足立慶友医療コラム

股関節周辺の血管の働きと疾患との関係

2025.08.12

股関節に痛みや違和感を覚えるとき、その原因は骨や軟骨だけにあるとは限りません。実は、股関節の健康は、その周辺を網の目のように走る「血管」の状態に深く関わっています。

血管は、股関節を構成する骨や組織に酸素や栄養を届け、不要な老廃物を運び去る生命線です。この血流が何らかの理由で滞ると、股関節に深刻な問題を引き起こすことがあります。

この記事では、股関節周辺の血管が持つ基本的な働きから、血流障害が原因で起こる代表的な疾患、そして健やかな血流を維持するための生活習慣まで、網羅的に解説します。

ご自身の股関節の状態を深く理解し、今後の健康管理に役立てるための一助となれば幸いです。

股関節の健康を左右する血管の重要な役割

私たちの体を支え、歩行などの基本的な動作を可能にする股関節は、非常に多くの組織が集まってできています。これらの組織が正常に機能するためには、絶えず新鮮な酸素と栄養が必要です。

その重要な供給ラインの役割を担っているのが血管です。ここでは、股関節の生命線ともいえる血管の基本構造と、その働きについて詳しく見ていきましょう。

股関節に栄養を届ける動脈

心臓から送り出された新鮮な血液を全身に運ぶのが動脈の役目です。

股関節周辺も例外ではなく、太い動脈から枝分かれした無数の細い動脈が、大腿骨の骨頭(骨の先端の丸い部分)や関節を包む関節包、周辺の筋肉に分布しています。

特に大腿骨頭は、体重を支える重要な部分でありながら、栄養を供給する血管が限られています。このため、血流が少し滞るだけでも、骨の健康に大きな影響が出やすい構造になっています。

股関節周辺の主要な動脈

動脈の名称主な役割特徴
内腸骨動脈骨盤内の臓器や股関節後方に栄養供給閉鎖動脈などの重要な枝を出す
大腿動脈股関節前方から太もも全体への栄養供給体表から脈を触れやすい太い血管
大腿深動脈大腿骨本体や周辺の筋肉に深く分布内側・外側大腿回旋動脈を分岐させる

老廃物を運び出す静脈

動脈が栄養を届ける「往路」だとすれば、静脈は組織で使われた後の二酸化炭素や老廃物を回収して心臓に戻す「復路」の役割を担います。

股関節周辺の筋肉や組織が活動すると、乳酸などの老廃物が生まれます。静脈の流れがスムーズであれば、これらの老廃物は速やかに処理され、疲労回復も早まります。

しかし、静脈の血流が滞ると、老廃物が溜まり、股関節のだるさや重さ、むくみといった不調の原因となることがあります。

毛細血管が担う細やかな供給網

動脈と静脈をつなぐのが、全身に張り巡らされた毛細血管です。非常に細い血管ですが、この場所で実際に酸素と栄養素の受け渡し、そして二酸化炭素と老廃物の回収が行われます。

股関節の軟骨自体には血管がありませんが、軟骨のすぐ下にある骨(軟骨下骨)には毛細血管が豊富に存在し、関節液を通じて軟骨に栄養を供給する上で間接的に重要な役割を果たしています。

この毛細血管の血流が良好であることが、股関節全体の健康維持につながります。

なぜ股関節の血流は滞りやすいのか

股関節は体の深部にあり、多くの筋肉や脂肪に覆われています。また、長時間座り続けるなど同じ姿勢でいることが多い現代の生活様式は、股関節周辺の筋肉を硬くし、血管を圧迫しがちです。

さらに、体重を支えるという構造上、常に大きな圧力がかかっていることも、血流が滞りやすい一因と考えられます。

これらの要因が重なることで、股関節は他の部位に比べて血行不良に陥りやすい傾向があります。

股関節の血流が低下する主な要因

股関節周辺の血流は、様々な要因によって低下する可能性があります。その原因は、日々の何気ない習慣から、予期せぬ怪我、あるいは全身性の疾患まで多岐にわたります。

ご自身の生活の中に、血流を妨げる要因が隠れていないか、ここで一度確認してみましょう。

日常生活に潜むリスク

私たちの普段の生活習慣が、知らず知らずのうちに股関節の血流を悪化させていることがあります。特に運動不足は、筋肉のポンプ作用を低下させ、血行不良の大きな原因となります。

