足立慶友医療コラム

膝から下がしびれる両足の症状で考えられる病気と整形外科での診療

2025.01.22

膝より下の部分がしびれる症状は、両足ともに起こる場合と片足だけに感じる場合があります。両足で生じるときは、体の負担が大きく、日常生活にも支障を来たすことが少なくありません。

血管や神経、骨の変化など、さまざまな病気が原因となる可能性があります。整形外科では診断のための検査や治療を行い、患者さんが快適に暮らせるようサポートします。

両足のしびれが続くときは、原因を正しく理解し、適切な対応を取ることが大切です。

膝から下がしびれる両足の症状とは

両足の膝から下にしびれを感じると、歩行や立ち仕事といった場面で負担が増え、生活に支障が出やすくなります。

感じ方には個人差があり、チクチクした違和感や強い痛みをともなうケースもあります。まずは、どのような症状として現れやすいのかを知ることが重要です。

しびれが起こるタイミング

多くの方が朝起きた瞬間や、長時間同じ姿勢を続けたあとにしびれに気づきます。血行が悪くなっている時などは神経にも負荷がかかりやすく、しびれが強まりやすい傾向があります。

痛みをともなう場合とともなわない場合

しびれに痛みが伴う場合は、神経や血管に加えて骨や関節に原因があることも考えられます。

痛みを感じず、ただ感覚が鈍くなる程度のしびれの場合は、ビタミン不足や軽度の血流障害が関連していることがあります。

足先だけでなく太ももにも広がるケース

膝から下のしびれでも、状態が悪くなると太ももまで影響が及ぶことがあります。

たとえば腰部脊柱管狭窄症のように神経が圧迫される病気では、太ももやお尻、腰にまで痛みやしびれが及ぶ可能性があります。

日常生活に及ぼす影響

両足のしびれは歩行速度の低下、長時間の立ち仕事が難しいなどの問題を招きます。転倒のリスクが高まることもあるため、重症化する前に原因を追究して対処することが重要です。

膝から下がしびれる両足の症状と関連して多く挙げられる状態

症状の特徴考えられる状態の例神経や血管との関連受診の目安
チクチクしたしびれ血行不良、軽度の末梢神経障害末梢神経や血管が原因数日続くなら整形外科
痛みをともなう骨や関節の問題、坐骨神経痛など神経や骨の圧迫が関与痛みが増すなら早めに
感覚が鈍いビタミン不足、糖尿病性末梢障害など神経と血流の複合的要因定期的に内科も含め受診
むくみ血管トラブル、下肢静脈瘤など静脈系のうっ血症状が続くなら専門医

このように、両足の膝下しびれは多くの症状パターンを示します。どのようなタイミングでしびれが強まるのか、痛みの有無はあるのかなど、自分の状態を詳しく観察することが大切です。

  • 日々の状態をメモする
  • 仕事や家事の合間に軽いストレッチを取り入れる
  • 片足だけでなく両足に生じるかどうかをチェックする

膝から下がしびれる両足の主な原因

両足のしびれには多くの要因が考えられます。骨や関節の変形、血管障害、神経の圧迫、日常生活での習慣など、さまざまな背景があります。原因を知ると予防や治療の方向性が見えてきます。

骨や関節による影響

骨や関節の変形が神経を圧迫するとしびれや痛みを感じます。特に膝関節や足首などの変形性関節症では、痛む箇所だけでなく神経経路を介して遠くの部位にも違和感が広がることがあります。

血行不良

足全体の血行が悪い状態になると、しびれを感じやすくなります。閉塞性動脈硬化症などの病気は、血管が狭くなることで血流が低下し、足の冷えやしびれ、痛みが徐々に強まっていきます。

神経の圧迫

腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなどで脊髄や神経が圧迫されると、両足の膝から下にかけてしびれが生じる可能性があります。

腰が痛む、または少し前かがみの姿勢になると楽になるような特徴があるときは、神経系の病気を疑う必要があります。

ビタミンや栄養不足

糖尿病などの全身性疾患や食事の偏りでビタミンB群などが不足すると、末梢神経の働きが悪くなり、足先からしびれを感じることがあります。

両足ともにしびれが進行する場合は栄養状態の見直しも重要です。

膝から下がしびれる両足の主な原因一覧

主な原因具体的な病気や状態関連する症状
骨・関節の変化変形性膝関節症、変形性足関節症痛み、動きの制限、腫れなど
血行不良閉塞性動脈硬化症、下肢静脈瘤冷え、むくみ、鈍い痛み
神経の圧迫腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア腰痛、足への放散痛
栄養不足や生活習慣糖尿病性末梢神経障害、ビタミン欠乏両足のしびれ、感覚鈍麻
  • 自分に当てはまる生活習慣(運動不足、偏った食事など)
  • 親族に同じような症状が多いか
  • 喫煙や過度の飲酒など血管に負担をかける習慣があるか

