1.はじめに
2.今回の10秒まとめ
3.筋肉の構造
4.筋肉が収縮する構造
5.筋肉の収縮の種類
6.まとめ
7.当院のご紹介
私たち理学療法士はPhysical Therapist(PT)とも呼ばれます.
ケガや病気などで身体に障害のある人(または発生が予測される人)に対して,基本動作能力(座る,立つ,歩くなど)の回復や維持,および障害の悪化の予防を目的に,運動療法(運動を行うことで疾患の症状の改善や予防を図る)や物理療法(温熱,電気等)などを用いて,自立した日常生活が送れるようします.
治療や支援の内容については,理学療法士が対象者ひとりひとりについて身体能力や生活環境等を十分に評価し,それぞれの目標に向けて適切なプログラムを作成します.
今回は運動療法を行う上で理解が必要な「筋肉」についてのお話をします.
目次
今回の10秒まとめ
筋肉は骨や関節を固定したり, 動かしたりするために活動する.
筋収縮には静的,動的の2種類がある.
収縮の種類には,等尺性・求心性・遠心性がある.
筋肉はどのような運動をするかによってトレーニングのやり方が変わる.
筋肉の構造
筋肉(骨格筋)は,身体の骨や関節を固定したり,動かしたりするために必要な力を提供しています.
筋肉の構造では,「筋束」と呼ばれる束が集まってできています.さらに筋束は「筋線維」と呼ばれる長い線維が束になり構成されています.
そして筋線維の細胞質には,「筋原線維」と呼ばれるタンパク質の束が詰まっています.
筋肉が収縮するしくみ
筋肉を収縮させる装置は,筋線維の中に存在する筋原線維です.筋原線維は,「太い線維」と「細い線維」の2種類が規則正しく交互に並んだ構造をしています.
太い線維は主に「ミオシン」,細い線維は主に「アクチン」というタンパク質から出来ています.
筋肉を収縮させる信号が届くと,太い線維(ミオシンフィラメント)が細い線維(アクチンフィラメント)をたぐりよせ,2つの線維がスライドする仕組みになっています.
その結果,筋原線維全体が短くなり,筋肉の収縮が起こります.このように,骨格筋を自由自在に収縮させ動かすことで,私たちは歩いたり,物を持ち上げたりすることが出来るのです.
筋肉の収縮の種類
筋収縮は関節運動の伴わない静的収縮と関節運動を伴う動的収縮に分けることができます.
収縮様式による筋収縮の分類
等尺性収縮
筋肉の両端が固定され,筋肉の長さが変化しない(関節の動きを伴わない)場合の筋肉の収縮様式(静的収縮)を等尺性収縮という.
例:肘を直角に曲げたまま,動かさないようにしているとき筋肉(上腕二頭筋)の長さは変わらない.他には椅子から少しだけおしりを浮かしている状態(空気椅子)の太ももの筋肉(大腿四頭筋)や体幹の筋力トレーニングのプランクを行っているときのお腹の筋肉(腹直筋)などの収縮様式も等尺性収縮といえます.
筋肉の長さが変化しない,すなわち「等しい尺」であることから,アイソメトリック収縮(isometric contraction)と呼ばれたりもします.
短縮性(求心性)収縮
筋の長さが短縮し,その両端が近づく収縮様式(動的収縮)を短縮性収縮という.
例:ジャンプするときの太ももの筋肉(大腿四頭筋)の収縮や,ダンベルを持ち上げるときの腕の筋肉(上腕二頭筋)の収縮は求心性収縮といえます.このジャンプやダンベルを持ち上げる際の筋肉は,力を発揮するために短縮しているため,コンセントリック収縮(concentric contraction)と呼ばれます.
伸張性(遠心性)収縮
筋肉の長さが伸張し,筋肉の両端が離れるような収縮様式(動的収縮)を伸張性収縮という.
