足立慶友医療コラム

変形性膝関節症の運動による改善 – 効果的な治療法

2025.05.03

膝は体重を支える重要な関節であり、年齢を重ねるとともに痛みや違和感を覚える方が増えます。

変形性膝関節症の症状が進行すると日常生活の動作に大きな負担がかかり、歩行や正座などが難しくなることもあります。

医師による治療とあわせて運動を組み合わせると、痛みの軽減や機能回復に良い影響が期待できます。

本記事では変形性膝関節症の状態や特徴、運動を取り入れる意義、具体的な運動方法、日常生活での工夫などを詳しく紹介し、膝の悩みを抱える方が前向きに日々を過ごすための手掛かりになればと考えています。

変形性膝関節症とは

痛みや可動域の制限など、膝に生じるトラブルの中でも多くの方が悩まされる疾患の一つが変形性膝関節症です。

軟骨のすり減りや骨の変形が生じることで、立ち上がる動作や歩行などに困難を伴うようになります。加齢だけでなく、体重や普段の生活習慣なども深く関わり、個々の状況によって症状の程度はさまざまです。

変形性膝関節症の基本的な仕組み

膝関節は大腿骨と脛骨、そして膝蓋骨を含む複数の骨で構成され、それらをつなぐ軟骨や半月板がクッションの役割を果たしています。

軟骨がすり減ると骨同士の摩擦が強まり、痛みや変形が進行します。大腿骨と脛骨のあいだの半月板も負荷を受けやすく、負担の蓄積によって破損が生じやすくなります。

症状が出る原因と進行の特徴

痛みを引き起こす大きな要因は、軟骨の摩耗と炎症反応です。

さらに、体重過多や過度の負荷がかかった動作を繰り返していると膝の安定性が失われやすくなり、周辺組織や靱帯にも負担がかかります。

初期段階では朝起きたときに軽い痛みを感じる程度だったとしても、変形が進むにつれ歩行が困難になったり、関節が腫れたりするリスクが高まります。

日常生活への影響

家の中を移動するだけでも、膝に鋭い痛みを覚える場合があります。また、階段の上り下りや正座のように膝を深く曲げる動作が制限されると、生活の質にも影響が及びます。

外出やスポーツなどの活動を控えることになり、結果として筋力の低下も招きやすくなります。

早期発見と医療機関への相談

膝に違和感を覚えたら、できるだけ早期に医療機関を受診することが大切です。専門医による診断のもと、変形性膝関節症の進行度合いや患者さん固有の背景を踏まえた治療方針が決まります。

早期段階からの運動療法も含めた総合的な対応が、症状の悪化を防ぐうえで重要です。

変形性膝関節症の運動を始める意義

変形性膝関節症運動を取り入れると聞くと、「痛いのに動かして大丈夫だろうか」と心配になる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、医師や理学療法士と相談しながら適度な運動を行うと膝周辺の筋力が維持され、関節への負担を減らす効果が期待できます。

運動がもたらすプラス面

筋力を強化することで膝の安定性が増し、歩行や立ち上がりがラクになる可能性があります。血流が促進されるため、炎症の緩和にもつながります。

また、適度に関節を動かすことは軟骨への栄養供給を助け、進行の抑制に役立つと考えられています。

安全に進めるための注意点

痛みが強い時期や腫れがある場合は無理をしない姿勢が大切です。日常的に膝を冷やさないように工夫し、痛みの程度をこまめにチェックしながら取り組むと安心感が高まります。

もし大きな痛みが出た場合は医師に相談し、運動の負荷や方法を見直すとよいでしょう。

マンネリ化を防ぐ取り組み方

一度決めた運動メニューばかり繰り返していると飽きやすくなります。音楽を聴きながら行ったり、ウォーキングコースを変えてみたりして継続しやすい環境を整えると長続きしやすいです。

運動は継続しなければあまり効果が期待できないので、自分なりの工夫が重要です。

医師や専門家のサポート

独断で過度な運動を行うと、かえって膝の状態を悪化させる恐れがあります。

医療機関での受診や理学療法士による指導を受けると、安全面に配慮しながら変形性膝関節症の運動を行いやすくなります。

必要に応じてサポーターや装具の着用も選択肢に入ります。

膝にかかる主な負荷要因と対策

要因内容対策
体重の増加体重が重いほど膝にかかる圧力が上昇するカロリーコントロールや有酸素運動を併用する
筋力不足膝周辺の筋肉が弱いと関節の保護能力が低下する太ももやふくらはぎの強化運動を取り入れる
同じ姿勢の長時間維持立ち仕事やデスクワークで膝を動かさない状態が続く定期的な休憩と軽いストレッチを行い血行を促す
靱帯や半月板の損傷不意のけがや運動不足による靱帯機能低下など医療機関で適切な処置を受けリハビリを計画的に行う

