足立慶友医療コラム

膝関節症の原因と症状|治療法の選択基準

2025.06.18

膝の痛みは、多くの方が経験する身近な症状の一つです。

特に、年齢とともに増加する「変形性膝関節症」は、立ち上がりや歩行といった日常の基本的な動作に影響を及ぼし、生活の質を大きく左右する可能性があります。

この記事では、膝関節症がなぜ起こるのかという根本的な「原因」から、日常生活で気づく「症状」の進行、そしてどのような「治療法」があり、何を基準に選択すべきかについて、詳しく解説します。

ご自身の膝の状態を正しく理解し、今後の対応を考えるための一助としてください。

膝関節症とは何か?基本的な知識

膝関節症について理解を深めるためには、まず膝関節そのものがどのような構造で、どのように機能しているかを知ることが重要です。

私たちの体重を支え、歩く、座る、立つといったあらゆる動作を可能にする膝関節の仕組みと、そこに起こる問題について見ていきましょう。

膝関節の構造と役割

膝関節は、大腿骨(太ももの骨)、脛骨(すねの骨)、そして膝蓋骨(膝のお皿)という3つの骨で構成されています。

これらの骨の連結部分を安定させるために、内側・外側側副靭帯や前・後十字靭帯といった強固な靭帯が取り巻いています。

さらに、大腿骨と脛骨の間には、衝撃を吸収するクッションの役割を担う半月板が存在します。

これらの複雑な組織が連携し、体重を支えながら、滑らかで安定した脚の曲げ伸ばしを実現しています。

関節軟骨の重要性

膝関節を構成する骨の表面は、「関節軟骨」という厚さ数ミリの非常に滑らかで弾力性のある組織で覆われています。

この関節軟骨は、関節が動く際の摩擦を軽減し、衝撃を吸収する重要な役割を担います。

硝子(しょうし)軟骨とも呼ばれるこの組織には血管や神経が通っていないため、一度すり減ったり傷ついたりすると、自然に修復される能力が極めて低いという特徴があります。

膝関節症は、主にこの関節軟骨が長年の使用によりすり減ることで発症します。

変形性膝関節症の定義

変形性膝関節症とは、関節軟骨の摩耗や変性によって関節に炎症が起き、痛みや腫れが生じる疾患です。進行すると、軟骨の下にある骨(軟骨下骨)が露出し、骨同士が直接こすれ合うようになります。

この刺激により、骨の縁に「骨棘(こつきょく)」と呼ばれるトゲのようなものが形成されたり、骨そのものが変形したりします。

これらの変化が、膝の強い痛みや動かしにくさ、O脚などの外見上の変形を引き起こすのです。

膝関節症の主な原因

膝関節症は、単一の原因で発症するわけではなく、複数の要因が長年にわたって複雑に絡み合うことで進行します。

どのような要因が膝への負担を増やし、発症のリスクを高めるのかを具体的に見ていきましょう。ご自身の生活習慣や身体的特徴と照らし合わせてみてください。

加齢による変化

最も大きな原因とされるのが加齢です。年齢を重ねると、関節軟骨の水分量が減少し、弾力性が失われていきます。

軟骨を構成する成分の生成能力も低下するため、日常的な動作によるわずかなダメージが蓄積しやすくなり、軟骨がすり減りやすくなります。

この変化は誰にでも起こりうる自然な現象ですが、進行の度合いには個人差があります。

軟骨の年齢による状態変化

年代軟骨の状態主な特徴
20〜30代正常・弾力性豊か水分量が多く、衝撃吸収能力が高い。
40〜50代初期の変性水分が減少し始め、弾力性がやや低下する。
60代以降摩耗・変性が進行表面が毛羽立ち、菲薄化(薄くなる)が進む。

体重の負荷と肥満

膝関節には、歩行時には体重の約3倍、階段の上り下りでは約7〜8倍もの負荷がかかるといわれています。そのため、体重が増加すると、その分だけ膝への負担も増大します。

特に肥満は、関節軟骨の摩耗を加速させる直接的な原因となります。また、脂肪組織から分泌される物質が関節の炎症を引き起こし、痛みを増強させる可能性も指摘されています。

