足立慶友医療コラム

膝損傷と靱帯損傷の違い – 部位別の特徴と対策

2025.10.02

膝の痛みや違和感は、多くの方が経験する症状です。その原因は多岐にわたりますが、特に「膝損傷」と「膝の靱帯損傷」は、スポーツ活動や日常生活の中で頻繁に発生します。

これらは似ているようで、実は損傷している部位や対処法が異なります。

この記事では、膝のどの部分がどのように傷つくのかという「膝損傷」の全体像から、膝の安定性に重要な役割を果たす「靱帯損傷」の具体的な種類まで、詳しく解説します。

それぞれの特徴や原因、ご自身でできる初期対策、そして予防法までを網羅的に紹介し、膝の不調に関する皆様の疑問や不安を解消する手助けをします。

膝の構造と機能の基本

私たちの膝がスムーズに動き、体重を支えることができるのは、骨、靱帯、軟骨といった様々な組織が精密に連携しているからです。

これらの組織が持つそれぞれの役割を理解することは、膝の損傷について知るための第一歩となります。

膝関節を構成する骨

膝関節は、主に3つの骨で構成されています。

太ももの骨である「大腿骨(だいたいこつ)」、すねの骨である「脛骨(けいこつ)」、そして膝のお皿として知られる「膝蓋骨(しつがいこつ)」です。

これらの骨が組み合わさることで、曲げ伸ばしや歩行、走行といった複雑な動きが可能になります。

脛骨の隣には腓骨(ひこつ)という細い骨もありますが、直接膝関節の体重がかかる部分を構成しているのは前述の3つの骨です。

膝関節を形作る主要な骨

骨の名称位置主な役割
大腿骨太もも上半身の体重を膝に伝える
脛骨すね(内側)膝から下の体重を支える
膝蓋骨膝の正面膝の動きを滑らかにし、筋肉の力を効率よく伝える

安定性を支える靱帯

靱帯は、骨と骨とを繋ぎ合わせる強靭な結合組織の束です。膝関節が前後左右にぐらつかないように、しっかりと安定させる役割を担っています。

膝には主に4つの重要な靱帯があり、これらが協調して働くことで、関節の過度な動きを制御しています。

衝撃を吸収する軟骨と半月板

骨の関節面は、「関節軟骨」という滑らかで弾力性のある組織で覆われています。この関節軟骨が、骨同士が直接こすれ合うのを防ぎ、クッションのように衝撃を吸収します。

さらに、大腿骨と脛骨の間には「半月板(はんげつばん)」というC字型の軟骨組織があり、関節の適合性を高めるとともに、衝撃を分散させる重要な役割を果たしています。

動きを滑らかにするその他の組織

膝関節は「関節包(かんせつほう)」という袋状の膜で包まれており、その内側は「滑膜(かつまく)」で覆われています。

滑膜からは関節液が分泌され、これが潤滑油のように働き、関節の動きを滑らかにします。

また、膝の周りには多くの筋肉や腱が存在し、これらが膝を動かす力となり、同時に安定性を補助しています。

「膝損傷」とは何か?全体像を理解する

一言で「膝損傷」といっても、その指し示す範囲は広く、膝関節を構成するいずれかの組織が傷ついた状態を総称します。

骨折から軟骨のすり減りまで、様々な種類が含まれます。ここでは、膝損傷の全体像を捉え、その分類について理解を深めます。

膝損傷の定義と範囲

膝損傷とは、外傷や加齢、あるいは使いすぎなどによって、膝関節に関連する骨、軟骨、半月板、靱帯、筋肉、腱などのいずれかの組織に損傷が生じた状態全般を指します。

つまり、後述する「靱帯損傷」も、広い意味では「膝損傷」の一部と考えることができます。痛みの原因となっている組織を特定することが、適切な対処への第一歩です。

損傷の種類(骨、軟骨、半月板など)