日常生活で意識したい動作と膝への配慮

変形性膝関節症の運動とともに、日常のふとした動作を振り返ることが膝への負担を減らすきっかけになります。

立ち上がり方や歩き方、座り方を少し工夫するだけでも、痛みの軽減や再発予防につながります。

立ち上がり時のポイント

椅子やベッドから立ち上がるときは、膝を必要以上に曲げすぎないように気をつけます。背筋を伸ばし、可能であれば手すりやテーブルの端を支えにしてバランスをとります。

ゆっくりとした動作を心がけることで、急な負荷がかからず痛みを抑えられるでしょう。

歩行をラクにするコツ

歩行中に膝の痛みを感じる場合、できるだけ足の裏全体を使って接地すると安定感が増します。

視線は正面を向き、頭の位置を上下させないように心がけると、余計な筋力を使わずに済むことが多いです。

歩幅は大きすぎず小さすぎず、自分に合ったペースをつかむと疲労を軽減できます。

体重移動を意識するウォーキングの流れ

手順動作のポイント意識すべき点
1. 姿勢を整える背筋を伸ばし肩の力を抜く目線はやや遠くに置いて頭を固定
2. 膝を伸ばす歩き始めは片方の膝を軽く伸ばし重心を移動させる足裏全体に体重を乗せるように意識
3. 足を出す反対側の足を前に出しながら膝の曲げ伸ばしを行う大きな一歩よりも安定した歩幅を優先
4. リズムを保つ一定のリズムを保ち、急な加速や減速を避ける疲れを感じたら一旦立ち止まり体を緩める

椅子や床に座る際の注意

高すぎる椅子は膝の角度が浅くなる反面、立ち上がるときに前傾姿勢になりがちです。

逆に低すぎる椅子や床に座ると膝の角度が深くなるので、痛みを感じやすい方はサポートを利用するなど工夫すると動作が楽になります。

正座の可否とリスク

和室での生活習慣がある方にとって正座は欠かせない動作かもしれませんが、変形性膝関節症が進行している状態では痛みや炎症を起こすリスクが高まります。

必要に応じて膝を圧迫しない座り方(例えばあぐらや脚を伸ばした姿勢など)に変えたり、柔らかいクッションを使用したりして症状を軽減する工夫が大切です。

変形性膝関節症の運動方法とリハビリの基本

変形性膝関節症の運動は、筋力をつけつつ膝への過度な負荷を避けることが大切です。無理をせずに少しずつ膝を動かすことから始めると、安全にリハビリを進めやすくなります。

自宅で取り組みやすい運動例

  • 太ももの前側を鍛えるエクササイズ:仰向けに寝て片足ずつ膝を伸ばし、太ももに力を入れた状態を数秒キープする方法が一般的です。
  • 椅子を使ったスクワット:深く膝を曲げずに、椅子に腰掛ける手前までゆっくり膝を曲げ伸ばしします。関節にやさしい練習として取り入れられます。
  • 軽めのウォーキング:少しペースを落として行うウォーキングなら膝の負担を抑えやすく、下半身全体の血行も良くなります。

自宅で取り組む基本的なメニューと目安

種類方法回数・頻度の目安
太もも前側の筋力強化仰向けで足を伸ばし片足ずつ浮かせて5〜10秒キープ片足各10回を1セット、1日2回
立ち座りトレーニング椅子に軽く腰掛けるイメージでゆっくり膝を曲げ伸ばし無理のない範囲で1日10〜15回
ウォーキング平坦な道を選び、姿勢を整えて歩く20分程度を週2〜3回

