足立慶友医療コラム

股関節の骨棘形成による症状と治療の選択肢

2025.08.23

股関節に痛みや動かしにくさを感じ、「骨棘(こつきょく)」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。骨棘とは、関節の骨の縁にできるトゲ状の突起のことです。

これは、関節が不安定になったり、軟骨がすり減ったりすることへの体の防御反応として形成されます。

特に股関節に骨棘ができると、歩行や立ち座りといった日常の基本的な動作に影響を及ぼすことがあります。

この記事では、股関節の骨棘がなぜ形成されるのか、どのような症状を引き起こすのか、そしてどのような検査や治療法があるのかを詳しく解説します。

股関節の骨棘とは何か

股関節の不調の原因を探る中で、「骨棘」という言葉に出会うことがあります。

ここでは、骨棘そのものがどのようなものか、なぜ股関節にできやすいのか、そして変形性股関節症とどう関わっているのか、基本的な知識を解説します。

骨棘の基本的な定義

骨棘は、関節を構成する骨の端に形成される、トゲのような異常な骨の突起を指します。

関節軟骨が加齢などですり減ると、関節にかかる負担を分散させ、関節を安定させようとする体の反応が働きます。

この反応の結果として、骨が異常に増殖し、骨棘が形成されます。

骨棘自体が直接痛みを引き起こすわけではありませんが、周囲の神経や組織を刺激することで痛みや炎症の原因となることがあります。

股関節における骨棘の特徴

股関節は、体重を支え、歩行などの動作を可能にする重要な関節です。

そのため、常に大きな負荷がかかっています。股関節に骨棘が形成される場合、大腿骨の骨頭や、骨盤側の寛骨臼の縁によく見られます。

これらの骨棘が大きくなると、股関節の滑らかな動きを妨げ、可動域を狭める原因となります。特に、足を曲げたり開いたりする動作で引っかかりや痛みを感じやすくなります。

股関節の構造と骨棘の好発部位

部位役割骨棘形成による影響
寛骨臼(かんこつきゅう)大腿骨頭を受け止める骨盤側のくぼみ縁に骨棘ができると、関節の動きを妨げる
大腿骨頭(だいたいこっとう)脚の付け根にある球状の骨骨棘が変形を引き起こし、滑らかな回転を阻害する

なぜ骨棘は形成されるのか

骨棘形成の根本的な原因は、関節への継続的な負担と、それに伴う軟骨の摩耗です。関節軟骨は、骨同士が直接ぶつかるのを防ぐクッションの役割を担っています。

この軟骨がすり減ると、その下にある骨(軟骨下骨)に過剰な圧力がかかります。体はこの圧力を軽減し、関節の接触面積を広げて安定させようとします。

この一連の修復・代償反応の中で、骨の増殖が起こり、骨棘が形成されるのです。

骨棘と変形性股関節症の関係

骨棘の形成は、変形性股関節症の代表的な特徴の一つです。変形性股関節症は、関節軟骨のすり減りや骨の変形によって、痛みや機能障害が生じる疾患です。

レントゲン検査で骨棘が確認されることは、変形性股関節症の診断における重要な所見となります。

骨棘の存在は、関節軟骨の摩耗が進行しているサインであり、疾患の進行度を判断する一つの指標として用いられます。

骨棘が引き起こす股関節の症状

股関節に骨棘が形成されても、初期の段階では自覚症状がないことも少なくありません。しかし、骨棘が成長したり、関節の状態が悪化したりするにつれて、様々な症状が現れます。

ここでは、骨棘が原因で起こりうる具体的な症状について詳しく見ていきます。

初期段階で見られるサイン

症状の出始めには、はっきりとした痛みよりも違和感や軽いこわばりとして感じることが多いです。

特に、朝起きた時や長時間座った後からの動き始めに、股関節が固まったように感じることがあります。少し動いているうちに症状が和らぐのが特徴です。

  • 動き始めの軽い痛み
  • 股関節周辺のだるさ
  • 長時間歩いた後の疲労感
  • 靴下を履く、爪を切るなどの動作での違和感

進行した場合の主な症状

変形性股関節症が進行し、骨棘が大きくなると症状はより明確になります。痛みが持続するようになり、日常生活の様々な場面で支障を感じるようになります。

安静にしていても痛みが治まらない、夜間に痛みで目が覚める(夜間痛)といった症状が現れることもあります。

症状の進行度と特徴

進行度痛みの特徴日常生活への影響
初期動作開始時に軽い痛み、だるさほとんど影響はないが、違和感を覚える
中期歩行時や階段昇降時に明確な痛み長距離の歩行や特定の動作が困難になる
末期安静時や夜間にも痛みがある杖が必要になるなど、日常生活に大きな支障が出る