長時間同じ姿勢でいるデスクワークや、足を組む癖なども、股関節周辺の血管を圧迫し、血流を妨げます。

また、食生活の乱れは血液をドロドロにし、喫煙は血管を収縮させるため、股関節への血流低下に直結します。

血流を悪化させる生活習慣

習慣血流への影響具体的な行動例
運動不足筋ポンプ作用の低下、代謝の悪化長時間座りっぱなし、歩く機会が少ない
偏った食生活血液粘度の上昇(ドロドロ血)脂っこい食事、野菜不足、水分不足
喫煙・過度の飲酒血管の収縮、動脈硬化の促進毎日の喫煙、習慣的な深酒

外傷が及ぼす直接的な影響

転倒や事故による股関節周辺の骨折、特に大腿骨頸部骨折や脱臼は、股関節に栄養を送る血管を直接損傷する可能性があります。

血管が断裂したり、骨のずれによって圧迫されたりすると、その先の領域への血液供給が完全に、あるいは部分的にストップしてしまいます。

この状態が続くと、骨の組織が深刻なダメージを受けることになり、後述する大腿骨頭壊死症のような重篤な疾患につながる危険性が高まります。

全身の健康状態と股関節の血流

股関節の血流は、全身の健康状態を映す鏡でもあります。例えば、動脈硬化は全身の血管を硬く、狭くする病気であり、当然ながら股関節周辺の血管もその影響を受けます。

また、糖尿病は毛細血管にダメージを与えやすく、高血圧は血管に常に高い圧力をかけることで血管を傷つけます。

これらの全身性の疾患は、股関節への安定した血液供給を妨げる大きな要因となります。

全身疾患と股関節血流への影響

疾患名血管への主な影響股関節へのリスク
動脈硬化血管が硬くなり、内腔が狭くなる血流量の全体的な低下
糖尿病毛細血管がもろくなり、血流が悪化末梢組織への栄養不足
高血圧血管壁への持続的な圧力による損傷血管の弾力性低下

年齢と共に変化する血管の状態

加齢もまた、血流に影響を与える避けられない要因の一つです。年齢を重ねるとともに、誰でも血管は弾力性を失い、硬くなる傾向があります。

これは生理的な変化であり、動脈硬化とは異なりますが、血流を効率的に送り出す力は徐々に低下していきます。

このことにより、若い頃と同じ生活をしていても、股関節への血流量が減少し、疲労感や回復の遅れを感じやすくなることがあります。

血流障害が招く股関節の代表的な疾患

股関節への血流が慢性的に不足すると、様々な不調や病気を引き起こす可能性があります。

単なる「血行が悪い」という状態から、骨そのものがダメージを受ける深刻な疾患に至るまで、その影響は様々です。

ここでは、血流障害が直接的、あるいは間接的な原因となって発症する代表的な股関節疾患について解説します。

骨が壊死する大腿骨頭壊死症

血流障害によって引き起こされる股関節疾患の中で、最も代表的で深刻なものが「特発性大腿骨頭壊死症」です。

これは、何らかの原因で大腿骨頭への血流が途絶え、骨の組織が死んでしまう(壊死する)病気です。壊死した骨は強度を失い、体重を支えきれなくなって潰れてしまいます(陥没)。

