足立慶友医療コラム

股関節の炎症性疾患|症状から治療までの流れ

2025.04.13

股関節の痛みが出たり、歩きにくさを感じたりすると、不安や日常生活への支障が大きくなります。

炎症性疾患が疑われる場合、適切な治療を受けることで症状の悪化を防ぎ、将来的な生活の質を高める可能性があります。

この記事では、炎症性疾患が及ぼす影響や診断方法、治療手段などを詳しく説明し、治療の流れを整理しました。

股関節の炎症性疾患とは

炎症性疾患の概要として、自己免疫の異常や細菌感染、外傷などさまざまな原因で炎症が起きる状態が挙げられます。

股関節は体重を支える重要な関節であるため、炎症による痛みや機能障害が日常生活に大きく影響します。特に慢性的な股の痛みがある場合は、放置せずに医療機関へ相談することが大切です。

炎症性疾患の基本的な定義

炎症性疾患は、免疫機能の乱れや感染などが要因で関節に炎症が生じる病態です。

股関節にも同じように炎症が起こり、痛みや腫れを伴います。免疫の誤作動によるケースでは関節リウマチなどが代表的です。

炎症性疾患が起こると、朝起きたときに関節がこわばる症状が出ることがあります。

主な種類と特徴

股関節に起こる代表的な炎症性疾患としては、関節リウマチ、化膿性関節炎、若年性特発性関節炎などが知られています。

それぞれ原因や症状、治療方法が異なるため、専門医による正確な診断が大切です。

また、慢性的に股の痛みが続く場合、骨や軟骨に変性が生じる疾患(変形性股関節症など)と区別することも重要です。

股関節特有の問題点

股関節は深い位置にあり、骨盤や大腿骨との接合部分に強い負担がかかります。姿勢や歩行など、全身の動きに直結するため、炎症が起こると日常生活で負担を感じやすくなります。

ほかの関節に比べて早期に負担を自覚しにくい面もあり、症状が顕在化したときには炎症が進んでいることが少なくありません。

病院受診のタイミング

「立ち上がるときに股関節がズキッとする」「歩き始めがつらい」「股の痛みが長く続く」などの場合、炎症性疾患の可能性を疑って専門医を受診することが重要です。

自己判断で様子を見続けると症状が悪化するケースがあるため、早期の段階で検査を受けて対策を取るようにしましょう。

股関節にみられる炎症性疾患の分類

疾患名主な原因主な症状好発年齢
関節リウマチ免疫機能の乱れ(自己免疫疾患)朝のこわばり、股関節痛、疲労感など20〜40代に多い
化膿性関節炎細菌感染急な発熱、患部の腫れや激しい痛み乳幼児〜高齢者まで幅広い
若年性特発性関節炎原因不明の自己免疫反応股関節や膝関節などの痛みやこわばり16歳未満に発症
変形性股関節症の一部長期的な軟骨のすり減り+炎症性成分が関与歩行困難、立ち上がり時の強い痛み中高年以降に多い

炎症性疾患には急性と慢性があります。急性の場合は細菌感染などによる急激な発熱や腫れが目立ち、慢性の場合は朝のこわばりや慢性的な痛みが続きます。

いずれの場合でも放置すると症状が進行しやすい点に注意してください。

  • 早期発見による炎症コントロールが大切
  • 自己判断を避けて専門医の意見を参考にする
  • 生活習慣の改善やリハビリが回復を支える

軽い痛みや違和感でも医療機関を受診して原因を探ることで、重症化を防ぐことが可能です。

股関節の炎症性疾患の主な症状

炎症性疾患では痛みだけでなく、腫れや熱感、可動域の制限など多様な症状が現れます。

痛む場所が股関節まわりに限定されるため、早い段階で気づく人がいる一方、腰痛や膝痛と混同して発見が遅れることもあります。初期症状から重症化までの流れを知ることは大切です。

