足立慶友医療コラム

股関節のつりと痛みの関係|予防と対処の方法

2025.06.29

急に股関節や足の付け根が「ピキーン!」と硬直し、激しい痛みに襲われる「股関節のつり」。経験したことのある方にとっては、あの不快な感覚と痛みは思い出すだけでもつらいものでしょう。

この症状は、なぜ起こるのでしょうか。そして、しばしば伴う痛みとは、どのような関係があるのでしょうか。

この記事では、股関節がつるという現象の正体から、その主な原因、ご自身でできる予防策、そして万が一つってしまった際の具体的な対処法まで、詳しく解説します。

股関節のつりへの理解を深め、日々の生活を見直すことで、つらい症状を和らげ、快適な毎日を目指しましょう。

股関節がつるとはどういう状態か

まずは、「股関節がつる」という状態が、身体の中で具体的に何を意味するのかを正しく理解することから始めましょう。

多くの人が経験するこの現象は、実は筋肉の異常な収縮によって引き起こされます。その感覚や特徴を知ることは、適切な対処への第一歩となります。

「つる」という現象の正体

一般的に「つる」と表現される現象は、医学的には「有痛性筋痙攣(ゆうつうせいきんけいれん)」と呼ばれます。

これは、自分の意思とは関係なく、筋肉が異常に強く収縮し、元に戻らなくなってしまう状態を指します。

筋肉は本来、伸びたり縮んだりすることで関節を動かしますが、何らかの原因で収縮したまま弛緩(しかん)できなくなると、硬直して激しい痛みを伴うのです。

股関節のつりは、股関節周辺にある複数の筋肉、例えば内ももの内転筋群や、足の付け根の腸腰筋などでこの異常な収縮が起こることを意味します。

股関節周辺で起こる特有の感覚

股関節がつった時には、他の部位とは少し異なる特有の感覚を覚えることがあります。

足の付け根の奥深くや、内もも、お尻のあたりが突然「ねじれる」「引っ張られる」ような感覚に襲われます。

そして、筋肉が硬い塊のようにカチカチになり、動かそうとすると激痛が走るため、身動きが取れなくなることも少なくありません。

この痛みは数秒から数分続くことが多く、治まった後も筋肉の違和感や鈍い痛みが残ることがあります。

他の部位のつりとの違い

筋肉のつりは、ふくらはぎで起こる「こむら返り」が最もよく知られています。股関節のつりも、筋肉が異常収縮するという点では同じです。

しかし、股関節は多くの筋肉が複雑に重なり合っているため、どの筋肉がつっているのかを特定しにくいという特徴があります。

また、身体の中心に近い深層部の筋肉で起こることも多く、ストレッチなどで伸ばしにくい点も、ふくらはぎのつりとの違いと言えるでしょう。

主な筋肉のつり(こむら返り)との比較

項目股関節のつりこむら返り(ふくらはぎ)
主な発生部位足の付け根、内もも、お尻ふくらはぎ
原因となる筋肉内転筋群、腸腰筋など複数腓腹筋、ヒラメ筋
対処のしやすさ筋肉が深層にあり伸ばしにくい比較的伸ばしやすい

股関節がつる主な原因

では、なぜ股関節の筋肉は、意思に反して異常な収縮を起こしてしまうのでしょうか。その原因は一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられます。

ご自身の生活習慣と照らし合わせながら、原因を探っていきましょう。

筋肉の疲労と緊張

最も一般的な原因の一つが、筋肉の使いすぎによる疲労です。長時間の立ち仕事やウォーキング、スポーツなどで股関節周辺の筋肉に負担がかかり続けると、筋肉内に疲労物質が溜まります。

この疲労物質が筋肉の正常な収縮・弛緩の指令を乱し、つりを引き起こしやすくします。

また、デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けることも、特定の筋肉が緊張し続けて血行が悪くなるため、同様に原因となり得ます。

