足立慶友医療コラム

上腕骨外側上顆炎:ものを持つと肘が痛い。

2019.08.02

外来にて、特に転んだなどの外傷歴がないのに、ものが持つ時や握る時の肘の痛みを主訴に受診される方が多くいらっしゃいます。

そのような時には、上腕骨外側上顆炎を強く疑います。

(今回も日本整形外科学会が発行している「上腕骨外側上顆炎」のパンフレットの図を一部使用しております。ぜひ参照ください。)

今回の10秒まとめ。

① 上腕骨外側上顆とは、上腕骨の遠位(肘側)外側にある骨の出っ張った部分のこと。

② 上腕骨外側上顆には、総指伸筋(EDC)と短橈側手根伸筋(ECRB)の付着部がある。

③ EDCとECRBの付着部に微細な機械的損傷が生じると疼痛が出現する。

④ 30-50歳台の特に女性に多く、ものを持つ時やタオルを絞る時に痛みが出現する。

⑤ 除痛にはステロイドの局所投与が効果的だが、頻回の投与は避ける。

⑥ 長期の疼痛コントロールにはEDCとECRBの付着部の柔軟性獲得が重要である。

上腕骨外側上顆炎とは?

上腕骨外側上顆炎とは、その名の通り「上腕骨外側上顆」に「炎症」が生じている状態を示す疾患名です。

上腕骨とは肩から肘にかけてに存在する骨の名称です。そして上腕骨外側上顆とは、上腕骨の遠位(肘側)外側にある骨の出っ張った部分を指します。

この出っ張りには、指を伸ばす総指伸筋(EDC)という筋肉と手関節を伸ばす短橈側手根伸筋(ECRB)という筋肉の根元が合わさってが付着しています。この付着している部分に微細な外傷が生じることが、炎症が起こる原因と考えられております。

上腕骨外側上顆炎の症状は?

症状

  • 肘関節伸展位でものを持ち上げる時に疼痛が出現する。
  • タオルを絞る動作で疼痛が出現する。

多くの場合、安静時の痛みはありませんが、ものをつかんで持ち上げる動作やタオルをしぼる動作をすると、肘の外側から前腕にかけて痛みが出現します。

上腕骨外側上顆炎の特徴は?

特徴

  • 30-50歳台の女性に多い。
  • エコーにて、付着部の腱成分を示す高エコー領域の一部が低エコーを示す。

30歳台以降で多く認める疾患であり、女性の方が発症頻度が高いと言われています。

近年ではエコーの描出も繊細になってきており、疼痛部位の筋腱付着部の変性所見やドプラにて炎症所見を認める場合があります。

上腕骨外側上顆炎の診断は?

診断

  • Thomsenテスト陽性。
  • Chairテスト陽性。
  • 中指伸展テスト陽性。

Thomsenテストとは、患者さんは肘を伸ばしたまま手首手関節を伸ばしてもらい、医師は逆に手関節屈曲させるように負荷をかける検査です。

肘に痛みが出現する場合を陽性と判断します。

Chairテストとは、患者さんに肘を伸ばしたまま椅子を持ち上げてもらう検査です。

肘に痛みが出現する場合を陽性と判断します。

中指伸展テストとは、検者が中指を上から押さえるのに抵抗して、患者さんに肘を伸ばしたまま中指を伸ばしてもらう検査です。

肘に痛みが出現する場合を陽性と判断します。

上腕骨外側上顆炎の治療は?

治療

  • 抗炎症薬の内服や外用やバンドによる固定。
  • 局所へのステロイド投与。
  • EDCやECRBの上腕骨外側上顆に付着する筋腱成分のストレッチ。
  • 肘関節回内運動制限の解除。

まずは、抗炎症薬の内服や外用にて疼痛コントロールを行います。また、バンドなどの固定も有効な場合があります。

除痛には、局所にステロイドの局所投与が有効ですが、腱成分を痛めてしまうため、1週間間隔で3回程度に留めて置くことが推奨されています。

ある程度疼痛の改善を認めたら、肘関節伸展位で手関節を屈曲させるストレッチを行い、上腕骨外側上顆に付着する筋腱成分の柔軟性を確保することで、機械的刺激に対応できる環境づくりを行うことが、長期的な疼痛コントロールに有効です。

疼痛を繰り返している症例では、肘関節の回内運動(前腕は回旋させ、掌を下に向ける運動)が制限されている場合があり、これが疼痛誘発の原因となっている場合もあるため、肘関節の関節可動域を改善させることも有効です。

当院のご紹介

各部門の専門家が集まった専門外来を設置

当院は、一般的な関節の痛みや筋肉の痛みを診る整形外科の他に、「脊椎(首・腰)」、「肩関節」、「股関節」、「膝関節」、「手」、「足」とそれぞれの専門家が集まった専門外来を用意しております。

他院で診断がつかない症状に関して、各領域の専門家が診察をいたします。

整形外科のご案内

手や足が痺れる、膝や股関節は痛い、背中が曲がってきたなどの症状でお困りの方へ

都内最大級のリハビリ室を完備

患者様の健康を取り戻すため、当院ではリハビリテーションに力を入れております。

国家資格を有するセラピスト達が、責任を持って治療を行います。

リハビリテーション科のご案内

腰が痛い、姿勢が悪い、歩くとふらつくなどの症状でお困りの方へ

交通事故診療に強い整形外科専門医が診察

不幸にも交通事故に遭われた患者様の多くは、「事故のことは保険屋さんに聞けば良いが、体の不調をどこに相談すれば良いのかわからない」という悩みを抱えていらっしゃいます。

当院では交通事故診療に強い整形外科専門医が治療を行います。ぜひ一度ご相談ください。

交通事故にあわれた方へ

当院は、整形外科専門医が交通事故治療を行う医療機関です。

Author

北城 雅照

医療法人社団新潮会 理事長
医師・医学博士、経営心理士

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