ジムや外部施設を利用するメリット

運動器具がそろった環境でトレーニングを行うと、負荷調整が容易になります。

さらにインストラクターや理学療法士が常駐している施設なら、自分の膝の状態に合わせた指導を受けられるでしょう。

ただし、痛みが強い場合や進行度が高い場合は医師の指示を優先し、無理のない範囲で利用してください。

ウォーキングや水中運動の活用

水中運動は浮力の作用で体重が軽減されるため、陸上よりも膝にかかる負担を抑えやすいです。

ウォーキングに慣れてきたらプールでのアクアウォーキングも候補に入れると、膝周辺の筋肉をバランスよく鍛えられます。

水温の刺激が気になる方は、体を冷やしすぎないように短時間から始めると安心です。

運動を開始する際の専門家への相談

自己流の運動で膝を痛めたり、思わぬけがをしたりするケースもあるため、医師や理学療法士からアドバイスを受けることをおすすめします。

筋トレの回数や負荷量など、段階的に調整しながら行うと長期的な改善が見込みやすくなります。

膝をサポートする周辺筋肉の強化

膝そのものだけでなく、その周辺部位を支える筋肉の強化が変形性膝関節症の運動には欠かせません。

特に太もも前側の大腿四頭筋や太もも裏側のハムストリングス、ふくらはぎの腓腹筋などを鍛えると安定感が増し、日常的な動作が楽に感じられるようになります。

大腿四頭筋を鍛える意味

大腿四頭筋は膝を伸ばす動作に深く関わります。ここが弱いと立ち上がりや歩行に負担がかかり、膝関節に直接ストレスが集中してしまいます。

逆にしっかり鍛えると衝撃を吸収しやすくなり、変形性膝関節症の痛みを軽減するうえで大きな役割を果たします。

大腿四頭筋を意識して行う簡単なトレーニング

トレーニング名方法注意点
レッグエクステンション(椅子使用)椅子に浅く腰掛け、片足ずつ膝を伸ばし切る。戻すときはゆっくり行う痛みを感じない範囲で可動域を調整し、反動を使わない
ウォールスクワット壁に背中をつけながら膝を軽く曲げ、太ももに力を入れながら数秒キープ深く曲げすぎないこと。慣れるまでは10秒以内でも十分

ハムストリングス・ふくらはぎの強化

太もも裏側のハムストリングスは膝を曲げる動作や、歩行時の推進力に関わります。ふくらはぎの筋肉も足首や膝の安定に寄与するため、下半身全体をまんべんなく鍛える意識が大切です。

特定の筋肉のみ集中して鍛えるよりも、複数の部位をバランスよく強化するとより効果が感じやすいでしょう。

股関節や体幹の安定も重要

膝を守るためには、股関節や体幹部の筋力も見逃せません。体幹が不安定だと歩行時に膝へ偏った負荷がかかりやすくなります。

姿勢を正しく保つための腹筋や背筋を鍛えるメニューを取り入れると、長い目で見て歩く動作が楽になります。

股関節・体幹をサポートするトレーニング例

種類方法期待できる効果
ヒップリフト仰向けに寝て膝を立て、腰をゆっくり持ち上げて太ももと体幹を一直線に保つ体幹と股関節周りの筋力向上
プランクうつ伏せの状態で肘を床につき、かかとから頭まで一直線を維持する体幹の耐久力アップ、姿勢の安定化
サイドレッグレイズ横向きに寝て上側の脚をゆっくり上下に動かす中殿筋などの強化で骨盤の安定に寄与

運動と併用したい補助アイテムやサポート方法

変形性膝関節症運動と並行して、痛みを緩和したり日常生活をサポートしたりするアイテムを活用すると負担をさらに減らせる場合があります。

サポーターや装具、インソールなど状況に応じて選択することで、安心して活動できる時間を増やすことが期待できます。

サポーターや装具の特徴

膝専用のサポーターは圧迫や保温効果を期待でき、膝周辺の安定を補助します。ただし種類が多く、きつすぎると血行不良を招くリスクもあるため、自分に合ったサイズを選ぶ必要があります。

医療機関で紹介される場合は試着しながらフィット感を確認すると安心です。

主なサポーターの種類と機能比較

種類サポート力特徴
ソフトタイプ軽度薄手で動きやすく、保温性に優れるが強い固定力はない
中圧タイプ中程度適度な固定力と保温性を両立し、スポーツや日常動作で使いやすい
ハードタイプ高い膝外側に金属ステーなどが入り強力に固定、ただし重量と動きづらさを感じやすい

