足立慶友医療コラム

外反膝について – 症状と原因から改善方法まで

2025.06.05

外反膝(がいはんしつ)、いわゆるX脚は、膝が内側に過剰に曲がってしまう状態を指します。この状態は見た目の問題だけでなく、膝の痛みや将来的な関節症のリスクを高める可能性があります。

この記事では、外反膝の症状、様々な原因、そしてご自身でできる改善方法や専門的なアプローチについて、詳しく、そして分かりやすく解説します。

外反膝について深く理解し、適切な対処法を見つけるための一助となれば幸いです。

外反膝とは何か

外反膝は、多くの方が「X脚(エックスきゃく)」として認識している状態です。両足をそろえて立ったときに、左右の膝の内側がくっついても、くるぶしの間が開いてしまうのが特徴です。

このセクションでは、外反膝の基本的な知識について掘り下げていきます。

外反膝の基本的な定義

医学的に外反膝とは、大腿骨(太ももの骨)に対して脛骨(すねの骨)が外側に反っている状態、つまり膝関節が内側に「くの字」に曲がっている状態を指します。

正面から見るとアルファベットの「X」のような形に見えるため、X脚とも呼ばれます。この変形は、膝関節にかかる体重のバランスを崩し、様々な問題を引き起こす可能性があります。

X脚との違いや関連性

一般的に「外反膝」と「X脚」は同じ状態を指す言葉として使われます。医学用語としては外反膝が用いられることが多いですが、X脚の方がより広く知られているかもしれません。

重要なのは呼び方ではなく、膝が内側に入り込んでいるという形態的な特徴と、それが身体にどのような影響を与えるかを理解することです。

外反膝と正常な膝の比較

特徴正常な膝外反膝(X脚)
脚のライン太ももから足首まで比較的まっすぐ膝が内側に入り、X字型に見える
膝同士の接触立った時に膝が軽く触れるか、わずかに隙間がある膝同士が強く接触する
くるぶし間の距離立った時にくるぶし同士が接触する、またはわずかな隙間膝を寄せるとくるぶしが開く

見た目以外の影響

外反膝は単に見た目の問題だけではありません。膝関節の特定の部分に過度な負担がかかり続けることで、痛みや機能障害が生じることがあります。

特に膝の内側には圧縮ストレスが、外側には牽引ストレスがかかりやすくなります。

これらのストレスが長期間続くと、軟骨のすり減りや靭帯の損傷など、より深刻な問題に発展するリスクがあります。

どの程度の変形が外反膝か

外反膝の程度は、両くるぶし間の距離や、大腿骨と脛骨のなす角度(FTAまたはMikulicz線などを用いて評価)によって客観的に評価します。

軽度であれば自覚症状がないことも多いですが、一定以上の変形になると、膝への負担が増大します。

一般的に、両膝をつけた状態で、左右の内くるぶし間が指2本分(約3-4cm)以上開いている場合に外反膝の傾向があるとされますが、正確な診断は専門家による評価が必要です。

外反膝の主な症状

外反膝があると、膝関節やその周辺に様々な症状が現れることがあります。初期には無症状のこともありますが、進行するにつれて日常生活に支障をきたす場合もあります。

ここでは、外反膝によって生じやすい主な症状について解説します。

膝の痛みや違和感

最も一般的な症状は膝の痛みです。特に膝の内側に痛みを感じることが多いですが、膝全体や膝裏に痛みや違和感が生じることもあります。

痛みは、歩行時や階段昇降時、長時間の立ち仕事の後などに強くなる傾向があります。安静時には痛みが和らぐこともありますが、慢性化すると持続的な痛みとなることもあります。

歩行時の不安定感

外反膝の方は、歩行時に膝が内側に入るため、バランスが取りにくく不安定感を覚えることがあります。特に不整地や坂道などでは、膝がぐらつくような感覚や、つまずきやすさを感じることがあります。この不安定感が、さらなる膝への負担や転倒のリスクにつながることも考えられます。

外反膝の代表的な症状

症状の種類具体的な内容現れやすい状況
痛み膝の内側、皿の周囲、膝裏など歩行、階段昇降、運動時
不安定感膝が抜ける感じ、ぐらつき歩行時、方向転換時
機能制限膝の曲げ伸ばしがしにくい正座、深くしゃがむ動作