体重管理は、膝関節症の予防と進行抑制の両面で極めて重要です。このことにより、治療においても減量が推奨されることが多くあります。

過去の怪我や病気の影響

スポーツや事故などで膝の靭帯(前十字靭帯など)や半月板を損傷した経験がある場合、関節の安定性が損なわれ、特定の部位に負荷が集中しやすくなります。

この状態が続くと、数年から数十年後に二次性の変形性膝関節症を発症するリスクが高まります。

また、関節リウマチや痛風といった他の関節疾患が、膝関節の炎症や破壊を引き起こし、結果として変形性膝関節症につながることもあります。

半月板損傷や靭帯損傷との関連

半月板は膝のクッション、靭帯はスタビライザー(安定装置)の役割を果たします。

これらの組織が損傷すると、骨と骨の間の衝撃が直接軟骨に伝わりやすくなったり、歩行時の微妙なぐらつきが軟骨への異常なストレスを生じさせたりします。

これらの小さなダメージの蓄積が、軟骨の摩耗を早める大きな要因となるのです。

O脚・X脚などの骨格の問題

日本人に多いO脚は、膝の内側に体重が偏ってかかるため、内側の関節軟骨がすり減りやすくなります。逆にX脚では、膝の外側に負担が集中します。

このような骨格のアライメント(配列)の異常は、無意識のうちに膝関節の特定の部分に過剰なストレスをかけ続け、変形性膝関節症の進行を促進させる一因となります。

生まれつきの骨格だけでなく、長年の生活習慣や姿勢も影響します。

見逃せない膝関節症の症状

膝関節症の症状は、ゆっくりと進行するのが特徴です。「年のせいだろう」と見過ごしているうちに、気づけば生活に支障をきたしていることも少なくありません。

初期から末期にかけて、どのような症状が現れるのかを段階的に理解し、早期発見につなげましょう。

初期症状の特徴

初期段階では、常に痛むわけではなく、特定の動作の開始時に痛みを感じることが多いです。

例えば、朝起きて最初の一歩を踏み出す時や、長時間座った後で立ち上がる時に、膝がこわばるような、あるいはズキッとするような痛みを感じます。

しかし、少し動いているうちに痛みは和らいでいくため、あまり深刻に考えない方も多いようです。

初期症状のチェックリスト

項目症状の内容セルフチェック
動き始めの痛み立ち上がりや歩き始めに膝が痛む。□ はい / □ いいえ
膝のこわばり朝方、膝が固まったように感じ、動かしにくい。□ はい / □ いいえ
特定の動作での違和感階段の上り下りで、なんとなく違和感や軽い痛みがある。□ はい / □ いいえ

中期症状の進行

病状が進行すると、痛みがより頻繁に、そして強くなります。特に膝に負担のかかる動作、例えば階段の上り下りは顕著に辛くなります。

正座や深くしゃがみ込む動作は、膝が完全に曲がらないため困難になります。

また、関節内に炎症が起きることで「関節水腫(かんせつすいしゅ)」、いわゆる「膝に水がたまる」状態になり、膝が腫れて熱を持つこともあります。

階段の上り下りや正座の困難

中期になると、平地を歩くのはまだ可能でも、階段では手すりが必要になることがあります。特に下りる動作は、膝への衝撃が大きいため、痛みを強く感じやすいです。

和式の生活で必要な正座ができなくなることは、生活様式にも影響を与え始めます。

末期症状の深刻化

末期になると、関節軟骨がほぼなくなり、骨同士が直接ぶつかるため、安静にしていても痛みが続くようになります。夜間に痛みで目が覚めることも珍しくありません。

関節の変形も目立つようになり、O脚がさらに進行して歩行が不安定になります。杖や歩行器なしでは外出が困難になるなど、日常生活に著しい支障をきたします。

安静時の痛みと関節の変形

  • ズキズキとうずくような痛み
  • じっとしていても続く痛み
  • 膝が完全に伸びない、曲がらない(可動域制限)

