股関節が左だけ痛いときに考えられる症状と原因
歩き始めや立ち上がりの際に、左の股関節だけにズキッとした痛みを感じることはありませんか。日常生活の中で、なぜか片方の股関節だけが痛むという悩みを抱えている方は少なくありません。
この不快な痛みは、単なる体の歪みからきている場合もあれば、何らかの病気が隠れているサインかもしれません。
この記事では、股関節が左だけ痛む場合に考えられる具体的な症状や原因を詳しく解説します。
痛みの種類や特徴から考えられること、ご自身でできるセルフケアの方法、そして専門家への相談が必要なケースまで、幅広く情報を提供します。
目次
なぜ股関節は片側だけ痛むのか
股関節の痛みが左右どちらか一方、特に左側だけに現れるのには、いくつかの理由が考えられます。
私たちの体は完全な左右対称ではなく、無意識のうちに行っている日常の動作や癖が、片側の関節にだけ負担を集中させてしまうことがあります。
ここでは、なぜ左の股関節だけが痛むという状況が生まれるのか、その背景にある主な要因について掘り下げていきます。
日常生活の癖と体の歪み
私たちは普段、意識せずに体を動かしていますが、その中には左右非対称な動作が多く含まれています。
例えば、いつも同じ側で脚を組む、片方の足に体重をかけて立つ、同じ側の肩にバッグをかけるといった癖です。
これらの小さな習慣が積み重なると、骨盤が歪み、結果として片側の股関節に過剰なストレスがかかります。
体が歪むと、体重が均等に分散されず、左の股関節周辺の筋肉や関節に負担が集中し、痛みを引き起こす原因となります。
体の歪みにつながる主な生活習慣
習慣の例 | 体への影響 | 股関節への負担 |
---|---|---|
脚を組む | 骨盤のねじれや傾き | 左右の関節にかかる圧力が不均一になる |
片足重心で立つ | 重心の偏り | 体重を支える側の関節に負荷が集中する |
横座り(お姉さん座り) | 股関節の内旋・外旋の偏り | 特定の筋肉や靭帯が常に緊張する |
スポーツや仕事による負荷の偏り
特定のスポーツや職業も、片側の股関節に痛みを引き起こす一因です。例えば、野球やゴルフのスイング動作、サッカーのキック動作などは、軸足となる片方の股関節に大きな負担をかけます。
仕事においても、長時間同じ姿勢で作業を続けたり、重い物を片側だけで持ち運んだりする動作は、体のバランスを崩し、左の股関節に痛みを発生させることがあります。
繰り返し同じ動作を行うことで、特定の筋肉群が過度に発達したり、逆に使用されない筋肉が衰えたりして、アンバランスが生じます。
左右の脚長差の影響
先天的なものや、過去の怪我、あるいは骨盤の歪みによって、左右の脚の長さにわずかな差が生じることがあります。
この脚長差があると、歩行時に短い方の脚の骨盤が下がり、体はバランスを取ろうとして無意識に姿勢を調整します。この調整が、股関節や腰に余計な負担をかけることになります。
特に短い方の脚、あるいはそれを補うために負担が増える長い方の脚の股関節に痛みが出やすくなります。
内臓の不調が関連する可能性
あまり知られていませんが、内臓の不調が関連痛として股関節の痛みを引き起こすこともあります。特に体の左側には、S状結腸や下行結腸、腎臓などの臓器があります。
これらの臓器に炎症や機能低下などの問題があると、その情報が神経を介して伝わり、股関節周辺に痛みとして感じられることがあります。
この場合、股関節自体に直接的な原因が見つからないことも少なくありません。
左の股関節痛で考えられる代表的な病気
左の股関節に持続的な痛みがある場合、それは単なる疲労や体の歪みだけでなく、特定の病気が原因である可能性も考えなくてはなりません。
股関節は体重を支え、歩行などの基本的な動作を可能にする重要な関節であり、ここの不調は生活の質に大きく影響します。
ここでは、左の股関節痛の背景に隠れている可能性のある代表的な病気について、その特徴とともに解説します。
変形性股関節症
変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減ることで、関節に炎症や変形が生じる病気です。加齢や体重の増加、あるいは後述する臼蓋形成不全などが原因で発症します。