疲れやすさや倦怠感

外反膝の状態では、効率的な歩行や動作が難しくなるため、通常よりも多くのエネルギーを消費しやすくなります。

このことにより、脚全体、特に太ももやすねの筋肉が疲れやすくなったり、全身の倦怠感を感じたりすることがあります。

運動をしていないのに足がだるい、といった症状も外反膝に関連している可能性があります。

関連する他の身体部位への影響

外反膝は膝だけの問題にとどまらず、他の身体部位にも影響を及ぼすことがあります。

膝のアライメント(骨の配列)が崩れることで、足関節や股関節、さらには骨盤や腰にも負担がかかり、痛みや不調の原因となることがあります。

例えば、偏平足や外反母趾を合併しやすくなったり、腰痛を引き起こしたりすることがあります。

影響を受けやすい身体部位

  • 足関節・足部(偏平足、外反母趾)
  • 股関節
  • 骨盤・腰部

外反膝を引き起こす多様な原因

外反膝の原因は一つではなく、様々な要因が複雑に関与して発症すると考えられています。

「外 反 膝 原因」として特定の一つを挙げるのは難しい場合が多いですが、大きく分けて先天的な要因と後天的な要因があります。

それぞれの要因について詳しく見ていきましょう。

先天的な要因と遺伝

生まれつきの骨の形状や関節のゆるさが外反膝の原因となることがあります。

遺伝的な要素が関与する場合もあり、家族に外反膝の方がいる場合は、体質的に外反膝になりやすい可能性が考えられます。

骨の形状や発育の問題

胎児期や幼少期における骨の成長過程で、大腿骨や脛骨の形状に特徴が見られる場合、外反膝が生じやすくなることがあります。

例えば、大腿骨内顆(だいたいこつないか)の形成不全などが一因となることがあります。これらは、成長に伴って自然に改善することもありますが、成人期まで残存することも少なくありません。

後天的な要因 生活習慣

日常生活における習慣や癖が、徐々に外反膝を助長する「外 反 膝 原因」となることがあります。

特に、長期間にわたる不適切な姿勢や動作は、関節や筋肉のバランスを崩し、外反膝の形成や悪化につながる可能性があります。

長時間同じ姿勢での作業

デスクワークなどで長時間座ったままの姿勢が続くと、股関節周りの筋肉が硬くなったり、弱くなったりすることがあります。

特に、足を組む癖や内股での座り方は、膝が内側に入りやすい状態を作り出し、外反膝を助長する可能性があります。

特定のスポーツや動作の繰り返し

一部のスポーツや特定の動作の繰り返しも、外反膝の一因となることがあります。

例えば、バレエや新体操などで股関節の柔軟性が過度に求められる場合や、スキーのボーゲンのような膝を内側に入れる動作を繰り返すスポーツでは、膝への負担が偏り、外反膝のリスクが高まることがあります。

外反膝の主な原因カテゴリー

原因カテゴリー具体例影響
先天性・遺伝的要因骨の形態異常、家族歴生まれつきの素因
生活習慣座り方、歩き方の癖、運動不足後天的なアライメント不良
疾患・外傷関節リウマチ、骨折、靭帯損傷関節の変形や不安定性

後天的な要因 病気や怪我

特定の病気や過去の怪我が原因で外反膝が引き起こされることもあります。これらは膝関節そのもの、あるいは膝を支える構造に影響を与え、アライメントの異常を招きます。

関節リウマチなどの疾患

関節リウマチは、関節に炎症を引き起こし、徐々に関節破壊を進行させる病気です。膝関節が侵されると、関節の変形や不安定性が生じ、結果として外反膝を呈することがあります。

その他、くる病(ビタミンD欠乏症)なども骨の変形を引き起こし、外反膝の原因となり得ます。

骨折や靭帯損傷の後遺症

膝関節周辺の骨折(大腿骨顆部骨折や脛骨高原骨折など)が治癒する過程で変形が生じたり、膝の靭帯(特に内側側副靭帯など)を損傷して膝の安定性が失われたりすると、二次的に外反膝が生じることがあります。

適切な治療が行われなかった場合や、重度の損傷の場合にリスクが高まります。

加齢による変化

加齢に伴う筋力の低下や、長年の負荷の蓄積によっても、膝のアライメントは変化し、外反膝が進行することがあります。

特に閉経後の女性では、ホルモンバランスの変化も影響し、骨粗鬆症とともに関節の変形が進みやすくなる傾向があります。長年の生活習慣が「外 反 膝 原因」として蓄積され、顕在化することもあります。

