足立慶友医療コラム

股関節の変形症における治療とリハビリの方針

2025.11.23

股関節の変形症は、長年の負担や骨格的な特徴によって軟骨が摩耗し、痛みや可動域制限が生じる進行性の疾患です。

しかし、適切な治療方針と継続的なリハビリテーションを組み合わせることで、痛みのコントロールや生活の質を維持・向上させることは十分に可能です。

本記事では、保存療法から手術療法に至るまでの具体的な選択肢、日常生活での注意点、そしてリハビリの役割について網羅的に解説します。

ご自身の症状や進行度に合わせた方針を見極め、前向きに治療に取り組むための一助としてください。

股関節の変形症が進行する原因と身体的な変化

股関節の変形症は、関節軟骨の摩耗が主たる原因となり、進行すると骨の変形や棘(骨棘)の形成を伴いながら歩行機能に影響を及ぼします。

初期段階では立ち上がりや歩き始めの違和感から始まりますが、時間の経過とともに安静時にも痛みを感じるようになります。

日本国内では臼蓋形成不全という、骨盤側の受け皿が浅い形状をしていることが原因で発症するケースが多く見られます。

軟骨には神経が通っていないため初期の摩耗には気づきにくいですが、進行に伴い炎症が生じ、関節包や周囲の筋肉が硬くなることで痛みが増強します。

早期に自身の状態を把握し、負担を減らす対策を講じることが将来的な歩行能力を守る鍵となります。

軟骨の摩耗と痛みの発生メカニズム

関節軟骨は骨と骨の間のクッションの役割を果たしています。

この軟骨がすり減ると、硬い骨同士が直接ぶつかり合うようになります。骨自体は知覚神経が豊富なため、直接的な接触は鋭い痛みを引き起こします。

また、すり減った軟骨の破片が関節内を刺激し、滑膜炎という炎症を引き起こすことも痛みの大きな要因です。

炎症が続くと関節液が増えて水が溜まる状態になり、関節内圧が高まってさらなる痛みを誘発します。

痛みを避けるために無意識に足をかばう動作を続けると、周囲の筋肉が緊張し、二次的な筋肉痛や関節の拘縮(動きが悪くなること)を招きます。

進行度による病期の分類

病状の進行度は、レントゲン画像における関節の隙間の広さや骨の変化によって分類します。前期、初期、進行期、末期の4段階に分けられることが一般的です。

前期は軟骨の摩耗は少ないものの、臼蓋形成不全などの素因がある状態です。初期になると関節の隙間が狭くなり始め、骨の一部が硬化し始めます。

進行期では隙間がさらに狭くなり、骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨のトゲができたり、骨の中に嚢胞(のうほう)という空洞ができたりします。

末期に至ると関節の隙間は消失し、骨同士が完全に接地して変形が高度になります。どの段階にあるかによって、選択すべき治療法は異なります。

病期ごとの特徴的な症状と状態

病期区分関節の状態主な自覚症状
前期・初期隙間がわずかに狭い・軟骨が薄くなり始める起床時や運動後のだるさ・立ち上がり時の違和感
進行期隙間が明らかに減少・骨棘や骨嚢胞の形成歩行時の持続的な痛み・靴下の着脱が困難になる
末期隙間が消失・骨同士が接地・高度な変形安静時や夜間の強い痛み・著しい歩行障害・脚長差

一次性と二次性の違いについて

股関節の変形症には、原因が明確でない「一次性」と、何らかの基礎疾患や怪我が原因となる「二次性」が存在します。

欧米では肥満や加齢による一次性が主流ですが、日本では二次性が圧倒的多数を占めます。その主な原因が発育性股関節形成不全(かつての先天性股関節脱臼)や臼蓋形成不全です。

これらは骨盤の被覆が不十分であるため、狭い範囲に体重が集中し、軟骨の摩耗を早めます。その他、ペルテス病や大腿骨頭すべり症、過去の骨折などの外傷も二次性の原因となり得ます。

