足立慶友医療コラム

股関節の前側の痛みと原因疾患|診断と治療の流れ

2025.11.01

歩き始めや立ち上がる時、または特定の動作をした時に、股関節の前側、いわゆる「足の付け根」あたりに痛みを感じることはありませんか。

その痛みは、日常生活の質を大きく下げる要因となり、不安を感じる方も少なくないでしょう。

股関節の前側に痛みが生じる原因は一つではなく、筋肉や腱の問題から、関節自体の疾患まで多岐にわたります。

この記事では、股関節の前側に痛みが生じる主な原因疾患、痛みの特徴、医療機関での診断方法、そして一般的な治療の流れについて詳しく解説します。

ご自身の症状を理解し、適切な対応を考えるための一助としてください。

股関節の前側が痛む主な症状

股関節の前側に痛みを感じるといっても、その現れ方は人それぞれです。痛みの場所やタイミング、痛み以外の症状を整理することは、原因を探る上で重要な手がかりとなります。

痛みの具体的な場所

「股関節の前側」と一口に言っても、痛む場所には微妙な違いがあります。最も多いのは、脚の付け根にあたる「鼠径部(そけいぶ)」です。この部分は、太ももと胴体の境目にあります。

ほかにも、鼠径部より少し外側、または太ももの前側にかけて痛みが広がることもあります。

どのあたりが最も痛むのか、指で押さえると痛みが強まる場所(圧痛点)があるかを確認することも役立ちます。

どのような時に痛むか

痛みを引き起こす動作や状況も、原因疾患を推測する上で重要です。安静にしていても痛むのか、それとも動いた時だけ痛むのか。

例えば、歩き始め、階段の上り下り、椅子から立ち上がる瞬間、あぐらをかく、靴下を履くといった動作で痛みが誘発されることが多いです。

スポーツをしている方であれば、ランニング中やキック動作、深くしゃがみ込む動作などで痛みが出ることもあります。

動作と痛みの関係

動作痛みの特徴考えられる背景
歩き始め・立ち上がり動き始めに特に痛む関節軟骨や関節包の問題
長距離の歩行歩くにつれて痛みが増す関節への持続的な負荷
深く曲げる(靴下履きなど)付け根が詰まるような鋭い痛み骨の形態や関節唇の問題

痛み以外の症状

痛みだけでなく、股関節に他の異常を感じることもあります。これらの付随する症状も、診断の手がかりとなります。

  • 脚の動かせる範囲(可動域)が狭くなる
  • 動かした時に「ゴリゴリ」「ポキポキ」といった音がする(クリック音)
  • 深く曲げた時に詰まる感じや、引っかかる感じがする

特に、以前は問題なくできていた動作(あぐら、爪切りなど)が困難になった場合は、関節自体の変形や炎症が進行している可能性を考えます。

痛みの種類

痛みの性質も様々です。ズキズキとうずくような鈍い痛み(鈍痛)が続く場合もあれば、特定の動作で「ピキッ」と走るような鋭い痛み(鋭痛)を感じる場合もあります。

痛みの感じ方を整理することも、原因の特定に役立ちます。

痛みの性質による分類

痛みの種類感覚主な状況
鋭痛電気が走るよう、刺すよう特定の動作時、急に動いた時
鈍痛重だるい、うずくよう安静時、動作後、天候不順時
灼熱感ジンジンと熱を持つよう炎症が強い時、神経の圧迫時

股関節の前側に痛みを引き起こす主な原因疾患

股関節の前側に痛みを引き起こす原因は多岐にわたりますが、代表的な疾患がいくつか存在します。ここでは、特に頻度の高い原因疾患について解説します。

変形性股関節症

変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減り、骨の変形(骨棘:こつきょく)が生じる疾患です。

中高年の女性に多く見られますが、その背景には、生まれつき股関節の「かぶり」が浅い「臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)」が隠れていることが多いです。

初期症状として、立ち上がりや歩き始めに股関節の前側(鼠径部)に痛みを感じることが多く、進行すると安静時にも痛むようになり、可動域制限も現れます。

股関節唇損傷(こかんせつしんそんしょう)

