足立慶友医療コラム

股関節の筋肉の名前と役割|痛みの原因になる筋肉を解説

2026.05.19

股関節の周囲には20を超える筋肉が存在し、歩く・立つ・座るといった日常動作のすべてを支えています。痛みや違和感がある方は「どの筋肉が原因なのか」と不安を抱えているかもしれません。

この記事では、股関節を取り巻く筋肉の名前と働きをわかりやすく整理し、痛みの原因として見落とされやすい筋肉についても丁寧に解説します。

ご自身の症状と照らし合わせながら読み進めていただくことで、受診の判断や日々のセルフケアにお役立てください。

股関節を支える筋肉にはどんな種類があるのか

股関節の周囲には大小合わせて21以上の筋肉が集まり、骨盤と大腿骨(だいたいこつ=太ももの骨)をつないでいます。これらの筋肉は、動きの方向によって「屈筋群」「伸筋群」「外転筋群」「内転筋群」「回旋筋群」といったグループに分類できます。

股関節の筋肉は大きく5つのグループに分かれる

股関節の筋肉を理解するうえで最初に押さえたいのが、動きの方向別の分類です。太ももを前に持ち上げる「屈筋群」、後ろに引く「伸筋群」、横に開く「外転筋群」、内側に閉じる「内転筋群」、そしてねじる動きを担う「回旋筋群」の5つがあります。

それぞれのグループに属する筋肉は、単独ではなく複数が同時に働くことで滑らかな動作を実現しています。歩行中であっても、一歩ごとにこれらの筋肉群が連携しながら骨盤の安定と脚の振り出しを行っています。

骨盤と大腿骨をつなぐ筋肉の付着部位

股関節の筋肉は、骨盤側と大腿骨側にそれぞれ起始(きし=筋肉の始まり)と停止(ていし=筋肉の終わり)を持っています。たとえば、腸腰筋(ちょうようきん)は腰椎と骨盤の内側から始まり、大腿骨の内側にある「小転子」という突起に付着します。

一方、大殿筋(だいでんきん=お尻の一番大きな筋肉)は仙骨や骨盤の後方から始まり、太もも外側の腸脛靱帯(ちょうけいじんたい)へ広がるように付いています。こうした付着部位を知っておくと、痛みがどの筋肉から来ているのか推測しやすくなるでしょう。

股関節の筋肉グループ一覧

グループ名代表的な筋肉おもな動き
屈筋群腸腰筋・大腿直筋太ももを前に上げる
伸筋群大殿筋・ハムストリングス太ももを後ろに引く
外転筋群中殿筋・小殿筋脚を外側に開く
内転筋群長内転筋・大内転筋脚を内側に閉じる
回旋筋群梨状筋・内閉鎖筋脚をねじる

表層の筋肉と深層の筋肉では働きが違う

股関節まわりの筋肉は、体の表面に近い「表層筋」と奥深くにある「深層筋」に分けて考えることも大切です。大殿筋や大腿四頭筋(だいたいしとうきん)のような表層筋は、大きな力を発揮して体を動かす役目を果たします。

対して、梨状筋(りじょうきん)や内閉鎖筋(ないへいさきん)などの深層筋は、関節をしっかり安定させる「縁の下の力持ち」です。深層筋の機能が低下すると、表層筋に負担が偏り、痛みにつながることがあります。

股関節の付け根を動かす屈筋群と伸筋群の名前と働き

股関節の付け根で感じる痛みや違和感は、屈筋群と伸筋群のトラブルに起因することが多いといえます。この2つの筋肉群は、歩行や階段の昇降など日常動作の中核を担っています。

腸腰筋は股関節の屈曲で中心的に働く筋肉

腸腰筋は、大腰筋(だいようきん)と腸骨筋(ちょうこつきん)の2つで構成される股関節屈曲の主力です。体の奥深くに位置するため目に見えませんが、歩くとき・走るとき・階段を上がるとき、太ももを持ち上げるたびに使われています。