初期症状としては、立ち上がりや歩き始めに股関節の付け根に痛みを感じることが多く、進行すると安静時にも痛むようになったり、関節の動きが悪くなったりします。
特に片側に発症することが多く、左の股関節だけに症状が現れるケースも珍しくありません。
変形性股関節症の進行度と主な症状
進行度 | 軟骨の状態 | 主な症状 |
---|---|---|
初期 | 少しすり減り始める | 立ち上がり、歩き始めの痛み |
進行期 | すり減りが進み、骨が変形 | 持続的な痛み、可動域の制限 |
末期 | 軟骨がほぼ消失 | 強い痛み、歩行困難 |
臼蓋形成不全
臼蓋形成不全は、骨盤側にある寛骨臼(かんこつきゅう)というソケット部分の形成が不十分で、大腿骨頭(だいたいこっとう)というボール部分を十分に覆えていない状態を指します。
生まれつきの形態異常であることが多く、特に女性に多く見られます。
この状態だと、関節が不安定になり、特定の場所に負担が集中しやすくなるため、若いうちから股関節に痛みが出たり、将来的に変形性股関節症に移行したりするリスクが高まります。
股関節唇損傷
股関節唇(こかんせつしん)とは、寛骨臼の縁を取り巻く軟骨組織で、関節を安定させる役割を担っています。
スポーツや日常生活での急なひねり動作、あるいは臼蓋形成不全のような形態的な問題によって、この股関節唇が損傷することがあります。
損傷すると、股関節を深く曲げたりひねったりした際に、鋭い痛みや「ゴリッ」というような引っかかり感が生じます。痛みが左側だけに限定して現れることも多いです。
大腿骨頭壊死症
大腿骨頭壊死症は、大腿骨頭への血流が悪くなることで、骨の組織が死んでしまう(壊死する)病気です。
原因は明確にはわかっていませんが、ステロイド剤の多用やアルコールの多飲がリスク要因とされています。
発症初期は無症状のこともありますが、壊死した部分が潰れることで、急に股関節に強い痛みが生じます。
体重がかかると痛みが強くなるのが特徴で、片側の股関節に発症することがほとんどです。
病気以外で左の股関節が痛む原因
股関節の痛みは、必ずしも特定の病気だけが原因とは限りません。日常生活での体の使い方や、加齢に伴う自然な変化によっても痛みは生じます。
特に、レントゲンなどの画像検査では異常が見られないにもかかわらず、左の股関節に不調を感じる場合、筋肉や靭帯といった軟部組織に原因がある可能性が考えられます。
ここでは、病気とは診断されないものの、痛みを引き起こす一般的な要因について解説します。
筋肉の緊張や炎症
股関節の周りには、お尻の筋肉(殿筋群)、太ももの筋肉(大腿四頭筋、ハムストリングス)、内ももの筋肉(内転筋群)など、多くの筋肉が付着しています。
長時間のデスクワークや運動不足、あるいは逆に特定の筋肉の使いすぎによって、これらの筋肉が硬く緊張したり、微細な損傷による炎症を起こしたりすることがあります。
特に体の歪みなどから左側に負担が偏っていると、左の股関節周辺の筋肉にだけ痛みが生じやすくなります。
股関節周辺の主な筋肉と役割
筋肉名 | 主な場所 | 役割 |
---|---|---|
殿筋群 | お尻 | 脚を後ろや横に動かす、姿勢を保つ |
腸腰筋 | 股関節の付け根(深層) | ももを上げる、腰を安定させる |
内転筋群 | 太ももの内側 | 脚を閉じる、骨盤を安定させる |
関節包や靭帯の問題
関節包(かんせつほう)は関節を包む袋状の組織で、靭帯(じんたい)は骨と骨をつなぎ関節を安定させる強固な組織です。
スポーツでの捻挫や、転倒などの外傷によって、これらの組織が伸びたり傷ついたりすると、痛みや不安定感の原因となります。
また、加齢によってこれらの組織の柔軟性が低下すると、関節の動きが硬くなり、動作時に痛みを感じやすくなることもあります。
神経の圧迫による痛み
腰椎(ようつい)の問題、例えば椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などによって、腰から足へ向かう神経が圧迫されると、その神経が支配する領域である股関節周辺に痛みやしびれ(関連痛)が出ることがあります。
