足立慶友医療コラム

腰痛・臀部痛を認める仙腸関節障害の診断と治療

2019.08.02

腰背部, 下肢

腰痛を訴え当院を受診される患者さんの中には、臀部痛を訴える方も多くいらっしゃいます。

このような患者さんには、『仙腸関節障害(仙腸関節炎)』を疑う必要があります。

今回はこの仙腸関節障害(仙腸関節炎)の診断・治療についてお話をします。

今回の10秒まとめ。

① 臀部痛と大腿部痛や鼠径部痛を認めた場合、仙腸関節障害を疑う。

② 痛みの箇所が明確、仙腸関節を圧迫すると痛みが誘発されるのが特徴。

③ 診断のために腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症を否定する必要がある。

④ 治療には、仙腸関節部の安静を確保するために骨盤ベルトなどで固定する。

⑤ 仙腸関節部へのブロック注射が効果的。

⑥ 腰椎の可動性低下や股関節筋群の拘縮が原因の可能性もあるため、運動療法(リハビリ)による介入も検討する。

オンライン予約はこちら

当院のご紹介

仙腸関節障害とは?

仙腸関節とは、背骨の基部にある仙骨と骨盤を形成する腸骨で作られた関節です。

(日本整形外科スポーツ医学会の仙腸関節障害のページより抜粋 http://www.jossm.or.jp/series/flie/025.pdf )

仙腸関節は、骨盤より上にある上半身の重みを骨盤に伝える部分であるため、複数の靭帯によって非常に強く固められ、動きの少ない関節と言われております。

中腰での作業や繰り返しの負荷など何かしらの原因で仙腸関節を損傷してしまうと、仙腸関節周囲に痛みを認める場合があります。これが仙腸関節障害です。

仙腸関節障害の症状は?

特徴的な症状

  • 仙腸関節部(いわゆるお尻)の痛み
  • 痛みの箇所を指させる
  • 大腿後方外側や鼠径部の痛み

特徴的な症状として、仙腸関節部の痛み(両側性or変則性)、が挙げられます。

腰痛を訴えて受診される患者さんの中に、腰というよりは仙腸関節の場所(いわゆるお尻)の痛みを訴える方が多く、そのような方では仙腸関節障害を強く疑います。仙腸関節障害の患者さんでは、痛みの場所を指さすことができるもの特徴です。

また、大腿後外側の痛みや鼠径部の痛みを訴える方もいらっしゃるのが特徴と言えます。

仙腸関節障害の診断は?

診断

  • 似たような症状を引き起こす疾患(腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症)の除外
  • 仙腸関節部の圧迫による疼痛の誘発(Newton変法)

同じような痛みを認める疾患に腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症と呼ばれる病気があるので、レントゲンやMRIにてこれらではないことを確認する必要があります。

上記疾患を否定し、伏臥位で仙腸関節を上から圧迫し疼痛が誘発される場合、仙腸関節障害と考えます。

仙腸関節障害の治療は?

治療

  • 腰痛ベルトや骨盤ベルトによる仙腸関節の固定
  • 抗炎症薬の内服
  • 仙腸関節ブロック
  • 運動療法(リハビリ)

仙腸関節の安静を確保するため、骨盤ベルトやコルセットによる固定を行います。また、抗炎症薬(ロキソニンなど)の内服も行います。

疼痛が強い時には、仙腸関節へのブロック注射も非常に有効です。

仙腸関節障害は腰椎の可動性低下や股関節筋群の拘縮が原因の可能性もあるため、当院ではブロックによる除痛や、運動療法(リハビリ)による仙腸関節や股関節筋群のストレッチ介入なども検討します。

腰痛でお悩みの方は、一度当院までご相談ください。

また腰痛についてもっと詳しく知りたい方は、下記の記事もお読みください。

腰痛の原因を知っていますか?

オンライン予約はこちら

当院のご紹介

整形外科の診療に必要な『すべて』が揃った診療所

当院は、各種専門領域を持った医師の診療に加え、大学病院と同様の医療機器を有し、かつ、理学療法士・作業療法士によりリハビリテーションも積極的におこなっている診療所です。また、併設の慶友整形外科脊椎関節病院では手術加療も行なっております。

そのため当院では、整形外科疾患におけるほぼ全ての治療を提供することができます。

初めての患者さまへ当院のご紹介

当院の『7つの特徴』や『ミッション』についてご案内いたします。

各部門の専門家が集まった特殊外来を設置

当院は、一般的な関節の痛みや筋肉の痛みを診る整形外科の他に、「脊椎(首・腰)」、「肩関節」、「股関節」、「膝関節」、「手」、「足」とそれぞれの専門家が集まった専門外来を用意しております。

他院で診断がつかない症状に関して、各領域の専門家が診察をいたします。

整形外科のご案内

手や足が痺れる、膝や股関節は痛い、背中が曲がってきたなどの症状でお困りの方へ。

都内最大級のリハビリ室を完備

患者様の健康を取り戻すため、当院ではリハビリテーションに力を入れております。

国家資格を有するセラピスト達が、責任を持って治療を行います。

リハビリテーション科のご案内

腰が痛い、姿勢が悪い、歩くとふらつくなどの症状でお困りの方へ。

交通事故診療に強い整形外科専門医が診察

不幸にも交通事故に遭われた患者様の多くは、「事故のことは保険屋さんに聞けば良いが、体の不調をどこに相談すれば良いのかわからない」という悩みを抱えていらっしゃいます。

当院では交通事故診療に強い整形外科専門医が治療を行います。ぜひ一度ご相談ください。

交通事故にあわれた方へ

当院は、整形外科専門医が交通事故治療を行う医療機関です。

Author

北城 雅照

医療法人社団新潮会 理事長
医師・医学博士、経営心理士

Symptoms 症状から探す

症状から探す

Latest Column 最新のコラム

第31回JOCジュニア・オリンピック・カップ・フェンシング大会兼2024年世界ジュニア・カデ・フェンシング選手権大会選考会サポート活動報告

2024.05.02

活動報告(天皇杯 第49回日本車いすバスケットボール選手権大会)

活動報告(天皇杯 第49回日本車いすバスケットボール選手権大会)

2024.05.01

埼玉県中体連柔道練成会サポート活動報告

2023.10.24

活動報告(第27回日本ペインリハビリテーション学会学術大会)

2023.10.17

中学女子バレーボール メディカルチェック・トレーニング・ストレッチ指導 サポート活動報告

2023.10.10

Ranking よく読まれているコラム

information 診療案内