足立慶友医療コラム

膝半月板損傷の痛みに着目し生活を整える方法

2025.03.27

膝関節の内側や外側にある組織を膝半月板と呼び、運動や加齢の影響で損傷が生じる場合があります。

痛みや腫れが長引くと階段の上り下りなどに負担がかかり、日常生活に支障をきたす可能性が高まります。

この記事では痛みの特徴や日常生活で意識したい点をわかりやすくまとめます。

膝半月板損傷とは

膝関節のクッション役を担う構造が膝半月板です。この部分の損傷は若い方から高齢の方まで起こり、症状によっては強い痛みや可動域の制限につながる可能性があります。

まずは膝半月板損傷がどのように起こるかを理解しましょう。

膝半月板の役割

膝半月板は大腿骨と脛骨の間で衝撃を吸収し、関節を安定させる重要な組織です。硬い骨同士が直接ぶつからないように働き、動作時の摩擦を軽減します。

関節が円滑に動く基盤を支え、負荷がかかった際のクッションとして機能することから、スポーツ選手だけでなく日常生活を送る上でも存在感が大きい部分です。

どのような場面で損傷しやすいか

激しいスポーツや突然の方向転換、深く膝を曲げる動作が続く場合に膝半月板損傷のリスクが高まります。ジャンプの着地や接触プレーなどの強い衝撃も原因になります。

加齢による組織の変性が進むと、比較的軽い負荷でも傷つくリスクがあります。

内側と外側の違い

膝半月板は内側と外側の2カ所に位置します。内側はC字型で関節包と強く癒合しているため、一度強い外力を受けると損傷しやすいといわれています。

外側はO字型に近く可動性が高い点が特徴で、衝撃をかわしやすい傾向があります。

変性損傷と外傷性損傷

外部からの衝撃で起こる外傷性損傷と、加齢や反復動作により変性が進んで生じる変性損傷があります。変性損傷はある日突然強い痛みを感じるケースもあり、年齢を問わず注意が必要です。

痛みが断続的に続く場合や違和感を無視して放置すると、症状が進んで治療期間が長くなる可能性があります。

膝半月板損傷を引き起こしやすい要因の例

  • スポーツでの急激な切り返し
  • 体重増加や筋力不足による膝への負担増大
  • 長時間の膝を深く曲げる作業
  • 加齢による組織の柔軟性低下

膝半月板損傷の主な特徴一覧

項目内容
部位内側半月板か外側半月板のいずれか、または両方
原因スポーツ中の外傷、加齢、慢性的な負荷
痛みの出方曲げ伸ばし時、歩行時、階段昇降時
主な症状関節の引っかかり、ロッキング、腫れ、違和感
進行放置すると変形性膝関節症につながるリスクあり

膝半月板損傷は、多くの場合で痛みや腫れを伴いますが、軽度の場合は自覚症状が少ないケースも存在します。

そのため「少し違和感がある程度なら放っておいても大丈夫だろう」と軽視すると、後に症状が悪化して手術を検討しなければならない状況に陥る例もあります。

スポーツや長時間の歩行で膝の違和感が増したときは、念のため専門医へ相談する選択を考えると安心です。

持続的に同じ膝へ負荷がかかる職業の方は、症状が軽いうちに対処し本格的な痛みを防ぐ工夫が回復への近道になります。

痛みの特徴と症状の出方

膝半月板損傷による痛みは、人によって程度やタイミングが変わります。症状の現れ方を理解することが、適切なケアや早期受診につながるきっかけになります。

曲げ伸ばし時に感じる違和感

膝を深く曲げた状態から伸ばすときに鋭い痛みを感じる例は珍しくありません。曲げたまま荷重すると痛みが強まる場合があり、炎症の広がりを招く恐れがあります。

少しでも強い痛みが出たときは、無理を控えて膝を休ませることが必要です。

歩行や階段での痛み

平坦な道を歩くときにはあまり痛みを感じなくても、階段を下りるときに急に痛みが増す場合があります。

下り階段は膝への負荷が大きい動作なので、損傷した膝半月板への影響も顕著に出やすいです。かばうように歩くと他の筋肉や関節が疲労を起こし、全身のバランスが崩れることも考えられます。

