スマホの使い過ぎや女性に多い、手首や指の痛みが生じる腱鞘炎についてお伝えします。
(文章中に、日本整形外科学会が配布している整形外科シリーズ『ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)』の図を利用させていただきました。ぜひこちらもご活用ください。)
目次
今回の10秒まとめ
①腱と腱鞘の間で摩擦が生じて起こる炎症が「腱鞘炎」になります。進行するとばね指になることもあります。
②親指の伸ばしたり曲げたりを繰り返して炎症が起こる腱鞘炎を、ドケルバン病といいます。
③腱鞘炎の原因は、日常生活の中でのスマートフォンの長時間の利用や書き仕事のし過ぎ等の指や手の使い過ぎになります。
④腱鞘炎の症状は、指の付け根などに痛みや腫れが起こります。運動時に症状が強くなります。
⑤腱鞘炎の診断は、腫れや痛みの状態や運動時に痛みが増強するかどうかを確認していきます。ドケルバン病の診断には、フィルケルシュタインテストという方法があります。
⑥腱鞘炎の治療は、痛みや腫れが落ち着くまで手首や指の運動を控え、安静にすることです。
⑦炎症、痛みが少し落ち着いてきたら、手首や指のストレッチを痛みのない範囲で行っていきましょう。
⑧消炎鎮痛薬やステロイドの注射を用いた治療法で保存的な治療が続けられますが、症状が改善しなければ外科的な治療も行われます。
腱鞘炎とは
人間は関節を筋肉の力を利用して動かしています。筋肉が骨に付着する部分の筋肉主体部よりにある結合組織の一つを腱といいます。その腱は「腱鞘」というトンネルの中を通っており、腱鞘は腱の浮き上がりを抑えている組織です。腱と腱鞘の間で摩擦が生じて起こる炎症が「腱鞘炎」になります。
腱鞘炎は、特に手や指の使い過ぎによっておこる疾患で、炎症が起こると手首等に痛みや腫れが現れます。腱鞘炎が進行してくると、腱がひっかかって、縮んだばねのように指が開かなくなる現象や指の曲げ伸ばしの際に引っかかりが起こる「ばね指」になることもあります。
また、親指の伸ばしたり曲げたりを繰り返して炎症が起こる腱鞘炎を、ドケルバン病といいます。
腱鞘炎は、妊娠中、産後、更年期などのホルモンバランスの崩れによることもあり、女性に多い疾患になります。
腱鞘炎の原因
腱鞘炎は、腱と腱鞘の使い過ぎによる摩擦が原因になります。
日常生活の中での、指や手の使い過ぎが大きな要因になります。
・書き仕事のし過ぎ
・ピアノやその他の楽器の演奏のし過ぎ
・キーボード操作(パソコン業務)のし過ぎ
・スポーツでの酷使のし過ぎ
腱鞘炎の症状
腱鞘炎の症状は、指の付け根などに痛みや腫れが起こります。運動時に症状が強くなります。
ドケルバン病になると、親指の運動時に痛みが生じたり、親指周囲に腫れが生じます。
ばね指になると、指の曲げ伸ばしの時にばねのように引っ掛かりが生じる「ばね現象」が症状として起こります。
手首や指に痛みや腫れが出てしまうと、日常生活の中での細かい動きに制限が出てきます。例えば、つまみ動作が困難になったり、字が書きづらくなったり、スムーズにキーボード操作ができなくなったりします。
普段できていた細かい手首や指の動きができなくなってしまうことも症状の一つとして挙げられます。
腱鞘炎の診断
腱鞘炎の診断は、腫れや痛みの状態を確認します。指や手首の運動時に痛みが増強するかどうか、日常生活の中で指や手首の使い過ぎがないかどうかを問診で確認していきます。
ばね指は、ばね現象、指の曲げ伸ばしがスムーズに行なえず指の運動に引っ掛かりがあるかどうかを確認します。
ドケルバン病の診断には、フィルケルシュタインテストという方法があります。これは、親指を内側に入れて握りこぶしを作り、手首をゆっくり小指側に曲げたときに手首周辺に痛みが出現するかどうかを確認する方法です。
腱鞘炎の治療
腱鞘炎は、あくまで炎症を起こしている状態なので、痛みや腫れが落ち着くまで、手首や指の運動を控え、安静にすることが治療になります。炎症が強いのにもかかわらず、動かしてしまうと炎症、症状が悪化してしまうことになりますので、注意しましょう。場合によっては、テーピング等で患部を動かさないように固定することもあります。
痛みが少し落ち着いてきたら、手首や指のストレッチを痛みのない範囲で行っていきましょう。
安静加療、及び消炎鎮痛薬やステロイドの注射を用いた治療法で保存的な治療が続けられますが、症状が改善しなければ、外科的な治療も行われます。
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