デスクワークなどで長時間座り続けると、腸腰筋が縮んだまま硬くなりやすい傾向があります。硬くなった腸腰筋は股関節の付け根に引きつるような痛みをもたらすことがあり、立ち上がりの際に「つっぱる」と感じる方も少なくありません。

大殿筋とハムストリングスが股関節の伸展を担う

大殿筋は人体で最大級の筋肉であり、イスから立ち上がる動作やジャンプ、坂道を上がるときなどに大きな力を発揮します。お尻の丸みを形作る筋肉で、股関節を後方に伸ばす「伸展」の主力として機能します。

大殿筋の深い層にある中殿筋や小殿筋と協力しながら、骨盤のバランスを保つ働きも兼ねています。ハムストリングス(太もも裏の筋肉群)も伸展に関与し、歩行中の蹴り出しを支える欠かせない存在です。

大腿直筋は膝と股関節の両方にまたがる特殊な筋肉

大腿直筋(だいたいちょっきん)は大腿四頭筋の一部であり、股関節と膝関節の2つをまたぐ「二関節筋」です。股関節では屈曲、膝関節では伸展に働くため、ランニングやキック動作で特に酷使されやすいでしょう。

この筋肉が疲労したり損傷を受けたりすると、股関節の前面から太もも前方にかけて鋭い痛みが生じることがあります。スポーツを楽しむ方はもちろん、日常的に歩行距離が長い方も注意が必要です。

股関節の屈筋群と伸筋群の比較

筋肉名分類日常動作での働き
腸腰筋屈筋群歩行時の脚の振り出し
大腿直筋屈筋群階段を上がる動き
大殿筋伸筋群立ち上がり・蹴り出し
ハムストリングス伸筋群歩行中の推進力

股関節周りの筋肉で痛みの原因になりやすい部位とは

股関節まわりの痛みは、特定の筋肉に負荷が偏ることで起こりやすくなります。見落とされがちな筋肉ほど慢性化しやすいため、原因となりやすい部位を正しく知っておくことが大切です。

中殿筋と小殿筋の炎症が外側の股関節痛を引き起こす

股関節の外側に痛みを感じる場合、中殿筋(ちゅうでんきん)や小殿筋(しょうでんきん)の腱の炎症が原因として考えられます。この2つの筋肉は骨盤の外側から大腿骨の突起(大転子)に付着し、歩行中に片脚で体重を支える際に強く収縮します。

中殿筋腱や小殿筋腱に炎症が生じた状態は「大転子疼痛症候群(だいてんしとうつうしょうこうぐん)」と呼ばれ、40歳以降の女性に多い傾向があります。横向きに寝たときに痛みが増すのが典型的な特徴です。

梨状筋症候群はお尻の奥から太ももの裏へ痛みが広がる

梨状筋は骨盤の後面(仙骨)から大腿骨の大転子に付着する小さな深層筋で、股関節の外旋(がいせん=脚を外にねじる動き)を助けています。この筋肉が硬くなったり炎症を起こしたりすると、すぐ隣を走る坐骨神経が圧迫されることがあります。

梨状筋が痛みを起こしやすい要因

要因具体例影響
長時間の座位デスクワーク・長距離運転梨状筋の圧迫と硬直
過度な運動ランニング・ダンス筋肉の過緊張
骨盤の左右差脚長差・姿勢の偏り片側への負荷集中

内転筋群の損傷は股関節の内側から鼠径部に痛みが出る

太ももの内側に位置する内転筋群(長内転筋・短内転筋・大内転筋など)は、脚を閉じる動きを担当しています。サッカーやスケートのように脚を大きく開閉する動作を繰り返すスポーツで損傷しやすく、鼠径部(そけいぶ=股関節の前面から内側)に痛みが生じます。

内転筋の損傷は急性のケースもあれば、慢性的な使いすぎ(オーバーユース)で徐々に悪化するケースもあるでしょう。鼠径部付近の痛みは内臓の問題と混同されやすいため、整形外科的な視点での評価が重要です。

腸腰筋腱炎は歩き始めや階段で痛みが強まる

腸腰筋の腱に繰り返し負荷がかかると、腱の炎症(腸腰筋腱炎)を発症することがあります。歩き始めや階段の昇降で股関節の前面に鋭い痛みを感じ、安静にすると和らぐのが特徴です。