水分・ミネラル不足

筋肉がスムーズに動くためには、水分と、カルシウム、カリウム、マグネシウムといったミネラルが重要な役割を果たしています。

これらのミネラルは、筋肉の収縮や弛緩をコントロールする神経伝達を調整する働きを担います。

発汗や脱水によって体内の水分やミネラルのバランスが崩れると、この調整機能がうまく働かなくなり、筋肉が異常な興奮を起こしやすくなります。

特に夏場の暑い時期や、運動で大量に汗をかいた後は注意が必要です。

筋肉の働きに必要な主なミネラル

ミネラル主な働き不足した場合
マグネシウム筋肉の弛緩を助ける筋肉が過剰に収縮しやすくなる
カルシウム筋肉の収縮に関わる神経や筋肉の興奮を招きやすい
カリウム神経伝達を正常に保つ筋肉の機能低下につながる

血行不良と冷え

身体の冷えは、血管を収縮させて血行を悪化させます。血行が悪くなると、筋肉に必要な酸素や栄養素が届きにくくなり、同時に老廃物や疲労物質が溜まりやすくなります。

この状態は筋肉を硬直させ、些細な刺激でも痙攣を起こしやすい環境を作ります。特に、お尻や太もも周りは脂肪がつきやすく、一度冷えるとなかなか温まりにくい部位です。

夏のクーラーや冬の寒さは、股関節のつりを誘発する大きな要因となります。

加齢による身体の変化

年齢を重ねると、筋肉量が自然と減少していきます。筋肉量が減ると、一つ一つの筋繊維にかかる負担が大きくなり、疲れやすくなります。

また、体内の水分を保持する能力も低下しがちで、気づかないうちに水分不足に陥っていることもあります。

さらに、動脈硬化などによる血行不良も起こりやすくなるため、これらの複合的な要因により、高齢になるほど筋肉のつりを経験しやすくなる傾向があります。

股関節のつりと痛みの密接な関係

股関節の「つり」と「痛み」は、切り離して考えることができない密接な関係にあります。つりが痛みを引き起こすだけでなく、痛みがさらなるつりを招くという悪循環に陥ることもあります。

この関係性を理解し、痛みのサインを見逃さないことが重要です。

つりが痛みを引き起こす流れ

筋肉がつる(異常収縮する)と、その筋肉自体が強く締め付けられます。この強い締め付けが、筋肉内やその周辺にある痛みを感知する神経(侵害受容器)を直接刺激し、鋭い痛みとして脳に伝わります。

また、異常収縮によって筋肉内の血流が一時的に遮断されることも、痛みを増強させる一因と考えられています。

つまり、「つり=筋肉の異常収縮」という現象そのものが、痛みの直接的な発生源なのです。

痛みがさらなるつりを招く悪循環

一度つって痛みを感じると、身体は防御反応としてその部位の筋肉を無意識に緊張させます。

痛みをかばうような姿勢や動きをとることで、股関節周辺の他の筋肉にも余計な負担がかかり、緊張状態が続きます。

この筋肉の緊張は血行を悪化させ、新たなつりを引き起こしやすい状態を作ってしまいます。

この「つり→痛み→防御的な緊張→血行不良→新たなつり」という負の連鎖が、症状を慢性化させる原因となることがあります。

痛みの種類から考えられること

つりが治まった後も痛みが続く場合、その痛みの性質に注意を払うことが大切です。一時的な筋肉痛のような鈍い痛みであれば、多くは筋肉が受けたダメージによるものです。

しかし、鋭い痛みが続く、特定の動きで必ず痛む、安静にしていても痛む、といった場合は、単なる筋肉のつりではない可能性も考えなくてはなりません。

注意したい痛みの特徴

痛みの種類考えられる状態対応の方向性
つった直後の鋭い痛み筋肉の強い収縮によるものまずは筋肉の緊張を解く対処を行う
治まった後の鈍い痛み筋肉のダメージ(筋肉痛)無理せず、回復を待つ
特定の動きで走る鋭い痛み肉離れや他の疾患の可能性痛む動作を避け、様子を見る

