今回は、関節リウマチの治療において関節炎による疼痛を緩和させるために用いる抗炎症薬(リリーバー)についてまとめました。
リリーバーをうまく使用することで、疼痛緩和だけでなくコントローラーである抗リウマチ薬の効果を高めることが報告されております。
目次
今回の10秒まとめ
① 関節リウマチ治療では2種類の抗炎症薬(リリーバー)は用いる。
② NSAIDsはプロスタグランジンの合成を阻害することで抗炎症効果を発揮する。
③ NSAIDsは薬剤によって特徴が異なるため、その特徴を生かして治療を行う必要がある。
④ 急性疼痛の場合、NSAIDsの短時間作用型を使用する。
⑤ NSAIDsの長期間の内服は、腎機能障害や消化管出血などの危険性がある。
⑥ 関節リウマチ治療において、ステロイドの全身投与は症状の早期緩和に極めて有効である。
⑦ DMARDsとの併用で関節破壊の進行を止める可能性が示唆されている。
⑧ 5mg/日以上でステロイド投与を行う場合は、副作用の発現に注意する必要がある。
⑨ イグラチモドは、疼痛コントロールや膠原病合併抑制効果が期待できる。
⑩ トファシチンブは、他のDMARDs効果不十分例に投与を検討する。
2つの抗炎症薬
関節リウマチ治療に用いられる抗炎症薬(リリーバー)には以下の2種類があります。
① 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
② ステロイド
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
特徴
① 炎症や疼痛にはプロスタグランジン(PG)が関与している。
② PGの産生にはCOXと呼ばれる酵素が関与している。
③ NSAIDsはCOXの働きを阻害することでPG産生を抑制し抗炎症作用を発揮する。
④ COXにはCOX-1とCOX-2がある。
⑤ COX-1は胃粘膜保護・止血・腎機能の維持に関与し、COX-2は炎症反応に関与している。
⑥ NSAIDsはCOX-2の阻害により効果を発現し、COX-1の阻害により副作用を引き起こす。
⑦ NSAIDsには様々な薬剤があり、その特徴に合わせて処方を行う。
⑧ 局所の発赤・腫脹・熱感を伴う炎症性の痛みがNSAIDsの良い適応である。
⑨ ステロイドの内服は、生理的コルチゾールの分泌に合わせて朝内服を行う。
⑩ 減量する時は約10%程度減量していく。
薬剤の使い分け
① 比較的抗炎症・鎮痛作用の強いもの
1)ジクロフェナク(ボルタレン®︎)
2)ナプロキセン(ナイキサン®︎)
② 抗炎症作用と胃腸障害のバランスが良いもの
1)ロキソプロフェン(ロキソニン®︎)
③ 胃腸障害が比較的少ないもの
1)エトドクラ(ハイペン®︎)
2)メロキシカム(ナイキサン®︎)
④ COX-2選択的阻害薬
1)セレコキジブ(セレコックス®︎)
ステロイド
特徴
① 関節リウマチに対するステロイドの全身投与は症状の早期緩和に極めて有効である。
② 低容量(5~10mg/日)の投与はX線上の関節破壊を遅らせる。
③ 5mg/日以下の低容量投与ではCushing症状・体重増加などの副作用が避けられる可能性がある。
④ 7.5mg/日以上の投与量では緑内障などの副作用の発現に注意が必要である。
⑤ 骨粗鬆症の可能性がある場合は、ビスフォスフォネートやビタミンDの投与を行う。
⑥ 生理的な血中コルチゾールの増減に合わせて、基本的には朝投与を行う。
⑦ 減量を行う場合は、約10%づつ減量を行っていく。
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