原因を特定することは、将来の進行予測や手術適応の判断において重要です。

保存療法における疼痛管理と生活指導の基本

保存療法は、手術を行わずに痛みを緩和し、関節の機能を可能な限り長く維持することを目的とした治療の柱です。

変形が初期や進行期の一部であれば、保存療法だけで長期間にわたり日常生活を支障なく送ることも可能です。

基本となるのは、体重コントロールによる負荷の軽減、薬物療法による炎症の鎮静化、そして日常生活動作の工夫です。

これらを単独で行うのではなく、複合的に組み合わせることで相乗効果を狙います。自身の生活スタイルを見直し、股関節に優しい環境を整える能動的な姿勢が求められます。

体重管理が関節に与える影響

股関節には歩行時に体重の約3倍から4倍、階段昇降時にはさらに大きな負荷がかかります。

例えば体重が1キログラム増加するだけで、股関節にかかる負担は3キログラムから4キログラムも増加することになります。

逆に言えば、わずかな減量であっても関節への負担を大幅に減らす効果が期待できます。

適正体重を維持することは、物理的なストレスを減らすだけでなく、脂肪組織から分泌される炎症性物質を減少させる意味でも有益です。

食事療法と無理のない運動を組み合わせ、長期的な視点で体重をコントロールすることが関節を守る最大の防御策となります。

体重と動作時にかかる股関節への負荷倍率

動作の種類負荷の目安(体重比)負担軽減のポイント
ゆっくり歩く約3倍歩幅を小さくする・衝撃の少ない靴を選ぶ
速歩き・走行約4倍から5倍以上水中ウォーキングなど浮力を利用する
階段の昇降約6倍から7倍手すりを使用する・エレベーターを活用する

薬物療法による痛みのコントロール

痛みが強い状態が続くと、筋肉が萎縮し、活動量が低下するという悪循環に陥ります。これを断ち切るために薬物療法を用います。主に使用されるのは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)です。

これは炎症を抑え、痛みを鎮める効果があります。長期間の服用は胃腸障害や腎機能への影響が懸念されるため、湿布や塗り薬などの外用薬を併用して内服量を調整します。

また、ヒアルロン酸の関節内注射も行われます。ヒアルロン酸は関節液の粘り気を補い、潤滑油の働きをして摩擦を減らすとともに、抗炎症作用も期待できます。

医師の指導のもと、痛みの強さに応じて適切に使用します。

杖や装具の適切な使用方法

杖を使用することに抵抗を感じる方は少なくありませんが、杖は股関節への負担を劇的に減らす強力なツールです。

痛む側の反対の手に杖を持つことで、テコの原理が働き、股関節にかかる荷重を分散させることができます。

T字杖が一般的ですが、症状が重い場合はロフストランド杖などの支えが強いタイプも検討します。

また、足底板(インソール)を使用して脚の長さを補正したり、衝撃を吸収させたりすることも有効です。

軟性コルセットなどの装具は、骨盤を安定させ、歩行時の揺れを抑える効果があります。これらを適切に使いこなすことで、活動範囲を広げることが可能です。

運動療法とリハビリテーションの実践的アプローチ

運動療法は、股関節周囲の筋肉を強化し、関節の安定性を高めることで痛みを軽減させる、保存療法の中核をなす治療法です。

変形した骨を元に戻すことはできませんが、筋肉という天然のコルセットを強化することで、骨への負担を代償することは可能です。

特に中殿筋や大腿四頭筋などの筋力強化は重要です。ただし、痛みを我慢して無理な運動を行うと逆効果になりかねません。

理学療法士などの専門家の指導を受け、関節の状態に合わせた適切な負荷と回数で実施することが大切です。継続こそが力となり、数ヶ月単位で徐々に効果が現れます。

関節可動域訓練の重要性と方法

股関節の変形が進むと、関節包や筋肉が硬くなり、可動域(動かせる範囲)が狭くなります。特に股関節が伸びにくくなったり、開きにくくなったりすることが一般的です。

可動域が狭くなると、歩幅が小さくなり、腰や膝など他の関節への負担が増加します。これを防ぐために、ストレッチや可動域訓練を行います。

お風呂上がりなど体が温まっている時に、痛みのない範囲でゆっくりと関節を動かします。例えば、仰向けで膝を抱える動作や、うつ伏せで脚の付け根を伸ばす動作などがあります。