隠れている可能性のある股関節の疾患

頻繁に股関節のつりを繰り返したり、痛みが長引いたりする場合、その背景に変形性股関節症や関節唇損傷といった股関節自体の疾患が隠れていることがあります。

これらの疾患があると、関節の動きが悪くなったり、炎症が起きたりして、周囲の筋肉に常に負担がかかり続けます。

このことにより、筋肉が疲労しやすく、つりを頻発する原因となるのです。もし、つり以外の症状(歩き始めの痛み、可動域の制限など)を伴う場合は、専門的な診断が必要です。

自分でできる股関節のつりの予防法

つらい股関節のつりは、日々の少しの心がけで予防することが可能です。ここでは、ご自身で取り組める効果的な予防法を具体的に紹介します。

継続することが、つりのない快適な身体づくりへの鍵となります。

股関節周辺のストレッチ

筋肉の柔軟性を保ち、血行を促進するためには、ストレッチが非常に有効です。特に、股関節周りの筋肉(内もも、お尻、ももの前後)を意識して伸ばすことが重要です。

お風呂上がりなど、身体が温まっている時に行うとより効果が高まります。痛みを感じない、気持ち良い範囲で、ゆっくりと呼吸をしながら行いましょう。

股関節の柔軟性を高めるストレッチの例

一つの例として、あぐらをかくような姿勢で両足の裏を合わせ、かかとを体に引き寄せます。

背筋を伸ばしたまま、ゆっくりと体を前に倒していくと、股関節や内ももの筋肉が心地よく伸びるのを感じられます。

この状態で20〜30秒キープし、ゆっくりと元に戻します。これを数回繰り返します。

ストレッチを行う際の注意点

ポイント具体的な内容目的
反動をつけないじわーっとゆっくり筋肉を伸ばす筋肉を傷つけず、効果的に伸ばすため
呼吸を止めないゆっくりと自然な呼吸を続けるリラックスし、筋肉の緊張を解くため
痛みを感じるまでやらない「気持ち良い」「伸びている」と感じる範囲で止める過度な伸長による怪我を防ぐため

適度な運動のすすめ

筋肉量の維持・向上と血行促進のためには、ウォーキングや水泳などの全身運動を習慣にすることが望ましいです。

特に水中ウォーキングは、浮力によって股関節への負担を減らしながら筋肉を鍛えることができるため、非常におすすめです。

運動不足は筋力低下や血行不良を招き、逆につりの原因となります。無理のない範囲で、楽しみながら続けられる運動を見つけましょう。

バランスの取れた食事と水分補給

筋肉の健康を保つためには、栄養バランスの取れた食事が基本です。

特に、筋肉の材料となるタンパク質や、筋肉の働きを調整するミネラル(マグネシウム、カルシウム、カリウムなど)を意識して摂取することが大切です。

また、こまめな水分補給は、脱水を防ぎ、血行を良好に保つ上で最も重要な習慣の一つです。喉が渇いたと感じる前に、意識的に水分を摂るようにしましょう。

水分補給に適した飲み物

  • 水または白湯
  • 麦茶(ノンカフェイン)
  • 経口補水液(大量発汗時)
  • スポーツドリンク(運動時)

股関節がつった時の緊急対処法

予防を心がけていても、突然つってしまうことはあります。その時に慌てず適切に対処できるかどうかで、痛みの程度や回復までの時間が変わってきます。

いざという時のために、正しい対処法を知っておきましょう。

まずは慌てず安全な体勢に

突然の激痛に襲われると、パニックになりがちです。しかし、まずは深呼吸をして落ち着きましょう。

立っている場合は、転倒の危険があるので、すぐに座るか横になるなど、安全な体勢をとることが最優先です。無理に動こうとすると、肉離れなど別の怪我につながる可能性もあります。

ゆっくりと筋肉を伸ばす方法

安全な体勢がとれたら、硬直している筋肉をゆっくりと伸ばします。つっている筋肉と反対の方向に、痛みが出ないぎりぎりの範囲で優しくストレッチします。

例えば、内ももがつっている場合は、膝を立てて座り、つっている方の足をゆっくりと外側に開いていくと効果的です。

急激に伸ばしたり、強く揉んだりするのは逆効果になることがあるため、避けてください。

つった筋肉を伸ばす際のポイント

ポイント理由
ゆっくりと時間をかける急な伸長は筋肉を傷める可能性があるため
呼吸を止めずに行う筋肉の弛緩を促し、リラックスさせるため
痛みが強まる場合は中止する無理なストレッチは症状を悪化させるため