ロッキング現象

膝を曲げた状態から伸ばそうとしたときに関節が動かなくなる現象をロッキングといいます。

頻繁に起こる場合は痛みだけでなく、膝関節の機能制限により生活動作自体が難しくなることもあります。ロッキングを繰り返すようなら、早めの医療機関への相談を検討する行動が重要です。

炎症による腫れと熱感

膝半月板の損傷部位に炎症が生じると、関節内に水が溜まりやすくなり腫れや熱感が見られます。腫れが強くなると膝が曲げにくくなり、痛みによる可動域の制限が一層顕著になります。

日常生活で階段の昇降やしゃがみ込む動作が億劫になると感じる方も多いです。

痛みの主なパターン

タイミング特徴
安静時軽度の場合は痛みが少ない例もあるが、慢性炎症があれば痛む可能性あり
動作開始時立ち上がる・歩き始める瞬間にズキッとした痛みを感じやすい
動作中ランニングやジャンプなど激しい動作で鋭い痛みが出やすい
動作後運動後から数時間経過して痛みが強まるケースも存在
睡眠時夜間痛を訴える例は多くないが、炎症が強いと眠りを妨げる場合あり

痛みが軽度であっても長期化したり繰り返したりする際は、専門医による診察を受けるのが賢明です。

治療を後回しにすると炎症が慢性化して、膝関節の機能低下や骨への影響につながるリスクも否定できません。

運動中はアドレナリンの影響で痛みを感じにくいこともあり、運動後に痛みがぶり返すケースが見られます。

痛みが悪化したと感じるときは、腫れや熱感の有無をチェックして早めに医療機関へ連絡する行動が大切です。また、痛みをかばう歩き方は他の部位にストレスを生む可能性があります。