毎日少しずつ行うことで、関節の柔軟性を維持し、日常生活の動作をスムーズにします。

筋力トレーニングのターゲットと注意点

股関節を安定させるために特に重要な筋肉は、お尻の横にある中殿筋、太ももの前にある大腿四頭筋、そしてお尻の後ろにある大殿筋です。

中殿筋は片足立ちの際に骨盤を水平に保つ役割があり、歩行の安定に欠かせません。トレーニングの際は、関節に過度な荷重をかけない方法を選びます。

例えば、横向きに寝て脚を上に持ち上げる外転運動や、椅子に座った状態で膝を伸ばす運動などが推奨されます。

水中運動は浮力が体重の負荷を軽減し、水の抵抗が適度な筋力トレーニングになるため、股関節に優しい運動として非常に優れています。

股関節を守るために強化すべき主要な筋肉

筋肉の名称主な役割自宅でできるトレーニング例
中殿筋骨盤の安定化・歩行時の左右のブレ防止横向き寝での脚上げ・立ち姿勢での横歩き
大腿四頭筋膝の伸展・着地時の衝撃吸収椅子に座っての膝伸ばし・浅いスクワット
腸腰筋脚を前に振り出す・姿勢の維持仰向けでの脚上げ(低負荷)・座位での足踏み

貧乏ゆすりの医学的効果

行儀が悪いとされる貧乏ゆすりですが、実は股関節症の保存療法として「ジグリング」と呼ばれ、注目されています。

小刻みに足を揺らすことで、関節液の循環が良くなり、軟骨への栄養供給が促進されます。また、持続的な小さな動きは、筋肉の緊張をほぐし、リラックス効果をもたらします。

さらに、一部の研究では軟骨の再生を促す可能性も示唆されています。椅子に座り、踵を浮かせたりつけたりして、リズミカルに小刻みに揺らします。

関節に体重をかけずに行えるため、痛みが強い時期でも実施しやすいのが利点です。テレビを見ながらなど、長時間リラックスして行うことが推奨されます。

日常生活動作における工夫と禁止事項

日常生活の何気ない動作が、知らず知らずのうちに股関節への負担を蓄積させていることがあります。この負担を減らすためには、和式生活から洋式生活への切り替えが基本となります。

床に座る、布団で寝る、和式トイレを使うといった動作は、股関節を深く曲げる必要があり、大きなストレスとなります。

椅子、ベッド、洋式トイレを使用することで、関節の屈曲角度を浅く保つことができます。また、重い物を持つ動作や長時間の立ち仕事も避けるべきです。

日々の動作一つひとつを見直し、関節をいたわる生活習慣を身につけることが、痛みの悪化を防ぐことにつながります。

環境整備による負担の軽減

自宅の環境を整えることは、転倒予防と関節保護の両面で重要です。まず、床にある段差を解消し、つまずきにくい環境を作ります。

玄関、トイレ、浴室には手すりを設置し、立ち座りの動作を補助します。特に浴室は滑りやすく危険なため、滑り止めマットの使用や、シャワーチェア(入浴用いす)の導入を検討します。

キッチンでの立ち仕事がつらい場合は、高めのスツールを用意し、腰掛けながら作業ができるようにします。

寝具に関しては、起き上がりが楽な高さのあるベッドを選び、マットレスは沈み込みすぎない適度な硬さのものを使用します。動線を確保し、スムーズに移動できる住環境を構築します。

避けるべき姿勢や動作のチェックリスト

  • 正座や横座り、あぐらなどの床座り姿勢
  • 低い椅子や柔らかすぎるソファへの着座
  • 重い荷物を床から持ち上げる動作
  • 長時間連続した歩行や立ちっぱなし