痛みが発生する状況

股関節の骨棘による痛みは、特定の動作で誘発されやすい傾向があります。骨棘が関節の動きを物理的に妨げたり、周囲の組織を刺激したりすることで痛みが生じます。

具体的には、歩行、階段の上り下り、椅子からの立ち上がり、車の乗り降りといった、股関節に体重がかかる動作で痛みを感じることが多いです。

可動域制限とその影響

骨棘が大きくなると、大腿骨頭と寛骨臼の間に物理的な障害物となり、関節の動かせる範囲(可動域)が狭くなります。

特に、股関節を深く曲げる、内外にひねる、開くといった動きが制限されます。

この可動域制限は、和式トイレの使用、靴下の着脱、足の爪切りといった日常の細かな動作を困難にし、生活の質を低下させる一因となります。

股関節の骨棘形成の原因とリスク要因

股関節の骨棘は、単一の原因で発生するわけではありません。複数の要因が複雑に絡み合って、関節軟骨の摩耗と骨の変性を引き起こします。

ここでは、骨棘形成につながる主な原因と、そのリスクを高める要因について解説します。

加齢による関節の変化

年齢を重ねることは、骨棘形成の最も一般的な要因です。長年に関節を使い続けることで、関節軟骨は水分を失い、弾力性が低下します。

この軟骨の質的な変化により、衝撃を吸収する能力が弱まり、すり減りやすくなります。軟骨が摩耗すると、その下にある骨への負担が増加し、骨棘の形成を促します。

関節への過度な負担

体重が重いと、立ったり歩いたりする際に股関節にかかる負担が大きくなります。一般的に、歩行時には体重の3倍から5倍の負荷が股関節にかかると言われています。

過体重は、関節軟骨の摩耗を加速させ、骨棘形成のリスクを高める重要な要因です。また、重い物を運ぶ仕事や、激しいスポーツを長期間続けることも、関節への負担を増大させます。

リスク要因の比較

要因関節への影響対策の方向性
加齢軟骨の弾力性低下、摩耗適切な運動による機能維持
過体重関節への物理的負荷の増大食事管理や運動による減量
過度な運動繰り返しの衝撃による軟骨損傷運動内容の見直し、フォームの改善

過去の怪我や外傷の影響

過去に股関節周辺の骨折や脱臼、靭帯損傷などの大きな怪我を経験した場合、関節の形状や安定性に変化が生じることがあります。

このことにより、関節内の特定の部分に負荷が集中しやすくなり、将来的に変形性股関節症を発症し、骨棘が形成されるリスクが高まります。

怪我から数年、あるいは数十年経ってから症状が現れることも珍しくありません。

遺伝的要因と生活習慣

骨や軟骨の質、関節の形状には遺伝的な要素が関与することが知られています。家族に変形性股関節症の人がいる場合、体質的に発症しやすい可能性があります。

また、日本人に多い「臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)」のように、生まれつき股関節の屋根(寛骨臼)のかぶりが浅い場合、関節が不安定で軟骨が傷つきやすく、若いうちから変形性股関節症を発症し、骨棘が形成されることがあります。

股関節の骨棘に関する検査と診断

股関節の痛みや動かしにくさで医療機関を受診すると、原因を特定するためにいくつかの検査を行います。

骨棘の有無や関節の状態を正確に把握することは、適切な治療方針を立てる上で非常に重要です。ここでは、主な検査方法とその目的について説明します。

医師による問診と身体診察

診断の第一歩は、医師による詳しい問診です。いつから、どのような時に、どこが痛むのか、日常生活で困っていることなどを具体的に伝えます。

その後、医師が股関節を実際に動かして、痛みの出る角度や可動域の制限の程度、筋力の状態などを確認する身体診察を行います。

この情報から、痛みの原因となっている箇所や疾患を推測します。

レントゲン(X線)検査の役割

レントゲン検査は、骨の状態を評価するための基本的な検査です。股関節を様々な角度から撮影し、骨棘の有無や大きさ、関節の隙間(関節裂隙)の狭小化、骨の変形の程度などを確認します。

