足立慶友医療コラム

膝下のしびれが起こる原因と治療法

2025.08.06

ある日突然、膝から下にかけてジンジン、ピリピリとした不快な感覚に襲われた経験はありませんか。

一時的なものだろうと軽く考えていても、なかなか治らないとしびれの原因が気になり、不安になるものです。

膝下のしびれは、長時間の正座などで起こる一過性のものから、神経や血管の異常、さらには重大な病気が隠れているサインである可能性まで、その背景は多岐にわたります。

この記事では、膝下のしびれがなぜ起こるのか、その主な原因を詳しく掘り下げ、ご自身でできる初期対応から医療機関での専門的な治療法まで、段階的に分かりやすく解説します。

膝下のしびれとは?考えられる症状のパターン

膝下のしびれと一言でいっても、その感じ方や現れ方は人それぞれです。ご自身の症状がどのパターンに近いかを知ることは、原因を探る上で大切な手がかりとなります。

ここでは、代表的な症状のパターンをいくつか紹介し、それぞれの特徴を解説します。

ジンジン、ピリピリするしびれ

最も多くの人が経験するしびれの感覚が、皮膚の表面や内部がジンジン、あるいはピリピリと電気が走るような感覚です。

これは「異常知覚」の一種で、神経が何らかの刺激を受けているサインと考えます。正座の後に足がしびれる感覚と似ていますが、原因がないのにこの感覚が続く場合は注意を要します。

特に、特定の動作や姿勢をとったときに症状が強まる場合は、神経がどこかで圧迫されている可能性が考えられます。

感覚が鈍くなる、麻痺した感じ

触っても感覚が鈍い、まるで厚い布の上から触っているような感じがするのも、しびれの症状の一つです。これは「知覚鈍麻」と呼ばれ、神経の伝達機能が低下していることを示唆します。

症状が進行すると、物に触れている感覚が完全になくなる「知覚脱失」に至ることもあります。

このタイプのしびれは、痛みを感じにくくなるため、怪我をしても気づきにくいという危険性も伴います。

症状のパターンと主な特徴

症状のパターン感覚の表現考えられる状態
異常知覚ジンジン、ピリピリ、チクチク神経への刺激や軽い圧迫
知覚鈍麻感覚が鈍い、麻痺した感じ神経伝達の低下
知覚脱失感覚が全くない神経伝達の重度な障害

冷たい感じや熱い感じ

実際にその部分の温度が変化しているわけではないのに、膝下が冷たく感じたり、逆に熱っぽく感じたりすることがあります。これも神経の異常によるもので、「温度覚異常」と呼ばれます。

