坐骨神経痛の薬物療法による治療効果について
坐骨神経痛は、腰から足にかけて広がる痛みやしびれを引き起こすつらい症状です。多くの方がこの症状に悩まされており、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。
この記事では、坐骨神経痛の薬物療法に焦点を当て、その種類、効果、副作用、そして治療を選択する上での注意点などを詳しく解説します。
薬物療法がどのように痛みを和らげ、生活の質の向上に貢献するのか、一緒に見ていきましょう。
目次
坐骨神経痛とは何か その原因と症状の理解
坐骨神経痛は、特定の病名ではなく、坐骨神経が圧迫されたり刺激されたりすることで生じる一連の症状群を指します。多くの場合、腰椎に何らかの問題があることが原因となります。
この神経は人体で最も太く長い末梢神経で、腰からお尻を通り、太ももの裏側、ふくらはぎ、そして足先まで伸びています。
坐骨神経の経路と役割
坐骨神経は、主に第4腰神経(L4)、第5腰神経(L5)、第1仙骨神経(S1)、第2仙骨神経(S2)、第3仙骨神経(S3)の各神経根から構成されます。
これらの神経線維が骨盤内で合流し、梨状筋の下を通って大腿後面へ向かいます。膝の裏あたりで総腓骨神経と脛骨神経に分かれ、さらに足先まで分布します。
この神経は、下肢の運動機能(歩く、立つ、曲げるなど)と感覚機能(触覚、痛覚、温度覚など)の両方を担っています。
主な原因疾患
坐骨神経痛を引き起こす代表的な原因疾患には、腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症があります。
これら以外にも、梨状筋症候群、脊椎分離症・すべり症、脊椎腫瘍、脊椎感染症などが原因となることもあります。原因疾患を特定することが、適切な治療への第一歩です。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアは、背骨の骨と骨の間にあるクッションの役割をする椎間板が、何らかの原因で変性し、その一部が後方に突出して神経を圧迫する状態です。
特に若い世代や中年層に見られやすく、急性の激しい痛みを伴うことがあります。
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症は、加齢などにより背骨の中の神経の通り道である脊柱管が狭くなり、中を通る神経や血管が圧迫される状態です。
高齢者に多く見られ、歩行時に足の痛みやしびれが悪化し、少し休むと楽になる「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」が特徴的な症状です。
典型的な症状
坐骨神経痛の症状は、原因や圧迫されている神経の部位によって異なりますが、一般的には以下のようなものが挙げられます。
- 腰痛
- お尻の痛み
- 太ももの後面からふくらはぎ、足にかけての痛み、しびれ、ジンジン感
- 足に力が入りにくい、感覚が鈍くなる
- 排尿・排便障害(重症な場合)
痛みは、鋭い痛み、焼けるような痛み、電気が走るような痛みなど、さまざまに表現されます。
安静にしていても痛むこともあれば、特定の動作(前かがみ、長時間の座位など)で悪化することもあります。
症状の現れ方の多様性
症状の範囲や強さは個人差が大きいです。片側の下肢だけに症状が出る場合が多いですが、両側に出ることもあります。
また、常に症状があるわけではなく、良くなったり悪くなったりを繰り返すこともあります。症状の正確な把握は診断において重要です。
薬物療法の目的と位置づけ
坐骨神経痛の治療において、薬物療法は重要な選択肢の一つです。その主な目的は、痛みを軽減し、炎症を抑え、患者さんの日常生活の質(QOL)を改善することにあります。
薬物療法だけで根本的な原因を取り除くことは難しい場合もありますが、症状をコントロールし、他の治療法(理学療法、運動療法など)と組み合わせることで、より効果的な回復を目指します。
痛みのコントロール
坐骨神経痛の最もつらい症状は「痛み」です。薬物療法は、この痛みを和らげることを最優先の目標とします。
痛みが軽減することで、患者さんは精神的な苦痛から解放され、睡眠の改善や活動性の向上につながります。痛みの種類や強さに応じて、適切な薬剤を選択します。
炎症の抑制
神経の圧迫や刺激によって生じる炎症は、痛みを増強させる要因の一つです。薬物療法の中には、この炎症を抑える作用を持つものがあります。
炎症が鎮まることで、神経周囲の腫れが引き、神経への圧迫が軽減されることが期待できます。
日常生活の質の向上