膝関節症の検査と診断

膝の痛みの原因を正確に特定し、適切な治療方針を立てるためには、専門医による的確な検査と診断が重要です。

どのような手順で検査が進められ、何がわかるのかを知っておくことは、ご自身の状態を理解する上で役立ちます。

医師による問診と視診・触診

診断の第一歩は、患者さんから詳しくお話を聞く「問診」です。

いつから、どこが、どのように痛むのか、どのような時に痛みが強くなるのか、過去の怪我の有無、普段の生活習慣などを詳細に確認します。

その後、医師が膝の状態を直接見て、触って評価する「視診・触診」を行います。

膝の腫れや熱感、押した時の痛みの場所(圧痛)、関節の動きの範囲(可動域)、O脚変形の程度、歩行時の様子などを観察し、病状を把握します。

痛みの場所や程度の確認

膝の内側、外側、お皿の周りなど、痛む場所によって原因となっている部位を推測できます。例えば、O脚変形を伴う変形性膝関節症では、膝の内側に圧痛を認めることが多くあります。

レントゲン(X線)検査の役割

レントゲン検査は、膝関節症の診断において最も基本的で重要な検査です。骨の状態を画像で確認し、病気の進行度を客観的に評価します。

主に、大腿骨と脛骨の間の隙間(関節裂隙)の広さや、骨棘の有無、骨の変形の程度などを観察します。

Kellgren-Lawrence(KL)分類

グレードレントゲン所見状態
1骨棘形成の疑いごく初期の変化
2明らかな骨棘形成初期
3中等度の関節裂隙狭小化進行期
4著しい関節裂隙狭小化、骨硬化末期

MRI検査でわかること

MRI検査は、レントゲンでは映らない軟部組織(関節軟骨、半月板、靭帯など)の状態を詳細に評価できる検査です。

関節軟骨のすり減りの程度や、半月板損傷、靭帯損傷の有無を正確に診断できます。

特に、レントゲンでは異常がなくても痛みが続く場合や、手術を検討する際に、より詳細な情報を得るために行います。

軟骨や半月板の詳細な状態

MRIを用いることで、軟骨がどのくらい薄くなっているか、部分的に欠損していないかといった微細な変化を捉えることができます。

半月板に断裂がないかを確認することも、治療方針の決定に大きく役立ちます。

その他の検査(関節液検査・血液検査)

膝に関節液(水)がたまっている場合、注射で関節液を抜いてその性状を調べる「関節液検査」を行うことがあります。

関節液の色や濁り具合、含まれる成分を分析することで、変形性膝関節症なのか、あるいは関節リウマチや偽痛風、感染症といった他の疾患なのかを鑑別します。

また、関節リウマチなどが疑われる場合には「血液検査」も行い、診断の補助とします。

治療法の種類と目的

膝関節症の治療は、病状の進行度、年齢、活動レベル、そして患者さん自身の希望などを総合的に考慮して決定します。治療の大きな柱は「保存療法」と「手術療法」の2つです。

それぞれの目的を正しく理解し、自分に合った治療を選択することが大切です。

保存療法が基本

ほとんどの場合、治療はまず保存療法から開始します。

保存療法の主な目的は、すり減った軟骨を元に戻すことではなく、「痛みをコントロールし、膝関節の機能を維持・改善すること」にあります。

痛みを和らげ、日常生活をより快適に送れるようにすることを目指します。運動療法、物理療法、装具療法、薬物療法など、様々なアプローチを組み合わせて行います。

保存療法の種類と目的

治療法主な内容目的
運動療法筋力強化、ストレッチ膝の安定化、可動域の改善
薬物療法内服薬、外用薬、注射痛みの緩和、炎症の抑制
装具療法サポーター、足底板膝の安定化、負担の軽減