血行不良が関係していることもありますが、神経が正常に温度の情報を脳に伝えられていない状態です。

靴下を何枚履いても足の冷たさが取れない、といった訴えもこのケースに該当することがあります。

痛みや脱力感を伴う場合

しびれだけでなく、鋭い痛みや重だるい痛みを伴うことも少なくありません。これは、神経の圧迫が強い場合や、炎症が起きている可能性を示します。

また、足に力が入らない、足首や指が動かしにくいといった「運動麻痺」の症状が現れることもあります。

特に、つま先が上がらずにすってしまう「下垂足」という症状は、日常生活での転倒リスクを高めるため、早期の対応が重要です。

膝下のしびれを引き起こす主な原因

膝下のしびれは、単なる不快な症状ではなく、体からの重要なサインです。その原因は、骨や筋肉の問題から血管のトラブル、さらには全身性の病気まで多岐にわたります。

原因を正しく理解することが、適切な対処への第一歩です。ここでは、しびれを引き起こす主な原因を大きなカテゴリーに分けて解説します。

神経の圧迫によるもの

最も一般的な原因の一つが、神経の圧迫です。

背骨(腰椎)から足先まで伸びる神経の通り道のどこかで、何らかの原因によって神経が圧迫されると、その神経が支配する領域にしびれや痛みが生じます。

腰の骨の変形や、筋肉の緊張などが原因となることが多いです。

血行不良によるもの

足の血管が細くなったり詰まったりして、血液の流れが悪くなることも、しびれの原因となります。

神経や筋肉は血液によって運ばれる酸素や栄養を必要とするため、血行不良に陥ると機能が低下し、しびれとして感じることがあります。

特に、歩行時に症状が現れ、休むと楽になる場合は血行不良を疑います。

主な原因の分類

原因の分類概要代表的な疾患・状態
神経の圧迫神経の通り道が狭まり圧迫される腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛
血行不良血管が細くなり血流が低下する閉塞性動脈硬化症
全身性の病気病気の影響で末梢神経が障害される糖尿病性神経障害

病気が背景にあるもの

糖尿病やビタミン欠乏症、甲状腺機能の異常といった全身性の病気が、末梢神経にダメージを与え、結果として膝下のしびれを引き起こすことがあります。

この場合、しびれは両足に左右対称に現れることが多いのが特徴です。原因となる病気の治療を優先することが、しびれの改善につながります。

日常生活の習慣によるもの

特定の病気だけでなく、普段の生活習慣がしびれの原因となることもあります。

サイズの合わないきつい靴やブーツの着用、脚を組む癖、長時間の正座やあぐらなどは、神経や血管を圧迫し、一時的なしびれを引き起こします。

これらの習慣を改善するだけで、症状が軽快することも少なくありません。

神経の圧迫が原因となる代表的な疾患

膝下のしびれの原因として頻度が高いのが、腰から足にかけての神経が圧迫される疾患です。腰に原因があるのに、なぜ膝下に症状が出るのか不思議に思うかもしれません。

これは、神経が腰から足先までつながっているためです。ここでは、神経の圧迫によってしびれを引き起こす代表的な疾患を解説します。

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアは、背骨の骨と骨の間でクッションの役割を果たしている椎間板という組織が、本来の位置から飛び出して神経を圧迫する病気です。

若い世代にも多く見られます。飛び出したヘルニアが圧迫する神経の場所によって、お尻から太ももの裏、そして膝下や足先にかけて、しびれや激しい痛みが走ります。

前かがみの姿勢や、重い物を持つ動作で症状が悪化しやすいのが特徴です。

腰椎椎間板ヘルニアの主な症状

  • 片側の足だけに現れる強い痛みやしびれ
  • 咳やくしゃみで響くような痛み
  • 足に力が入りにくくなる

坐骨神経痛

坐骨神経痛は、特定の病気の名前ではなく、お尻から足にかけて現れる痛みやしびれなどの症状の総称です。

腰椎椎間板ヘルニアや、後述する腰部脊柱管狭窄症などが原因で、人体で最も太い神経である坐骨神経が圧迫・刺激されることで発症します。

原因疾患によって治療法が異なるため、まずは何が原因で坐骨神経痛が起きているのかを特定することが重要です。

腓骨神経麻痺

腓骨神経は、膝の外側を走行している神経です。この神経が圧迫されることで起こるのが腓骨神経麻痺です。

脚を組む癖がある人や、ギプス固定後、あるいは硬い床の上で長時間横向きに寝た後などに発症しやすいです。

主な症状は、すねの外側から足の甲にかけてのしびれと、足首や足の指を上にそらすことができなくなる「下垂足」です。痛みは伴わないことが多いのが特徴です。

腓骨神経麻痺の主な原因

原因具体例解説
外部からの圧迫脚を組む、ギプス固定膝の外側にある神経が直接圧迫される。
ケガ膝周辺の骨折や脱臼ケガによって神経が損傷する。
腫瘤ガングリオンなど神経の近くにできた腫瘤が神経を圧迫する。

腰部脊柱管狭窄症

加齢に伴い、背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなることで神経が圧迫される病気です。高齢者に多く見られます。特徴的な症状は「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」です。

