足立慶友医療コラム

胸郭出口症候群:腕の痺れと姿勢について

2020.12.08

肩関節, 上肢

胸郭出口症候群は、つり革につかまっている時や洗濯物を干していると腕がだるくなる、ボールを投げるときや投げた後に腕が痺れる、などの症状を認める場合、『胸郭出口症候群』が疑われる症状の一つとなります。

(胸郭出口症候群の概要は下記の投稿をご参照ください。)

胸郭出口症候群:肩から手にかけてのしびれや痛み、ダルさ

 

一般的に胸郭出口症候群は、なで肩で生じやすいとされており、姿勢を良くすることが望ましいとされています。

しかしながら、姿勢を良くしようと変えた時に、逆に症状が悪化してしまう場合があります。

そこで、今回は姿勢と胸郭出口症候群の関係について解説させていただきます。

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今回の10秒まとめ

① 胸郭出口症候群は、なで肩になると生じやすいとされており、腕が下に引っ張られることで神経が牽引されたり、筋の間で圧迫されて症状が出てくる。

② 胸郭出口症候群の約75%は、牽引と圧迫が両方の症状が入り混じった混合型とされているため、原因の特定が難しい。

③ 姿勢の修正には「1.肩甲骨を寄せる」、「2.背筋を伸ばす」、「3.胸を張る」の3点のバランスが重要である。

④ 胸郭出口症候群の改善のために姿勢の修正は重要だが、その意識を間違えると症状が悪化する場合がある。

⑤ 姿勢を改善しようとして必要以上に肩甲骨を寄せ、かつ下げることを意識し過ぎていると鎖骨と肋骨の隙間が閉ざされ、間を通る血管や神経が圧迫されてしまい、肋鎖症候群が悪化する場合がある。

⑥ 姿勢の修正として肩甲骨ではなく、過剰に胸を張ることで修正している場合、胸を張る事によって肋骨が持ち上がり、それにより鎖骨に近づき過ぎてしまい、血管や神経が圧迫されて症状が悪化する場合がある。

⑦ 首がストレートネックのような状態で真っすぐになっているとその中を通る神経も伸ばされた状態となる。そこからさらに背筋を伸ばしてしまうと、神経が過剰に引き伸ばされてしまうため、牽引型の症状が悪化する場合があるため注意が必要である。

⑧ 姿勢の修正の仕方によっては症状が悪化する場合、専門家にご相談する。

一般的な胸郭出口症候群の発症メカニズム

一般的な胸郭出口症候群の発症にはなで肩が関与しています。

 

① なで肩になると腕が下方向に牽引された状態が続く。

② 腕が引き下げられると周囲にある筋肉や神経も腕の重みによって牽引される。

③ 首には斜角筋と呼ばれる筋肉があり、腕が引き下げられることによって、斜角筋が引き伸ばされる。

③ 緊張した斜角筋の間を通る腕神経叢と呼ばれる神経の束が牽引されつつ、圧迫を受ける。

④ 腕神経叢の牽引及び圧迫によって、腕の痛みや痺れが出現する。

 

また、なで肩の状態から腕を外側からバンザイすると小胸筋と呼ばれる筋肉のところで圧迫と牽引ストレスを受ける形となり、症状が出やすくなるとされています。

 

胸郭出口症候群の原因の特定

病態のタイプとして圧迫型、牽引型、混合型の3タイプ存在します。

圧迫型 約19%

牽引型 約6%

混合型 約75%

圧迫と牽引の症状が入り混じった混合型が多く占めるため、原因の特定が難しいとされています。

 

姿勢の修正による問題点

基本的に姿勢の修正には

1.肩甲骨を寄せる

2.背筋を伸ばす

3.胸を張る

この3つを意識することが多いかと思います。姿勢の修正にはそのバランスが重要となります。

姿勢の改善が胸郭出口症候群の症状改善のためには大切ですが、一方で、姿勢の意識の仕方によっては症状が逆に悪化してしまうケースもあり、なで肩で姿勢が悪いからといって単純に姿勢の修正すればいいという訳にはいかないのです。

 

肋鎖症候群の悪化の理由

肩甲骨の修正による問題点

基本的に肩甲骨は寄せることが良いとされるイメージがあるかと思います。

しかし、肩甲骨を過剰に寄せて下げてしまうと鎖骨が下がり過ぎてしまいます。

鎖骨が下がりすぎてしまうことで、肋骨との距離が近づき過ぎてしまい、肋骨と鎖骨の間の隙が狭くなってしまいます。

その結果、間を通過する神経が圧迫されて肋鎖症候群が悪化してしまう場合があるので要注意です。

胸を張ることによる問題点

また、姿勢が悪いことを自覚している場合、それを改善しようとして胸を張ることによって身体を起こし、姿勢の改善を試みている方もいます。

このような場合、背骨ではなく、肋骨を動かすことによって姿勢を修正していることになります。

しかし、このような肋骨を過度に持ち上げる姿勢の意識をしてしまうと肋骨が鎖骨と近づき過ぎてしまうため、肋骨と鎖骨の間で神経が圧迫されてしまい、症状が悪化する場合があるため要注意です。

斜角筋症候群の悪化の一因

また、姿勢が悪い場合、背筋を伸ばすことによって修正を図ろうとする場合も多いかと思います。基本的には背筋が丸まっている方の場合は伸ばすことによって改善することが多いかと思います。

しかし、首がストレートネックのような状態で真っすぐになっていると頸椎の中を通る神経も伸ばされた状態となります。

その状態からさらに背筋を伸ばしてしまうと、神経が過剰に引き伸ばされてしまうため、牽引型の症状が悪化する場合があるため要注意です。

背筋を伸ばすと悪化する方は逆に少し背中を丸くすることが大切となる場合もあります。

つまり、自分がどの状態なのかによって対策は異なるのです。

まとめ

胸郭出口症候群の症状は姿勢の修正の仕方によっては逆に症状が増悪する場合もあります。

そのため安易に、なで肩の修正はするべきではないかと思います。特に姿勢を良くすると悪化するような方の場合は上記のようなストレスが理由で症状が悪化している可能性があります。

そのような場合は一度、当院にご相談ください。

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Author

中澤 拓也

■免許・資格
健康・体力づくり事業団 健康運動実践指導者
日本スポーツ協会公認 アスレティックトレーナー
認定理学療法士 運動器・スポーツ理学療法
日本障がい者スポーツ協会 中級障がい者スポーツ指導員

■職歴
2006〜2007 J-フロンテッジ フットボールスクール トレーナー兼コーチ
2006〜2007 国立スポーツ科学センター スポーツ医学研究部 非常勤職員
2006〜2010 アトリオあざみ野 インストラクター兼パーソナルトレーナー
2012〜2019 医療法人社団 紺整会 船橋整形外科病院
2019〜現在  医療法人社団 新潮会 足立慶友整形外科 リハビリテーション科 主任
2018〜現在  千葉障がい者スポーツ指導者協議会 理事・西部ブロック長

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