初期症状と特徴

炎症の初期には違和感や軽い痛みが目立ちます。朝起きたときのこわばり、少し動かした後に感じる鈍い痛みなどが典型的です。

症状が一時的に軽快することがあるため、「気のせい」と放置するケースが多いです。

中等度の症状

炎症が進むと痛みが強くなり、歩行障害や体重をかけたときの負担感が増します。関節周辺が熱を帯び、腫れが出ることもあります。

痛みによる姿勢の崩れや、筋力低下によって動きが鈍くなる状態が進行しやすくなります。

重症化の兆候

強い痛みで日常生活が滞るほどになると、急性炎症の可能性が高まります。夜間も痛みが続き、睡眠が妨げられる場合、化膿性関節炎などの重い感染が関与していることがあります。

急な症状悪化が起きた場合は放置せず、早急に受診してください。

症状が長引くケース

痛みが長期間持続する場合は慢性化のリスクがあります。自己免疫の異常による関節リウマチなどは慢性的に症状が続く傾向があり、無理に動かすと関節を傷めるおそれがあります。

慢性の炎症性疾患でも、適切な治療とリハビリで症状をコントロールしやすくなります。

炎症が進行したときにみられる兆候

兆候具体例考えられる疾患例
激しい痛み夜間も続く痛み、立ち上がるときの激痛化膿性関節炎、関節リウマチなど
腫れや熱感股関節部分が赤く腫れ、触ると熱い化膿性関節炎、痛風(股関節はまれ)
関節がこわばる朝の動き始めがスムーズにいかない関節リウマチ
可動域の制限足を広げにくい、正座やあぐらができない慢性炎症全般

炎症が続くと関節周囲の軟部組織や骨にも負担が及び、変形や骨壊死につながる恐れがあります。痛みに悩まされる時期が長くなるほど治療難度が上がるため、早めの対策が重要です。

  • 症状の軽快と悪化を繰り返すことがある
  • 痛みが強い時期は安静を心がける
  • 慢性化を防ぐための適切なケアが必要

痛みが続く場合や再発を繰り返す場合は、薬物療法やリハビリ計画を医師と相談して見直すのが望ましいです。

考えられる主な原因

炎症性疾患には多様な原因がありますが、大きく分けると「自己免疫」「細菌感染」「長期的な物理的負荷」の3つが主な要因として挙げられます。

原因を見極めることで、適切な治療法を選択しやすくなります。

自己免疫の異常

関節リウマチや若年性特発性関節炎は、免疫システムが自分の関節を攻撃することで炎症を引き起こします。

遺伝的素因やストレス、ホルモンバランスなど複数の要素が組み合わさって発症する場合が多く、はっきりとした単一の原因は特定しにくい傾向があります。

細菌感染

化膿性関節炎など細菌感染による炎症は、急激に痛みが増し、発熱や腫れを伴うことが特徴です。

血液を介した感染や外傷からの感染経路が考えられ、免疫力が低下している時期や基礎疾患がある方は特に注意が必要です。早期対応で病状を抑えやすくなります。

長期的な物理的負荷

日常生活や仕事で股関節に過度な負荷がかかった状態が続くと、関節の軟骨や周囲組織が傷み、炎症を引き起こすことがあります。

変形性股関節症の一部では、軟骨がすり減った部分に炎症が生じやすくなります。体重増加や長時間の立ち仕事なども要因となり得ます。

その他の誘因

外傷(骨折や打撲など)をきっかけに炎症が長引く場合もあります。また、特定の運動やスポーツで股関節を酷使すると、疲労性の炎症が起こることもあります。

症状の背景をしっかり把握し、再発予防につなげることが大切です。

炎症性疾患の主な原因と特徴

原因特徴代表的な疾患発症リスクが高い人
自己免疫免疫が自分の関節を誤って攻撃関節リウマチ、若年性特発性関節炎遺伝的要素や女性ホルモンバランスに影響を受けやすい人
細菌感染急激に痛みが増す、腫れや熱感を伴う化膿性関節炎免疫低下中、傷口ができた状態
長期的な物理的負荷軟骨や周囲の組織が摩耗し炎症が起きる変形性股関節症の炎症体重が増加傾向、長時間立ち仕事
外傷やスポーツによる酷使ケガや疲労が関節内部で炎症を誘発する急性股関節炎などアスリート、過度に同じ動作を繰り返す人