股関節の受け皿である臼蓋の縁には、「関節唇」という軟骨組織があり、関節を安定させる役割を担っています。

この関節唇が、繰り返しの負荷や外傷によって損傷すると、股関節の前側に鋭い痛みや引っかかり感が生じます。

特に股関節を深く曲げたり、ひねったりする動作で痛みが誘発されやすいのが特徴です。スポーツ選手や若年層にも比較的多く見られます。

股関節インピンジメント(FAI)

股関節インピンジメント(Femoroacetabular Impingement: FAI)は、股関節を形成する大腿骨(太ももの骨)の骨頭側、または臼蓋側の骨の形態的な異常により、特定の動作(特に深く曲げる動作)で骨同士が衝突(インピンジメント)する状態を指します。

この衝突が繰り返されることで、関節唇損傷や軟骨損傷を引き起こし、股関節の前側に痛みを発生させます。FAIも若年層やスポーツ愛好家に見られることが多い原因です。

その他の原因

上記以外にも、股関節の前側の痛みの原因となる状態はあります。

筋肉や腱の問題

股関節を曲げる筋肉(腸腰筋など)や、その腱に炎症が起きる(腱炎)と、動作時に痛みが出ます。使いすぎ(オーバーユース)による筋肉痛や肉離れも原因となります。

疲労骨折

ランニングなど、繰り返しの負荷が骨に加わることで、大腿骨の付け根(大腿骨頸部)などに微細な骨折(疲労骨折)が生じることがあります。

安静時には痛みが軽くても、体重をかけると強い痛みが出るのが特徴です。

関連痛(鼠径ヘルニアなど)

股関節自体に問題がなくても、近くの臓器や組織の問題が原因で、股関節の前側に関連痛として痛みを感じることがあります。

例えば、鼠径ヘルニア(脱腸)や、腰椎(腰の骨)の問題(腰椎椎間板ヘルニアなど)から神経が圧迫され、鼠径部に痛みが出ることもあります。

主な原因疾患の比較

疾患名主な症状特徴的な所見
変形性股関節症動作開始時の痛み、可動域制限中高年女性、軟骨のすり減り
股関節唇損傷鋭い痛み、引っかかり感若年層、スポーツ、特定の動作で誘発
FAI深く曲げた時の詰まり感、痛み骨の形態異常、関節唇損傷を合併

なぜ股関節の前側が痛むのか?痛みの背景

股関節は、体重を支え、歩行や立ち座りといった基本的な動作を可能にする人体で最も大きな関節の一つです。その構造と機能の特性が、前側に痛みが出やすい理由と深く関わっています。

股関節の基本的な構造

股関節は、大腿骨の先端にある球状の「骨頭(こっとう)」が、骨盤側にあるお椀状の「臼蓋(きゅうがい)」にはまり込む形をしています。

いわゆる「球関節」と呼ばれる構造で、これにより脚を様々な方向に自由に動かすことができます。

関節の表面は滑らかな「関節軟骨」で覆われ、衝撃を吸収し、スムーズな動きを助けています。

股関節前側にある組織

股関節の前側には、関節を安定させ、動かすために重要な組織が集中しています。

  • 腸腰筋(ちょうようきん): 股関節を曲げる主要な筋肉とその腱
  • 関節包(かんせつほう): 関節を包む強靭な袋状の組織(前側は特に厚い)
  • 大腿神経・血管: 脚への主要な神経や血管

これらの組織は、股関節の動きと密接に関連しており、炎症や圧迫、損傷を受けやすい部位でもあります。

痛みの発生しやすい動作と負荷

股関節の前側には、特に「曲げる(屈曲)」動作や「ひねる(回旋)」動作の際に、大きな力がかかります。立ち上がりや歩行時、脚を前に振り出す際には、腸腰筋が強く収縮します。