外反膝のセルフチェックと評価方法

ご自身の膝の状態が気になる場合、専門機関を受診する前に、ある程度自分でチェックすることができます。

ただし、セルフチェックはあくまで目安であり、正確な診断は医師による診察が必要です。ここでは、自宅でできる簡単な確認方法や、専門機関での評価について解説します。

自宅でできる簡単な確認法

最も簡単な確認方法は、足をそろえてまっすぐに立ち、膝の状態を観察することです。

両膝の内側がくっつくように力を入れずに自然に立ったとき、左右の内くるぶし(足首の内側の骨のでっぱり)の間にどの程度の隙間ができるかを確認します。

一般的に、この隙間が指2本分(約3~4cm)以上開いている場合、外反膝の傾向があると考えられます。

自宅での外反膝チェックポイント

チェック項目確認方法目安
くるぶし間の距離両膝をつけ、まっすぐ立つ内くるぶし間に指2本以上の隙間
膝の向きまっすぐ立った時の膝のお皿の向きお皿が内側を向いている
靴底の減り方普段履いている靴の底を確認かかとの外側が極端に減っている

鏡を使った姿勢のチェック

全身が映る鏡の前に立ち、正面、側面からご自身の姿勢を観察します。正面からは、膝が内側に入り込んでいないか、O脚になっていないかを確認します。

側面からは、膝が過度に反っていたり(反張膝)、逆に曲がったままになっていないか、また、骨盤が前後に傾きすぎていないかなどをチェックします。

猫背や反り腰といった不良姿勢も、膝への負担を増大させる要因となります。

写真や動画での客観的評価

自分自身では気づきにくい歩き方の癖などを客観的に評価するために、家族や友人に歩いている姿を撮影してもらうのも一つの方法です。

歩行時に膝が内側に入り込む「ニーイン」という動作が見られるか、足裏の接地はどうかなどを確認できます。これらの情報は、専門家への相談時にも役立つことがあります。

専門機関での評価との違い

セルフチェックはあくまで簡易的なものであり、外反膝の正確な診断や重症度の評価は、整形外科などの専門機関で行う必要があります。

専門機関では、医師による問診や視診、触診に加え、レントゲン撮影による客観的な角度計測(FTA:大腿脛骨角など)や、必要に応じてMRIなどの画像検査を行います。

これらの検査を通じて、外反膝の程度、原因、合併症の有無などを総合的に評価し、適切な治療方針を決定します。

外反膝の改善に向けたアプローチ

外反膝の改善には、その原因や程度、年齢、活動レベルに応じた様々なアプローチがあります。

すぐに効果が出るものではありませんが、根気強く取り組むことで症状の軽減や進行予防が期待できます。ここでは、保存的療法を中心に、自分でできることから専門的な介入までを紹介します。

保存的療法の基本方針

多くの場合、外反膝の治療は保存的療法から開始します。保存的療法とは、手術以外の方法で症状の改善を目指す治療法です。

主な目的は、痛みのコントロール、膝関節機能の改善、変形の進行予防です。具体的には、生活習慣の見直し、運動療法、装具療法などが含まれます。

個々の状態に合わせてこれらの治療法を組み合わせて行います。

日常生活での注意点

日々の生活の中での些細な習慣が、外反膝に影響を与えることがあります。意識して改善することで、膝への負担を軽減できます。

正しい座り方と立ち方

座るときは、椅子に深く腰掛け、背筋を伸ばし、両足を床につけるように心がけます。

足を組む、横座り(お姉さん座り)、アヒル座り(ぺたんこ座り)などは、膝や股関節にねじれを生じさせ、外反膝を助長する可能性があるため避けるようにしましょう。

立つときも、両足に均等に体重をかけることを意識します。

生活習慣における注意点

  • 長時間の同じ姿勢を避ける
  • 体重管理を心がける
  • 膝に負担のかかる動作を控える

靴の選び方とインソールの活用

靴選びも重要です。かかとが安定し、足のアーチを適切にサポートする靴を選びましょう。

ハイヒールやつま先の細い靴は、足の不安定性を増し、膝への負担をかけるため、長時間の使用は控えるのが賢明です。

また、個々の足の状態に合わせて作製されたオーダーメイドのインソール(足底挿板)や、市販の機能性インソールを使用することで、足元からのアライメントを補正し、膝への負担を軽減する効果が期待できます。

運動療法とストレッチ

運動療法は、外反膝の改善と悪化予防において中心的な役割を果たします。筋力トレーニングによって膝を支える筋肉を強化し、ストレッチによって柔軟性を高めることが大切です。

筋力トレーニングの重要性

特に、太ももの内側の筋肉(内側広筋)や、お尻の筋肉(中殿筋など)を鍛えることが重要です。これらの筋肉は、膝が内側に入るのを抑制し、膝関節を安定させる働きがあります。

