足立慶友医療コラム

変形性股関節症について

2020.01.28

今回は、股関節の付け根の痛みや股関節の可動域制限が生じる変形性股関節症の概要についてお伝えしたいと思います。

(文章中に、日本整形外科学会が配布している整形外科シリーズ『変形性股関節症』の図を利用させていただきました。ぜひこちらもご活用ください。)

今回の10秒まとめ

①足の付け根である股関節に、関節軟骨の摩耗や破壊、変性が生じ、股関節の痛みや可動域の低下等で日常生活動作の制限が生じる疾患を変形性股関節症といいます。

②変形性股関節症の原因は、明らかな原因がなく、軟骨が摩耗、変性して起こる一次性と、なんらかの病気やケガが原因で起こる二次性の2つに分けられます。二次性の原因となる疾患として、先天性股関節脱臼と臼蓋形成不全によるものが多い。

③変形性股関節症は進行は、前股関節症、初期、進行期、末期の4つの段階に分けられます。4つの段階によって、症状や所見が異なります。

④画像診断として、主に単純X線写真を用います。場合によって、CT、MRIなどを使用します。変形性股関節症の場合は、単純X線写真にて、関節裂隙(臼蓋と大腿骨頭の隙間)の狭まり、軟骨下骨の骨硬化像、骨嚢胞、骨棘形成の程度を評価して、関節症の進行具合を確認します。

⑤股関節に限らず、関節は一度変形したら元に戻ることは不可能です。変形性股関節症は、早期発見、早期の対応が重要になります。

変形性股関節症とは

足の付け根である股関節に、関節軟骨の摩耗や破壊変性が生じ、股関節の痛みや可動域の低下等で日常生活動作の制限が生じる疾患を変形性股関節症といいます。

変形性股関節症は発症すると、破壊された軟骨は修復されることはほとんどなく、次第に軟骨より下の骨にも変形が生じ、関節症が進行していきます。この結果として、股関節の痛みや動きの制限等の症状が出てきます。

 

変形性股関節症の原因

変形性股関節症の原因は、一次性と二次性の大きく2つに分類されます。

一次性

明らかな原因がないが、関節軟骨が摩耗、変性して起こるものを一次性といいます。原因として、加齢変化、体重増加、肉体労働、スポーツなどによる過負荷が考えられています。

二次性

何らかの病気やケガが原因で起こるものを二次性といいます。
原因となる疾患として、先天性股関節脱臼臼蓋形成不全によるものが約90%と多い。そのため、変形性股関節症は、男性よりも女性に多い疾患になります。その他には、ペルテス病、特発性大腿骨頭壊死症、関節唇損傷などがあります。

先天性股関節脱臼

この股関節が先天的に適合しておらず、脱臼している状態を先天性股関節脱臼と呼びます。原因として、子宮内での異常姿勢、遺伝的素因(家族性)などが考えられています。

臼蓋形成不全

股関節は、大腿骨の大腿骨頭骨盤の寛骨臼(臼蓋)により構成されています。臼蓋が大腿骨頭を覆っている関節になります。この臼蓋の不完全な発育により大腿骨頭への被りが浅い状態を、臼蓋形成不全といいます。

生まれつき臼蓋と大腿骨頭の適合が悪く、臼蓋が大腿骨頭を十分に覆うことができない状態になります。股関節は、体重の負荷がかかる関節なので骨頭をうける臼蓋の面積が狭いと、その狭い接触面に集中的に力が加わることになります。その結果、軟骨は早く摩耗してしまうことになり、変形性股関節症に進行していきます。

変形性股関節症の進行段階

変形性股関節症は進行は、前股関節症、初期、進行期、末期の4つの段階に分けられます。

前期

臼蓋形成不全など股関節形成に異常がみられる場合でも、臼蓋と大腿骨頭の間の関節の隙間、関節軟骨はまだ保たれている時期になります。

初期

関節軟骨が擦り減り、関節の隙間が狭くなりはじめる時期です。骨の周囲がX線で白くなって見えます(骨硬化)。この時期には、関節の変形の進行を予防するためにも、筋力強化や可動域訓練、生活指導などのリハビリテーションが重要です。

進行期

関節軟骨が広範囲に変性し、すり減ることで関節の隙間が明らかに狭くなります。進行期になると、臼蓋や大腿骨頭の骨硬化部に穴が空洞ができる骨嚢包形成や、関節周囲の異常な骨の出っ張りできてくる骨棘形成といった変化がみられ、股関節症がかなり進行します。症状としては、しゃがみこみが困難になったり(可動域制限)関節曲げ伸ばしの痛み歩行時痛がとれなくなります。

末期

関節軟骨の擦り減りが広範囲で、それが完全に消失し、臼蓋と大腿骨頭の関節の隙間が完全になくなります。体重のかかる部分の骨は擦り減り、大腿骨頭が潰れて扁平化してしまいます。進行すると、安静時の痛みが出現し、日常生活動作での支障も大きくなります。治療としては、主に人工股関節置換術を行います。

変形性股関節症の画像診断

単純X線写真にて診断を行います。また必要に応じて、CTとMRIなどの検査を行います。

正股関節の正面レントゲン像にて骨盤の寛骨臼と大腿骨頭の間に間隙を認める場合、骨盤の寛骨臼と大腿骨頭には軟骨が正常に存在しているため、股関節は正常な状態だと考えられます。

しかし、変形性股関節症の場合は、関節裂隙(臼蓋と大腿骨頭の隙間)の狭まり、軟骨下骨の骨硬化像、骨嚢胞、骨棘形成などを認めるます。その変化の程度を評価して、関節症の進行具合を確認します。

また、変形性股関節症の基となる、臼蓋形成不全股関節脱臼、亜脱臼の有無を確認していきます。先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全がある場合、骨頭の位置が正常より外側に位置して、臼蓋の重なりが少なくなります。さらに、末期になると大腿骨頭も扁平化した状態が画像から読み取ることができます。

 

股関節に限らず、関節は一度変形したら元に戻ることは不可能です。変形性股関節症は、早期発見早期の対応が重要になります。股関節に異常を感じる方は当院までご相談ください。

当院のご紹介

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当院は、一般的な関節の痛みや筋肉の痛みを診る整形外科の他に、「脊椎(首・腰)」、「肩関節」、「股関節」、「膝関節」、「手」、「足」とそれぞれの専門家が集まった専門外来を用意しております。

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Author

高橋佳佑

理学療法士、ピラティスインストラクター

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