自分に合った運動メニューを見つけてください。

和式生活から洋式生活への切り替えで関節の負担が減る

正座やあぐら、和式トイレなど、股関節を深く曲げる姿勢は関節に大きな負荷をかけます。椅子とテーブルを使った洋式の生活様式に切り替えるだけで、日常的な股関節の負担を軽減できるでしょう。

床に座る場面が多い方は、座椅子に座面の高いクッションを置くなどの工夫も有効です。布団からベッドへの変更も、朝の起き上がり時の股関節の負担を減らすのに役立ちます。

杖やサポーターの活用も効果的な選択肢になる

歩行時に痛みが強い場合は、杖を使うことで股関節にかかる荷重を20〜30%ほど軽減できます。痛い側と反対の手で杖を持つのが正しい使い方です。

また、股関節用のサポーターやベルトで骨盤を安定させることで、歩行時の痛みが楽になるケースもあります。

ただし、サポーターはあくまで補助的な役割であり、根本的な治療にはなりません。必ず整形外科で原因を調べたうえで、医師の指導のもとで使用しましょう。

  • 水中ウォーキングや自転車こぎなど低衝撃の運動を取り入れる
  • 正座やあぐらを避け、椅子とテーブルの洋式生活に切り替える
  • 杖は痛む脚の反対側の手で持つ
  • 体重管理を意識して関節への負荷を減らす

紹介状が必要な場面と股関節専門の病院を探すコツ

近所のクリニックでの治療だけでは改善しない場合、総合病院や大学病院への紹介が検討されます。専門性の高い医療機関を上手に活用することで、治療の幅が広がります。

クリニックから総合病院への紹介状をもらうタイミング

地域の整形外科クリニックで3か月ほど保存的治療を続けても症状が改善しない場合や、MRI検査が必要と判断された場合は、総合病院への紹介状を書いてもらうのが一般的な流れです。

紹介状がなくても大きな病院を受診できますが、選定療養費として数千円の追加負担が発生することがあります。スムーズな受診と費用の節約のためにも、まずはかかりつけ医に紹介状を依頼するのが賢い方法です。

  • 保存的治療で3か月以上改善がないとき
  • MRIやCTなど高度な画像検査が必要なとき
  • 手術の適応を判断してほしいとき
  • セカンドオピニオンを受けたいとき

股関節の専門医がいる病院はどう探せばよいか

日本整形外科学会の公式サイトでは、地域ごとの専門医を検索できるシステムが用意されています。「股関節」「人工関節」などのキーワードで絞り込めば、専門性の高い医師を見つけやすくなるでしょう。

また、日本股関節学会に所属する医師や、年間の人工股関節手術件数が多い施設は、豊富な治療経験を持っている目安になります。インターネットでの情報収集だけでなく、かかりつけ医からの推薦も有力な手がかりです。

セカンドオピニオンも遠慮せずに活用してほしい

手術を勧められたけれど本当に必要なのか不安なとき、別の専門医に意見を聞く「セカンドオピニオン」は患者さんの正当な権利です。担当医に伝えにくいと感じる方もいるかもしれませんが、多くの医師はセカンドオピニオンに理解を示してくれます。

セカンドオピニオン外来を設けている病院も増えており、予約制で30分〜1時間程度の面談を受けられます。自分の治療に納得して臨むためにも、迷いがあるなら積極的に利用しましょう。

よくある質問

股関節の痛みで整形外科を受診した場合、初診ではどのような検査が行われますか?

初診ではまず問診で痛みの場所や発症時期、日常生活での困りごとなどを詳しく聞かれます。続いて股関節の動きを確認する身体診察が行われ、レントゲン撮影で骨や関節の状態を画像で確認するのが一般的な流れです。

レントゲンだけでは判断が難しい場合は、後日MRI検査や血液検査を追加で行うこともあります。検査にかかる時間は全体で30分〜1時間程度が目安です。

股関節の痛みがあるとき、整形外科とリウマチ科のどちらを受診すべきですか?

股関節だけが痛む場合は、まず整形外科を受診するのがよいでしょう。整形外科では骨や関節の画像検査を中心に、幅広い原因を調べることができます。

一方、股関節以外にも手指や膝など複数の関節が同時に痛む場合や、朝起きたときに関節がこわばる症状がある場合は、関節リウマチの可能性があります。そのときはリウマチ科の受診が適しているでしょう。

どちらか判断に迷うときは、かかりつけ医に相談して適切な診療科を紹介してもらうとよいでしょう。

股関節の痛みは何日くらい様子を見てから病院に行くべきですか?

痛みの程度にもよりますが、2週間以上続く股関節の痛みは自然に治る可能性が低いため、整形外科への受診をおすすめします。日常生活に支障が出ている場合は、2週間を待たずに早めに受診してください。

とくに高熱を伴う関節の腫れや、転倒後に脚を動かせないといった症状がある場合は、感染症や骨折の恐れがあるため、その日のうちに病院を受診する必要があります。

股関節の痛みで大きな病院を受診するには紹介状が必要ですか?

紹介状がなくても大きな病院(200床以上の病院)を受診すること自体は可能です。ただし、紹介状なしで受診する場合は「選定療養費」として数千円から1万円程度の追加費用がかかることがあります。

費用面だけでなく、紹介状にはこれまでの検査結果や治療経過が記載されているため、専門医がスムーズに診断を進められるという利点もあります。まずは近くの整形外科クリニックを受診し、必要に応じて紹介状を書いてもらうのが効率的な方法です。

股関節の痛みで受診する際、医師にどのように症状を伝えればよいですか?

受診時は「いつから」「どこが」「どんなときに」「どの程度」痛むかの4点を整理して伝えると、医師が原因を絞り込みやすくなります。

たとえば「2か月前から右の足の付け根が歩き始めに痛み、最近は階段の上り下りでも痛むようになった」のように具体的に説明すると効果的です。

痛みの場所が自分ではわかりにくい場合は、診察室で指さしながら伝えるだけでも十分です。お薬手帳や過去の検査結果があれば持参すると、より正確な診断につながります。

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Author

北城 雅照

医療法人社団円徳 理事長
医師・医学博士、経営心理士

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