これらを振り返り、原因を推測する手がかりにすると良いでしょう。

神経と血管の関係からみるしびれと痛み

神経と血管はしびれの根幹といえる要因です。両足の膝から下に起こるしびれや痛みを理解するためには、神経と血管の関係性を知る必要があります。

障害される部位や状態によって症状の出方が異なります。

腰部脊柱管狭窄症としびれ

腰部脊柱管狭窄症では、脊柱管が狭くなることで脊髄や神経が圧迫されます。歩いているときや立っているときに足がしびれ、前かがみの姿勢をとると楽になるという特徴があります。

太ももから膝下まで広くしびれるケースも多く、高齢者に多い病気として知られています。

血管が悪くなるときの症状

血管のトラブルとして代表的なものが閉塞性動脈硬化症です。この病気では血管内にプラークがたまり血流が悪化します。

足先が冷え、歩行時に痛みやしびれが出て、休むと回復するという間欠性跛行という特徴的な症状を示します。血行不良によって神経にも影響が及ぶと、しびれがさらに増すことがあります。

神経伝達の流れとしびれの広がり

神経は脳や脊髄から枝分かれし、太ももや膝、足先へと伸びています。圧迫や損傷が起こる部位によって、しびれの分布も変化します。

たとえば坐骨神経痛では、お尻から太ももの裏、ふくらはぎ、足先まで続く痛みやしびれが出ることがあります。

神経と血管が連動するケース

神経が損傷すると筋肉を動かしにくくなり、筋肉ポンプの働きが低下して血行が悪くなることがあります。

逆に血管が細くなると、神経や周辺組織への栄養供給が滞り、しびれが助長されることもあります。

神経と血管に関わる主な疾患

病気の名称主な原因症状の特徴
腰部脊柱管狭窄症加齢、骨の変形前かがみで緩和、両足のしびれ、ふくらはぎの痛み
坐骨神経痛神経の圧迫(椎間板ヘルニアなど)お尻から太もも裏、ふくらはぎまでの痛み・しびれ
閉塞性動脈硬化症動脈の狭窄歩行時の痛み・しびれ、休むと改善
下肢静脈瘤静脈弁の機能不全むくみ、だるさ、皮膚の変色
  • 血管と神経が同時に影響を受けると症状が複雑化しやすい
  • 腰だけでなく首(頸椎)の状態も神経症状に関係する
  • 早期受診が症状の進行を防ぐ

整形外科での診断と治療方法

両足のしびれは原因を特定しなければ正確な治療が難しく、診療の流れでは問診や画像検査など多方面からアプローチします。

場合によっては内科との連携も必要です。整形外科では主に骨や関節、神経に注目し、効果的な治療を検討します。

診療の流れ

初診では、しびれや痛みが現れるタイミング、患部の範囲、痛みの強さなどを医師が詳しく聞き取ります。

その後、レントゲンやMRIなどを用いて骨や神経の状態を確認し、必要に応じて血液検査なども行います。

画像検査の役割

レントゲン検査は骨の変形や骨折の有無を確認するために有用です。MRIでは軟部組織や神経の圧迫状態がわかるため、腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなどの診断をする際に重宝します。

保存療法と手術療法

治療では、まず痛み止めや神経の炎症を抑える薬を使用したり、装具を使ったりといった保存的治療を試みます。

運動やリハビリテーション、リハビリ機器を用いることで筋肉の強化と血行の改善を図ることもあります。痛みが激しく日常生活が困難な場合は、手術で圧迫を取り除く選択肢が出てきます。

リハビリテーションと生活指導

整形外科の治療では、症状が軽減した後のリハビリが重要です。

筋力や柔軟性を保つ運動、適切な姿勢を意識するトレーニング、体重管理など、日常生活での注意点を続けると症状の再発を防ぎやすくなります。

整形外科で行われる主な検査・治療

検査・治療内容目的
レントゲン骨の状態を映し出す骨折や変形、骨の変性の確認
MRI神経や椎間板、軟部組織の評価腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアの発見
血液検査血糖値、炎症反応などの測定糖尿病の有無、感染症の有無の確認
保存療法薬物治療、装具、リハビリなど痛みやしびれの緩和、機能回復を図る
手術療法神経圧迫の除去や骨の安定化など保存療法で改善しない重症例への対応
  • レントゲンで異常なしでもMRIで異常が見つかる場合がある
  • 患者さんによっては糖尿病などの内科的要因も深く関連する
  • 痛みの有無は治療法を選ぶ際に大きな判断材料になる

日常生活で感じる膝から下の痛みやしびれへの対処

膝から下にしびれがある状態で生活を送ると、歩くことや立ち上がる動作が難しく感じられるかもしれません。適切な対処を継続して行えば、痛みやしびれの改善が期待できます。

日常動作の工夫

歩行の際には転倒予防に留意し、壁や手すりを利用することが有効です。

キッチンでの作業や洗濯などの立ち仕事が続く場合は、定期的に休憩を取り、足を少し高く上げるなど血流を促す動きを行うと良いでしょう。

両足のしびれに悩むときの対策一覧

対策方法効果
足を温める風呂上がりに温湿布を活用血行促進によるしびれ緩和
適度に足首を動かす座りながらつま先立ちを繰り返す筋肉ポンプ作用の向上
履物を選ぶクッション性のある靴を選択膝や足首にかかる負担を軽減
体を冷やさない防寒着やレッグウォーマーを活用神経痛や血行不良の悪化を防ぎやすい
  • 足回りの冷えは血流障害を引き起こしやすい
  • 長時間の正座や足を組む姿勢は神経圧迫のリスクが高い
  • 無理のない範囲で下半身の筋力強化をする