原因の特定には画像検査や血液検査、過去の病歴など複合的な情報が必要です。自己判断で痛み止めのみを使用する方法は、根本的な解決につながりにくいため注意してください。

  • 遺伝的要素が絡む場合は長期的な経過観察がカギ
  • 感染が疑われるときは早めの抗生物質治療が有効
  • 生活スタイル全般を見直し、再発リスクを下げることが望ましい

自己免疫由来の炎症を抑え込む治療と、細菌感染による炎症へのアプローチは異なるため、専門医による診断をしっかり受ける必要があります。

診断の流れ

的確な診断により、治療方針が大きく左右されます。問診や触診をはじめ、画像検査や血液検査などさまざまな方法を組み合わせ、炎症性疾患かどうかを見極めます。

何科を受診したらよいか分からない場合は、整形外科を受診するのが良いでしょう。

問診と触診

医師はまず症状の経過や痛みの強さ、日常動作での困りごとなどを詳しく聞き取り、股関節付近を触診します。

動かすときの関節の可動域や痛みの程度によって、筋肉や骨、軟骨のどの部分に問題があるのかを推測し、検査方針を組み立てます。

画像検査

レントゲン検査は骨の状態を確認するために有用です。変形や骨折の有無、関節間隙の狭さなどからおおまかな状況を判断できます。

MRI検査は軟骨や筋肉、靭帯などの軟部組織をより詳細に把握する手段であり、炎症の広がりを確認しやすくなります。CT検査は骨の細部まで解析したいときに活用します。

血液検査

関節リウマチなど自己免疫疾患を疑う場合には、リウマチ因子や抗CCP抗体などの数値を確認します。また、感染症を疑う場合は白血球数やCRP値の上昇をチェックします。

これらの数値を総合的に見て、炎症の有無や種類を推察することができます。

治療方針の決定

問診、触診、画像検査、血液検査の結果を総合して炎症の原因を特定し、治療方針を立案します。必要に応じて他の診療科と連携し、膠原病専門医の意見を取り入れることもあります。

再発予防や生活習慣の見直しに向けてリハビリ科と協力する場合も多いです。

股関節炎症の診断手順と活用する主な検査

診断プロセス内容目的
問診・触診痛みの度合い、経過、可動域の確認おおまかな病態把握、検査方向の目星をつける
画像検査レントゲン、MRI、CTなど骨や軟部組織の状態を可視化し、変形や損傷を確認
血液検査リウマチ因子、白血球数、CRP値など自己免疫疾患や感染症など炎症の原因を絞り込む
治療方針決定総合的な評価と専門医の判断薬物療法、手術、リハビリなど具体的な治療を選択

診断時には患者さん自身の生活環境や仕事の状況も考慮しながら、痛みの度合いや年齢、全身状態に合わせた治療プランを立案します。

  • 痛みが突然強くなったら迷わず受診
  • 自己判断で民間療法に頼りすぎない
  • 血液検査は定期的に行い炎症マーカーを把握

画像検査と血液検査の結果だけに依存せず、本人の訴えや生活スタイルも含めて判断することが重要です。

治療方法

治療は主に「薬物療法」「リハビリテーション」「手術療法」の3つが中心となります。炎症が軽度か中等度か、また原因が自己免疫か感染かによって選択肢が異なります。

適切な治療を受けることで痛みをコントロールし、日常生活に支障の少ない状態を目指します。

薬物療法

自己免疫が原因の場合、免疫調整薬や抗リウマチ薬などを用いて炎症を抑えます。感染が疑われる場合は抗生物質の投与が必要です。

また、痛みの強い時期には消炎鎮痛薬やステロイドなどの薬を使用し、症状の緩和を図ります。副作用のリスクもあるため、医師の指示を厳守することが大切です。

リハビリテーション

痛みがある程度落ち着いた段階で、筋力トレーニングやストレッチを行い、関節の可動域を保ちます。

専門の理学療法士が動作指導や運動負荷の調整を行うため、自己流のトレーニングと比べて安全で効果的です。日常動作の改善や再発予防にも有益です。

手術療法

炎症が進んで関節が著しく損傷している場合や、骨の変形が高度な場合、手術を検討することがあります。人工股関節置換術などによって関節の機能を回復させる選択肢があります。