また、深くしゃがみ込む際には、大腿骨の骨頭と臼蓋の前側が接近し、関節包や関節唇が挟み込まれやすい状態となります。

これらの動作の繰り返しや、構造的な問題(FAIなど)があると、前側の組織に負担が集中し、炎症や損傷を引き起こして痛みが発生します。

股関節の前側の痛みを訴える方が多い年代と性別

股関節の前側の痛みの原因は、年代や性別、生活スタイルによって一定の傾向が見られます。どのような方々にこの症状が出やすいのか、その背景を探ります。

年代別の傾向

股関節の前側の痛みは、特定の年代に限ったものではありません。

若年層・スポーツ愛好家

10代後半から40代のアクティブな層では、股関節インピンジメント(FAI)や股関節唇損傷が原因であることが多いです。

サッカー、ラグビー、バレエ、陸上競技(ハードルなど)のように、股関節を深く曲げたり、ひねったりする動作を繰り返すスポーツで発生しやすい傾向があります。

また、ランニングによる腸腰筋腱炎や疲労骨折も見られます。

中高年層

50代以降、特に女性では、変形性股関節症が主な原因として増加します。若い頃からの臼蓋形成不全が背景にある場合が多く、加齢とともに関節軟骨の摩耗が進行し、発症します。

初期症状として前側の痛みを自覚することが典型的です。

男女差とその理由

股関節の疾患には顕著な男女差が見られるものがあります。変形性股関節症は、前述の通り、臼蓋形成不全が女性に多いことから、圧倒的に女性に多く発症します。

一方、股関節インピンジメント(FAI)のうち、大腿骨側に骨の隆起ができるタイプ(Camタイプ)は、若年男性のスポーツ選手に多いとされています。

年代・性別と主な原因

年代 / 性別主な原因疾患活動背景
10代~30代 男性FAI、股関節唇損傷、筋肉・腱の問題スポーツ(サッカー、ラグビーなど)
10代~30代 女性股関節唇損傷、FAI、疲労骨折スポーツ(バレエ、陸上など)、臼蓋形成不全
40代以降 女性変形性股関節症(臼蓋形成不全が背景)加齢、日常生活の負荷

スポーツや日常生活との関連

特定のスポーツ活動は、股関節前側への負荷を増大させます。キック動作や深いスクワット、方向転換の多いスポーツは、FAIや関節唇損傷のリスクを高めます。

日常生活においても、長時間のデスクワークや運転で股関節を曲げた姿勢が続くと、前側の筋肉(腸腰筋)が硬くなり、痛みの原因となることがあります。

また、和式生活(床に座る、あぐらをかく)も、股関節への負担となる場合があります。

痛む場所で考える原因疾患

股関節の前側といっても、痛む中心的な場所によって、考えられる原因疾患が異なる場合があります。もちろん、これだけで断定はできませんが、診断の一つの目安となります。

付け根の奥が痛む場合

股関節の付け根の、さらに奥深くが痛む、あるいは詰まる感じがする場合は、関節内部の問題である可能性が高いです。

特に股関節を深く曲げた時に痛みが増強する場合、股関節インピンジメント(FAI)や、それに伴う関節唇損傷、軟骨損傷などが疑われます。

関節の深い部分での衝突や損傷が痛みを引き起こしています。

鼠径部に近い場所が痛む場合

鼠径部(Vライン)に沿って痛む場合、変形性股関節症の初期症状であることが多いです。関節の炎症が関節包を介して、前側にある神経を刺激するためと考えられます。

また、腸腰筋腱炎もこの部位に痛みを引き起こします。脚を上げる動作(抵抗をかけるとより痛む)で痛みが強まる場合は、腸腰筋の問題を疑います。

その他、鼠径ヘルニアのように股関節以外の問題でも、この領域に痛みが出ることがあります。

太ももの前側まで痛みが広がる場合

痛みやしびれが鼠径部から太ももの前側、時には膝の近くまで広がる(放散する)場合、神経の圧迫が関与している可能性があります。

腰椎(腰の骨)の問題、例えば腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などで、大腿神経が圧迫されると、股関節の前側から太ももにかけて痛みやしびれ(放散痛)が生じることがあります。

また、変形性股関節症が進行した場合にも、関連痛として太ももに痛みが出ることがあります。

痛む場所と関連が強い疾患

痛む場所関連が強い疾患特徴的な症状
付け根の奥(詰まる感じ)FAI、股関節唇損傷深く曲げると痛む、引っかかる
鼠径部(Vライン)変形性股関節症(初期)、腸腰筋腱炎歩き始めの痛み、脚を上げると痛む
太ももの前側への放散痛腰椎疾患(神経圧迫)、変形性股関節症(進行期)しびれを伴う、腰痛がある