温めるべきか、冷やすべきか

つった直後の対処としては、基本的には「温める」方が効果的です。蒸しタオルなどで患部を温めると、血行が良くなり、筋肉の緊張が和らぎやすくなります。

ただし、つった際に肉離れを起こして熱感や腫れがある場合は、温めると炎症を悪化させる可能性があるため、冷やす方が適切です。

判断に迷う場合は、まずはゆっくり筋肉を伸ばす対処を優先しましょう。

対処後に注意すべきこと

痛みが治まった後も、つった筋肉はダメージを受けてデリケートな状態です。すぐに激しい運動を再開したり、無理な姿勢をとったりするのは避けましょう。

数日間は筋肉の違和感や軽い痛みが残ることがありますが、自然に回復することがほとんどです。回復を促すため、軽いストレッチやマッサージ、十分な水分補給を心がけてください。

日常生活で見直したい習慣

股関節のつりは、日々の何気ない習慣の積み重ねが引き金となっていることも少なくありません。

根本的な予防を目指すためには、日常生活の中に潜むリスクを見直し、改善していく意識が大切です。

長時間同じ姿勢を避ける工夫

デスクワークや立ち仕事など、同じ姿勢が長時間続く場合は、意識的に身体を動かす習慣をつけましょう。

少なくとも1時間に1回は立ち上がって歩いたり、軽いストレッチをしたりするだけでも、筋肉の緊張が和らぎ、血行が促進されます。

タイマーをセットするなどして、体を動かすきっかけを作るのも良い方法です。

正しい座り方と立ち方

椅子に座る際は、深く腰かけて背もたれに背中をつけ、骨盤を立てることを意識します。足を組む癖は、骨盤の歪みや股関節周りの筋肉のアンバランスにつながるため、避けるようにしましょう。

立つ時は、左右の足に均等に体重をかけることが基本です。片足に重心をかける癖は、股関節への負担を増やしてしまいます。

デスクワーク中の姿勢チェックリスト

チェック項目良い姿勢悪い姿勢
足の裏両足が床にしっかりついている足を組んでいる、つま先立ち
膝の角度約90度90度より鋭角または鈍角
骨盤背筋が伸び、骨盤が立っている背中が丸まり、骨盤が後傾

就寝時の環境と寝姿勢

就寝中の身体の冷えは、夜間や明け方のつりを引き起こす大きな原因です。

特に夏場は、クーラーの風が直接足に当たらないように注意し、腹巻やレッグウォーマーなどを活用して下半身を冷やさない工夫をしましょう。

寝姿勢については、横向きで膝の間にクッションを挟むと、股関節への負担が軽減され、リラックスして眠ることができます。

靴の選び方と歩き方

足に合わない靴や、クッション性の低い靴は、歩行時の衝撃が直接股関節に伝わり、筋肉の疲労を蓄積させます。自分の足のサイズや形に合った、衝撃吸収性の良い靴を選ぶことが重要です。

歩く際は、大股になりすぎず、かかとから着地してつま先で蹴り出すような、リズミカルな歩行を心がけると、股関節への負担を減らすことができます。

股関節に負担をかけにくい靴の条件

  • 適度なクッション性がある
  • つま先にゆとりがある
  • かかとがしっかりホールドされる
  • ヒールが高すぎない

医療機関での相談が必要なケース

ほとんどの股関節のつりは、セルフケアで改善が見込めます。しかし、中には注意が必要なサインや、専門的な診断・治療を要するケースも存在します。

自己判断で放置せず、適切なタイミングで医療機関に相談することが、早期解決につながります。

つりの頻度や強さが悪化している場合

以前はたまにだったのが週に何回も起こるようになったり、痛みの強さが明らかに増していたりする場合は、単なる疲労やミネラル不足だけではない原因が考えられます。

症状の悪化は、身体からの重要なサインです。見過ごさずに、一度専門家に相談することを検討しましょう。

痛みが長引く、または日常生活に支障が出る場合

つりが治まった後も痛みが数日以上続く、痛みのために歩くのがつらい、階段の上り下りが困難など、日常生活に支障をきたしている場合は、筋肉の損傷(肉離れ)や、前述したような股関節の疾患が隠れている可能性があります。