この場合、股関節自体には問題がなくても、痛みを感じます。坐骨神経痛などがその代表例で、お尻から太ももの裏側にかけて痛みが放散することが特徴です。
左側の神経が圧迫されれば、左の股関節に症状が現れます。
加齢による組織の変化
年齢を重ねると、筋肉量が減少し、関節軟骨の水分量が減って弾力性が失われ、靭帯などの結合組織も硬くなります。
これらの変化は、関節への衝撃を吸収する能力を低下させ、股関節への負担を増加させます。このことにより、若い頃は何でもなかったような動作でも、痛みを感じやすくなることがあります。
特定の病気ではなくても、こうした加齢に伴う組織の質の変化が、痛みの背景にあることは少なくありません。
痛みの特徴から原因を探る
左の股関節に感じる痛みの性質は、その原因を探る上で重要な手がかりとなります。
どのような時に、どのような種類の痛みを感じるのかを注意深く観察することで、背景にある問題をある程度推測することが可能です。
ここでは、痛みの特徴別に、考えられる原因や体の状態について解説します。ご自身の症状と照らし合わせながら、体のサインを読み解いていきましょう。
ズキズキする痛み(炎症の可能性)
ズキズキ、ジンジンといった拍動するような痛みは、関節やその周辺で炎症が起きているサインであることが多いです。
炎症が起きると、その部分の血流が増加し、発痛物質が放出されるため、このような痛みを感じます。
変形性股関節症の急性期や、筋肉や腱を傷めた直後(肉離れなど)、あるいは感染症やリウマチなどの自己免疫疾患でも見られることがあります。
痛みの種類と主な原因の傾向
痛みの種類 | 考えられる状態 | 主な原因の例 |
---|---|---|
ズキズキ・ジンジン | 炎症 | 変形性股関節症、滑液包炎 |
ゴリゴリ・引っかかり | 物理的な衝突 | 股関節唇損傷、骨の変形 |
ピリピリ・しびれ | 神経の問題 | 腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛 |
動かし始めの痛み(関節のこわばり)
長時間座っていた後や、朝起きた時など、動き始めの一歩目に特に強く痛みを感じる場合、関節のこわばりが考えられます。
これは「始動時痛(しどうじつう)」とも呼ばれ、変形性股関節症の典型的な症状の一つです。
関節を動かさないでいると、関節液の循環が悪くなったり、関節周りの筋肉が硬くなったりするため、動き始めに痛みが生じます。少し動いているうちに痛みが和らぐのが特徴です。
歩行時や体重をかけたときの痛み
歩いたり、階段を上り下りしたり、痛い方の足で立った時など、股関節に体重がかかった際に痛みが出るのは、関節のクッション役である軟骨がすり減っている、あるいは骨自体に何らかの問題がある可能性を示唆します。
変形性股関節症や大腿骨頭壊死症などでよく見られる症状です。体重という負荷が直接、痛みの原因となっているため、日常生活への影響も大きくなります。
安静にしていても痛む場合
座っている時や夜寝ている時など、特に体に負荷をかけていない状態でも痛みを感じる場合は、注意が必要です。
これは炎症がかなり強い状態であるか、あるいは腫瘍など、股関節の構造的な問題以外の原因も考えられます。
痛みが強く、夜も眠れないほどの安静時痛がある場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。
自宅でできるセルフケアと注意点
左の股関節に痛みを感じ始めたとき、症状が軽度であれば、自宅でのセルフケアによって痛みが和らぐことがあります。
ただし、誤ったケアはかえって症状を悪化させる可能性もあるため、正しい知識を持って慎重に行うことが大切です。
ここでは、痛みの緩和や機能改善を目的としたセルフケアの方法と、実施する上での注意点について解説します。痛みが強い場合や長引く場合は、自己判断せずに専門家に相談してください。
股関節周りのストレッチ