無理のない範囲で、継続的に行うことが効果を高めます。

効果的なストレッチ方法

太ももの外側や裏側、股関節周りの硬くなった筋肉をストレッチでほぐすことも大切です。筋肉の柔軟性が向上すると、関節の動きがスムーズになり、膝への負担が軽減されます。

ストレッチは、反動をつけず、ゆっくりと心地よい程度に伸ばすのがポイントです。痛みを感じる場合は無理をしないようにしましょう。

外反膝改善のための運動の種類

運動の種類目的具体例
筋力トレーニング膝関節の安定化、支持筋力の向上スクワット(正しいフォームで)、レッグランジ、ヒップアブダクション
ストレッチ筋肉の柔軟性向上、関節可動域の改善太もも外側・裏側のストレッチ、股関節内転筋・外旋筋のストレッチ
バランストレーニング固有受容感覚の改善、安定性の向上片足立ち、バランスディスクの使用

専門家による外反膝への対応

セルフケアだけでは改善が難しい場合や、症状が強い場合には、整形外科医や理学療法士などの専門家による対応が必要となります。

専門家は、正確な診断に基づいて、個々の状態に合わせた治療計画を立てます。

整形外科での診断プロセス

整形外科では、まず問診で症状の発生時期、痛みの程度や性質、日常生活での支障などを詳しく聴取します。その後、視診で膝のアライメントや歩行状態を確認し、触診で圧痛の部位や関節の不安定性を評価します。

診断を確定するためには、レントゲン撮影が重要です。立位でのレントゲン撮影により、膝のアライメント(FTAなど)を正確に計測し、外反膝の程度を評価します。

また、骨や軟骨の状態、関節裂隙の狭小化なども確認します。必要に応じて、MRI検査で半月板や靭帯の状態を詳しく調べることもあります。

理学療法士によるリハビリテーション

理学療法士は、運動療法や物理療法を通じて、膝関節の機能回復を目指します。個々の筋力や柔軟性、動作パターンを評価し、それに基づいたオーダーメイドの運動プログラムを作成します。

筋力トレーニング、ストレッチ、バランストレーニングなどを指導し、正しい動作の習得をサポートします。また、日常生活での注意点や自主トレーニングの方法についてもアドバイスを行います。

専門機関での対応内容

対応者主な内容目的
整形外科医問診、診察、画像検査(レントゲン、MRI等)、診断、治療方針決定正確な状態把握と適切な治療選択
理学療法士運動療法指導、物理療法、日常生活指導筋力強化、可動域改善、疼痛緩和
義肢装具士足底挿板(インソール)や膝装具の採型・作製アライメント補正、関節保護

装具療法とその効果

装具療法には、足底挿板(インソール)や膝装具などがあります。足底挿板は、足のアーチをサポートし、足関節のアライメントを整えることで、膝への負担を軽減します。

特に、外反膝に伴って偏平足が見られる場合に有効です。膝装具は、膝関節を外側から支えることで、内側への倒れ込みを防ぎ、安定性を高めます。

これにより、痛みの軽減や変形の進行抑制効果が期待できます。装具は、医師の診断のもと、義肢装具士が個々の状態に合わせて作製または選択します。

手術療法が検討されるケース

保存的療法を十分に行っても症状の改善が見られない場合や、変形が高度で日常生活に大きな支障をきたしている場合、あるいは若年者で活動性が高く、将来的な関節症の進行を予防したい場合などには、手術療法が検討されることがあります。

代表的な手術方法としては、骨切り術(大腿骨や脛骨の骨を切って角度を矯正する手術)や、重度の変形性膝関節症に至っている場合は人工膝関節置換術などがあります。

手術の適応は、年齢、活動レベル、変形の程度、全身状態などを総合的に考慮して慎重に判断します。

外反膝と上手く付き合うために

外反膝と診断された場合でも、適切な知識を持ち、日常生活で工夫をすることで、症状の悪化を防ぎ、より快適な生活を送ることが可能です。

ここでは、外反膝と上手く付き合っていくためのポイントをいくつか紹介します。

症状悪化を防ぐ生活習慣

膝に負担をかけない生活習慣を心がけることが重要です。長時間の立ち仕事や正座、あぐら、重いものを持つなどの動作は、できるだけ避けるか、時間を短くする工夫をしましょう。