膝損傷は、損傷を受ける組織によって分類されます。強い衝撃による骨折、軟骨がすり減る変形性膝関節症、スポーツなどで半月板が断裂する半月板損傷など、病態は様々です。

どの組織が損傷したかによって、特徴的な症状や必要な対処法が大きく異なります。

代表的な膝損傷の種類

損傷組織代表的な損傷名主な原因
膝関節周囲の骨折転倒、交通事故などの強い外力
関節軟骨変形性膝関節症、軟骨損傷加齢、体重増加、過去の怪我
半月板半月板損傷(断裂)スポーツ中のひねり動作、加齢による変性

急性損傷と慢性(変性)損傷の違い

膝損傷は、発生の仕方によって「急性損傷」と「慢性(変性)損傷」に大別されます。急性損傷は、一度の大きな外力によって突発的に発生するもので、スポーツ中の怪我などが典型です。

一方、慢性損傷は、比較的小さな負担が長期間にわたって繰り返されることで、組織が徐々に傷んでいく状態を指します。加齢に伴う変化もこの中に含まれます。

膝損傷が起こりやすい状況

膝は体重を支えながら複雑な動きをするため、様々な状況で損傷のリスクにさらされます。

特に、ジャンプからの着地、急な方向転換、相手選手との接触などが伴うスポーツでは、急性損傷のリスクが高まります。

  • バスケットボール
  • サッカー
  • スキー
  • バレーボール

また、日常生活においても、長時間の立ち仕事、重い荷物の運搬、肥満、加齢による筋力低下などが、慢性的な膝への負担となり、損傷を引き起こす原因となります。

「靱帯損傷」の特異性と種類

膝の安定性を保つ上で中心的な役割を果たすのが靱帯です。「靱帯損傷」は、数ある膝損傷の中でも特にスポーツ選手に多く見られ、関節のぐらつきといった特有の症状を引き起こします。

ここでは、膝の主要な4つの靱帯と、それぞれの損傷の特徴について詳しく見ていきましょう。

膝の主要な4つの靱帯

膝関節の安定性は、主に十字靱帯と側副靱帯という2種類の靱帯によって保たれています。十字靱帯は関節の中でクロスするように存在し、脛骨が前後にずれるのを防ぎます。

側副靱帯は関節の左右両側にあり、横方向への不安定性を制御します。

膝の安定性を司る4大靱帯

靱帯の名称位置主な機能
前十字靱帯 (ACL)関節の中(前方)脛骨が前方へずれるのを防ぐ
後十字靱帯 (PCL)関節の中(後方)脛骨が後方へずれるのを防ぐ
内側側副靱帯 (MCL)関節の内側膝の外反(外側への開き)を防ぐ
外側側副靱帯 (LCL)関節の外側膝の内反(内側への曲がり)を防ぐ

前十字靱帯(ACL)損傷の特徴

前十字靱帯(ACL)損傷は、スポーツ活動中に最も頻繁に発生する靱帯損傷の一つです。ジャンプの着地時や急な方向転換、ストップ動作などで、膝にひねりが加わった際に損傷しやすいです。

受傷時には「ブツッ」という断裂音を感じることがあり、その後、膝が腫れて強い痛みが生じます。治療後も、再建した靱帯の機能が回復するまでには長期間のリハビリテーションが必要です。