インソールや靴選び

歩行時の衝撃をやわらげるインソールは、膝への負担を減らすうえで有効な手段です。

足の形状に合わせたカスタムインソールを利用すれば、足首から膝までのアライメントを整えやすくなります。

靴選びも大切で、かかとが安定していて底のクッション性があるものを選ぶと痛みを軽減しやすいです。

物理療法との組み合わせ

医療機関ではホットパックや低周波治療などの物理療法を行うことがあります。血行を促して炎症を抑えたり、リラックス効果で運動への意欲を高めたりする効果が期待できます。

適度に体を温めておくと筋肉がほぐれ、運動中の痛みも軽減されるでしょう。

食事や栄養面のサポート

膝の痛み対策には食生活の見直しも効果的な方法です。

コラーゲンやカルシウム、ビタミンDなど骨や軟骨の健康に寄与する栄養素を意識的に摂取すると、変形性膝関節症運動との相乗効果を期待できます。

食事全体のバランスを考え、必要に応じてサプリメントなども検討してください。

運動を継続するための習慣づくり

変形性膝関節症運動は一時的に取り組むだけでなく、長期にわたって継続する姿勢が大切です。

生活リズムに合わせて無理なく実行できるように工夫することで、膝の状態を安定させていくことが可能になります。

具体的なモチベーションの維持方法

  • 毎日の記録:ウォーキングの時間や距離、痛みの程度などをメモしておくと、改善や悪化の傾向を客観的に把握できます。
  • ゴールの設定:たとえば「○分間歩けるようになる」など、短期的な目標を立てると達成感が生まれやすくなります。
  • 家族や友人との共有:一人だけで取り組むよりも周囲のサポートがあると、継続のモチベーションが高まりやすいです。

運動の記録をシンプルにまとめる方法

チェック項目今日の実施内容明日の目標
ウォーキング20分で休憩1回20分で休憩0回を目指す
膝の痛み程度朝は軽度、夜は中程度少し早めに就寝し休息を増やす
筋力トレーニング太もも強化10回×2セット実施1セット増やしてみる(痛み次第で調整)

運動メニューの変化と組み合わせ

同じ運動ばかり続けていると関節に偏った負担がかかる場合があります。

ウォーキングと太もも強化を交互に行ったり、水中運動を組み合わせたりして、さまざまな角度から筋肉にアプローチすると負担の分散や飽きの防止につながります。

休息と睡眠の重要性

適度な運動による刺激とともに、体をしっかり休ませる時間も大切です。睡眠不足が続くと体力や回復力が低下し、膝の痛みを感じやすくなる場合があります。

運動の翌日に痛みが強いときは、安静を意識して回復を優先することで怪我のリスクも減らせます。

続けやすい環境づくり

家庭の中でも安全に運動できるスペースを確保し、転倒のリスクを減らす工夫を行うと心配が軽減します。

緩衝マットやクッションを活用して床をやわらかくしたり、階段やトイレ付近の手すりを用意したりするなどの取り組みでスムーズに動けるようになります。

治療方法との上手な併用

変形性膝関節症の運動だけで症状が大きく改善しない場合、医療機関で行う治療と並行して取り組むと効果がさらに高まることがあります。

ヒアルロン酸注射や内服薬、外科的治療など、多様な選択肢が用意されているので、自分の症状や希望に合った方法を検討してみる価値があります。

保存療法と運動のバランス

軽度から中等度の変形性膝関節症なら、ヒアルロン酸注射や消炎鎮痛剤の内服、物理療法などを活用しつつ、運動で筋力をつける流れが一般的です。

痛みが部分的に和らぐことで、運動を継続しやすくなり、膝周辺の血行促進やリハビリ効果を得やすくなります。

保存療法と運動の相乗効果を実感しやすい例

項目方法相乗効果
ヒアルロン酸注射関節内に注入して潤滑を改善痛みの軽減で運動の継続がしやすくなる
内服薬(消炎鎮痛薬など)一時的に痛みを緩和し炎症を抑える動かす意欲が増し、筋力アップにつながる
電気治療・温熱療法など血流を促進し、硬くなった筋肉をやわらげる関節周辺の柔軟性が高まり、運動時の負担減少

手術的治療との併用

重度の場合は人工膝関節置換術などの手術が選択されることもあります。

手術後にもリハビリが必要であり、術前の段階で運動を行って筋力をある程度保持しておくと、術後の回復期間が短くなる可能性があります。

医師としっかり相談し、タイミングや内容を調整しながら進めることが大切です。

生活指導や栄養指導との連携

医療機関では、変形性膝関節症運動だけでなく、食事内容や生活リズムの指導が行われる場合があります。

栄養面や体重管理をサポートすることで、膝への負担を減らしながら筋力強化を続けやすい環境を整えやすくなります。どのような治療方法を選んでも、総合的なサポートを得ると安心です。