手術療法の選択

様々な保存療法を数ヶ月間試しても痛みが改善されず、日常生活に大きな支障が出ている場合に、手術療法が選択肢となります。

手術療法は、痛みの原因を根本的に取り除いたり、関節の変形を矯正したりすることを目的とします。

手術にはいくつかの種類があり、年齢や活動度、変形の程度に応じて最適な方法を選択します。

治療目標の設定の重要性

治療を始めるにあたり、「どのような状態になりたいか」という具体的な目標を医師と共有することが非常に重要です。

「畑仕事を続けたい」「旅行に行ってたくさん歩きたい」「孫と不自由なく遊びたい」など、個々の目標によって選択すべき治療法も変わってきます。

医師とよく話し合い、納得のいく治療計画を立てることが、治療を成功に導く鍵となります。

保存療法の具体的な選択基準

保存療法は、膝関節症治療の根幹をなすものです。複数の選択肢の中から、自分の症状や生活スタイルに合ったものを適切に組み合わせることが、効果を最大限に引き出すために重要です。

それぞれの治療法の特徴と選択の考え方を解説します。

運動療法

運動療法は、保存療法の中でも特に重要な位置を占めます。膝を支える太ももの筋肉(特に大腿四頭筋)を鍛えることで、膝関節の安定性が増し、軟骨への負担を軽減できます。

また、ストレッチで関節周りの筋肉や腱の柔軟性を保つことは、膝の動きをスムーズにし、痛みを和らげる効果が期待できます。

膝関節を支える主要な筋肉

筋肉名場所役割
大腿四頭筋太ももの前側膝を伸ばす、膝の安定化
ハムストリングス太ももの裏側膝を曲げる、膝の安定化
大殿筋お尻歩行時の体の安定化

物理療法

物理療法は、温熱や電気などの物理的なエネルギーを利用して、痛みの緩和や血行改善を図る治療法です。医療機関のリハビリテーション室などで受けることができます。

温熱療法(ホットパックなど)は、膝を温めることで筋肉の緊張をほぐし、血行を促進して痛みを和らげる効果があります。

電気刺激療法は、弱い電気を流して筋肉を刺激したり、痛みの感覚を伝える神経の働きをブロックしたりします。

装具療法

装具療法は、サポーターや足底板(インソール)を用いて膝の負担を軽減する方法です。

膝関節サポーターは、膝を固定して安定性を高め、ぐらつきを抑えることで安心感を与え、痛みを和らげます。

O脚が原因で膝の内側に痛みが強い場合には、靴の中に入れる足底板(外側が高くなったもの)を使用し、膝の内側にかかる荷重を外側に移動させることで、痛みの軽減を図ります。

装具の目的

  • 関節の安定化
  • 荷重の分散
  • 保温効果

薬物療法

薬物療法は、痛みが強い時期の症状を和らげるために用います。

あくまで対症療法であり、病気そのものを治すわけではありませんが、痛みを軽減することで運動療法など他の治療を行いやすくする目的もあります。

薬物療法の種類と特徴

種類使用方法主な作用
内服薬経口摂取全身の炎症・痛みを抑える(鎮痛薬、抗炎症薬)
外用薬皮膚に塗布・貼付局所の炎症・痛みを抑える(湿布、塗り薬)
関節内注射膝関節内に直接注入関節内の潤滑・炎症抑制(ヒアルロン酸、ステロイド)

手術療法の具体的な選択基準

保存療法で十分な効果が得られない場合、より積極的な治療として手術療法を検討します。

手術と聞くと不安を感じるかもしれませんが、痛みのない生活を取り戻すための有効な選択肢の一つです。

ここでは代表的な手術方法と、どのような場合に選択されるのかを解説します。

関節鏡視下手術(デブリードマン)

関節鏡と呼ばれる細い内視鏡を膝関節に入れ、モニターで内部を観察しながら行う手術です。

損傷してささくれた半月板や、剥がれかけた軟骨の断片(関節ねずみ)を取り除いたり、炎症を起こしている滑膜を切除したりします。

傷が小さく、体への負担が少ないのが特徴です。

比較的に若い年齢層で、半月板損傷などが痛みの主因と考えられる場合に良い適応となりますが、すり減った軟骨を再生させる手術ではないため、効果は一時的となることもあります。