後十字靱帯(PCL)損傷の特徴

後十字靱帯(PCL)は膝の靱帯の中で最も強靭であり、損傷の頻度はACLほど高くありません。

交通事故でダッシュボードに膝を強く打ち付けた時(ダッシュボード損傷)や、スポーツで膝から強く地面に落ちた時など、脛骨の前方に強い外力が加わった際に発生します。

ACL損傷に比べて症状がはっきりしないこともありますが、放置すると慢性的な膝の痛みや不安定感につながることがあります。

内側側副靱帯(MCL)と外側側副靱帯(LCL)損傷

内側側副靱帯(MCL)損傷は、膝の外側から内側への強い力(外反力)が加わったときに発生します。ラグビーやサッカーでのタックルなどが典型的な原因です。

一方、外側側副靱帯(LCL)損傷は、膝の内側から外側への力(内反力)で発生しますが、MCL損傷に比べて頻度は少ないです。

これらの側副靱帯損傷は、重症度によりますが、十字靱帯損傷に比べて保存的療法で回復するケースが多いのが特徴です。

損傷部位ごとの特徴と見分け方

膝の痛みや腫れといった症状は、多くの膝損傷に共通して見られます。しかし、損傷した組織によって、症状の現れ方や特徴には微妙な違いがあります。

これらの違いを理解することは、ご自身の状態を把握する上で役立ちます。

痛みや腫れの現れ方の違い

症状の出方は損傷の種類を推測する手がかりになります。

例えば、靱帯損傷や半月板損傷のような関節内の怪我では、受傷直後から関節に血液や関節液が溜まり、膝全体が大きく腫れる傾向があります。

一方で、関節の外にある筋肉や腱の損傷では、腫れは損傷部位に限局することが多いです。

損傷部位と主な症状の傾向

損傷部位痛みの特徴腫れの特徴
靱帯(特に十字靱帯)受傷直後の激しい痛み関節全体が急速に腫れる(関節内血腫)
半月板特定の動作(ひねり、深く曲げる)で痛む腫れは軽度から中等度、水が溜まることも
関節軟骨動かし始めや長時間の歩行で痛む慢性的に水が溜まることがある

関節の不安定感(ぐらつき)

「膝が抜けるような感じ」「歩いていると膝がガクッとなる」といった不安定感は、靱帯損傷を強く疑わせる特徴的な症状です。

特に、前十字靱帯(ACL)が断裂すると、脛骨が前方にずれるのを制御できなくなるため、急な方向転換やストップ動作の際にこの不安定感(膝崩れ現象)が生じやすくなります。

これは、他の膝損傷ではあまり見られない症状です。

可動域の制限と特定の動作での痛み

膝の曲げ伸ばしがスムーズにできなくなる「可動域制限」も重要なサインです。

半月板を損傷すると、断裂した半月板の一部が関節に挟まり、急に膝が伸ばせなくなる「ロッキング」という状態になることがあります。

また、膝蓋骨周囲の損傷では、階段の上り下りや椅子からの立ち上がりといった、膝に体重がかかった状態で曲げ伸ばしをする動作で特に痛みが強くなる傾向があります。

受傷時の音や感覚

怪我をした瞬間の状況も、診断の手がかりとなります。前十字靱帯の断裂では、多くの人が「ポップ音」と呼ばれる「ブチッ」という断裂音を自覚します。

このようなはっきりとした音や感覚があった場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。

自宅でできる初期対策と注意点

膝を痛めてしまった直後は、パニックにならずに冷静に対処することが、その後の回復を大きく左右します。

ここでは、怪我の直後に行うべき基本的な初期対策である「RICE処置」と、その際の注意点について解説します。

RICE処置の基本

RICE(ライス)処置は、Rest(安静)、Icing(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の4つの処置の頭文字をとったものです。

これは、損傷部位の腫れや痛み、内出血を最小限に抑えることを目的とした応急処置の基本原則です。

RICE処置の各要素

要素英語具体的な行動
安静Rest患部を動かさず、楽な姿勢で休む
冷却Icing氷嚢などで患部を冷やす
圧迫Compression弾性包帯などで患部を軽く圧迫する
挙上Elevation患部を心臓より高い位置に保つ

安静にする際のポイント

怪我をした後は、まず第一に運動や作業を中止し、患部に体重をかけないようにします。可能であれば、横になるか、椅子に座って足を伸ばすなど、膝を安静に保てる体勢をとってください。

無理に動かしたり、痛みを我慢して活動を続けたりすると、損傷が悪化する可能性があります。

アイシング(冷却)の正しい方法

アイシングは、血管を収縮させて内出血や腫れを抑え、痛みを和らげる効果があります。氷をビニール袋に入れ、タオルで包んでから患部に当てます。

1回あたり15分から20分程度を目安にし、感覚がなくなってきたら一度中断します。これを1〜2時間おきに繰り返します。凍傷を防ぐため、氷を直接肌に当てないように注意が必要です。