これは、しばらく歩くと膝下に痛みやしびれが出て歩けなくなりますが、少し前かがみになって休むと症状が和らぎ、また歩けるようになるというものです。

立っているだけでも症状が出ることがあります。

血行不良が原因となる代表的な疾患

足のしびれは、神経だけでなく血管の問題、つまり血行不良によっても引き起こされます。

血液は全身に酸素と栄養を届ける重要な役割を担っており、その流れが滞ると組織が酸欠状態に陥り、しびれや痛みとして現れます。

ここでは、血行不良が原因となる代表的な疾患について解説します。

閉塞性動脈硬化症

主に加齢や生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病など)が原因で、足の血管に動脈硬化が起こり、血管が狭くなったり詰まったりする病気です。

腰部脊柱管狭窄症と同様に「間欠性跛行」が特徴的な症状ですが、休むときの姿勢に違いがあります。

脊柱管狭窄症が前かがみで楽になるのに対し、閉塞性動脈硬化症は立ち止まるだけで症状が改善します。

進行すると、安静にしていても足が痛むようになり、最終的には足の組織が壊死(潰瘍・壊疽)することもあるため、早期発見・早期治療が大切です。

閉塞性動脈硬化症の重症度(Fontaine分類)

分類症状状態
I度無症状、冷感、しびれ動脈硬化の初期段階
II度間欠性跛行歩行により血流不足が顕著になる
III度安静時痛安静にしていても痛みがある
IV度潰瘍、壊疽組織の壊死が始まっている

深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)

長時間同じ姿勢でいることなどが原因で、足の深い部分にある静脈に血の塊(血栓)ができる病気です。

ふくらはぎの腫れ、痛み、皮膚の変色などが主な症状ですが、しびれとして感じることもあります。

この病気で最も注意すべき点は、足にできた血栓が血流に乗って肺に移動し、肺の血管を詰まらせる「肺血栓塞栓症」を引き起こす可能性があることです。

この肺血栓塞栓症は命に関わることもあるため、急な足の腫れや痛みには警戒が必要です。

Buerger病(バージャー病)

手足の末梢の動脈に炎症が起こり、血管が詰まってしまう原因不明の病気です。特に喫煙との強い関連が指摘されており、患者の多くは若い男性喫煙者です。

初期症状として、手足の冷感やしびれ、蒼白化が現れます。進行すると間欠性跛行や安静時痛、さらには指先の潰瘍や壊死に至ることもあります。治療の基本は、絶対的な禁煙です。

膝下のしびれを感じた際の初期対応とセルフケア

膝下に違和感やしびれを感じ始めたとき、すぐに病院へ行くべきか、少し様子を見るべきか迷うことが多いでしょう。

症状が軽い場合や、原因が明らかな場合は、セルフケアで改善することもあります。しかし、自己判断は禁物です。

ここでは、安全に行える初期対応と、セルフケアの注意点について解説します。

まずは安静にする

しびれや痛みを感じたら、まずは無理な活動を避け、楽な姿勢で安静にすることが基本です。特に、特定の動作で症状が悪化する場合は、その動作を避けるように心がけます。

神経の圧迫が原因の場合、安静にすることで圧迫が軽減され、症状が和らぐことがあります。

ストレッチやマッサージの注意点

筋肉の緊張が原因の場合、軽いストレッチやマッサージが有効なことがあります。しかし、やり方を間違えると逆効果になることもあります。

特に、強い痛みやしびれがあるときに無理に行うと、神経の炎症を悪化させる可能性があります。気持ち良いと感じる範囲で、ゆっくりと行うことが重要です。

もしストレッチやマッサージの後に症状が強くなるようなら、すぐに中止してください。

日常生活で見直すべきポイント

日々の生活習慣が、知らず知らずのうちにしびれの原因となっていることがあります。以下の点を見直すことで、症状の予防や改善につながる可能性があります。

生活習慣の見直しリスト

  • 脚を組む癖をやめる
  • 長時間の正座やあぐらを避ける
  • サイズの合った、締め付けの少ない靴を選ぶ
  • 体を冷やさないように服装を工夫する

これらの小さな心がけが、神経や血管への負担を減らし、しびれのリスクを低減させます。

特にデスクワークなどで長時間同じ姿勢を続ける場合は、定期的に立ち上がって体を動かすことを意識しましょう。

市販薬を使用する際の注意

痛みを伴うしびれに対して、市販の鎮痛薬を使用する人もいるかもしれません。一時的に痛みを和らげる効果は期待できますが、しびれそのものを根本的に治すものではありません。