この骨の変形が、股関節の激しい痛みや機能障害を引き起こします。原因が特定できない「特発性」が多いですが、後述する危険因子が知られています。

軟骨のすり減りと血流の深い関係

中高年に多い「変形性股関節症」は、主に関節軟骨がすり減ることで痛みや動きの制限が起こる病気です。

軟骨には血管が通っていませんが、その健康は関節を包む滑膜や軟骨の下の骨(軟骨下骨)の血流に大きく依存しています。

血流が悪化すると、軟骨の再生に必要な栄養が十分に行き渡らず、軟骨の変性や摩耗が進みやすくなると考えられています。

また、血行不良は関節周辺の筋肉を硬くし、痛みを増強させる要因にもなります。

変形性股関節症の進行と血流の関連性

進行段階状態血流の関わり
初期軟骨が弾力を失い始める栄養不足により軟骨の質が低下
進行期軟骨がすり減り、骨棘ができる炎症物質が溜まりやすくなり痛みを増強
末期軟骨が消失し、骨が変形する骨の修復能力が低下し、変形が進行

原因不明の痛みと血行不良

レントゲンなどの画像検査では明らかな異常が見つからないにもかかわらず、股関節に持続的な痛みやだるさを感じる場合があります。

このようなケースでは、股関節周辺の筋肉や軟部組織の血行不良が痛みの原因となっている可能性があります。血流が滞ると、筋肉内に疲労物質や発痛物質が溜まりやすくなります。

また、筋肉が酸素不足に陥り、硬くなることで、関節の動きがスムーズでなくなり、さらなる痛みを引き起こすという悪循環に陥ることも少なくありません。

大腿骨頭壊死症と血管の密接なつながり

股関節の病気の中でも、血管との関係が最も直接的で深刻なのが大腿骨頭壊死症です。この病気の本質は「血流の途絶」にあります。

なぜ血の流れが止まると骨が死んでしまうのか、そしてどのような人がなりやすいのか。

ここでは、大腿骨頭壊死症と血管の切っても切れない関係について、さらに深く掘り下げていきます。

大腿骨頭への血流が途絶えるとは

大腿骨頭は、人体の中でも特に血流が途絶えやすい部位の一つです。なぜなら、骨頭を栄養する主要な血管が非常に限られており、そのルートが限定されているためです。

特に成人では、大腿骨頸部を通る「外側大腿回旋動脈」からの血流が大部分を占めます。

この細い血管が何らかの理由で詰まったり、圧迫されたりすると、代替ルートが少ないために、骨頭は一気に栄養不足・酸素不足の状態に陥ってしまいます。

この血流のシャットダウンが、骨細胞の壊死を引き起こす直接の引き金となります。

骨の構造が崩れていく過程

血流が途絶えて壊死した骨は、もろく、スカスカの状態になります。しかし、壊死してすぐに痛みが現れるわけではありません。初期の段階では自覚症状がないことがほとんどです。

問題は、壊死した部分に体重がかかり続けることで発生します。健康な骨であれば体重を支えられますが、もろくなった壊死骨は圧力に耐えきれず、徐々に潰れていきます。

この「陥没」が始まると、大腿骨頭のきれいな球形が崩れ、関節の適合性が悪化し、強い痛みや可動域の制限といった症状がはっきりと現れてきます。

血流障害を引き起こす危険因子

大腿骨頭壊死症は、原因がはっきりしない「特発性」とされていますが、発症リスクを高めるいくつかの危険因子が明らかになっています。

これらは、大腿骨頭への微細な血流を妨げる作用を持つと考えられています。

  • ステロイド薬の大量使用
  • アルコールの多量摂取
  • 喫煙
  • 特定の血液疾患(例:鎌状赤血球症)

特に、ステロイド薬とアルコールは二大危険因子として知られています。

ステロイドは、体内の脂質代謝に影響を与えたり、血液の凝固を高めたりすることで、細い血管を詰まらせやすくすると考えられています。

アルコールも同様に、血中の脂肪粒子を増やし、血流を妨げる可能性があります。これらの因子に心当たりがある場合は、特に注意が必要です。

大腿骨頭壊死症の危険因子

危険因子血管への考えられる作用注意点
ステロイド薬脂質代謝異常、血液凝固能の亢進他の疾患治療で大量使用した場合
アルコール血中脂肪の上昇、血管内皮細胞の障害習慣的な多量飲酒
喫煙血管収縮、血液粘度の上昇本数や期間に関わらずリスクとなる