痛みが和らぎ、動ける範囲が広がることで、仕事や家事、趣味など、日常生活への復帰が促されます。薬物療法は、患者さんがより快適な生活を送るためのサポートとして機能します。
ただし、薬だけに頼るのではなく、生活習慣の改善や適切な運動も大切です。
他の治療法との連携
薬物療法は、単独で行われることもありますが、多くの場合、理学療法、運動療法、神経ブロック注射など、他の治療法と組み合わせて行われます。
痛みを薬でコントロールしながら、リハビリテーションで身体機能の回復を図るなど、相乗効果を狙います。医師は患者さんの状態を総合的に評価し、最適な治療計画を提案します。
薬物療法の限界と注意点
薬物療法は症状緩和に有効ですが、原因疾患そのものを治癒させるものではありません。
例えば、大きな椎間板ヘルニアや重度の脊柱管狭窄症の場合、薬物療法だけでは十分な効果が得られず、手術が必要となることもあります。
また、薬には副作用のリスクも伴うため、医師の指示に従い、適切に使用することが重要です。
坐骨神経痛に用いられる主な薬の種類
坐骨神経痛の治療には、さまざまな種類の薬が用いられます。
痛みの性質や強さ、原因疾患、患者さんの状態(年齢、持病、アレルギー歴など)を考慮して、医師が適切な薬を選択し、処方します。
ここでは代表的な薬の種類とその特徴を解説します。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs: Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)は、炎症を引き起こすプロスタグランジンという物質の生成を抑えることで、痛みや炎症を和らげます。
坐骨神経痛の初期治療や軽度から中等度の痛みに対してよく用いられます。
NSAIDsの作用と種類
NSAIDsには、ロキソプロフェン、ジクロフェナク、イブプロフェン、セレコキシブなど、多くの種類があります。内服薬のほか、湿布や塗り薬などの外用薬もあります。
効果の強さや副作用の出やすさには個人差があるため、医師と相談しながら選択します。
NSAIDs使用時の注意点
NSAIDsの代表的な副作用として、胃腸障害(胃痛、胃もたれ、胃潰瘍など)があります。長期間使用する場合や、胃腸が弱い方は特に注意が必要です。
腎機能障害や喘息の悪化なども報告されているため、持病のある方は必ず医師に伝えましょう。
NSAIDsの一般的な種類と特徴
| 薬剤系統 | 代表的な成分名 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| プロピオン酸系 | イブプロフェン、ロキソプロフェン | 比較的副作用が少ないとされる。市販薬にも含まれる。 |
| フェニル酢酸系 | ジクロフェナク | 鎮痛・抗炎症作用が強い。 |
| COX-2選択的阻害薬 | セレコキシブ | 従来のNSAIDsに比べ胃腸障害のリスクが低いとされる。 |
アセトアミノフェン
アセトアミノフェンは、脳の中枢神経に作用して痛みを抑えると考えられている解熱鎮痛薬です。
NSAIDsとは異なる作用機序を持ち、炎症を抑える効果は弱いですが、胃腸への負担が少ないため、比較的安全に使用できるとされています。
軽度の痛みや、NSAIDsが使用しにくい方(胃腸が弱い、腎機能が低下しているなど)に選択されることがあります。
神経障害性疼痛治療薬
神経障害性疼痛治療薬は、神経の損傷や機能異常によって生じる痛みに特化した薬です。坐骨神経痛のような神経が圧迫されて起こる痛み(神経障害性疼痛)に対して効果が期待できます。
代表的なものにプレガバリンやミロガバリンがあります。
作用機序と効果
これらの薬は、過剰に興奮した神経を鎮め、痛みの信号が伝わるのを抑える働きをします。
効果が現れるまでに数日から数週間かかることがありますが、NSAIDsなどでは改善しにくい、しびれやジンジンとした痛みに対して有効な場合があります。
主な副作用
副作用として、めまい、眠気、ふらつき、体重増加などが報告されています。特に服用初期や増量時に現れやすいため、少量から開始し、徐々に増量していくのが一般的です。
車の運転など危険を伴う作業は控えるよう指導されることもあります。
筋弛緩薬
坐骨神経痛では、痛みをかばうために周囲の筋肉が過度に緊張し、こわばってしまうことがあります。この筋肉の緊張がさらに痛みを悪化させる悪循環を生むことがあります。
筋弛緩薬は、このような筋肉の緊張を和らげ、痛みの軽減を助ける目的で使用されます。
代表的な筋弛緩薬
エペリゾンやチザニジンなどが用いられます。これらの薬は、脊髄や脳に作用して筋肉の緊張を緩めます。眠気やふらつきなどの副作用が出ることがあるため、注意が必要です。
その他の薬剤