痛む日でも無理のない範囲で軽い筋力トレーニングに取り組むと、膝周りの血流を促して回復を後押しすることもあります。

ただし市販の湿布などを使う際は使用のタイミングや成分に注意し、痛みが長引くときは医師に相談してください。

膝は体重を支える主要な関節なので、わずかな損傷でも日常の動作に響きやすいです。痛みがぶり返すようなサインを見逃さず、早めに原因を突き止める意識を持つと安心です。

放置すると痛み以外に関節の引っかかり感や可動域の減少を招くこともあるため、軽視は禁物といえます。

痛みを悪化させる要因

膝半月板損傷を負ったあと、適切な対応を怠ると痛みが増幅することがあります。悪化を防ぐために影響を及ぼす主な要因を把握しておきましょう。

過度な運動や負荷

損傷直後の段階で無理をして激しい運動を続けると、炎症が広がって症状が増悪しやすいです。

本来は休むべきタイミングで膝に大きな負担をかけると、完全な回復を遅らせて慢性的な痛みへ移行するリスクも生まれます。

スポーツを続けたい方や定期的に長距離を歩く必要がある方は、痛みの程度を把握して運動量を調整することが大切です。

不適切なサポーターや靴の使用

膝を保護しようとしてサポーターを使用しても、サイズや締め付け具合が適切でないと血流を阻害して痛みが増すことがあります。

クッション性の低い靴や自分に合わないインソールを使うと、衝撃が直接膝に伝わりやすくなるので要注意です。専門家がいる店舗で試着しながら選ぶと失敗しにくいでしょう。

筋力不足や柔軟性の欠如

膝を安定させる大腿四頭筋やハムストリングスが弱いと、膝半月板への負荷が増えやすいです。

柔軟性が不足することで膝周辺の動きが制限され、思わぬ方向から力が加わって損傷を深める可能性があります。

普段から筋力トレーニングやストレッチを取り入れることが改善につながります。

体重増加や姿勢の乱れ

体重が増えるほど膝にかかる負担が増大し、回復が遅れる場合があります。

さらに、猫背や偏った重心で立ち続けるなど姿勢の乱れが癖になると、膝に一定方向からの圧力が継続的にかかりやすくなります。

日常から正しい姿勢を維持するだけでも痛みの抑制に結びつくケースがあります。

痛みを悪化させる主な要因と対処のヒント

要因内容対処のヒント
過度な運動急激な負荷や長時間の使用適度な休息や運動量のコントロール
不適切なサポーターや靴サイズ不一致やクッション不足専門店でのフィッティングとクッション性を考慮した選択
筋力不足大腿四頭筋やハムストリングスなどの弱化定期的な筋力強化トレーニング
柔軟性の欠如硬い筋肉が膝に余計な負担をかけるストレッチや関節可動域を広げるエクササイズ
体重増加膝にかかる重力負荷が増え回復を阻害食事管理や適度な有酸素運動で体重コントロール

悪化要因が積み重なると、膝半月板以外にも軟骨や靭帯に損傷が及ぶリスクがあります。ひとつひとつの要因を取り除いていく意識を持つと、膝への負担を軽減できる可能性が高いです。

こまめな姿勢の修正やサポーターのフィッティング見直しなど、身近なところから対策を実行するとよいでしょう。

長時間同じ姿勢で過ごす人は、軽めのストレッチを定期的に挟むだけでも膝の血流改善が期待できます。

日常生活で気をつけたい習慣

膝半月板損傷による痛みの管理には、日々の生活習慣が密接に関わります。自宅や職場などで取り入れやすい工夫を押さえておくと負担を軽減しやすくなります。

正しい姿勢での立ち座り

立ち上がるときに前傾しすぎると膝への負担が急増します。背筋を伸ばして腰を落とし、膝と股関節を連動させながらゆっくり立ち上がると負荷が分散されます。

椅子から立ち上がる際は腕の力を上手に使い、膝だけに負担が集中しないよう工夫すると痛みを抑えやすいです。

階段昇降の注意点

上りでは膝を前に出しすぎず、下りではさらに膝への負荷が大きくなるため手すりを活用して体重を分散するように心がけましょう。

痛みが強いときに無理をして階段を使用すると炎症が悪化するケースがあります。エレベーターやエスカレーターを使って膝を休ませる判断も必要になります。

日常動作の見直し

掃除や洗い物などの家事動作でも膝の曲げ伸ばしが頻繁に起こります。

立ちっぱなしが続くときは片足ずつ体重を乗せ替える、膝を曲げるときはできるだけゆっくり行うなど、小さな工夫を重ねることで痛みの緩和を期待できます。

適度な休息の取り方

長時間同じ姿勢でいると膝周りの筋肉が硬直して血流が滞りやすいです。

1時間ごとに数分だけ休憩を入れて軽く歩く、ふくらはぎや太ももを伸ばすなどしてこまめに体を動かすと膝への負荷を軽減できます。

デスクワークで座りっぱなしになりやすい方は、特に意識して取り入れるとよいでしょう。

取り入れやすい生活の工夫

  • キッチンマットやクッション性のあるスリッパで膝への衝撃を緩和
  • 重い物を持ち上げるときは腰を落として持ち、膝単独の負担を減らす
  • デスクワーク時は足元に台を置いて角度を調整し、膝に優しい姿勢を保つ
  • 就寝前に太ももやふくらはぎを軽くマッサージして血流を促す

日常生活で意識したい環境調整

シーン推奨される対策
仕事中長時間座りっぱなしを避け、定期的に立って軽く歩く
家事や掃除膝を深く曲げすぎない姿勢を心がけ、床掃除にはモップなどを活用する
入浴湯船で下半身を温めてからストレッチを行い、血流を促す
くつろぎ時間ソファでは深く腰掛けすぎず、膝を曲げた状態を維持しやすい姿勢を意識する
睡眠膝下にクッションを入れてわずかに曲げる姿勢を維持し、負担をコントロール