医療機関での診断の流れ

股関節の前側の痛みが続く場合や、日常生活に支障が出ている場合は、整形外科を受診して正確な診断を受けることが重要です。

医療機関では、以下のような手順で診断を進めます。

問診と視診・触診

まず、医師が患者さんの話を詳しく聞きます(問診)。いつから痛むのか、どのような時に痛むのか、痛みの性質、過去の怪我や病気の経歴、スポーツ歴、仕事内容などを確認します。

その後、視診で歩き方や姿勢、股関節の腫れなどを観察します。

触診では、痛む場所を直接押さえて圧痛の有無を確認したり、医師が患者さんの脚を動かして股関節の可動域や、特定の動作(深く曲げる、ひねるなど)で痛みが出ないか(誘発テスト)を調べます。

問診で確認する主な項目

  • 痛みの発生時期ときっかけ
  • 痛む場所と痛みの性質
  • 痛みが増強・軽減する動作
  • 日常生活やスポーツへの支障

画像検査

問診や身体所見から疾患が疑われる場合、画像検査で関節の状態を詳しく評価します。

レントゲン(単純X線)検査

股関節の診断において最も基本的で重要な検査です。骨の形状、関節の隙間(軟骨の厚さ)、骨の変形(骨棘)、臼蓋形成不全の有無、FAIの原因となる骨の形態異常などを評価します。

多くの情報はレントゲン検査から得られます。

MRI検査

レントゲンではわからない軟部組織(筋肉、腱、関節唇、軟骨)の状態を詳しく見るために行います。

関節唇損傷や初期の軟骨損傷、腸腰筋腱炎、疲労骨折、骨の内部の炎症(骨壊死など)の診断に非常に有用です。

CT検査

レントゲンよりも詳細に骨の立体的な形状を評価できます。FAIの形態異常や、骨折の詳細な評価、手術計画を立てる際などに用いることがあります。

画像検査の比較

検査方法主な評価対象特徴
レントゲン骨の形状、関節の隙間、骨棘基本的検査、骨の全体像を把握
MRI関節唇、軟骨、腱、筋肉、骨髄軟部組織の描出に優れる
CT骨の立体的な形状、微細な骨折骨の詳細な形態評価に優れる

特殊な検査

診断を確定させるためや、痛みの原因をより正確に特定するために、追加の検査を行うことがあります。

例えば、股関節唇損傷や軟骨損傷を疑う場合、造影剤を関節内に注射してからMRIやCTを撮影する「関節造影検査」を行うことがあります。

また、痛みの原因が関節内にあることを確認するために、関節内に局所麻酔薬を注射する「ブロック注射」を行い、一時的に痛みが消失するかどうかを見ることもあります。

主な治療方法の選択肢

股関節の前側の痛みの治療は、診断された原因疾患、症状の重症度、患者さんの年齢や活動レベル、ライフスタイルなどを総合的に考慮して決定します。

一般的には、まず保存療法から開始し、改善が見られない場合や重症の場合に手術療法を検討します。

保存療法

手術以外の方法で症状の改善を目指す治療法です。複数の方法を組み合わせて行うことが多いです。

安静と活動の調整

痛みを引き起こす動作やスポーツ活動を一時的に休止、または軽減し、股関節への負担を減らします。痛みのない範囲での日常生活は続けて問題ありません。

薬物療法

炎症を抑え、痛みを和らげるために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の飲み薬や貼り薬、塗り薬を使用します。痛みが強い場合には、短期的に使用することが多いです。

リハビリテーション(理学療法)

保存療法の中心となる治療です。理学療法士の指導のもと、股関節周囲の筋肉(特にお尻や体幹の筋肉)を強化する運動や、硬くなった筋肉(腸腰筋など)のストレッチを行います。