上記以外にも、患者さんの状態や症状に応じて、以下のような薬剤が使われることがあります。
オピオイド鎮痛薬
トラマドールなどの弱オピオイド鎮痛薬は、他の鎮痛薬で効果が不十分な場合や、中等度から高度の痛みに対して考慮されます。
中枢神経に作用して強力な鎮痛効果を発揮しますが、吐き気、便秘、眠気などの副作用や、依存性のリスクもあるため、医師の厳格な管理のもとで使用します。
抗うつ薬・抗てんかん薬
一部の抗うつ薬(三環系抗うつ薬、SNRIなど)や抗てんかん薬(カルバマゼピンなど)は、神経障害性疼痛に対して鎮痛補助薬として用いられることがあります。
これらは少量で効果を発揮することがあり、慢性的な痛みによる気分の落ち込みにも良い影響を与える場合があります。
ビタミンB12製剤
ビタミンB12は末梢神経の機能維持に関与しており、神経の修復を助ける目的で処方されることがあります。メコバラミンなどが代表的です。
副作用は比較的少ないとされていますが、効果については個人差があります。
漢方薬
患者さんの体質や症状に合わせて、漢方薬が処方されることもあります。
血流改善や鎮痛効果を期待して、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)、疎経活血湯(そけいかっけつとう)などが用いられることがあります。西洋薬との併用も可能です。
薬物療法の選択基準の概要
| 痛みの種類・程度 | 第一選択薬の候補 | 第二選択以降の候補 |
|---|---|---|
| 軽度~中等度の侵害受容性疼痛(炎症性) | NSAIDs、アセトアミノフェン | 筋弛緩薬(併用) |
| 神経障害性疼痛(しびれ、放散痛) | 神経障害性疼痛治療薬 | 三環系抗うつ薬、SNRI、ビタミンB12 |
| 重度の痛み(上記で効果不十分) | 弱オピオイド鎮痛薬 | 神経ブロック(併用検討) |
薬物療法の効果と限界
坐骨神経痛に対する薬物療法は、多くの患者さんにとって痛みを和らげ、生活の質を改善する上で有効な手段です。しかし、その効果には個人差があり、また限界も存在します。
薬物療法を正しく理解し、適切に活用することが大切です。
期待できる効果
薬物療法の最大の効果は、痛みの軽減です。これにより、日常生活での動作が楽になったり、夜間の睡眠が改善されたりすることが期待できます。
炎症を抑える薬は、神経周囲の腫れを引かせ、神経への圧迫を和らげる可能性があります。また、神経障害性疼痛治療薬は、しびれやジンジンとした特有の痛みに効果を示すことがあります。
痛みの軽減によるQOL向上
痛みが和らぐことで、精神的なストレスも軽減されます。活動性が向上し、仕事や家事、趣味など、以前のように生活を楽しめるようになることが目標です。
痛みのために諦めていたことができるようになるのは、大きな喜びにつながります。
効果が現れるまでの期間
薬の種類や患者さんの状態によって、効果が現れるまでの期間は異なります。
NSAIDsのような鎮痛薬は、服用後比較的速やかに効果を感じることが多いですが、神経障害性疼痛治療薬や一部の抗うつ薬などは、効果が安定するまでに数日から数週間かかることがあります。
焦らずに医師の指示に従って服用を続けることが重要です。
薬剤別の効果発現の目安
| 薬剤の種類 | 効果発現の一般的な目安 |
|---|---|
| NSAIDs | 数時間~数日 |
| アセトアミノフェン | 数時間~数日 |
| 神経障害性疼痛治療薬 | 数日~数週間 |
| 筋弛緩薬 | 数時間~数日 |
薬物療法だけでは改善が難しいケース
薬物療法は症状を緩和する対症療法が中心であり、坐骨神経痛の原因そのものを根本的に取り除くものではありません。
例えば、大きな椎間板ヘルニアが神経を強く圧迫している場合や、脊柱管狭窄が高度に進行している場合などでは、薬物療法だけでは十分な改善が見込めないことがあります。
このようなケースでは、神経ブロック注射や手術療法など、より積極的な治療法を検討する必要があります。
手術療法が検討される場合
- 保存療法(薬物療法、理学療法など)を一定期間行っても効果がない
- 痛みが非常に強く、日常生活が著しく困難
- 下肢の麻痺が進行している
- 排尿・排便障害が出現している(膀胱直腸障害)
これらの症状が見られる場合は、速やかに専門医の診察を受けることが大切です。
根本原因へのアプローチの必要性
薬で痛みが一時的に和らいでも、坐骨神経痛の原因となっている生活習慣(長時間の悪い姿勢、運動不足など)や身体的な問題(筋力低下、柔軟性の欠如など)が改善されなければ、症状が再発する可能性があります。
薬物療法と並行して、原因に対するアプローチ、例えば姿勢の改善指導、適切な運動療法の実施、体重管理などが大切です。