変形性股関節症の進行と血流

変形性股関節症は、主に加齢や体重負荷によって関節軟骨がすり減る病気ですが、その進行の背景には血流の状態が深く関わっています。

血流は、関節の健康を維持し、修復する力を支える基盤です。血行が良い状態を保つことは、変形性股関節症の進行を緩やかにし、症状を和らげる上で非常に重要です。

軟骨の健康と栄養供給

関節軟骨には、それ自体に血管は通っていません。では、どうやって栄養を得ているのでしょうか。答えは「関節液」です。

関節を包む滑膜という組織には毛細血管が豊富にあり、ここから血液中の栄養分が関節液に染み出します。

そして、関節が動くことで関節液が循環し、スポンジのように軟骨に栄養が吸収されるのです。つまり、滑膜への血流が豊富で、質が良いことが、健康な軟骨を維持するための大前提となります。

血行不良は、この栄養供給システムの根幹を揺るがすことにつながります。

炎症反応と血管の働き

変形性股関節症が進行すると、すり減った軟骨の破片などによって関節内に炎症が起こります。炎症が起こると、体はそれを治そうとして血管を拡張させ、多くの血液を送り込みます。

この反応自体は修復のために必要なのですが、炎症が長引くと、痛みを引き起こす物質(発痛物質)も一緒に溜め込んでしまいます。

また、慢性的な炎症は血管の壁を傷つけ、血流をさらに悪化させるという悪循環を生むこともあります。

血行を良くすることは、これらの発痛物質や炎症物質を速やかに排出し、痛みを和らげる助けになります。

炎症と血流の悪循環

段階状態結果
1. 軟骨摩耗関節内に微細な損傷が発生炎症反応の開始
2. 炎症発生発痛物質や炎症物質が産生される痛みや腫れが出現
3. 血行不良炎症物質の排出が滞る痛みが慢性化し、さらに炎症が悪化

血行促進による痛みの緩和

股関節周辺の血行を促進することは、変形性股関節症の痛みを和らげる上で有効なアプローチです。血流が改善すると、次のような良い効果が期待できます。

第一に、筋肉に十分な酸素が供給され、硬くなった筋肉がほぐれやすくなります。筋肉が柔らかくなると、関節への負担が軽減されます。

第二に、溜まっていた発痛物質や疲労物質が洗い流され、痛みが直接的に軽減します。

そして第三に、関節組織への栄養供給が改善し、自己修復能力を高めることにもつながります。

股関節の血流を健やかに保つためのセルフケア

股関節の疾患を予防し、症状を悪化させないためには、日頃から股関節周辺の血流を良好に保つ意識が大切です。

特別な器具や薬に頼るだけでなく、毎日の生活習慣を見直すことで、血流は大きく改善する可能性があります。

ここでは、食事、運動、そして日常生活の工夫という3つの側面から、今日から始められるセルフケアを紹介します。

食事から見直す血管の健康

私たちが口にするものは、血液の質や血管の状態に直接影響します。「血液サラサラ」という言葉をよく耳にしますが、まさにそのような状態を目指すことが大切です。

そのためには、まず脂質の多い食事や塩分の摂りすぎを控え、血管に負担をかけない食生活を心がけます。その上で、血行促進や血管の健康維持に役立つ栄養素を積極的に取り入れましょう。

血流改善に役立つ栄養素

栄養素主な働き多く含まれる食品
EPA・DHA血液を固まりにくくし、流れを良くする青魚(サバ、イワシ、アジなど)
ビタミンE血管の拡張を助け、血行を促進するナッツ類、アボカド、かぼちゃ
クエン酸疲労物質の分解を助け、血流を改善する梅干し、レモン、お酢