特に人工股関節置換術後に発症するケースも報告されていますが、手術歴のない方でもランニングやダンスなど股関節を深く曲げるスポーツがきっかけになることがあります。「カクッ」とはじけるような感覚(弾発股)を伴う場合もあるので、心当たりがあれば早めにご相談ください。

女性に多い股関節の筋肉トラブルと痛みが出やすい理由

股関節の筋肉に関する痛みは、男性より女性に多く見られます。骨盤の形態やホルモンバランス、筋力の特性などが複合的に影響していると考えられています。

女性は骨盤の幅が広いため外転筋群に負担がかかりやすい

女性の骨盤は男性に比べて横幅が広い構造をしています。骨盤の幅が広いと、中殿筋や小殿筋が大腿骨を引っ張る角度が変わり、同じ動作でもこれらの筋肉にかかる力学的な負担が大きくなります。

その結果、片脚立ちや歩行時に中殿筋腱へ繰り返しストレスがかかりやすく、大転子付近の痛みにつながるケースが多いのです。ヒールの高い靴を履く習慣も、股関節周囲の筋肉バランスを崩す一因になりえます。

ホルモンの変動が股関節周辺の筋肉と靱帯に影響する

エストロゲンなどの女性ホルモンは、筋肉や靱帯の柔軟性に影響を及ぼすことが知られています。月経周期や妊娠・出産、更年期にかけてホルモンバランスが大きく変動すると、股関節周辺の組織がゆるみやすくなったり、逆にこわばりやすくなったりする場合があります。

特に産後は、骨盤を支える靱帯がゆるんだ状態のまま育児動作で股関節に負荷がかかるため、中殿筋や腸腰筋に過度な緊張が生じやすいでしょう。産後の股関節痛は「いつか治るだろう」と放置しがちですが、長引く場合は専門的な評価を受けることをお勧めします。

デスクワーク中心の生活が股関節の筋力低下を招く

性別を問わず言えることですが、長時間の座位姿勢は股関節の筋肉を弱らせます。とりわけ女性は筋肉量の絶対値が男性より少ない傾向があり、筋力低下の影響を受けやすいといえるかもしれません。

大殿筋やハムストリングスが弱くなると、立ち上がりや歩行のたびに腸腰筋や内転筋が過剰に働かざるをえなくなります。結果的に特定の筋肉への負担が偏り、痛みが慢性化しやすい悪循環に陥ることがあります。

  • 骨盤の幅が広いことによる外転筋への力学的ストレス
  • 女性ホルモンの変動に伴う靱帯や筋肉の柔軟性変化
  • 産後の骨盤ゆるみと育児動作の負荷による筋肉の過緊張
  • 筋肉量の少なさが引き起こす代償動作と痛みの慢性化

股関節の筋肉が硬くなると体にどんな影響が出るのか

股関節まわりの筋肉が柔軟性を失うと、股関節そのものだけでなく、腰や膝にまで影響が波及します。痛みの「連鎖」を防ぐためにも、筋肉の硬さがもたらすリスクを知っておきましょう。

腸腰筋が硬いと反り腰になり腰痛につながる

腸腰筋は腰椎の前面から骨盤の内側を通って大腿骨に付着しています。この筋肉が短縮して硬くなると、骨盤が前に傾く「前傾」の状態になり、いわゆる反り腰の姿勢を誘発しやすくなります。

反り腰が続くと腰椎に過度な負担がかかり、腰痛の原因となることが少なくありません。股関節の前面にだけ症状があると思っていたら、実は腰痛の根本原因も腸腰筋の硬さだった、というケースは臨床でも頻繁に経験します。

ハムストリングスの柔軟性低下は骨盤の動きを制限する

太もも裏にあるハムストリングス(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋の総称)が硬くなると、骨盤の後傾が強まります。前屈しようとしても太ももの裏が突っ張って十分に曲がらず、代わりに腰椎を丸めて代償する動きが出やすくなります。

