足立慶友医療コラム

自宅でよく転んでしまう…住宅環境で転倒予防

2020.05.02


今回は、「転倒予防と住宅改修について」についてのお話です。ご高齢の方が入院する理由の50%以上が転倒に伴う外傷がきっかけになっています。そして、転倒と聞くと自宅外で起こること思われる方も多いと思いますが、高齢の方が転倒する場所の多くはご自宅です。つまり、転倒を予防するためには、物的環境、特に住宅環境整備は重要です。

そこで、転倒しやすい環境とその解決策を説明していきたいと思います。

今回の10秒まとめ

①身体機能の低下によって高齢者は、カーペットや敷居などの段差でも足を取られて転倒してしまいます。

②日中に長い時間を過ごす居間には、物・カーペットなど転倒する要因は潜んでいます。

階段は年齢を重ねると転倒リスクもあり、また移動の難易度が高いものとなってきます。

④台所では転倒リスクは低いですが、高い棚から食器や調理器具を取るには注意が必要です。

⑤浴室の濡れている場所やトイレの排泄後にも転倒する危険があります。

何度も転倒を繰り返す方は、転倒を繰り返す原因を検索する必要があります。

転倒しやすい環境とは?

身体機能の低下によってすり足で歩きやすい高齢者は、カーペットや敷居などのちょっとした段差でも足を取られて転倒することがあります。居間などの居室についても注意が必要です。

時には、段差のない廊下やフローリングで足を滑らせることもあります。

転倒の場所が起きやすい場所は、「居間・茶の間・リビング」の割合が20.5%と最も多く、次いで「玄関」が17.4%、「階段」13.8%、「寝室」10.3%、「廊下」8.2%、「浴室」6.2%の順となっています。

転倒しやすいチェック箇所と改善策

居間・床

日中に長い時間を過ごす居間には、物・家具・絨毯など転倒する要因は多く潜んでいます。

またスリッパなどの履物にも注意が必要になります。

 

1.床に物が散乱していたり、

絨毯やカーペットに足が引っ掛かる。

→床の障害物などを除去し、

絨毯を除去するもしくは隙間をなくす。

2.線やコードが跨ぐ必要がある。

→コード類をまとめて壁近くに固定する。

→別の場所にコンセントを設置する。

階段

階段は年齢を重ねると転倒リスクもあり、また移動の難易度が高いものとなってきます。

もし、関節の痛みや昇り降りに大変さを感じているのであれば生活範囲を1階にするのも一つの手でしょう。

 

1.手すりがついているか?

→手すりを設置する。

2.夜間時に照明が点灯するか?

→センサーライトや常夜灯を設置する。

台所

台所自体に転倒リスクは低いですが、食器や調理器具を取るときの棚には注意が必要です。

 

1.よく使う物が棚の上に置いてあるか? →腰の高さより低い収納へ物を移動する。
2.足台は安定しているか?

→手すり付き足台を使用する。

※椅子を足台にする事は危険です)

 

浴室・トイレ

浴室の濡れている場所やトイレの排泄後にも転倒する危険があります。

 

1.浴槽の出入りに苦労している、

または介助が必要である。

→手すりの設置や浴槽内の高さ調節する。
2.立ち座りに介助が必要である。

→手すりを設置する。

寝室

特に夜間は、転倒のリスクが高くなります。寝起きや暗所による視界の低下など転倒する要因が増えます。

 

1.寝具は敷布団なのか、ベッドなのか?

→敷布団からの立ち上がりは難易度が高い。ベッドの導入を検討する。

2.寝室とトイレの位置関係は?

→寝室とトイレが別の階にある場合、

特に夜間の転倒リスクが高くなる。

→夜はポータブルトイレ使用を検討する。

私達は転倒リスクがあるかを確認するだけでなく、転倒をいかに回避するかを多方面から検討していきます。

1回の転倒により動けなくなってしまうと、身体機能が低下しさらに転倒しやすくなるといった、「悪循環」が生じます。

それをいかに断ち切るかが、リハビリテーションに関わる者の課題でもあります。

何度も転倒を繰り返す方は、転倒を繰り返す原因を検索する必要があります。

是非一度当院の専門外来をご受診ください。

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Author

竹内 雄登

理学療法士・ピラティスインストラクター・住環境福祉コーディネーター

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