靴選びとインソールの活用

靴選びは歩行時の衝撃を吸収し、安定した歩き方をサポートするために極めて重要です。ヒールの高い靴や底の硬い革靴は、着地時の衝撃が直接股関節に伝わるため避けます。

クッション性が高く、踵がしっかりとしていて足を包み込むようなスニーカーやウォーキングシューズを選びます。

靴紐やマジックテープで足の甲をしっかり固定できるタイプが良いです。

また、既製品の靴では不十分な場合、医療機関で足の型を取り、オーダーメイドの足底板(インソール)を作成することも有効です。

足底板によって脚の長さの左右差を補正したり、足裏のアーチを支えたりすることで、歩行時のバランスが整い、股関節への負担が軽減します。

外科的治療の選択肢と手術のタイミング

保存療法を十分に行っても痛みが改善せず、日常生活に著しい支障をきたす場合は、外科的治療(手術)を検討します。

手術のタイミングは、レントゲン上の進行度だけでなく、患者さん本人の「痛みで何ができなくなったか」「どのような生活を取り戻したいか」という主観的な要素が大きく関わります。

夜も眠れないほどの痛みがある、数百メートルも歩けない、仕事や家事がままならないといった状態は、手術を考える一つの目安です。

手術には大きく分けて、自分の関節を温存する骨切り術と、人工の関節に置き換える人工股関節全置換術があります。年齢、骨の形状、進行度、活動レベルなどを総合的に判断して術式を決定します。

骨切り術の特徴と適応年齢

骨切り術は、骨盤や大腿骨の一部を切って角度を変え、体重のかかる位置を健康な軟骨が残っている部分に移動させる手術です。

自分の関節を残せるため、スポーツや肉体労働への復帰が期待でき、人工関節のような摩耗や破損の心配がありません。

主に関節の変形が初期から進行期で、比較的若年(一般的に40代から50代まで)の方が対象となります。代表的なものに寛骨臼回転骨切り術(RAO/CPO)や大腿骨内反骨切り術などがあります。

ただし、骨が癒合するまでのリハビリ期間が長く、社会復帰までに数ヶ月を要することがあります。将来的に変形が進行した場合は、人工関節手術が必要になる可能性も残ります。

人工股関節全置換術(THA)の進歩

人工股関節全置換術(THA)は、傷んだ関節を取り除き、金属やセラミック、ポリエチレンで作られた人工関節に置き換える手術です。

除痛効果に極めて優れており、術後早期から痛みが消失し、歩行が可能になります。適応は主に末期の変形性股関節症や、高齢の患者さんです。

近年では、ナビゲーションシステムの導入や、筋肉を切らずに温存する低侵襲手術(MIS)が普及したことで、脱臼のリスクが減り、入院期間も短縮されています。

人工関節の耐用年数も材料の進化により20年から30年以上と延びており、より若い世代や活動的な方への適応も広がっています。

主な術式の比較と特徴

項目骨切り術(関節温存手術)人工股関節全置換術(THA)
主な対象初期・進行期(比較的若い世代)末期・高齢者(全年齢に拡大中)
メリット自分の骨・関節を残せる
活動制限が少ない
痛みが劇的に取れる
リハビリ・復帰が早い
デメリットリハビリ期間が長い
将来的な進行の可能性
脱臼・感染のリスク
人工物の耐用年数

術後のリハビリと社会復帰への道のり

手術はゴールではなく、新しい生活のスタートです。手術の効果を最大限に引き出し、機能を回復させるためには、術後のリハビリテーションが重要です。

人工股関節の手術であれば、手術翌日や翌々日から立つ練習や歩く練習を開始します。

入院期間は施設や術式によりますが、一般的に人工関節で1週間から3週間程度、骨切り術で1ヶ月から2ヶ月程度です。

退院後も筋力トレーニングや可動域訓練を継続し、正しい歩き方を身につける必要があります。

焦らず計画的にリハビリを進めることで、安定した歩行と痛みのない生活を取り戻すことができます。

退院後の生活上の注意点

人工股関節の手術を受けた場合、特に術後数ヶ月間は脱臼に対する注意が必要です。脱臼しやすい姿勢(深くしゃがむ、脚を内側に捻る、脚を交差させるなど)を避けるよう指導されます。