股関節周囲の筋肉が硬くなった場合に起こりうる影響

硬くなる筋肉姿勢への影響痛みが出やすい部位
腸腰筋骨盤前傾・反り腰腰部・股関節前面
ハムストリングス骨盤後傾・猫背腰部・膝裏
内転筋群O脚傾向鼠径部・太もも内側
梨状筋股関節の回旋制限臀部・太もも裏

膝や足首への負担が増す「運動連鎖」の崩れ

股関節の筋肉が硬いと、歩行やスクワットのような動作で本来股関節が担うべき可動域を膝や足首が補おうとします。こうした代償的な運動パターンが続くと、膝の内側や足首の外側に余計な負荷がかかり、二次的な痛みを招くことがあります。

いわゆる「運動連鎖」が乱れた状態であり、股関節とは離れた場所の痛みが実は股関節の筋肉に起因していた、ということも珍しくありません。全身のつながりを意識することが、痛みの根本的な解消につながります。

股関節周りの筋肉を自分でケアする方法は日常にある

股関節まわりの筋肉を良好な状態に保つためには、日常生活の中で無理なく取り組めるケアを習慣化することが効果的です。特別な道具や時間がなくても、ちょっとした意識の変化が筋肉の状態を改善してくれます。

座りっぱなしを避けて30分に1回は立ち上がる

長時間の座位は腸腰筋やハムストリングスの短縮を招きます。30分に1回は立ち上がって軽く体を伸ばすだけでも、筋肉への血流が改善され、硬さの進行を抑えることができるでしょう。

立ち上がったときに両手を腰に当てて、ゆっくり上体を後ろに反らす動きを数回行うと、腸腰筋の短縮を和らげる助けになります。無理に大きく反らす必要はなく、気持ちよいと感じる範囲で十分です。

お尻の筋肉を意識して歩くだけで中殿筋は鍛えられる

大殿筋や中殿筋は、歩行中に意識的に使うだけでトレーニング効果を得ることができます。歩幅をやや広めに取り、かかとで着地してからお尻の筋肉でしっかり地面を押す感覚を意識してみてください。

この「お尻歩き」の意識を1日10分でも持つだけで、股関節を安定させる筋力の維持につながります。ウォーキングの習慣がある方は、フォームを少し工夫するだけで股関節周囲の筋肉を効率よく活性化できるでしょう。

入浴後のストレッチで筋肉の柔軟性を維持する

筋肉が温まった入浴後は、ストレッチの効果が高まるタイミングです。仰向けに寝て片膝を胸に引き寄せる動き(ニーチェスト)は、腸腰筋と大殿筋の両方を穏やかに伸ばしてくれます。

加えて、横向きに寝て上側の脚を前に倒す(膝を床に近づける)動きは、梨状筋やお尻の深層筋を伸ばすのに適しています。いずれも1回あたり20〜30秒を目安に、ゆっくりと呼吸しながら行いましょう。

  • 30分に1回は立ち上がり、腸腰筋の短縮を予防する
  • 歩行時にお尻の筋肉を意識して中殿筋を活性化させる
  • 入浴後のストレッチで深層筋を含めた柔軟性を保つ
  • 痛みを感じた場合は無理をせず早めに医療機関に相談する

股関節の筋肉に痛みがあるとき病院を受診すべきタイミング

股関節まわりの筋肉の痛みは、軽いものであればセルフケアで改善できることもあります。一方で、放置すると日常生活に大きな支障をきたすケースもあるため、受診の目安を把握しておきましょう。

2週間以上続く痛みは筋肉だけの問題ではない可能性がある

受診を検討すべき症状の目安

症状の特徴考えられる状態対応の目安
2週間以上痛みが続く腱の炎症・関節内の問題整形外科を受診
夜間安静時にも痛む炎症の悪化・骨の問題早めの受診を推奨
歩行が困難なほどの痛み筋断裂・関節唇損傷速やかに受診
脚にしびれを伴う神経の圧迫速やかに受診

痛みの部位をできるだけ具体的に伝えると診断がスムーズになる

股関節の痛みは「前面」「外側」「後面」「鼠径部」など、部位によって原因が異なります。受診時には「どこが」「いつから」「どんな動作で」痛むのかを具体的に伝えると、医師の診断がスムーズに進みます。