股関節周りの筋肉が硬くなっていると、関節の動きが悪くなり、痛みの原因となります。
特に、お尻の筋肉(梨状筋など)や太ももの内側(内転筋)、前側(腸腰筋)のストレッチは、股関節の柔軟性を高め、痛みを和らげるのに効果的です。
ストレッチは、お風呂上がりなど体が温まっている時に行うのがおすすめです。
- お尻のストレッチ
- 太もも内側のストレッチ
- 股関節付け根のストレッチ
痛みを感じない、気持ち良いと感じる範囲で、ゆっくりと20〜30秒かけて伸ばしましょう。反動をつけたり、無理に伸ばしたりするのは避けてください。
筋力トレーニングの重要性
股関節を安定させるためには、周辺の筋力を維持・向上させることが重要です。特に、お尻の横側にある中殿筋は、歩行時の骨盤の安定に大きく関わっています。
この筋肉が弱ると、歩行が不安定になり股関節への負担が増大します。
仰向けに寝て膝を立て、お尻をゆっくり持ち上げるヒップリフトや、横向きに寝て上の脚をゆっくり開閉する運動などが効果的です。
自宅でできる簡単な筋力トレーニング
トレーニング名 | 鍛えられる筋肉 | 基本的な方法 |
---|---|---|
ヒップリフト | 大殿筋、ハムストリングス | 仰向けで膝を立て、お尻を上げる |
クラムシェル | 中殿筋 | 横向きで膝を曲げ、上の膝を開閉する |
足上げ(SLR) | 大腿四頭筋、腸腰筋 | 仰向けで片膝を立て、もう片方の脚を伸ばしたまま上げる |
アイシングと温熱療法の使い分け
痛みの性質によって、冷やすべきか温めるべきかが異なります。ズキズキと痛み、熱を持っているような急性の炎症がある場合は、アイシング(冷却)が有効です。
氷のうなどをタオルで包み、15〜20分程度痛む部分に当てて炎症を抑えます。一方、動かし始めが痛い、筋肉がこわばっているような慢性の痛みには、温熱療法が効果的です。
蒸しタオルや入浴で温めることで血行を促進し、筋肉の緊張を和らげます。
セルフケアを行う上での禁忌事項
セルフケアは有益ですが、行ってはいけないケースもあります。ストレッチや運動中に強い痛みを感じる場合は、すぐに中止してください。
痛みを我慢して続けると、症状を悪化させる危険があります。
また、安静にしていても痛みが治まらない場合や、日に日に痛みが強くなる場合、足のしびれや感覚の異常を伴う場合は、セルフケアで対応できる範囲を超えている可能性が高いです。
このような場合は、速やかに専門医の診察を受ける必要があります。
専門家への相談が必要なケース
股関節の痛みは、多くの人が経験する症状ですが、中には放置すると進行してしまう病気が隠れていることもあります。
セルフケアを試しても改善しない場合や、特定のサインが見られる場合には、自己判断を続けずに専門家である医師に相談することが重要です。
ここでは、どのような状況であれば医療機関を受診すべきか、その具体的な目安について解説します。
痛みが長期間続く場合
一時的な筋肉痛であれば数日で和らぎますが、左の股関節の痛みが1〜2週間以上続いている場合は、単なる使いすぎではない可能性があります。
特に、痛みの強さが変わらない、あるいは徐々に悪化している場合は、変形性股関節症などの進行性の病気も考えられます。
慢性的な痛みは、原因を特定して適切な対応を始めることが大切です。
受診を検討すべき症状のチェックリスト
- 痛みが2週間以上続いている
- だんだん痛みが強くなっている
- 痛くて夜中に目が覚める
- 足を引きずらないと歩けない
日常生活に支障が出ている
痛みのために、これまで普通にできていたことが困難になるのは、受診の大きな目安です。
例えば、靴下を履く、足の爪を切るといった動作がしにくい、階段の上り下りが辛い、長距離を歩けなくなったなど、股関節の動きの制限や痛みが日常生活に影響を及ぼしている場合は、関節の状態がかなり悪化している可能性があります。
腫れや熱感を伴う痛み
左の股関節周辺が赤く腫れていたり、触ると明らかに熱を持っていたりする場合は、強い炎症や感染症の疑いがあります。
このような症状は、緊急性が高いケースもあるため、様子を見ずにできるだけ早く医療機関を受診してください。