副作用とその対策
どんな薬にも効果がある一方で、副作用が現れる可能性があります。
坐骨神経痛の治療薬も例外ではありません。副作用の種類や程度は、薬の種類、用量、患者さんの体質などによって異なります。
副作用を正しく理解し、適切に対処することが、安全な薬物療法を行う上で重要です。
主な薬の一般的な副作用
坐骨神経痛の治療に用いられる薬には、それぞれ特有の副作用があります。事前に医師や薬剤師から説明を受け、どのような症状に注意すべきかを知っておきましょう。
NSAIDsの副作用
最も多いのは胃腸障害です。胃痛、吐き気、食欲不振、便秘、下痢などが起こることがあります。重篤なものとしては、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、そこからの出血や穿孔があります。
腎機能障害、肝機能障害、喘息発作の誘発なども報告されています。特に高齢者や長期間服用する場合には注意が必要です。
神経障害性疼痛治療薬の副作用
プレガバリンやミロガバリンなどでは、めまい、眠気、ふらつき、頭痛、体重増加、浮腫(むくみ)などが比較的多く見られます。
これらの症状は、服用開始時や増量時に現れやすい傾向があります。まれに視覚異常や意識消失などが起こることもあります。
筋弛緩薬の副作用
眠気、ふらつき、脱力感、口の渇きなどが主な副作用です。これらの症状により、転倒のリスクが高まることがあるため、特に高齢者は注意が必要です。
オピオイド鎮痛薬の副作用
吐き気、嘔吐、便秘、眠気、めまいなどがよく見られます。特に便秘は高頻度に起こるため、予防的に緩下剤を併用することがあります。
長期使用による依存性や耐性の形成にも注意が必要です。
副作用の一般的な種類と注意点
| 薬剤の種類 | 主な副作用 | 特に注意すべき点 |
|---|---|---|
| NSAIDs | 胃腸障害、腎機能障害 | 空腹時を避けて服用、消化性潰瘍の既往歴 |
| 神経障害性疼痛治療薬 | めまい、眠気、ふらつき | 車の運転や危険な作業の制限、少量からの開始 |
| 筋弛緩薬 | 眠気、脱力感 | 転倒注意、他の眠気を催す薬との併用注意 |
| オピオイド鎮痛薬 | 吐き気、便秘、眠気 | 依存性、耐性、医師の厳格な管理 |
副作用が出た場合の対処法
薬を服用中に何らかの異常を感じた場合は、自己判断で服用を中止したり、量を変更したりせず、速やかに処方した医師または薬剤師に相談してください。
軽い副作用であれば、薬の種類の変更、減量、または副作用を軽減する薬の併用などで対応できる場合があります。
医師への相談の重要性
副作用の症状や程度、それが日常生活にどの程度影響しているかを具体的に伝えることが大切です。
医師はそれらの情報をもとに、薬物療法を継続するか、変更するか、あるいは中止するかを判断します。
特に、発疹、呼吸困難、顔やまぶたの腫れなど、アレルギー反応を疑う症状が出た場合は、直ちに医療機関を受診してください。
副作用を最小限に抑えるために
副作用のリスクを完全にゼロにすることは難しいですが、いくつかの点に注意することで、そのリスクを低減できる可能性があります。
- 医師の指示通りに用法・用量を守る。
- 他の薬を服用している場合や、アレルギー歴、持病がある場合は必ず医師に伝える。
- アルコールとの併用は避ける(薬の効果や副作用に影響することがあるため)。
- 定期的に医師の診察を受け、効果や副作用のチェックをしてもらう。
特にNSAIDsによる胃腸障害を予防するために、空腹時を避けて食後に服用する、胃薬を併用するなどの対策が取られることがあります。
薬物療法を選択する際の注意点
坐骨神経痛の薬物療法は、痛みを和らげる有効な手段ですが、治療を開始する前や治療中にいくつかの注意点があります。
これらを理解しておくことで、より安全かつ効果的に治療を進めることができます。
医師との十分な相談
薬物療法を始めるにあたり、最も重要なのは医師とのコミュニケーションです。
自分の症状(いつから、どこが、どのように痛むか、何が困っているかなど)を正確に伝えることが、適切な薬の選択につながります。
また、現在服用中の他の薬(市販薬やサプリメントも含む)、アレルギー歴、妊娠・授乳の有無、持病(特に胃腸疾患、腎臓病、肝臓病、心臓病など)についても必ず伝えましょう。
伝えるべき情報
| 情報カテゴリ | 具体的な内容例 |
|---|---|
| 症状 | 痛みの場所、種類、強さ、頻度、悪化・軽快する状況 |
| 既往歴・アレルギー | 過去にかかった病気、手術歴、薬や食物のアレルギー |
| 服用中の薬 | 処方薬、市販薬、漢方薬、サプリメントすべて |
