鼠径部痛症候群はグローインペイン症候群と呼ばれ、サッカー選手に多く、いったんかかると治癒に時間がかかる怪我です。
今回は鼠径部痛に関しての説明をさせて頂きます。
(文章中に、日本整形外科スポーツ医学会が配布しているスポーツ損傷シリーズ「鼠径部痛症候群」の図を利用させて頂きました。ぜひこちらもご活用下さい。)
目次
今回の10秒まとめ
①鼠径部痛症候群は、フットボールに多い怪我である。
②鼠径部痛症候群は、臨床所見や画像検査にて疼痛の原因を特定するのが重要である。
③鼠径部痛症候群は、全身の機能不全から鼠径部に負担を与え、疼痛を引き起こす。
④鼠径部症候群は、痛みが生じた早期の段階から身体の機能不全を根本から改善させる事が重要。
鼠径部痛症候群(グローインペイン症候群)とは?
アスリートの鼠径部痛はサッカー・ラグビー・アメリカンフットボールなどのフットボールに多く発生します。
これらのスポーツは高負荷のキック動作などに加えて繰り返しの方向転換が多い競技特性があり、骨盤と下肢の連結部である鼠径部に大きな負荷がかかり鼠径部痛が誘発されます。
鼠径部痛症候群の診断は?
鼠径部痛の診断は、臨床所見や画像所見を複合的に判断して行いますが、疼痛の原因を同定するのは非常に難しいと言われています。しかし疼痛の原因を明らかにして適切な処置を行う事が重要と言えます。
ドーハ分類
圧痛所見と抵抗時痛を中心とした身体所見による評価を用いて疼痛の原因を分類します。
〇内転筋関連鼠径部痛(adductor-related groin pain)
-圧痛:内転筋の恥骨付着部
-抵抗時痛:股関節内転運動
〇腸腰筋関連鼠径部痛(iliopsoas-related groin pain)
-圧痛:腸腰筋の遠位部
-抵抗時痛:股関節屈曲運動
※大腿直筋近位部損傷との鑑別が重要
〇鼠径部関連鼠径部痛(inguinal related groin pain)
-圧痛:鼠経管とその周囲
-抵抗時痛:腹筋運動・Valsalvaテスト
〇恥骨関連鼠径部痛(pubic-related groin pain)
-圧痛:恥骨結合部
-抵抗時痛:基本的になし(内転筋関連鼠径部痛との鑑別が困難な場合もある)
〇股関節関連鼠径部痛(hip-related groin pain)
-疼痛・理学所見・画像診断を合わせて診断を行う。
(寛骨臼関節唇損傷や股関節軟骨損傷・FAIが挙げられる。)
画像検査
鼠径部痛や股関節痛の診断に、単純X線検査や骨形態評価は必須です。単純X線検査では、股関節内の骨の変形を確認できます。MRIでは、骨髄浮腫や筋損傷に伴う出血や浮腫性変化などを描出する事が可能で、関節唇損傷などの診断も可能です。
鼠径部痛発生の予防トレーニングは?
サッカーの鼠径部痛の2/3以上が内転筋関連鼠径部痛で最も多く、内転筋の筋力低下は鼠径部痛の重要かつ修正可能な危険因子です。
「コペンハーゲン内転筋エクササイズ」は、内転筋力を鍛えるトレーニングで、鼠径部痛の発症を減らすことが報告されています。
難易度は3段階で痛みに応じてレベルを下げていきます。
(レベル3:高負荷~レベル1:低負荷)
Aが開始・終了位置でBの姿勢まで2~3秒かけて足を持ち上げます。また2~3秒かけてAの姿勢に戻ります。
当院のご紹介
各部門の専門家が集まった専門外来を設置
当院は、一般的な関節の痛みや筋肉の痛みを診る整形外科の他に、「脊椎(首・腰)」、「肩関節」、「股関節」、「膝関節」、「手」、「足」とそれぞれの専門家が集まった専門外来を用意しております。
他院で診断がつかない症状に関して、各領域の専門家が診察をいたします。
手や足が痺れる、膝や股関節は痛い、背中が曲がってきたなどの症状でお困りの方へ
都内最大級のリハビリ室を完備
患者様の健康を取り戻すため、当院ではリハビリテーションに力を入れております。
国家資格を有するセラピスト達が、責任を持って治療を行います。
腰が痛い、姿勢が悪い、歩くとふらつくなどの症状でお困りの方へ
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当院は、整形外科専門医が交通事故治療を行う医療機関です。