圧迫と挙上の重要性

弾性包帯やサポーターで患部を適度に圧迫することで、内出血や腫れが広がるのを防ぎます。ただし、強く巻きすぎると血行が悪くなるため、しびれや変色が見られたらすぐに緩めてください。

また、患部をクッションや台の上に置いて心臓より高い位置に保つ(挙上)ことで、重力を利用して腫れを軽減させることができます。

医療機関での検査と専門的な対処法

自己判断での対処には限界があり、正確な診断と適切な対処のためには、専門家である医師の診察を受けることが重要です。

医療機関では、様々な方法を用いて損傷の状態を正確に把握し、一人ひとりの状態に合わせた対処法を提案します。

問診と身体所見の重要性

診察では、まず問診が行われます。いつ、どこで、どのようにして痛めたのか、どのような症状があるのかといった情報が、診断の重要な手がかりとなります。

その後、医師が膝を直接触ったり動かしたりして、痛みのある場所、腫れの程度、関節の不安定性などを評価する徒手検査(身体所見)を行います。

この段階で、どの組織が損傷しているかをある程度推測することができます。

  • 受傷時の状況(どう動いて痛めたか)
  • 痛みの場所、種類、強さ
  • 関節の不安定感(膝崩れ)の有無
  • 過去の膝の怪我の経歴

画像検査の種類と目的(レントゲン、MRIなど)

問診や身体所見に加えて、より詳細な情報を得るために画像検査が行われます。それぞれの検査には得意な分野があり、目的に応じて使い分けられます。

主な画像検査とその役割

検査方法主に観察する組織目的と特徴
レントゲン(X線)骨折の有無を確認する基本的な検査
MRI靱帯、半月板、軟骨など軟部組織の状態を詳細に描出できる
超音波(エコー)筋肉、腱、靱帯(表層)簡便で、動かしながら組織の状態を確認できる

保存的療法(リハビリテーション、装具など)

手術をしない治療法を「保存的療法」と呼びます。靱帯損傷や半月板損傷の中でも、軽度なものや、関節の不安定性が少ない場合は、まず保存的療法が選択されます。

痛みや炎症を抑える薬物療法、膝の安定性を高めるための筋力トレーニングや可動域訓練といったリハビリテーション、そして膝を保護するための装具療法などが含まれます。

個々の状態に合わせてこれらの治療法を組み合わせて行います。

手術的療法の選択肢

保存的療法では改善が見込めない場合や、スポーツへの本格的な復帰を目指す若年層の靱帯断裂、あるいは日常生活に大きな支障をきたす不安定性がある場合などには、手術が検討されます。

損傷した靱帯を再建する手術(靱帯再建術)や、損傷した半月板を切除または縫合する手術(半月板手術)などが代表的です。

手術方法は損傷の種類や程度、患者の年齢や活動レベルを考慮して決定されます。

膝の健康を維持するための予防策

一度損傷した膝は、再発のリスクや将来的な変形につながる可能性があります。そのため、怪我を未然に防ぐための取り組みが非常に重要です。

日頃から膝を支える筋力を鍛え、体の使い方に気をつけることで、多くの膝損傷は予防することができます。

筋力トレーニングの重要性

膝の安定性には、太ももの筋肉(特に大腿四頭筋とハムストリングス)の強さが直接的に関わっています。

これらの筋肉が、いわば「天然のサポーター」として働き、関節や靱帯への負担を軽減します。筋力が低下すると、その分だけ靱帯や半月板に負担がかかり、損傷のリスクが高まります。

膝の安定に貢献する筋力トレーニング例

トレーニング名鍛える主な筋肉簡単な方法
スクワット大腿四頭筋、ハムストリングス、殿筋肩幅に足を開き、椅子に座るようにお尻を落とす
レッグランジ大腿四頭筋、ハムストリングス片足を大きく前に踏み込み、腰を真下に落とす
ヒールレイズ下腿三頭筋(ふくらはぎ)立った状態でかかとをゆっくり上げ下げする