| 生活状況 | 妊娠・授乳の有無、運転業務の有無、仕事内容 |
自己判断での薬の使用・中止は避ける
医師から処方された薬は、指示された用法・用量を守って服用してください。
痛みが和らいだからといって自己判断で服用を中止したり、逆に効果が薄いと感じて量を増やしたりすることは危険です。薬の変更や中止は、必ず医師の指示に従いましょう。
特に、長期間服用していた薬を急に中止すると、離脱症状が現れる場合もあります。
他の治療法との組み合わせ
薬物療法は、多くの場合、理学療法(温熱療法、電気療法、牽引療法など)や運動療法(ストレッチ、筋力トレーニングなど)と組み合わせて行われます。
薬で痛みをコントロールしながら、身体機能の改善を図ることで、より根本的な解決に近づける可能性があります。
どのような組み合わせが自分に適しているか、医師や理学療法士と相談しましょう。
組み合わせる治療法の例
| 治療法 | 期待される効果 |
|---|---|
| 理学療法 | 血行促進、筋肉の緊張緩和、痛みの軽減 |
| 運動療法 | 筋力強化、柔軟性向上、姿勢改善、再発予防 |
| 神経ブロック注射 | 強い痛みの即効的な軽減、炎症抑制 |
長期間の薬物療法のリスク
一部の薬、特にNSAIDsやオピオイド鎮痛薬などを長期間使用する場合、副作用のリスクが高まることがあります。
定期的な診察や検査(血液検査など)を受け、身体の状態を確認しながら治療を進めることが大切です。医師は、効果と副作用のバランスを常に考慮し、必要に応じて薬の種類の変更や減量を検討します。
漫然と長期間同じ薬を使い続けるのではなく、定期的な治療方針の見直しが必要です。
坐骨神経痛の薬物療法に関するよくある質問(Q&A)
坐骨神経痛の薬物療法について、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。治療を受ける上での参考にしてください。
市販の痛み止めは効果がありますか
市販の痛み止め(主にNSAIDsやアセトアミノフェンを含むもの)は、軽度の坐骨神経痛であれば一時的に症状を和らげる効果が期待できます。
しかし、市販薬は原因を特定せずに使用することになるため、症状が続く場合や悪化する場合は、自己判断で長期間使用せず、医療機関を受診して正確な診断を受けることが重要です。
医師は原因や症状の程度に応じて、より適切な薬剤を選択したり、他の治療法を提案したりします。
市販薬使用時の注意点
| 注意点 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 使用期間 | 数日使用しても改善しない場合は医療機関へ |
| 他の薬との併用 | 成分が重複する可能性。薬剤師に相談。 |
| 副作用 | 胃腸障害など。用法・用量を守る。 |
薬を飲んでも痛みが取れない場合はどうすればよいですか
薬を一定期間服用しても痛みが十分に改善しない場合、いくつかの可能性が考えられます。
薬の種類や量が合っていない、坐骨神経痛の原因が薬物療法だけでは対応しきれない状態である(例:重度の神経圧迫)、あるいは診断が異なる可能性などです。
まずは処方した医師に相談し、現状を詳しく伝えてください。医師は、薬の変更・調整、追加の検査、神経ブロック注射や手術療法といった他の治療法の検討など、次のステップを判断します。
薬の副作用が心配です。どうすればよいですか
薬の副作用について心配がある場合は、遠慮なく医師や薬剤師に相談してください。
どのような副作用が起こりうるのか、その頻度や程度、対処法について事前に説明を受けることで、不安を軽減できることがあります。
また、副作用を最小限に抑えるための注意点(例:NSAIDsは食後に服用する、神経障害性疼痛治療薬は少量から開始するなど)についても確認しましょう。
実際に副作用と思われる症状が出た場合は、自己判断せず速やかに相談することが大切です。
妊娠中や授乳中でも使える薬はありますか
妊娠中や授乳中の薬物療法は、胎児や乳児への影響を考慮する必要があるため、特に慎重な判断が求められます。一般的に、妊娠初期は多くの薬の使用が制限されます。
アセトアミノフェンは比較的安全に使用できるとされる場合がありますが、自己判断は禁物です。
必ず産婦人科医および整形外科医に相談し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ、慎重に薬が選択されます。
授乳中も同様に、母乳へ移行する薬の成分を考慮する必要があります。
妊娠・授乳中の薬剤選択のポイント
- 原則として薬物療法は最小限に。
- アセトアミノフェンが比較的安全とされるが医師の判断が必要。