これにより、股関節の安定性を高め、負担を軽減し、正しい動作パターンを再学習します。

保存療法の主な内容

治療法目的主な内容
活動調整関節への負担軽減痛む動作の回避、スポーツの休止
薬物療法炎症の鎮静、痛みの緩和NSAIDs(内服、外用)
リハビリテーション機能改善、負担軽減筋力強化、ストレッチ、動作指導

注射療法

保存療法の一環として、または診断目的に行います。関節唇損傷や変形性股関節症による炎症や痛みが強い場合、関節内にステロイド注射を行い、一時的に炎症を強力に抑えることがあります。

また、変形性股関節症に対しては、関節の潤滑や保護を目的としてヒアルロン酸注射を行うこともあります。

手術療法

保存療法を数ヶ月続けても痛みが改善しない場合、または画像検査で明らかな構造的異常(重度の変形、大きな関節唇損傷など)があり、症状が重い場合には、手術療法を検討します。

関節鏡視下手術(股関節鏡)

比較的小さな切開からカメラ(関節鏡)と器具を挿入し、関節内部の損傷を修復する手術です。主に、股関節唇損傷の縫合や、FAIの原因となっている骨の隆起を切除するために行います。

比較的若年層で、関節軟骨のすり減りが少ない方が良い適応となります。

人工股関節置換術

変形性股関節症が進行し、軟骨が消失して骨の変形が著しく、日常生活に大きな支障が出ている場合に行います。

損傷した関節の表面を削り、金属やポリエチレンなどでできた人工の関節に置き換える手術です。除痛効果が非常に高く、多くの場合、歩行能力が大きく改善します。

手術療法の選択

手術法主な対象疾患手術の概要
関節鏡視下手術股関節唇損傷、FAI損傷部位の修復、骨の隆起を切除
人工股関節置換術変形性股関節症(進行期)損傷した関節を人工物に入れ替える

どの治療法を選択するかは、医師と十分に相談し、ご自身の状態と生活の目標に合わせて決定することが大切です。

股関節の前側の痛みに関するよくある質問

最後に、股関節の前側の痛みについて、患者さんから多く寄せられる質問にお答えします。

Q. 股関節の前側の痛みは自分で治せますか?

筋肉の疲労や軽い炎症が原因であれば、安静やストレッチで症状が和らぐこともあります。

しかし、痛みが続く場合や、特定の動作で必ず痛む場合は、関節唇損傷やFAI、変形性股関節症など、医療機関での診断と治療が必要な疾患が隠れている可能性があります。

自己判断で放置せず、痛みが続く場合は一度専門家に相談することが重要です。

Q. どのようなストレッチが有効ですか?

股関節の前側が痛む場合、腸腰筋や太ももの前側(大腿四頭筋)の筋肉が硬くなっていることが多いです。これらの筋肉をゆっくりと伸ばすストレッチは有効な場合があります。

ただし、痛みを我慢して行うのは逆効果です。特に、FAIや関節唇損傷がある場合、深く曲げるストレッチは症状を悪化させる可能性があります。

痛みのない範囲で行うか、まずは医療機関で原因を特定してから、理学療法士など専門家の指導のもとで行うことをお勧めします。

Q. 痛い時は温めるべきですか?冷やすべきですか?

これは痛みの時期や性質によります。スポーツや特定の動作の直後に強く痛む、熱を持っているような「急性の痛み」の場合は、炎症を抑えるために冷やす(アイシング)方が良いでしょう。

一方、慢性的に痛みが続いている、動かすとこわばるような「慢性の痛み」の場合は、血流を良くするために温める(入浴など)方が楽になることが多いです。

ただし、どちらが適切か迷う場合は、医師に相談してください。

Q. 何科を受診すればよいですか?

股関節の痛みや脚の付け根の痛みは、骨、関節、筋肉、腱などが原因であることが多いため、まずは「整形外科」を受診するのが一般的です。

整形外科医が問診、診察、画像検査(レントゲンやMRI)を行い、専門的な診断を行います。もし鼠径ヘルニアや内臓疾患が疑われる場合は、外科や内科など、適切な診療科を紹介されます。

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Author

北城 雅照

医療法人社団円徳 理事長
医師・医学博士、経営心理士

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