日常生活に潜む膝への負荷は想像以上に多いです。例えば長時間立ったまま調理を続けると、膝だけでなく腰や足首にも疲れが蓄積して痛みに発展する場合があります。

また、デスクワークでも不適切な座り姿勢が続くと膝関節に負荷が集中しやすいです。定期的な姿勢確認や適切な休憩は、膝半月板への負担を軽減するうえで有効な習慣です。

膝への負担を軽減する運動とケア

痛みを感じるからといってまったく動かさないと筋力低下を招き、回復を遅らせる場合があります。

正しい方法で体を動かし、ケアを行うことが膝半月板損傷による痛みの軽減と再発予防に役立ちます。

適度な筋力トレーニング

膝周りを安定させるために大腿四頭筋やハムストリングスを鍛えることは有効です。スクワットを行う際は、痛みの程度に応じて浅い角度から始めると膝への負荷をコントロールできます。

徐々に筋力がついてきたら深さや回数を増やし、無理のない範囲で強度を高めると長期的な効果が期待できます。

ストレッチで柔軟性を高める

膝の曲げ伸ばしをスムーズにするために、太もも裏(ハムストリングス)や股関節周りを柔軟に保つことが大切です。

痛みを感じない範囲でゆっくりとストレッチし、呼吸を止めずにリラックスした状態を維持すると筋肉がほぐれやすいです。運動前後のストレッチも有効なケアになります。

アイシングと温熱

運動後の炎症を抑えたいときはアイシングが適しています。急性期の痛みをやわらげる目的で使うと回復が早まりやすいです。

一方、慢性的な痛みには温熱を利用して血行を良くすると回復プロセスが進む可能性があります。冷却と温熱の使い分けによって痛みを緩和し、関節の動きをスムーズにしやすくなります。

痛み日誌をつける

痛みの度合いや発生状況を記録することで、自分にとって負担になりやすい行動が見えてきます。

何をしたときにどの程度痛んだのかを明確にするだけで、医師や理学療法士とのコミュニケーションもスムーズになります。

治療やリハビリメニューの調整に役立ち、回復の見通しを立てやすくなるメリットがあります。

運動強度目安と注意点

運動種目強度注意点
ウォーキング低め膝の痛みが軽減しているタイミングで行い、靴のクッション性にこだわる
アクアエクササイズ中程度水中で関節への衝撃を緩和できるが、やりすぎると疲労が蓄積しやすい
ライトスクワット中程度フォームを確認し、膝がつま先より前に出過ぎないように注意
自転車エルゴメーター中~高サドルの高さを調整し、膝の屈伸角度を小さく設定して負担を減らす
チューブトレーニング中~高チューブの強度を自分に合わせて選び、無理のない範囲で行う

運動中は痛みの度合いを細かくチェックし、回数や時間を徐々に増やすことを心がけると膝への悪影響を抑えられます。

急に高強度の運動を行うと再び損傷を誘発しかねないため、専門家と相談しながら安全なメニューを組み立てることが回復にとって大切です。

ケアを継続するための心がけ

  • 体調や膝の状態に合わせて運動の負荷を柔軟に調整する
  • 栄養バランスや食事内容にも目を配り、健康的な体づくりを意識する
  • 痛みが急激に強まったら運動を中断して医療機関へ相談する
  • 眠りの質を上げ、疲労を翌日に残さないよう充分に休養をとる