- NSAIDsは妊娠後期には禁忌となるものが多い。
- 薬物以外の治療法(理学療法、安静など)を優先的に検討。
薬物療法はいつまで続ける必要がありますか
薬物療法を続ける期間は、坐骨神経痛の原因、症状の重症度、治療への反応などによって大きく異なります。
急性期で痛みが強い間は集中的に薬を使用し、症状が改善するにつれて徐々に減量・中止していくのが一般的です。慢性的な痛みの場合や、他の治療法と併用している場合は、長期間にわたることもあります。
目標は、痛みをコントロールし、日常生活に支障がない状態を維持することです。医師と定期的に相談しながら、治療のゴールや薬の継続・中止のタイミングを見極めていくことが大切です。
治療期間の目安(一般的なケース)
| 症状の段階 | 薬物療法の期間の目安 |
|---|---|
| 急性期(強い痛み) | 数日~数週間(集中的に) |
| 回復期(痛みが軽減) | 数週間~数ヶ月(徐々に減量) |
| 慢性期(痛みが持続) | 医師と相談し、必要に応じて継続 |
以上
参考文献
MATHIESON, Stephanie, et al. Combination drug therapy for the management of low back pain and sciatica: systematic review and meta-analysis. The Journal of Pain, 2019, 20.1: 1-15.
PINTO, Rafael Zambelli; VERWOERD, Annemieke JH; KOES, Bart W. Which pain medications are effective for sciatica (radicular leg pain)?. Bmj, 2017, 359.
PINTO, Rafael Zambelli, et al. Drugs for relief of pain in patients with sciatica: systematic review and meta-analysis. Bmj, 2012, 344.
GUO, Jian-Rong, et al. A comparison of the efficacy and tolerability of the treatments for sciatica: a network meta-analysis. Annals of Pharmacotherapy, 2017, 51.12: 1041-1052.
RASMUSSEN‐BARR, Eva, et al. Non‐steroidal anti‐inflammatory drugs for sciatica. Cochrane Database of Systematic Reviews, 1996, 2017.2.
VALAT, Jean-Pierre, et al. Sciatica. Best practice & research Clinical rheumatology, 2010, 24.2: 241-252.
RASMUSSEN-BARR, Eva, et al. Nonsteroidal anti-inflammatory drugs for sciatica: an updated Cochrane review. Spine, 2017, 42.8: 586-594.
VROOMEN, Patrick CAJ, et al. Conservative treatment of sciatica: a systematic review. Clinical Spine Surgery, 2000, 13.6: 463-469.
LEWIS, Ruth, et al. The clinical effectiveness and cost effectiveness of management strategies for sciatica: systematic review and economic model. Health Technology Assessment, 2011, 15.39: 1-434.
ALBERT, Hanne B.; MANNICHE, Claus. The efficacy of systematic active conservative treatment for patients with severe sciatica: a single-blind, randomized, clinical, controlled trial. 2012.
Symptoms 症状から探す