足立慶友医療コラム

交通事故にあってしまった時どうすればいいの?

2019.08.02

不幸にも交通事故にあってしまい、整形外科を受診される患者さんが多くいらっしゃいます。

また、いつ何時、自分が交通事故に遭うかわかりません。

今回は、交通事故にあった時の対応についてまとめました。

今回の話の10秒まとめ

① 交通事故にあったら、まずは相手を確認する。

② その次に警察に電話し、人身事故として届出をする。

③ 保険会社に連絡し、相手の保険会社に医療機関への受診を伝える。

④ 接骨院ではなく、必ず整形外科を受診する。

交通事故にあってしまった時に行うこと

事故にあった後の行動を順を追って説明いたします。

⒈ 加害者と加害者車両の確認

まずは相手をしっかりと確認することです。

当然のことですが、交通事故は加害者と被害者の間でのやりとりになるため、その加害者をまずしっかりと特定する必要があります。

 

⒉ 警察への連絡

当事者間で終わらせてはいけません。必ず警察に連絡しましょう。

また、人身事故(事故によって身体に何かしらの障害が出る事故)でも物損事故(物が壊れただけで身体に問題ない事故)で終わらせてしまう場合も多くあるようですが、人身事故で扱うことをオススメします。

物損事故でも自賠責保険が適応になる場合が多いですが、これはあくまで特例であり、自賠責保険が適応されず、病院にかかる費用がすべで自分が支払うようになってしまう可能性もあるので、注意が必要です。

 

⒊ 保険会社への連絡

被害者、加害者共に加入している保険会社に連絡を取りましょう。

歩行中に車などに接触された場合は、必ず加害者側の保険会社の連絡先を確認するようにしましょう。相手方の保険会社の確認が取れない状況で医療機関に受診すると、保険会社の確認が取れるまでは受診に関わる費用は全て自腹になってしまいます。

 

⒋ 医療機関への受診

必ず整形外科などの医療機関を受診してください。

良く整骨院に行かれる方がいらっしゃいますが、整骨院は医療機関ではありません。

ですので、接骨院には絶対に行かないでください。本当にどうしようもなかった場合を除き、私はこのような患者さんの診察しないようにしています。

そもそも整骨院が対応可能なものは、

① 医師の同意のもとでの、脱臼・骨折に対する施術

② 脱臼・骨折の応急対応

のみです。もちろん診断書を作成することができません。

交通事故後に整骨院にかかり、その後しばらくしてから整形外科に受診されても、事故直後の状況がわからないため、現在の症状と事故との関連性を証明することができません。

事故との関連は証明できなければ、費用は全て自己負担になってしまい、結果的に困ってしまうのは患者さん自身です。

繰り返しになりますが、必ず医療機関を受診し、症状が残存する場合は定期的な受診をするようにしてください。

交通事故に健康保険は使用できるの?

交通事故の時に、保険会社から自賠責保険や自身が任意で加入している保険を使用せず、健康保険を使用するように言われすケースも多々見受けることがあります。

結論から言えば健康保険を使用して受診することも可能ですが、患者さんへのデメリットが非常に多くオススメできません。

必ず自賠責保険や任意保険を使用することをオススメします。

以下にデメリットをあげます。

 

⒈ 病院の窓口で患者さん自身が毎回支払いをし、その支払額は自分自身で保険会社に請求する。

一般の受診と同様ですので、毎回の受診に窓口支払いが発生します。その支払いの補償は患者さんご自身で保険会社に請求する必要があります。

 

⒉ 保険会社からの診療内容の問い合わせに、医療機関は対応する義務がなくなる。

健康保険を使用する場合、医療機関と患者さんの間でのみの関係になるので、その診療内容を他者である保険会社に説明する理由はありません。

 

⒊ 後遺障害(事故によって残存してしまった障害)診断書を医療機関が発行する義務がなくなる。

健康保険による診察には後遺障害という概念がありません。そのため、それに関する診断書を発行する義務は医療機関になく、後遺障害の申請をすることができなくなる。

 

⒋ 患者さんの健康保険組合に「第三者行為届」を提出し、健保使用の許可をえる必要がある。

健康保険はみんなで助け合うという理念の元で成り立っているものであり、障害の原因者がわかっている場合は、保険組合がその方に窓口支払い以外の部分を最終的に請求することになります。そのため保険組合にそのような対応をとってもらえるかご自身で許可を取る必要があります。

患者さんにはメリットとしては、ひき逃げや加害者が自賠責保険に加入していない場合に、国に対してかかった部分の費用を請求できるといったものしかありません。

ですので、健康保険は使用せず、自賠責保険や任意保険での受診をオススメします。

Author

北城 雅照

医療法人社団新潮会 理事長
医師・医学博士、経営心理士

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