また、ビタミンB12などが配合された末梢神経の機能改善をうたう市販薬もありますが、効果には個人差があります。

市販薬を長期間使用しても症状が改善しない場合は、自己判断で続けずに医療機関を受診することが大切です。

薬の使用は、根本的な原因の発見を遅らせる可能性も念頭に置く必要があります。

医療機関での診断と検査

セルフケアを試みても症状が改善しない場合や、しびれが徐々に悪化している場合は、専門の医療機関を受診することが重要です。

正確な診断を受けることが、適切な治療への最短ルートです。ここでは、どの診療科を受診すべきか、そしてどのような検査が行われるのかを解説します。

何科を受診すべきか

膝下のしびれで最初に受診すべき診療科は、主に整形外科です。整形外科では、骨、関節、筋肉、神経など、運動器系の疾患を専門に扱います。

腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症など、神経の圧迫が原因の疾患の多くは整形外科の領域です。ただし、症状によっては他の診療科が適切な場合もあります。

受診を検討する診療科の目安

診療科このような場合に検討
整形外科ケガの後、腰痛がある、特定の姿勢で症状が出る
血管外科・循環器内科歩くと足が痛む(間欠性跛行)、足が冷たい・色が悪い
神経内科ろれつが回らない、物が二重に見えるなど他の神経症状がある
内科糖尿病などの持病がある、両足が同時に対称的にしびれる

問診で伝えるべきこと

正確な診断のためには、医師に症状を詳しく伝えることが非常に重要です。事前に情報を整理しておくと、診察がスムーズに進みます。以下の点をメモしておくと良いでしょう。

問診で伝えるべき情報

  • いつからしびれ始めたか
  • しびれの場所(すね、ふくらはぎ、足の甲、足裏など)
  • どのようなしびれか(ジンジン、ピリピリ、感覚が鈍いなど)
  • どんな時に症状が強まるか、あるいは和らぐか
  • しびれ以外の症状(痛み、脱力感、腰痛など)の有無
  • 過去の病気やケガ、現在治療中の病気

主な検査方法

問診と身体診察(神経学的所見)の結果から、医師は原因疾患を推測し、診断を確定するために必要な検査を行います。

レントゲン(X線)検査
骨の状態を確認するための基本的な検査です。骨の変形や骨折の有無、関節の状態などを評価します。

MRI検査
磁気を利用して体の断面を撮影する検査です。レントゲンでは分からない椎間板、神経、筋肉といった軟部組織の状態を詳しく見ることができます。

椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の診断に非常に有効です。

CT検査
X線を使って体の断面を撮影する検査です。骨の細かい構造を立体的に評価するのに優れています。

血管造影検査・ABI検査
血行不良が疑われる場合に行います。ABI検査は、腕と足首の血圧を比較することで、足の動脈の詰まり具合を評価する簡単な検査です。

血管造影検査は、造影剤を血管に注入して血流の状態を詳しく調べる検査です。

筋電図・神経伝導速度検査
神経や筋肉に電気的な刺激を与え、その反応を見ることで、神経のどの部分に障害があるのか、またその程度を評価する検査です。

膝下のしびれに対する専門的な治療法

検査によってしびれの原因が特定されると、その原因疾患に応じた専門的な治療が始まります。

治療の目標は、しびれや痛みといった症状を和らげ、原因となっている問題を解決し、日常生活の質を向上させることです。

治療法は、大きく分けて「保存療法」と「手術療法」の二つがあります。

保存療法

多くの場合、まずは手術以外の方法である保存療法から治療を開始します。保存療法にはいくつかの種類があり、患者さんの状態に合わせてこれらを組み合わせて行います。

主な保存療法の種類と目的

治療法目的内容
薬物療法痛みの緩和、神経の修復消炎鎮痛薬、筋弛緩薬、神経障害性疼痛治療薬、ビタミン剤など
理学療法機能回復、再発予防運動療法(ストレッチ、筋力強化)、物理療法(温熱、電気刺激)
装具療法患部の安静、負担軽減コルセット、サポーター、足底板など