たとえば「歩き始めに股関節の前面が痛む」と伝えれば腸腰筋腱炎の可能性が浮かびますし、「横向きで寝ると股関節の外側が痛む」という情報は大転子疼痛症候群の手がかりになるでしょう。痛みの日記をつけておくのも有効な方法です。

画像検査だけでなく身体所見を重視する医師を選ぶ

レントゲンやMRIなどの画像検査は骨や関節の状態を確認するために有用ですが、筋肉や腱の問題は画像だけでは見えにくいことがあります。触診や可動域テスト、筋力テストといった身体所見(フィジカルアセスメント)を丁寧に行う医師であれば、筋肉由来の痛みも見逃しにくくなります。

セカンドオピニオンをためらわないことも大切です。股関節の痛みは原因が多岐にわたるため、ひとつの診断に納得がいかない場合は別の専門医の意見を聞くことで、より適切な治療方針にたどり着ける可能性が高まります。

よくある質問

股関節周りの筋肉は全部でいくつありますか?

股関節をまたぐ筋肉は一般的に21以上あるとされています。屈筋群・伸筋群・外転筋群・内転筋群・回旋筋群の5つのグループに分かれ、それぞれが協力して股関節の動きと安定性を支えています。

代表的なものとしては、腸腰筋(股関節屈曲)、大殿筋(股関節伸展)、中殿筋(外転と骨盤安定)、長内転筋(内転)、梨状筋(外旋と深層の安定化)などが挙げられます。

股関節の前面(付け根)が痛い場合、どの筋肉が原因になりやすいですか?

股関節の前面や付け根に痛みがある場合、腸腰筋の腱炎や大腿直筋の損傷が原因として考えられます。腸腰筋は股関節を曲げる動作で強く収縮する筋肉であり、歩き始めや階段の昇降時に痛みが増す傾向があります。

ただし、股関節前面の痛みは関節唇損傷や変形性股関節症など、関節内部の問題で生じることもあります。2週間以上痛みが続く場合は、整形外科で詳しい検査を受けることをお勧めします。

股関節の外側が痛いとき、中殿筋の問題はどう見分ければよいですか?

股関節の外側の痛みで中殿筋のトラブルが疑われるのは、横向きに寝ると痛む・片脚立ちでふらつく・歩行中に腰が横に揺れる、といった症状がある場合です。これらは中殿筋の腱に炎症や損傷が起きているサインかもしれません。

医療機関では、片脚立位テストや徒手筋力テストに加え、超音波検査やMRIで腱の状態を評価します。痛みの場所と動作の関係を医師に具体的に伝えると、診断がよりスムーズに進むでしょう。

股関節の筋肉を鍛えるために自宅でできるトレーニングはありますか?

自宅でも行いやすいトレーニングとしては、横向きに寝て上側の脚をゆっくり上げ下げする「サイドライイング・ヒップアブダクション」が中殿筋の強化に効果的です。お尻の側面に力が入る感覚を意識しながら、1セット10〜15回を目安に行ってみてください。

大殿筋を鍛えたい場合は、仰向けに寝て両膝を立て、お尻を持ち上げる「ブリッジ」がお勧めです。どちらのトレーニングも痛みが出ない範囲で行い、違和感があればすぐに中止してください。

股関節の筋肉の痛みとしびれが同時にある場合は何科を受診すべきですか?

股関節まわりの痛みにしびれが伴う場合は、筋肉の問題だけでなく、坐骨神経や大腿神経など神経の圧迫が関与している可能性があります。まずは整形外科を受診し、股関節と腰椎の両方を評価してもらうのが望ましいでしょう。

梨状筋症候群のように筋肉が神経を圧迫するケースもあれば、腰椎椎間板ヘルニアのように脊椎側に原因があるケースもあります。痛みとしびれの部位・タイミングを整理して伝えると、必要な検査を効率よく進められます。

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Author

北城 雅照

医療法人社団円徳 理事長
医師・医学博士、経営心理士

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