高位脛骨骨切り術

主にO脚変形が強く、膝の内側の軟骨だけがすり減っている場合に適応となる手術です。

すねの骨(脛骨)の一部をくさび状に切り取り、脚の形を矯正することで、膝の内側にかかっていた体重の負荷を、軟骨が残っている外側へ移動させます。

自分の関節を温存できるため、術後もスポーツなどの活動的な生活が期待できるのが最大の利点です。ただし、骨が癒合するまでに時間がかかります。

高位脛骨骨切り術の利点と注意点

項目内容
利点自分の関節が温存できる、活動制限が少ない
注意点リハビリ期間が比較的長い、将来的に再手術の可能性

人工膝関節置換術

変形性膝関節症の末期で、軟骨が広範囲にすり減り、強い痛みや変形によって日常生活が著しく困難になった場合に行われる代表的な手術です。

損傷した関節の表面を削り取り、金属やポリエチレンなどでできた人工の関節(インプラント)に置き換えます。

痛みの原因となる部分を人工物に替えるため、除痛効果が非常に高いのが特徴です。一般的に60代以降で、比較的活動性が高くない方に良い適応とされます。

人工関節の素材

  • 大腿骨側:コバルトクロム合金、チタン合金など
  • 脛骨側:チタン合金など
  • インサート:超高分子量ポリエチレン

よくある質問(Q&A)

膝関節症に関して、患者さんからよくいただく質問とその回答をまとめました。治療やセルフケアに関する疑問や不安の解消にお役立てください。

Q. 膝の水を抜くと癖になりますか?

A. 「水を抜くと癖になる」というのは誤解です。膝に水がたまる(関節水腫)のは、関節の中で炎症が起きている「結果」です。

水を抜く行為自体が、水がたまりやすくなる原因ではありません。炎症が続く限り、水はまたたまります。

水を抜くことは、痛みの軽減や膝の動かしやすさの改善につながる対症療法ですが、最も重要なのは、水がたまる原因である「炎症」を抑える治療を行うことです。

Q. ヒアルロン酸注射はどのくらい効果がありますか?

A. ヒアルロン酸注射は、関節液の主成分であるヒアルロン酸を関節内に補充することで、関節の滑りを良くし、痛みを和らげる効果が期待できます。

また、軟骨を保護したり、炎症を抑えたりする作用もあると考えられています。効果の持続期間には個人差がありますが、一般的には週に1回を5週間程度続け、その後は状態に応じて間隔をあけて注射を行います。

効果を感じる方もいれば、あまり変化を感じない方もおり、病状の進行度によっても効果は異なります。

Q. 自分でできるセルフケアはありますか?

A. 日常生活でのセルフケアは非常に重要です。まず、膝に負担をかけない生活を心がけましょう。

例えば、和式の生活(正座、床からの立ち座り)を洋式の生活(椅子、ベッド)に変える、重いものを持たない、杖を使う、などが有効です。

また、膝を温めて血行を良くすることも痛みの緩和に役立ちます。

そして、医師や理学療法士の指導のもと、自宅でできる筋力トレーニングやストレッチを継続することが、膝の機能を維持するために大切です。

Q. サプリメントは効果がありますか?

A. グルコサミンやコンドロイチンなどのサプリメントが膝の痛みに効果があるかについては、現在、医学的なコンセンサスは得られていません。

効果があったという報告もあれば、効果が確認できなかったという報告もあり、その有効性は明確には証明されていないのが現状です。

サプリメントはあくまで健康食品であり、医薬品とは異なります。

使用を検討する場合は、まず基本的な治療(運動療法や体重管理など)をしっかりと行った上で、補助的なものとして考えるのが良いでしょう。

試す際には、かかりつけの医師に相談することをお勧めします。

以上

参考文献

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Author

北城 雅照

医療法人社団円徳 理事長
医師・医学博士、経営心理士

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