術後にはリハビリを継続し、股関節周囲の筋肉をしっかりサポートすることが重要です。

補助的な治療とセルフケア

装具やサポーターの使用は痛みの緩和や負担軽減に役立ちます。また、体重管理や生活習慣の見直しなど、日常生活でのセルフケアも欠かせません。

栄養バランスや運動量を整えることで、炎症の再発リスクを下げられます。

主な治療法とその特徴

治療法特徴対応する炎症性疾患
薬物療法(免疫調整薬、抗生物質)自己免疫による炎症を抑えたり、感染を治療したりする効果関節リウマチ、化膿性関節炎など
リハビリテーション筋力強化や可動域拡大で関節への負担を軽減炎症が落ち着いた後の機能回復
手術療法(人工股関節置換など)重度の関節損傷を改善し、痛みを大幅に軽減する可能性がある重度の変形性股関節症、骨壊死など
補助的な治療・セルフケア装具の着用、生活習慣改善で炎症の悪化を防ぐ幅広い症状に対して補助的に使用
  • 痛みが強いときは無理をせず休養を優先
  • 医師や理学療法士とのコミュニケーションを密に行う
  • 手術後のリハビリを怠ると機能回復が遅れる

一人ひとりの病態やライフスタイルに応じて複数の治療法を組み合わせる場合が多く、医療スタッフと連携を取ることが回復を促すうえで大切です。

  • 免疫抑制剤は定期的な血液検査が必要
  • 抗生物質は決められた期間を守る
  • 自宅でも可能な運動を習慣化する

長期的な視点で治療計画を立てると、再発を防ぎながら安定した日常生活を送りやすくなります。

日常生活での注意点

炎症性疾患の治療は医療機関だけで完結するわけではありません。日常生活の過ごし方やセルフケアが、症状の進行や再発に大きく関わります。

小さな心がけの積み重ねが大きな差につながるため、生活習慣や動作を見直すことが必要です。

体重管理

体重が重くなるほど股関節にかかる負担が増すため、標準体重を意識することが大切です。

過度な食事制限は栄養バランスを崩す可能性がありますが、運動や食事内容の調整で適正な体重を維持することが望ましいです。糖質や脂質を過剰に摂りすぎないよう注意してください。

運動とストレッチ

急性期を除き、適度な運動は関節周辺の筋力維持に効果的です。ただし、ハードなトレーニングはかえって股関節を痛める恐れがあるため、医師や理学療法士に相談して内容を決めましょう。

柔軟性を高めるストレッチも炎症を起こしにくくするために有効です。

生活動作の工夫

立ち上がるときや歩き始めに痛みを感じる場合は、手すりや杖を活用すると負担を減らしやすくなります。

床に座る習慣を見直し、椅子やソファを使うように変更するだけでも股関節へのストレスを低減できます。小さな工夫を積み重ねることで、痛みの悪化を防ぎます。

ストレスコントロール

自己免疫系の乱れはストレスとも深く関わります。仕事や家庭環境などで強いストレスを受けていると感じるときは、睡眠や休息の時間を意識的に確保しましょう。

リラックスできる趣味を持つなど心の健康を維持することが、股の痛みの改善にもつながります。

日常生活で気をつけたいポイント

注意点具体例効果
体重管理適度な有酸素運動、バランスのよい食事を継続股関節への負荷を軽減し、炎症リスクを抑える
運動とストレッチウォーキング、水中歩行、軽めのヨガなど血流を促進し、筋肉や関節機能を保つ
生活動作の工夫高さのある椅子を使用、杖や手すりでサポート痛みの軽減、再発予防
ストレス対策休息、趣味の時間、リラクゼーション法自己免疫系の乱れを抑え、炎症悪化を防ぐ
  • 小まめな休憩や気分転換を取り入れる
  • 食事を抜くダイエットより栄養バランスを重視
  • 医師と相談しながら進める運動プログラムが望ましい