無理なく続ける血行促進エクササイズ

運動は血行促進の最も効果的な方法の一つです。特に股関節周りの血流を改善するには、大きな筋肉を動かすことと、関節を柔軟に保つことが重要です。

痛みがある場合は無理は禁物ですが、ご自身の状態に合わせて、できる範囲で体を動かす習慣をつけましょう。

  • ウォーキング
  • 水中ウォーキング
  • サイクリング
  • 股関節のストレッチ

ウォーキングなどの有酸素運動は、全身の血流を良くするのに効果的です。水中では浮力によって股関節への負担が減るため、痛みがある方にもおすすめです。

また、お風呂上がりなどの体が温まっている時に、股関節周辺の筋肉をゆっくり伸ばすストレッチを行うと、筋肉の柔軟性が高まり、血行が促進されます。

日常で心がけたい温活と姿勢

体を温める「温活」は、血流改善の基本です。特に下半身が冷えると、股関節周辺の血流も滞りがちになります。

シャワーだけで済ませず、なるべく湯船に浸かって体を芯から温める習慣をつけましょう。服装も、体を締め付けるようなものは避け、ゆったりとしたものを選びます。

また、長時間同じ姿勢でいることを避け、デスクワークの合間に立ち上がって軽く体を動かすなど、こまめに姿勢を変えることも、血流の滞りを防ぐ上で非常に有効です。

これらの小さな工夫の積み重ねが、股関節の健康を守ることにつながります。

股関節と血管に関するよくある質問

ここまで股関節と血管の関係について解説してきましたが、まだ疑問に思う点もあるかもしれません。

最後に、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。ご自身の状態を理解する上での参考にしてください。

Q. 股関節周りが冷たいのは血流が悪い証拠ですか?

A. その可能性は高いと考えられます。股関節周りやお尻が他の部位に比べてひんやりと感じる場合、その部分の血行が悪化しているサインかもしれません。

血流が低下すると、体温を運ぶ血液が十分に行き届かなくなり、表面温度が下がります。特に、筋肉量が少ない方や、長時間座っていることが多い方は、冷えを感じやすい傾向があります。

温かい服装を心がけたり、軽い運動を取り入れたりして、血行を促すことをお勧めします。

Q. マッサージやサプリメントは股関節の血流改善に有効ですか?

A. 一定の効果は期待できますが、それだけで根本的な解決にはなりません。マッサージは、硬くなった筋肉を一時的にほぐし、局所の血流を改善する助けになります。

サプリメントも、血行促進に役立つとされる成分を補うことはできます。

しかし、これらはあくまで補助的な手段です。血流が悪くなっている根本的な原因(運動不足、食生活の乱れ、姿勢の癖など)を改善しない限り、効果は持続しにくいでしょう。

生活習慣の見直しを基本とした上で、上手に活用することが大切です。

Q. どのような症状があれば専門機関に相談すべきですか?

A. 以下のような症状が続く場合は、自己判断で様子を見ずに、整形外科などの専門機関を受診することを強く推奨します。

  • 安静にしていても股関節が痛む
  • 歩くと強い痛みが出て、長距離歩けない
  • 靴下を履く、爪を切るといった動作が困難になった
  • 痛みがだんだん強くなっている

特に、安静時痛や夜間痛がある場合は、大腿骨頭壊死症などの重篤な疾患の可能性も考えられます。早期に正確な診断を受けることが、適切な治療への第一歩です。

Q. 運動はどのくらいの強度で行うのが良いですか?

A. 「心地よい疲労感」や「少し汗ばむ程度」が目安です。痛みを感じるほどの強い運動は、かえって炎症を悪化させたり、筋肉を傷つけたりする可能性があるため避けるべきです。

特に運動習慣がなかった方は、短い時間のウォーキングなど、軽いものから始めてください。大切なのは強度よりも継続することです。

毎日少しずつでも続けることで、徐々に血流は改善していきます。もし運動中に痛みが増すようなら、すぐに中止し、運動の種類や強度を見直す必要があります。

以上

参考文献

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Author

北城 雅照

医療法人社団円徳 理事長
医師・医学博士、経営心理士

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