薬物療法では、痛みが強い場合にはまず消炎鎮痛薬を使用します。神経の圧迫によるしびれや痛みには、神経の過剰な興奮を抑える薬が有効なこともあります。

理学療法では、専門の理学療法士の指導のもと、硬くなった筋肉をほぐすストレッチや、体を支えるための筋力トレーニングを行い、症状の根本的な改善を目指します。

神経ブロック注射

痛みが非常に強い場合や、薬物療法だけでは効果が不十分な場合に行う治療法です。痛みの原因となっている神経の近くに局所麻酔薬やステロイド薬を注射し、痛みの伝達をブロックします。

このことにより、痛みの悪循環を断ち切り、症状を劇的に改善させる効果が期待できます。

診断目的で行うこともあり、どの神経が痛みの原因になっているかを特定する手がかりにもなります。

手術療法

保存療法を長期間続けても症状の改善が見られない場合や、麻痺が進行している場合、あるいは排尿・排便に障害が出ている場合には、手術療法を検討します。

手術の目的は、神経を圧迫している物理的な原因を取り除くことです。

例えば、腰椎椎間板ヘルニアであれば飛び出した椎間板を切除する手術、腰部脊柱管狭窄症であれば神経の通り道を広げる手術などがあります。

近年では、体への負担が少ない内視鏡を使った手術なども普及しています。どの手術方法を選択するかは、患者さんの年齢、全身状態、そして病状を総合的に判断して決定します。

よくある質問

膝下のしびれに関して、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。同じような疑問をお持ちの方は参考にしてください。

Q. しびれはどのくらい続いたら病院に行くべきですか?

A. 一時的なしびれ(例えば短時間の正座の後など)で、すぐに治まる場合は様子を見ても良いでしょう。

しかし、「数日経っても改善しない」「しびれの範囲が広がってきた」「痛みや脱力感を伴う」といった場合は、早めに整形外科などの医療機関を受診することをおすすめします。

特に、急に力が入らなくなった、転びやすくなったなどの症状がある場合は、放置せずに受診してください。

Q. 膝下のしびれは放置するとどうなりますか?

A. 原因によります。

一時的な血行不良や筋肉の疲労であれば自然に治ることもありますが、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、閉塞性動脈硬化症などが原因の場合、放置すると症状が悪化する可能性があります。

神経の障害が進行して感覚が完全になくなったり、筋力が低下して歩行が困難になったりすることもあります。

また、重大な病気が隠れているサインである可能性も否定できないため、続くしびれは放置しないことが賢明です。

Q. ストレッチで悪化することはありますか?

A. はい、あります。

特に、神経に炎症が起きている急性期に無理なストレッチを行うと、神経への刺激が強まり、かえって痛みやしびれが悪化することがあります。

「痛いけれど我慢して伸ばす」というのは間違いです。ストレッチは「気持ち良い」と感じる範囲で行うのが原則です。

もしストレCッチ中に痛みやしびれが強まるようであれば、すぐに中止し、専門家に相談してください。

Q. サポーターや着圧ソックスは効果がありますか?

A. 用途や原因によって異なります。

腰痛を伴うしびれの場合、腰椎を安定させるコルセット(サポーター)が有効なことがあります。

また、血行不良やむくみが原因のしびれに対しては、医療用の着圧ソックスが症状の緩和に役立つ場合があります。

ただし、これらは対症療法であり、根本的な原因を治すものではありません。

また、サイズが合わなかったり、不適切な使い方をしたりすると、かえって血行を阻害することもあるため、使用する際は医師や理学療法士に相談することをおすすめします。

以上

参考文献

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Author

北城 雅照

医療法人社団円徳 理事長
医師・医学博士、経営心理士

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