骨棘はレントゲン写真にはっきりと写るため、その存在を確定する上で非常に有用です。変形性股関節症の進行度(病期)を判断するためにも重要な検査です。

MRI検査でわかること

MRI検査は、磁気を利用して体の断面を撮影する検査です。レントゲンでは写らない軟骨や筋肉、靭帯、関節包といった軟部組織の状態を詳しく観察できます。

関節軟骨のすり減りの程度や、炎症の有無、レントゲンでは見えない小さな骨の変化などを評価するのに役立ちます。

特に、初期の変形性股関節症や、他の疾患との鑑別が必要な場合に有用な情報を提供します。

検査方法の比較

検査方法主な目的わかること
レントゲン検査骨の状態を評価する骨棘、関節の隙間の狭さ、骨の変形
MRI検査軟部組織の状態を評価する軟骨の損傷、炎症、筋肉や靭帯の状態

他の疾患との鑑別

股関節の痛みの原因は、骨棘や変形性股関節症だけではありません。

腰椎の疾患(腰部脊柱管狭窄症など)からの関連痛、関節リウマチ、大腿骨頭壊死症など、様々な疾患の可能性があります。

問診や身体診察、画像検査の結果を総合的に評価し、これらの他の疾患の可能性を排除(鑑別)した上で、正確な診断を下します。

骨棘に対する保存的治療法

股関節の骨棘や変形性股関節症の治療は、まず手術以外の方法(保存的治療)から始めるのが一般的です。

保存的治療の目的は、痛みを和らげ、関節機能の悪化を防ぎ、日常生活を快適に送れるようにすることです。ここでは、主な保存的治療法について解説します。

薬物療法による痛みの管理

痛みが強い場合、日常生活に支障をきたすため、まずは薬物療法で痛みをコントロールします。

主に、炎症を抑えて痛みを和らげる非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の飲み薬や貼り薬、塗り薬を使用します。

痛みが特に強い場合には、関節内にヒアルロン酸やステロイドの注射を行うこともあります。これらの薬は、痛みを一時的に緩和させるものであり、骨棘そのものをなくす効果はありません。

代表的な鎮痛薬の種類

種類形態主な目的
非ステロイド性抗炎症薬内服薬、外用薬(湿布・塗り薬)炎症を抑え、痛みを軽減する
アセトアミノフェン内服薬中枢神経に作用し、痛みを和らげる
関節内注射注射強い炎症や痛みを局所的に抑える

運動療法とリハビリテーション

保存的治療の中心となるのが運動療法です。股関節周辺の筋力を強化することで、関節の安定性を高め、負担を軽減します。

また、ストレッチングで筋肉の柔軟性を保ち、関節の可動域を維持・改善することも重要です。

理学療法士などの専門家の指導のもと、個々の状態に合わせた運動プログラムを継続的に行うことが、症状の改善と進行予防につながります。

日常生活での注意点と工夫

日常生活の動作を見直し、股関節への負担を減らす工夫も大切です。

例えば、和式の生活(正座、あぐら)から洋式の生活(椅子、ベッド)へ切り替える、重い物を持つことを避ける、杖を使用して歩行時の負担を軽減するなど、少しの工夫で痛みを和らげることができます。

  • 床に座る生活から椅子を使う生活へ
  • 入浴時に浴槽内に椅子を置く
  • 杖やシルバーカーの利用
  • 長時間の立ち仕事や歩行を避ける

物理療法や装具の活用

物理療法は、温熱療法(ホットパックなど)や電気療法を用いて、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげ、痛みを軽減させる治療法です。リハビリテーションの一環として行われます。

また、足の長さが左右で異なる場合などには、靴の中敷き(足底挿板)のような装具を使用して、歩行時のバランスを整え、股関節への負担を均等にすることもあります。

手術的治療の選択肢とその概要

保存的治療を続けても痛みが改善せず、日常生活に大きな支障が出ている場合には、手術的治療を検討します。

手術は、痛みの根本的な原因を取り除き、関節の機能を取り戻すことを目的とします。ここでは、代表的な手術方法とその概要について解説します。

手術を検討するタイミング

手術を受けるかどうかは、年齢や活動レベル、症状の重症度、そしてご自身の生活の質(QOL)を総合的に考えて判断します。

一般的に、以下のような状況が続く場合に手術が選択肢となります。これらの症状は、手術を考える上での一つの目安です。

  • 保存的治療で痛みが十分にコントロールできない
  • 安静時や夜間にも強い痛みがある
  • 杖を使っても歩行が困難
  • 関節の変形が著しく、可動域が極端に制限されている

関節鏡視下手術(骨棘切除)