また、転倒などの明らかな原因がないにもかかわらず、急激に強い痛みが出現した場合も同様です。
受診する診療科の目安
診療科 | 対象となる主な症状や状態 | 行う検査の例 |
---|---|---|
整形外科 | 骨、関節、筋肉の痛み全般 | レントゲン、MRI、CT |
リウマチ科 | 関節の腫れ、朝のこわばり | 血液検査、関節エコー |
内科 | 内臓の不調が疑われる場合 | 血液検査、尿検査、腹部エコー |
何科を受診すればよいか
股関節の痛みで最初に相談するのに最も適しているのは整形外科です。整形外科では、問診や触診に加え、レントゲンやMRIなどの画像検査を用いて、骨や関節の状態を正確に診断します。
もし関節リウマチなどの自己免疫疾患が疑われる場合はリウマチ科へ、内臓からの関連痛が考えられる場合は内科への受診を勧められることもあります。
まずは原因を特定するために、整形外科の扉を叩くのが一般的な流れです。
左の股関節痛に関するよくある質問
ここまで、左の股関節が痛む原因や対処法について解説してきましたが、まだ個別具体的な疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
この最後の部分では、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。ご自身の状況に近いものがあれば、ぜひ参考にしてください。
Q. 左側だけ痛むのは利き足と関係がありますか?
A. 利き足が直接的な原因とは一概には言えませんが、関係している可能性はあります。例えば、右利きの人がボールを蹴る場合、軸足となる左足の股関節には大きな負担がかかります。
このように、スポーツや日常生活での動作の癖によって、軸足側の股関節にストレスが集中し、痛みが出やすくなることは考えられます。
しかし、利き足とは逆の股関節が痛む人も多く、体の歪みや個々の生活習慣など、複合的な要因が絡んでいる場合がほとんどです。
利き足と軸足の関係
動作の例 | 利き足(動かす側) | 軸足(支える側) |
---|---|---|
サッカーでボールを蹴る | 右足 | 左足 |
片足で立つ | - | 得意な方の足 |
Q. 痛いときに湿布は効果的ですか?
A. 湿布には消炎鎮痛成分が含まれており、筋肉の炎症などによる一時的な痛みを和らげる効果は期待できます。
ズキズキと痛むような急性の痛みには冷湿布、慢性的な鈍い痛みには温湿布が向いているとされます。ただし、湿布はあくまで対症療法であり、痛みの根本的な原因を解決するものではありません。
変形性股関節症や股関節唇損傷など、関節の構造的な問題が原因の場合、湿布だけで改善することは困難です。痛みが続く場合は、医療機関で原因を調べることが重要です。
Q. サプリメントで股関節の痛みは改善しますか?
A. グルコサミンやコンドロイチン、ヒアルロン酸といった成分を含むサプリメントが、関節の健康維持を目的として市販されています。
これらの成分は関節軟骨の構成要素であり、摂取することで軟骨の健康をサポートする可能性が示唆されています。
しかし、サプリメントの摂取によってすり減った軟骨が再生したり、痛みが確実になくなったりするという科学的根拠は、現時点では十分ではありません。
健康補助食品として、バランスの取れた食事や適度な運動と併用するのが良いでしょう。
Q. どのような座り方が股関節に良いですか?
A. 股関節への負担を減らすためには、深く腰掛け、背筋を伸ばして座ることが基本です。
椅子に座る際は、膝の角度が90度かそれより少し開くくらいの高さに調整し、足の裏全体が床につくようにします。
床に座る場合は、あぐらや長座は比較的負担が少ないですが、横座りやアヒル座り(割座)は股関節に大きなねじれのストレスがかかるため、避けるべき座り方です。
長時間同じ姿勢で座り続けることも良くないため、30分に一度は立ち上がって少し歩くなど、こまめに体を動かすことを心がけましょう。
以上
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