しかし、近年の手術手技が向上したおかげで、過度な制限を設けないケースも増えています。医師の指示に従い、自身の関節の状態に応じた動きを理解することが大切です。

また、転倒は骨折や人工関節の破損につながるため、最大の敵です。室内の整理整頓や、外出時の慎重な行動を心がけます。

定期検診を欠かさず受け、人工関節の状態や骨の様子をチェックし続けることも、長期的な安定のために必要です。

スポーツや仕事への復帰時期

デスクワークなどの事務仕事であれば、退院後比較的早期に復帰が可能です。立ち仕事や重労働の場合は、筋力の回復具合を見ながら医師と相談して時期を決定します。

スポーツに関しては、ウォーキング、水泳、サイクリング、ゴルフ、ハイキングなどは推奨されます。

一方で、コンタクトスポーツやジャンプを伴う激しい運動(ラグビー、バスケットボール、高負荷のランニングなど)は、人工関節への衝撃や摩耗のリスクがあるため、一般的には避けるか慎重に行う必要があります。

自分の楽しみたい活動と医学的な安全性のバランスを考慮し、主治医とよく話し合って活動範囲を広げていきます。

術後経過と活動再開の目安(人工関節の場合)

時期活動レベルの目安主なリハビリ内容
術後1週から2週杖歩行で院内移動・階段昇降基本動作練習・筋力強化
退院から3ヶ月家事全般・近所の外出・デスクワークウォーキング・応用歩行練習
6ヶ月以降軽いスポーツ・旅行・長距離歩行筋力維持・趣味活動の再開

股関節の変形症に関するFAQ

診療の現場で患者さんから頻繁に寄せられる手術の必要性や遺伝に関する疑問点について、医学的な見地から回答します。

手術は必ず受けなければなりませんか?

必ずしも手術が必要というわけではありません。変形があっても痛みがコントロールできており、日常生活に大きな支障がない場合は、保存療法を継続します。

手術はあくまで「生活の質を改善するための手段」です。画像上の変形が強くても、本人が困っていなければ手術を急ぐ必要はありません。

ご自身のライフスタイルや希望を優先して決定します。

天気が悪いと痛むのはなぜですか?

気圧の変化が関節内の圧力に影響を与えるためと考えられています。

低気圧が近づくと、体内のヒスタミンという物質が増え、交感神経が刺激されて血管が収縮し、痛みを感じやすくなるとも言われています。

また、寒さによる血行不良も筋肉を硬くし、痛みを増強させる要因です。保温や軽いストレッチで血流を促すことが対策になります。

親が股関節症だと遺伝しますか?

股関節の形状、特に臼蓋形成不全という骨盤の受け皿が浅い特徴は、遺伝する傾向があります。

女性に多く見られるのも特徴です。ただし、必ず発症するわけではありません。

骨格的な特徴を受け継いでいても、体重管理や筋力トレーニングを行い、股関節への負担を減らす生活を送ることで、発症や進行を防ぐことは十分に可能です。

再生医療で軟骨は元に戻りますか?

現在の医療技術では、完全にすり減ってしまった軟骨を元の通りに再生させることは困難です。

しかし、PRP療法(多血小板血漿療法)や幹細胞治療などの再生医療は、炎症を抑えたり、痛みを緩和したりする効果が期待され、一部の医療機関で行われています。

これらは進行を遅らせるための選択肢の一つとして研究が進められていますが、変形が高度な場合には効果が限定的であることもあります。

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Author

北城 雅照

医療法人社団円徳 理事長
医師・医学博士、経営心理士

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