医療スタッフとのコミュニケーション

外来受診や通院リハビリの際に、自宅での運動状況や痛みの度合いをしっかり伝えると、医療スタッフが対策を立てやすくなります。

運動メニューや治療方針を修正する際にも患者さんの具体的な声が参考になります。遠慮せずに疑問点や悩みを相談してください。

  • 痛みの変化
  • 運動を実施した時間やメニュー
  • 日常生活で感じる不安や困りごと
  • 補助アイテムの使用感

膝を守るためのセルフケアとメンタル面

日々の暮らしの中で、ちょっとしたセルフケアを習慣にすると膝の負担軽減や痛みのコントロールが容易になります。

また、痛みが続くと精神的ストレスが高まり、日常に支障を来す場合もあるため、心のケアや生活リズムの見直しにも目を向けましょう。

簡単にできる温熱ケア

お風呂にゆっくり浸かる、もしくは膝まわりを温めると血流が良くなり、筋肉がほぐれやすくなります。シャワーだけで済ませず、湯船につかる時間を意識的にとる習慣を作るのもいい方法です。

熱すぎる湯は負担になる場合があるので、適度な温度を保つと安心です。

温め方と冷やし方の使い分け

方法タイミング効果
温める運動前や寝る前血行促進、筋肉の弛緩
冷やす運動後の痛みや腫れが強い時炎症や痛みの軽減

メンタル面とリラクゼーション

膝の痛みが長引くと、自由に動けないことからストレスが積み重なりやすくなります。

リラクゼーション法としてゆっくり呼吸に意識を向ける腹式呼吸や、心地よい音楽を聴きながら体を伸ばす軽いストレッチなどを取り入れると、精神面の緊張緩和に寄与します。

気分が落ち込みがちなときには専門家のサポートを検討することも大切です。

家庭内での声かけや協力

身近な家族に膝の状況を理解してもらい、負担が大きい家事や外出時の付き添いを手伝ってもらうなど、協力を仰げると痛みと向き合いやすくなります。

一時的に役割を分担してもらうことで自分の膝を休ませる時間を作れるため、回復を促進するうえでも意義があります。

  • 買い物や重い荷物を運ぶときの支援
  • 家事のうち膝に負担が大きい作業の分担
  • 外出時の車の乗り降りのサポート

生活の質(QOL)を高める発想

痛みや制限があると以前のように活動できないことに目が向きがちですが、自分ができる範囲の新たな楽しみを見つけると心の健康を保ちやすくなります。

室内でできる趣味や軽い体操、オンラインコミュニティでの交流など、多方面にアンテナを張って選択肢を広げると前向きな気持ちが芽生えやすいでしょう。

よくある質問

変形性膝関節症運動を取り入れる際に多くの患者さんが抱く疑問について、いくつかまとめました。

主治医や理学療法士に相談しやすいよう、あらかじめ整理しておくと受診時にスムーズに話を進められます。

痛みがあるときに運動しても大丈夫ですか

痛みがあるからといってまったく動かさないと筋力が低下し、結果的に膝にさらなる負担がかかる場合があります。

ただし、激痛があるときや腫れが強いときは無理をせず安静を優先し、医師に相談してください。

運動の効果が出るまでどのくらいかかりますか

個人差がありますが、筋力や柔軟性の変化を実感するまでは数週間から数か月かかることが多いです。小さな変化を記録しながら、コツコツ継続する姿勢が大切です。

運動以外に気をつけるポイントはありますか

体重管理や生活習慣の改善、足元の安定を確保することなどが挙げられます。インソールやサポーターなどの補助具をうまく活用すると、膝への衝撃を抑えることが可能です。

どの程度の負荷が適切か分かりません

医師や理学療法士からのアドバイスを参考に、自分の膝の状態に合わせて少しずつ負荷を調整する方法をとるといいでしょう。

痛みが長引く場合や急に強くなる場合は、専門家に相談したうえで運動メニューを再検討することをおすすめします。

以上

参考文献

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Author

北城 雅照

医療法人社団円徳 理事長
医師・医学博士、経営心理士

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