トレーニングを行う際は、正しいフォームを意識し、膝に痛みを感じない範囲で行うことが大切です。

ストレッチと柔軟性の向上

筋肉や腱が硬くなっていると、関節の動きが制限され、特定の部位に負担が集中しやすくなります。

運動前後のストレッチを習慣づけることで、筋肉の柔軟性を高め、急な動きにも対応できるしなやかな体を作ることができます。

特に、太ももの前後の筋肉や、股関節周りのストレッチは膝の負担軽減に効果的です。

日常生活での注意点

日常生活の中にも、膝の健康を維持するためのヒントは多くあります。例えば、体重の管理は非常に重要で、体重が1kg増えると歩行時の膝への負担は約3kg増えると言われています。

適正体重を維持することは、膝への負担を直接的に減らすことにつながります。

また、床からの立ち座りや階段の上り下りの際には、手すりを利用するなどして、膝への負担を分散させる工夫も有効です。

スポーツ活動におけるウォーミングアップとクールダウン

スポーツを行う際には、事前のウォーミングアップと事後のクールダウンが怪我の予防に欠かせません。

ウォーミングアップは、軽いジョギングや体操で体温と心拍数を上げ、筋肉や関節を運動に適した状態に準備するものです。

このことにより、筋肉の反応が良くなり、怪我をしにくくなります。クールダウンは、整理体操やストレッチで使った筋肉をゆっくりと伸ばし、疲労回復を促します。

これを怠ると、筋肉の疲労が蓄積し、次回の活動時に怪我のリスクが高まります。

膝損傷と靱帯損傷に関するよくある質問

ここでは、膝の損傷に関して多くの方が抱く疑問についてお答えします。

質問1 膝を動かすとポキポキと音が鳴ります。これは損傷のサインでしょうか?

回答1 痛みを伴わない音の多くは、生理的なもので心配ないことが多いです。関節内の気泡が弾ける音や、腱が骨の上を通過する音などが考えられます。

ただし、「ゴリゴリ」「ギシギシ」といった音と共に痛みや引っかかりを感じる場合は、軟骨や半月板が傷ついている可能性があるので、一度専門医に相談することをお勧めします。

質問2 ドラッグストアで売っているサポーターは、どのような効果がありますか?

回答2 市販のサポーターには、主に保温効果、圧迫による痛みの軽減、そして関節の動きを補助し安定感を高める効果が期待できます。軽い痛みや不安定感に対しては有効な場合があります。

しかし、サポーターはあくまで補助的なものであり、根本的な原因を解決するものではありません。

また、損傷の種類によっては適さない場合もあるため、強い痛みがある場合や症状が続く場合は、自己判断で使用を続けず、医療機関を受診してください。

質問3 靱帯を損傷した後、スポーツに復帰するまでにはどのくらいの期間がかかりますか?

回答3 復帰までの期間は、損傷した靱帯の種類、損傷の重症度、治療法(保存的療法か手術か)、そして個人の回復力やリハビリテーションの進捗状況によって大きく異なります。

例えば、内側側副靱帯の軽度の損傷であれば数週間で復帰できることもありますが、前十字靱帯の再建手術を受けた場合は、競技復帰までに8ヶ月から1年程度を要するのが一般的です。

焦らず、医師や理学療法士の指示に従ってリハビリテーションを進めることが重要です。

質問4 年齢によって、損傷のしやすさや種類は変わりますか?

回答4 はい、変わります。若年層やスポーツ選手では、急な外力による前十字靱帯損傷や半月板損傷といった急性の外傷が多い傾向にあります。

一方、中高年以降になると、加齢によって組織がもろくなるため、比較的弱い外力で半月板を損傷したり、長年の負担の蓄積によって関節軟骨がすり減る変形性膝関節症を発症したりするケースが増えてきます。

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Author

北城 雅照

医療法人社団円徳 理事長
医師・医学博士、経営心理士

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