関節鏡視下手術は、関節に数ミリの小さな穴をいくつか開け、そこから内視鏡(関節鏡)や専用の手術器具を挿入して行う低侵襲な手術です。

この手術では、動きの妨げとなっている骨棘を切除したり、傷んだ軟骨を処置したりします。

主に、変形が比較的軽度で、骨棘による引っかかり(インピンジメント)が痛みの主な原因である場合に適応となります。比較的早期の社会復帰が可能です。

人工股関節置換術

人工股関節置換術は、変形性股関節症が末期まで進行し、軟骨がすり減って骨が変形してしまった関節を、金属やポリエチレンなどでできた人工の関節(インプラント)に置き換える手術です。

痛みの原因となる部分を根本的に取り除くため、除痛効果が非常に高いのが特徴です。手術後は、痛みが大幅に改善し、歩行能力や生活の質が大きく向上することが期待できます。

手術的治療法の比較

手術方法対象となる状態主な利点
関節鏡視下手術変形が軽度で、骨棘による症状が主傷が小さく、体への負担が少ない
人工股関節置換術変形が高度で、軟骨が広範囲に摩耗痛みの改善効果が非常に高い

手術後の回復期間とリハビリ

手術後は、関節機能の回復と筋力の再獲得を目指して、リハビリテーションを行います。

手術方法によって異なりますが、通常は手術の翌日からベッドサイドでできる運動を開始し、徐々に歩行訓練へと進めていきます。

入院期間は数週間から1ヶ月程度が一般的です。退院後も、日常生活に戻りながら外来でのリハビリを継続し、安定した関節機能を取り戻すには数ヶ月から半年程度の期間が必要です。

股関節の骨棘と長く付き合うためのセルフケア

股関節の骨棘や変形性股関節症と診断された場合、医療機関での治療と並行して、自分自身で行うセルフケアが非常に重要になります。

日々の生活習慣を見直し、股関節への負担を減らすことで、症状の悪化を防ぎ、より良い状態を長く保つことにつながります。

適切な体重管理の重要性

体重をコントロールすることは、股関節のセルフケアにおいて最も重要な要素の一つです。体重が1kg増えるだけで、歩行時には股関節に約3kg、階段昇降時にはさらに大きな負荷がかかります。

適正体重を維持、あるいは過体重の場合は減量することで、股関節への負担を直接的に軽減し、痛みの緩和と軟骨の摩耗抑制に繋がります。

食事内容の見直しと、無理のない範囲での運動を組み合わせることが大切です。

股関節に優しい運動の選び方

痛みを悪化させないためには、運動の選び方が重要です。ジャンプや急な方向転換を伴うスポーツは避け、股関節への衝撃が少ない運動を選びましょう。

水中での運動(水泳や水中ウォーキング)は、浮力によって関節への負担が軽減されるため、特におすすめです。

また、サイクリング(エアロバイク)も体重がかからない状態で股関節を動かせる良い運動です。

運動の選び方のポイント

推奨される運動避けるべき運動の例理由
水中ウォーキング、水泳ランニング、ジャンプ浮力により関節への負荷が少ない
エアロバイクテニス、バスケットボール体重をかけずに股関節を動かせる
ストレッチ、ヨガ急な方向転換を伴うスポーツ柔軟性を高め、可動域を維持する

食生活で意識したいこと

特定の食品が骨棘をなくすことはありませんが、バランスの取れた食事は、骨や軟骨の健康を維持し、体重管理を助ける上で重要です。

骨の材料となるカルシウムや、その吸収を助けるビタミンD、軟骨の成分であるタンパク質やビタミンCなどを意識して摂取しましょう。

また、抗炎症作用が期待される食品(青魚に含まれるEPA・DHAなど)を食事に取り入れることも良いでしょう。

痛みとの上手な付き合い方

日によって痛みの強さが変動することもあります。痛みが強い日は無理をせず、活動量を調整することが大切です。

杖を使うことに抵抗があるかもしれませんが、杖は股関節への負担を大幅に軽減し、安全な歩行を助ける有効な手段です。

また、入浴などで股関節を温めると、血行が良くなり筋肉の緊張がほぐれ、痛みが和らぐことがあります。自分なりのリラックス方法を見つけ、痛みと上手に付き合っていく姿勢が重要です。

股関節の骨棘に関するよくある質問

最後に、股関節の骨棘について患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。ご自身の疑問や不安を解消するための一助としてください。

骨棘は自然になくなりますか?

一度形成された骨棘が、自然に消えてなくなることは基本的にありません。骨棘は、不安定になった関節を支えるために体が作り出した構造物だからです。

治療の目的は、骨棘をなくすことではなく、骨棘があっても痛みなく、日常生活を支障なく送れるようにすることです。

手術で物理的に切除することは可能ですが、保存的治療では痛みの管理と機能維持が中心となります。

どのような運動を避けるべきですか?