過度に安静を保つと膝周りの筋力が落ちてしまい、かえってわずかな負荷でも強い痛みを生む膝になりやすいです。

一方で痛みをこらえてハードな運動を続けると炎症や損傷が拡大する恐れもあるので、バランスを取ったケアが重要になります。

痛み日誌や専門家のアドバイスを活用しながら、自分に合った運動と休息をうまく取り入れると回復が進みやすいでしょう。

痛みが強い場合の医療機関への相談

自己ケアでは対処しきれない痛みやロッキングが頻繁に起こる場合、医療機関で適切な検査とアドバイスを受ける必要があります。

専門家の視点から診断を受けることで、根本的な原因を特定しやすくなることが期待できます。

病院での検査方法

医師は問診や触診に加え、X線検査やMRIを使って膝関節の内部を詳細に確認します。

X線は骨の変形を見るのに長けており、MRIは軟骨や膝半月板などの軟部組織の損傷状態を把握するのに有効です。

場合によっては関節鏡視下検査を行い、直接関節内部を確認することもあります。

保存療法と手術療法

損傷の程度や痛みの強さによっては、リハビリや装具を活用する保存療法で症状の改善が望めることがあります。

一方、半月板の大きな断裂やロッキングを伴う場合、関節鏡視下手術などの外科的アプローチを提案されることも考えられます。いずれの方法を取るかは医師の説明を受けながら慎重に判断してください。

リハビリテーションの重要性

治療過程ではリハビリが回復への大きな手掛かりになります。痛みを極力回避しつつ筋肉と関節可動域を強化することで、膝半月板への再負荷を予防できます。

理学療法士の指導のもとで計画的にメニューを実践し、段階を踏んでレベルを上げるとより良い結果につながることが多いです。

適切なタイミングでの受診

痛みが軽度のうちに専門家と対話すると、回復にかかる時間を短縮できることが期待できます。

特にロッキングが生じる場合や、長期間腫れが引かないなどの症状がある場合、放置すると膝に深刻なダメージが残る恐れがあります。

早めに医療機関へ足を運び、必要な検査と治療を受ける判断が安全策です。

主な治療アプローチと特徴

治療アプローチ特徴メリット
保存療法(リハビリ)痛みのコントロールと筋力強化が中心侵襲が少なく、日常生活と両立しやすい
関節鏡視下手術カメラで内部を観察しながら半月板を修復または切除正確な診断と処置が期待できる
半月板移植手術欠損部分を移植片で補う大きな損傷でも改善に向けた可能性を探れる
投薬消炎鎮痛剤やヒアルロン酸注射などを利用炎症コントロールや痛みの軽減を図るサポートになる
装具・サポーター膝関節の安定化を助けるリハビリや日常生活動作を補いやすい

医療機関に相談するときのポイント

  • 痛みが始まった時期やきっかけを正確に伝える
  • どの動作で痛みが増すかを整理しておく
  • 服薬中の薬や既往歴などを事前にまとめておく
  • 疑問や不安はメモしておき、医師に確認する

医療機関への相談が遅れると、誤った対処を長く続けてしまう場合があります。レントゲンで問題がないからと安心してしまわず、実はMRIでは明確に損傷が見つかる例も珍しくありません。

自己判断で処置を続けるより、医師の診断を受けることで的確な対応が見込めます。

膝半月板損傷からの回復をサポートする工夫

治療やリハビリを受けながらも、普段の生活の中で取り入れる工夫が回復を後押しします。小さな心がけの積み重ねが痛みの軽減と再発予防につながるポイントです。

自宅でできるケア方法

氷や冷却ジェルパックを使ったアイシングと、シャワーや入浴で温める行為を組み合わせると血流が促進され、痛みの緩和と回復の助けになる可能性があります。

就寝前には膝下にクッションを挟んで安定させ、翌朝の痛みや腫れを抑えやすくするといった工夫も有効です。

サプリメントの活用

コンドロイチンやグルコサミンを含むサプリメントは関節の健康維持を助けるともいわれますが、あくまで補助的な方法です。

主治医や薬剤師に相談しつつ利用を検討し、根本的にはリハビリや適切な治療と併せて活用すると良い結果に近づきやすいでしょう。

サポートグッズの選び方

膝を安定させるサポーターや靴底に装着するインソールは、痛みの緩和や再発予防に活用できます。サイズやフィット感が合わなければ逆効果になる恐れがあります。

使用後に痛みが増すなど違和感を覚えた場合は、すぐに医師や理学療法士に相談して最適なものを再検討すると安心です。

家族や周囲の理解

職場や家族の協力を得ることで、負担が強い作業や姿勢を避けやすくなります。無理を続けると回復が長引き、日常生活全体への影響が大きくなるかもしれません。

痛みの辛さや回復に向けたリハビリの重要性を共有し、協力して生活スタイルを見直すと回復がスムーズに進む可能性があります。

回復を後押しする日頃の意識

  • 適度な運動と安静のバランスを見直す
  • リハビリや医師の指導内容をその都度確認しながら実践する
  • 十分な睡眠を確保し、疲労の蓄積を防ぐ
  • 痛みの進捗が思わしくないときは再度受診のタイミングを考える