痛みを我慢し続けると、症状が悪化したり、回復が遅れたりすることがあります。

しびれや感覚の異常を伴う場合

股関節のつりや痛みに加えて、足のしびれ、感覚が鈍くなる、力が入らないといった症状が現れた場合は、注意が必要です。

これらの症状は、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など、神経が圧迫されることによって生じている可能性があります。

股関節の問題だけでなく、背骨(腰椎)に原因があることも考えられるため、早めの受診が望まれます。

医療機関への相談を検討するサイン

サイン考えられる背景
頻度・強度の明らかな悪化背景疾患の進行、体質の変化
長引く痛み、歩行困難重度の筋肉損傷、関節の疾患
しびれ、麻痺、感覚鈍麻神経系の問題(腰椎疾患など)

何科を受診すればよいか

股関節のつりや痛みで医療機関を受診する場合、まずは「整形外科」が専門となります。

整形外科では、骨、関節、筋肉、神経といった運動器の専門家が、問診や診察、必要に応じてレントゲンやMRIなどの画像検査を用いて、痛みの原因を正確に診断します。

原因に応じた適切なアドバイスや治療を受けることができます。

股関節のつりに関するよくある質問

最後に、股関節のつりに関して多くの方が疑問に思う点について、Q&A形式でお答えします。

Q. 夜中や明け方につりやすいのはなぜですか?

A. 就寝中は、体温が低下し血行が悪くなりやすい状態です。また、寝ている間に汗をかくことで、気づかないうちに水分やミネラルが失われがちになります。

この血行不良と脱水傾向という二つの条件が重なるため、筋肉が痙攣を起こしやすい環境となり、夜間や明け方につりやすくなるのです。

Q. 特定の動きで必ずつるのはなぜですか?

A. 特定の動き、例えばあぐらをかく、車の乗り降りをする、といった動作で必ずつる場合、その動きで使われる特定の筋肉が硬くなっているか、弱っている可能性が考えられます。

また、その動きが股関節の可動域の限界を超えていたり、関節の構造的な問題で筋肉に過度な負担がかかったりしている場合もあります。

Q. 運動中に股関節がつらないようにするにはどうすればいいですか?

A. 運動中のつりを予防するには、事前の準備と運動中のケアが重要です。運動前には、ウォーミングアップと股関節周りの動的ストレッチを十分に行い、筋肉を温めておきましょう。

運動中は、こまめな水分補給と、可能であればミネラルも補給できるスポーツドリンクなどを活用します。

そして運動後には、クールダウンとして入念な静的ストレッチを行い、疲労した筋肉をケアすることが大切です。

Q. サプリメントは効果がありますか?

A. 筋肉のつりの予防に対して、ミネラル(特にマグネシウム)などのサプリメントが補助的に役立つ場合はあります。

特に、食事が不規則であったり、汗をかく機会が多かったりしてミネラル不足が懸念される場合には、一つの選択肢となり得ます。

ただし、サプリメントはあくまで食事を補うものであり、まずはバランスの取れた食事を基本とすることが最も重要です。

また、過剰摂取は健康を害することもあるため、利用する際は製品の推奨量を守るようにしてください。

一般的なサプリメントに含まれる成分例

成分期待される役割摂取の注意点
マグネシウム筋肉の正常な弛緩を助ける過剰摂取は下痢の原因になることがある
カルシウム神経伝達の調整を助けるマグネシウムとのバランスが重要
ビタミンB群エネルギー代謝や疲労回復を助ける複合的に摂取することが望ましい

以上

参考文献

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Author

北城 雅照

医療法人社団円徳 理事長
医師・医学博士、経営心理士

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