床からの立ち上がりや階段昇降なども、手すりを利用するなどして膝への負担を軽減します。また、肥満は膝への負担を増大させる大きな要因となるため、体重管理も大切です。

体重管理の重要性

体重が1kg増加すると、歩行時には膝に約3kg、階段昇降時には約5~7kgの負荷がかかると言われています。

外反膝の方は、もともと膝関節の特定の部分に負荷が集中しやすいため、体重が増加すると、その負荷はさらに大きくなり、痛みや変形の進行を早める可能性があります。

バランスの取れた食事と適度な運動を心がけ、標準体重を維持することが、膝を守る上で非常に重要です。

体重と膝への負荷

動作体重1kg増加あたりの膝への追加負荷
平地歩行約3kg
階段昇降約5-7kg
ジョギング約7-10kg

定期的な状態チェック

外反膝の症状や変形の程度は、時間とともに変化することがあります。自覚症状に変化がなくても、定期的に専門医の診察を受け、膝の状態をチェックしてもらうことが大切です。

レントゲン検査などで客観的な評価を受けることで、変形の進行度合いを把握し、必要に応じて治療方針を見直すことができます。早期発見・早期対応が、将来的な関節機能の維持につながります。

精神的なサポートと情報収集

外反膝による痛みや見た目の悩みは、精神的なストレスにつながることもあります。一人で抱え込まず、家族や友人、あるいは同じ悩みを持つ人々と話すことで、気持ちが楽になることもあります。

また、信頼できる情報源から外反膝に関する正しい知識を得ることも大切です。医師や理学療法士に積極的に質問し、自分の状態や治療法について理解を深めることが、前向きな取り組みにつながります。

外反膝に関するよくある質問

外反膝について、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。疑問や不安の解消にお役立てください。

子供の外反膝は自然に治りますか

幼児期の生理的な外反膝(幼児期X脚)は、成長に伴って自然に改善することが多いです。

一般的に2歳頃からX脚傾向が見られ始め、3~5歳頃に最も顕著になり、その後徐々に軽減して7歳頃までには正常なアライメントになることが多いと言われています。

しかし、7歳を過ぎても強いX脚が残る場合や、左右差が大きい場合、痛みを伴う場合などは、病的な外反膝の可能性もあるため、専門医への相談を検討してください。

子供と大人の外反膝の違い(目安)

項目子供の外反膝(生理的)大人の外反膝
主な原因成長過程の一時的なもの遺伝、生活習慣、疾患、外傷など複合的
自然治癒期待できることが多い期待しにくい、進行予防が主
対応経過観察が中心、時に装具生活指導、運動療法、装具、手術など

外反膝は治らないと聞きましたが本当ですか

「治る」という言葉の定義にもよりますが、成人で一度完成した骨格の変形を完全に元に戻すことは、保存的療法では難しいことが多いです。

しかし、適切な運動療法や生活習慣の改善、装具の使用などによって、症状を軽減したり、変形の進行を遅らせたり、日常生活の質を向上させることは十分に可能です。

手術療法(骨切り術など)では、アライメントの矯正が期待できます。大切なのは、ご自身の状態を正確に把握し、適切な対処法を継続することです。

サポーターは効果がありますか

膝用のサポーターは、膝関節を保温したり、安定性を高めたり、動きを補助したりする効果が期待できます。外反膝の方向けに、膝の内側への倒れ込みを抑制するような機能を持つサポーターもあります。

一時的な痛みの軽減や安心感を得るためには有効な場合があります。ただし、サポーターに頼りすぎると、膝を支える自身の筋力が低下する可能性も指摘されています。

使用については、医師や理学療法士に相談し、適切な種類や使用方法についてアドバイスを受けることをお勧めします。

根本的な解決にはなりませんが、補助的な手段として有用です。

どのような運動を避けるべきですか

外反膝の方が避けるべき運動は、膝に過度な負担やねじれストレスがかかるものです。具体的には、以下のようなものが挙げられます。

避けるべき運動の例

  • ジャンプや着地の多いスポーツ(バレーボール、バスケットボールなど)
  • 急な方向転換を伴うスポーツ(サッカー、テニスなど)
  • 膝を深く曲げ込む動作(ウェイトトレーニングでのフルスクワットなど)
  • 長時間・長距離のランニング(特に硬い路面での)

ただし、これらの運動を完全に禁止するわけではありません。個々の膝の状態や体力レベル、運動の強度や頻度によっても影響は異なります。

運動の種類や方法については、専門家と相談しながら、膝に負担の少ない形で行うことが大切です。

水泳や水中ウォーキングなどは、膝への負担が少なく、筋力維持や向上に適している場合があります。

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Author

北城 雅照

医療法人社団円徳 理事長
医師・医学博士、経営心理士

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