サポートグッズの種類と特徴

グッズ特徴利用時の注意点
サポーター膝を圧迫しながら安定性を高めるサイズ選びと締め付け具合を調整し、血行不良を防ぐ
インソール足底の負担を分散し、膝への衝撃をやわらげる靴の形状に合うものを選び、定期的に状態をチェックする
テーピング指定箇所を補強して動きをサポートする正しい貼り方を身につけ、皮膚トラブルに留意する
ストレッチ器具太ももやふくらはぎなどの筋肉を伸ばしやすくする器具力を入れすぎず、少しずつ負荷を調整する
クッション膝下に挟み姿勢を安定させ、負担を軽くする素材や厚みに注意し、姿勢が崩れないかこまめに確認する

回復期間中も適度に膝を動かしながら、周囲のサポートを得て生活動作を調整することが現実的なアプローチになります。

リハビリや生活習慣の改善を継続する過程で、家族や同居人が協力してくれる環境があれば無理を抑えやすくなり、痛みをコントロールしやすくなる傾向が高まります。

サポーターやインソールなどの装具は試着や使用感の確認を重ね、自分の膝に適した物を見極めるようにしましょう。

よくある質問

膝半月板損傷は放置すると自然に治ることがある?

小さな裂傷なら自然回復する例があるのも事実ですが、損傷の程度に左右されます。痛みが消えてきたように感じても大きな断裂が残っている場合、軟骨や周囲組織を傷めるリスクが高いです。

放置して変形性の膝トラブルを招くより、早めに検査を受けて状態を正しく把握することをお勧めします。

手術後はどれくらいで社会復帰できる?

関節鏡視下手術のような侵襲の少ない手術なら数週間で日常生活に戻る人もいます。一方、仕事内容やスポーツの種類によって復帰目安は異なります。

重量物を扱う作業などでは医師や理学療法士と相談してリハビリ期間を調整し、早期に無理をしすぎないように気をつける必要があります。

痛みがあるときでも運動を続けたほうがいい?

軽度の痛みであれば適度な運動が血流を促し回復を後押しする可能性があります。しかし、痛みがあまりに強くなるまで運動を続けると症状が悪化する恐れがあります。

痛みの程度が分からないときや、不安を感じたときは運動を中断し、専門家に確認を取るのが安全です。

レントゲンで異常なしと診断されたら安心できる?

レントゲンは骨の状態を確認する際には有用ですが、膝半月板のような軟部組織には映りにくいです。MRIなど他の検査で損傷が判明することも少なくありません。

レントゲンで異常がないと言われても、膝の痛みや違和感が続く場合は精密検査を受けるようにするとトラブルを見逃しにくくなります。

まとめ

膝半月板損傷は膝の機能に直結する問題であり、適切な治療やリハビリが遅れると歩行や階段昇降を含む日常生活に深刻な支障が出る可能性があります。

今回紹介した痛みの特徴や生活の工夫を意識し、痛みの緩和や再発予防に取り組むことが大切です。

人によって損傷の度合いは異なるため、自己判断だけでなく専門家の診察や検査を活用しながら、自分に合った運動やケアを継続する姿勢が膝の健康を保つ近道といえます。

スポーツや仕事で膝を酷使する方は特に、小さな異変を見逃さず、早めにメンテナンスやケアを行う意識を持つと将来的なトラブルを防ぎやすくなります。

以上

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Author

北城 雅照

医療法人社団円徳 理事長
医師・医学博士、経営心理士

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