無理のない範囲での継続した対策が、炎症のコントロールと快適な日常生活をサポートします。

  • 自分だけで頑張りすぎず家族や専門家に相談
  • 目標体重を決め、定期的に体重を測る習慣
  • 天気による痛みの変化も記録して原因を探る

適度な負荷と十分な休息のバランスが、炎症性疾患の安定した状態を保つために役立ちます。

当院での治療の特徴

炎症性疾患は原因や症状の経過が多様です。当院では一人ひとりに合わせたアプローチを重視し、痛みの軽減だけでなく、長期的な機能維持と予防にも力を入れています。

専門的な知識とチーム医療で、患者さんが安心して生活を送れるよう支援しています。

専門医による総合的な診断

股関節に関する専門知識を持った整形外科医が、問診や画像検査、血液検査を総合的に評価します。必要に応じて膠原病内科などの医師と連携し、多角的な視点で原因を特定します。

リウマチや若年性特発性関節炎など免疫疾患が疑われる場合にも、スムーズに検討を進めます。

多職種連携によるリハビリ

理学療法士や作業療法士、医師が連携してリハビリプログラムを作成します。患者さんの年齢や体力、生活環境などを考慮しながら、筋力強化やストレッチの方法を提案します。

退院後や通院時にも継続的に状態をチェックして微調整を行い、再発予防に努めます。

痛みのケアと生活指導

痛みが強い場合には薬物療法で症状を和らげ、そのうえで日常動作を見直し、関節への負担を減らす方法を提案します。

具体的な姿勢や歩行のコツ、動作のポイントをわかりやすく説明し、患者さん自身が自宅で実践しやすいよう指導しています。

定期的なフォローアップ

炎症性疾患は症状の変動があるため、定期的な診察と検査を行い、治療効果の評価と方針の見直しを実施します。

リウマチ因子やCRPなどの炎症指標を定期的に確認し、症状のわずかな変化にも対応できる体制を整えています。

当院が取り組む主なサポート体制

取り組み内容期待できるメリット
専門医の診断体制整形外科・リウマチ科の連携原因特定を迅速化し、適切な治療につなげる
多職種連携リハビリ理学療法士・作業療法士・看護師とのチームアプローチ患者さんに合わせた効率的な回復
痛みのケアと生活指導内服薬や外用薬、装具の提案、姿勢指導日常生活での痛み緩和と再発リスクの低減
定期的なフォローアップ定期検査で炎症指標を確認し治療計画を修正症状の変動を見逃さずに対処
  • 病気や治療方法の疑問を丁寧に説明
  • 各種検査をワンストップで受けられる環境
  • 退院後もリハビリテーション外来でサポート

炎症性疾患は長期戦になることが多いですが、体調や生活習慣の変化に対応しながら無理なく治療を続ける姿勢が大切です。

Q&A

炎症性疾患については、治療の長期化や薬の副作用など、さまざまな疑問が浮かぶことがあります。患者さんからよく寄せられる質問に対して、簡単に解説します。

薬の副作用が心配です。やめてもよいのでしょうか?

自己判断で薬の服用を中断すると、炎症が急激に悪化するリスクがあります。特に免疫抑制薬や抗リウマチ薬は、決められた用量や期間を守って使用することで効果を発揮します。

気になる副作用や体調変化があるときは、早めに医師に相談してください。

リハビリはどのくらいの期間続ける必要がありますか?

症状の程度や原因疾患、生活環境などによって大きく変わります。痛みが治まった後もしばらくは筋力維持や可動域確保のために継続することが理想的です。

主治医や理学療法士と相談しながら、無理のない範囲で続けてください。

運動不足ですが、どのような運動がよいでしょうか?

炎症が落ち着いている時期には、ウォーキングや水中運動など関節への負担が比較的少ない運動が推奨されます。

自己流で激しい運動を行うと炎症が悪化する恐れがあるため、必ず医師や理学療法士と相談してプログラムを立てましょう。

若い人でも炎症性疾患になりますか?

自己免疫が関与する若年性特発性関節炎などは、10代で発症するケースもあります。若いからといって油断せず、股の痛みや違和感がある場合は早めに検査を受けることをおすすめします。

以上

参考文献

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Author

北城 雅照

医療法人社団円徳 理事長
医師・医学博士、経営心理士

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