軽いストレッチや運動

ウォーキングや自宅でのかんたんなストレッチなど、適度な運動は血流を改善し、筋力を養う効果があります。

下肢を動かすことで神経が伸縮され、しびれの原因となる緊張を和らげられることがあります。

サポーターや装具の活用

膝や足首用のサポーターは関節の安定を助け、痛みやしびれを軽減する場合があります。

ただし、長時間の装着で逆に血流を妨げることがあるため、医師やリハビリスタッフに相談しながら選ぶとよいでしょう。

生活習慣の見直し

喫煙は血管を収縮させる原因となり、アルコールの過度摂取も神経症状を増幅させる恐れがあります。バランスの良い食事や適度な睡眠を心がけることで、体全体の状態が改善しやすくなります。

手軽に行える足の運動

運動の名称やり方期待できる効果
かかと上げ下げ壁につかまってかかとを上下させるふくらはぎの筋力強化と血行促進
足首回し椅子に座って足を組まずに足首をぐるぐる回す足関節の可動域を広げる
つま先タップ座ったままつま先を上下にリズミカルに動かすすねの筋肉活性化
ゆっくり歩行速度を落として歩幅を少し広げながら歩くバランス感覚の向上
  • 毎日数分でも習慣化すると効果を感じやすい
  • 運動中に強い痛みが出るなら中断して医師に相談する
  • 自分の体力に合った負荷を選ぶのが大切

受診の目安と再発を防ぐ姿勢

両足の膝下にしびれや痛みを感じた場合、どのタイミングで受診すべきなのか悩む方は多いでしょう。

早めの受診で原因を突き止め、必要な治療を始めることが再発や症状の悪化を防ぐ近道です。

受診を考えるタイミング

しびれが数日程度で治まらず続いている、あるいは痛みをともない日常生活に支障が出るほどの場合は、整形外科を受診することをおすすめします。

特に足首や膝、腰に強い痛みを感じる場合は検査が必要になるケースが多いです。

何科を受診するか

しびれや痛みに関しては整形外科が主となりますが、糖尿病性末梢神経障害が疑われる場合や、血管系の病気を疑う場合は内科や血管外科への紹介を行うこともあります。

複数の病院をまたぐより、まずは整形外科で相談してみるとスムーズです。

姿勢の改善で再発予防

猫背や骨盤が歪んだ姿勢は、腰に負担をかけ神経圧迫のリスクを高めます。

意識して背筋を伸ばし、床に座る際はクッションを活用するなど、姿勢を整えることがしびれの再発を防ぐ一助となります。

姿勢を意識するためのヒント一覧

意識するポイント実践方法得られる効果
背筋を伸ばす座るときに腰の下に小さなクッションを入れる腰への負担軽減、血行促進
骨盤を立てる椅子には深く腰掛け、座面と背もたれを活用する骨盤周りの筋肉が正しい位置で働きやすい
重心を意識する立つときは両足に均等に体重をかける左右の筋肉バランスを整える
足を組まない机に向かうときなどは足をまっすぐ床につける下肢への血流悪化や神経圧迫を防ぐ
  • 姿勢を良くすると腰痛だけでなく肩こりの予防にもつながる
  • 立ち上がるときは腰を入れてゆっくり行う
  • 重い荷物を持ち上げるときは膝を曲げてから持ち上げる

定期的な受診で症状を把握

一度しびれが軽減しても、無理をすると再発することがあります。定期的に通院して診察を受け、医師に経過を報告すると安心です。

症状の変化に応じて治療方針を修正し、適切なリハビリや運動療法を続けることが症状の安定につながります。

再発防止のために意識したいこと

意識すること具体的な行動効果
定期検査整形外科での定期検査、必要に応じて内科受診病気の進行や合併症の早期発見
運動習慣の継続ウォーキングや軽い下肢ストレッチを続ける筋力維持と血流改善
生活習慣の見直し喫煙や飲酒の制限、栄養バランスを考えた食事血管と神経の状態が悪化しにくくなる
体の声を聞く痛みを我慢せず、しびれが強くなる前に適切に休む症状の悪化や新たな障害を未然に防ぎやすい
  • 定期検診を習慣にして症状の変化を早期に把握する
  • レントゲンやMRIの結果をチェックして自分の状態を理解する
  • 我慢を続けず、医師やリハビリスタッフに相談する

長期間放置していると慢性化し、治療が複雑化することがあります。両足にわたる膝下のしびれは、日常生活の質を大きく左右します。

適切な検査と治療を受け、生活習慣の改善や姿勢の工夫を取り入れて再発を防ぐことが大切です。

以上

参考文献

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Author

北城 雅照

医療法人社団円徳 理事長
医師・医学博士、経営心理士

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