股関節に強い衝撃やひねりが加わる運動は、症状を悪化させる可能性があるため避けるべきです。

具体的には、ランニング、ジャンプを多用する競技(バスケットボール、バレーボール)、急な方向転換が必要なスポーツ(サッカー、テニス)などが挙げられます。

運動を始める前には、医師や理学療法士に相談し、自分に合った運動の種類や強度を確認することが重要です。

サプリメントは効果がありますか?

グルコサミンやコンドロイチンなどのサプリメントが、股関節の痛みに効果があるかどうかについては、現在のところ医学的に明確な結論は出ていません。

効果を感じる人もいれば、感じない人もいるのが実情です。サプリメントはあくまで健康食品であり、医薬品ではありません。

使用を検討する際は、主治医に相談し、治療の基本である運動療法や体重管理などを疎かにしないようにしましょう。

FAQの要点

質問回答の要点補足
骨棘は消えるか?自然にはなくならない治療目標は痛みなく生活できること
避けるべき運動は?衝撃やひねりの強い運動ランニング、ジャンプ、急な方向転換など
サプリメントの効果は?医学的な効果は確立されていない治療の補助として考え、主治医に相談する

治療を開始する適切な時期はいつですか?

股関節に痛みや違和感、動かしにくさなど、何らかの症状を感じ始めた時点が、医療機関を受診し、対策を始める適切な時期です。

症状が軽いうちから適切なケア(運動療法や生活習慣の改善)を始めることで、症状の進行を遅らせ、良好な関節機能を長く維持できる可能性が高まります。

「年のせいだから」と自己判断せず、まずは専門医に相談することをお勧めします。

参考文献

KATZ, Jeffrey N.; ARANT, Kaetlyn R.; LOESER, Richard F. Diagnosis and treatment of hip and knee osteoarthritis: a review. Jama, 2021, 325.6: 568-578.

WONG, Siu Him Janus; CHIU, Kwong Yuen; YAN, Chun Hoi. osteophytes. Journal of orthopaedic surgery, 2016, 24.3: 403-410.

TIBOR, Lisa M.; SEKIYA, Jon K. Differential diagnosis of pain around the hip joint. Arthroscopy: The Journal of Arthroscopic & Related Surgery, 2008, 24.12: 1407-1421.

TARUC-UY, Rafaelani L.; LYNCH, Scott A. Diagnosis and treatment of osteoarthritis. Primary Care: Clinics in Office Practice, 2013, 40.4: 821-836.

ROE, S. C. Diagnosis and conservative management of joint disease. 2007.

ICKINGER, Claudia; TIKLY, Mohammed. Current approach to diagnosis and management of osteoarthritis. South African Family Practice, 2010, 52.5: 382-390.

KREBS, Viktor E. The role of hip arthroscopy in the treatment of synovial disorders and loose bodies. Clinical Orthopaedics and Related Research®, 2003, 406.1: 48-59.

MURPHY, Nicholas J.; EYLES, Jillian P.; HUNTER, David J. Hip osteoarthritis: etiopathogenesis and implications for management. Advances in therapy, 2016, 33.11: 1921-1946.

CHONG, Timothy, et al. The value of physical examination in the diagnosis of hip osteoarthritis. Journal of back and musculoskeletal rehabilitation, 2013, 26.4: 397-400.

ZACHER, Josef; GURSCHE, Angelika. ‘Hip’pain. Best Practice & Research Clinical Rheumatology, 2003, 17.1: 71-85.

Author

北城 雅照

医療法人社団円徳 理事長
医師・医学博士、経営心理士

Symptoms 症状から探す

症状から探す

Latest Column 最新のコラム

股関節の骨棘形成による症状と治療の選択肢

股関節の骨棘形成による症状と治療の選択肢

2025.08.23

骨頭壊死の早期発見と進行予防のための対策

骨頭壊死の早期発見と進行予防のための対策

2025.08.22

腰痛で整形外科を受診する目安|診断と検査の流れ

腰痛で整形外科を受診する目安|診断と検査の流れ

2025.08.21

椎間板の変性による症状と機能障害について

椎間板の変性による症状と機能障害について

2025.08.20

変形性腰椎症の禁忌事項と日常生活の注意点

変形性腰椎症の禁忌事項と日常生活の注意点

2025.08.19

Ranking よく読まれているコラム

information 診療案内