例:立った姿勢から椅子にゆっくり座るときの太ももの筋肉(大腿四頭筋)の収縮や,肘を曲げてダンベルをもち,ゆっくりとおろす動作での腕の筋肉(上腕二頭筋)の収縮は遠心性収縮といいます.
遠心性収縮は,求心性収縮とは逆に筋肉が引き延ばされながら力を発揮するため,エキセントリック収縮(eccentric contraction)と呼ばれる.
運動様式による筋収縮の分類
等張性収縮
筋肉の発生する張力が一定であるような関節運動時の筋収縮(動的収縮)を等張性収縮という.
例:筋トレマシーンなどの滑車につながれたおもりを引くような筋力を等張性筋力といい,そのときの運動を等張性運動という.ただし,おもりを持ち上げるときの筋肉にかかる負荷は,関節の曲げ具合や重力などに影響を受けるため一定とはいえず,靭帯の運動において厳密な等張性収縮はありえないといわれています.
等速性収縮
筋肉の収縮速度が一定となるような関節運動時の筋収縮(動的収縮)を等速性収縮という.
例:関節を動かすとき「等しい速度」での筋肉の収縮のことを言います.等速性収縮の能力を評価するためには,BIODEXと呼ばれる機器を用います.等速性運動中は関節の角速度は一定であるが,実際に筋が等速性収縮をしているわけではなく,実際に筋が等速性収縮をしているわけではなく,真の等速性収縮は前述の等張性収縮と同様にありえない.
まとめ
筋肉を強化するためには収縮様式を知る必要があります.
ジャンプ力を高めるために膝を伸ばすように筋トレを行ったり,スポーツで自分の姿勢を崩されないような体幹を高めたい場合は一定の姿勢を維持するトレーニングを行ったりするといいでしょう.
最後に
私たち理学療法士は患者様の治療をさせていただく際に,このような筋肉の特性を理解し,治療中に運動療法を行っています.患者様の弱っている筋肉や,今後の障害予防のために必要な筋力トレーニングなどをひとりひとりオーダーメイドで実施しています.
スポーツ選手などは特に筋力の低下によるケガの発生は多くなっています.どこか不調を感じていたり,痛みのある部位などあったりする場合は,一度診察を受けていただくことをお勧めします.
当院のご紹介
整形外科の診療に必要な設備が整った診療所
当院は、各種専門領域を持った医師の診療に加え、大学病院と同様の医療機器を有し、かつ、理学療法士・作業療法士によりリハビリテーションも積極的におこなっている診療所です。また、併設の慶友整形外科脊椎関節病院では手術加療も行なっております。
そのため当院では、整形外科疾患におけるほぼ全ての治療を提供することができます。
当院の『7つの特徴』や『ミッション』についてご案内いたします。
各部門の専門家が集まった特殊外来を設置
当院は、一般的な関節の痛みや筋肉の痛みを診る整形外科の他に、「脊椎(首・腰)」、「肩関節」、「股関節」、「膝関節」、「手」、「足」とそれぞれの専門家が集まった専門外来を用意しております。
他院で診断がつかない症状に関して、各領域の専門家が診察をいたします。
手や足が痺れる、膝や股関節は痛い、背中が曲がってきたなどの症状でお困りの方へ。
都内最大級のリハビリ室を完備
患者様の健康を取り戻すため、当院ではリハビリテーションに力を入れております。
国家資格を有するセラピスト達が、責任を持って治療を行います。
腰が痛い、姿勢が悪い、歩くとふらつくなどの症状でお困りの方へ。
交通事故診療に強い整形外科専門医が診察
不幸にも交通事故に遭われた患者様の多くは、「事故のことは保険屋さんに聞けば良いが、体の不調をどこに相談すれば良いのかわからない」という悩みを抱えていらっしゃいます。
当院では交通事故診療に強い整形外科専門医が治療を行います。ぜひ一度ご相談ください。
当院は、整形外科専門医が交通事故治療を行う医療機関です。