変形性股関節症でやってはいけないこと|悪化を防ぐ生活習慣
変形性股関節症と診断されたとき、多くの方が「何をしてはいけないのか」「どんな生活を送ればよいのか」と不安を感じるでしょう。実は、日常のなかに症状を悪化させてしまう行動が数多く潜んでいます。
この記事では、股関節に過度な負担をかける動作や生活習慣を具体的に取り上げ、痛みの進行を防ぐための工夫を医療ライターの視点から丁寧にお伝えします。正しい知識を身につけて、今日からできるセルフケアを一緒に始めてみませんか。
目次
変形性股関節症でやってはいけない動作を放置すると症状は確実に悪化する
変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減ることで痛みや動きにくさが生じる疾患です。日々の動作のなかに潜む「やってはいけないこと」を放置すれば、軟骨の摩耗はどんどん進み、歩行にも支障が出かねません。
初期の違和感を「年のせいだから」と片づけてしまう方は少なくありません。けれども、早い段階で誤った動作を見直すだけで、進行の速度をゆるやかにできる可能性があります。
股関節の軟骨がすり減る仕組みを知れば「やってはいけない」理由がわかる
股関節は、大腿骨(太ももの骨)の先端が骨盤のくぼみにはまり込んだ球関節です。関節面を覆う軟骨がクッションの役割を果たしていますが、加齢や過度な負荷で軟骨が薄くなると、骨同士が直接ぶつかるようになります。
こうした状態で無理な動作を繰り返すと、すり減りはさらに加速します。関節液の循環も悪くなり、炎症や痛みが慢性化しやすくなるでしょう。
「少しくらい大丈夫」が取り返しのつかない悪化を招く
痛みが軽いうちは、つい重い荷物を持ったり長時間歩いたりしてしまいがちです。しかし軟骨には神経が通っていないため、ダメージが蓄積しても自覚症状が出にくいという特徴があります。
「痛みがないから平気」と思い込んでいる間にも、軟骨の損傷は静かに進行しているかもしれません。痛みが強くなったときには、すでに相当な範囲で軟骨がすり減っていたというケースも珍しくないのです。
変形性股関節症の進行度と主な症状
| 進行度 | 関節の状態 | 感じやすい症状 |
|---|---|---|
| 前期 | 軟骨に変化なし(骨の形態異常あり) | 動き始めの違和感 |
| 初期 | 軟骨がわずかにすり減る | 歩き始めの鈍い痛み |
| 進行期 | 軟骨が明らかに薄くなる | 動作時の痛み・可動域制限 |
| 末期 | 軟骨がほぼ消失 | 安静時にも痛み・歩行困難 |
早期に気づいて行動を変えた人ほど長く自分の足で歩ける
変形性股関節症は完全に元どおりに治すことが難しい疾患ですが、進行を大幅に遅らせることは十分に可能です。生活習慣の見直しと適切な運動を組み合わせれば、痛みをコントロールしながら日常生活を送り続けられます。
大切なのは、違和感を覚えた段階で正しい情報を手に入れ、やってはいけない動作を一つずつ改善していくことです。小さな積み重ねが、5年後・10年後の歩行能力を大きく左右します。
自己判断で放置せず整形外科を早めに受診するべき理由
インターネットには股関節の痛みに関するさまざまな情報があふれていますが、正確な診断はレントゲンやMRIといった画像検査なしには下せません。自己判断で「まだ大丈夫」と思い込むことは、結果的に治療の選択肢を狭めてしまいます。
整形外科では、関節の状態を客観的に評価したうえで、どの程度の負荷なら許容できるかを具体的に指導してもらえます。迷ったら、まずは専門医に相談することを強くおすすめします。
股関節に過剰な負担をかける運動と動作は今すぐやめるべき
変形性股関節症の方が真っ先に見直すべきは、股関節に強い衝撃や過度なひねりを加える運動・動作です。よかれと思って続けていた運動が、実は症状を加速させていたというケースは決して珍しくありません。
ジョギングや登山など衝撃の大きい運動が軟骨を壊す
ジョギングでは着地のたびに体重の約3倍の力が股関節にかかるとされています。軟骨がすり減った状態でこうした衝撃を繰り返し受ければ、関節面の損傷が一気に進んでしまいます。
登山も同様です。下り坂では股関節への荷重が急激に増えるため、痛みがなくても軟骨への負担は非常に大きいといえるでしょう。代わりに水中ウォーキングや自転車こぎなど、関節に優しい有酸素運動を選ぶことが大切です。
あぐらや正座など床に座る姿勢が股関節を追い詰める
日本の生活様式では、あぐらや正座など床に直接座る場面が多くあります。しかし、あぐらは股関節を大きく外側に開く姿勢であり、関節の縁に強い圧力が集中します。
正座もまた、膝だけでなく股関節を深く曲げるため、軟骨がすり減っている方には大きな負担となるでしょう。椅子に座る生活へ切り替えるだけでも、股関節への日常的な負荷はかなり軽減できます。
重い物を持ち上げる・片足に体重をかけるクセも危険
買い物袋や段ボールなど、重い物を持ち上げる動作は股関節に大きな圧縮力を加えます。片足で立つ際には体重の2〜3倍の力が片方の股関節に集中するため、片足に体重をかけるクセがある方は特に注意が必要です。
できるだけ両手・両足に均等に体重を分散させることを意識しましょう。荷物はキャリーカートを活用するなど、道具の力を借りるのも賢い選択です。
ストレッチのやりすぎは逆効果になることがある
股関節の可動域を保つためにストレッチに取り組む方は多いですが、痛みを感じるほど強く引き伸ばすのは逆効果です。炎症がある状態で無理にストレッチを行うと、周囲の筋肉や靱帯を傷め、かえって関節が不安定になるおそれがあります。
痛みのない範囲で、ゆっくり呼吸をしながら行うのが鉄則です。どのストレッチが安全かは個人差が大きいため、理学療法士の指導を受けると安心でしょう。
股関節に負担が大きい動作と代替案
| 避けたい動作 | 負担が大きい理由 | おすすめの代替案 |
|---|---|---|
| ジョギング | 着地衝撃が体重の約3倍 | 水中ウォーキング |
| あぐら・正座 | 関節を過度に曲げる | 椅子に座る |
| 重い物の持ち上げ | 股関節に強い圧縮力 | カート・台車を利用 |
| 階段の駆け下り | 下り時に荷重増大 | 手すりを使いゆっくり降りる |
変形性股関節症の痛みを悪化させる生活習慣を徹底的に見直そう
運動や動作だけでなく、毎日の暮らし方そのものが変形性股関節症の進行に深く関わっています。食事、睡眠、体重管理など、一見すると股関節とは無関係に思える生活習慣が、症状を左右する大きな要因です。
体重が1kg増えるだけで股関節への負荷は約3kg増える
歩くとき、股関節には体重の3〜6倍もの力がかかるといわれています。つまり、体重が1kg増えるだけで、股関節にかかる負荷は歩行時に約3〜6kgも増えてしまう計算です。
肥満は変形性股関節症の進行を速める大きなリスク因子であり、減量によって痛みが改善したという報告も多数あります。厳しいダイエットではなく、毎日の食事から少しずつ見直すのが長続きのコツです。
栄養バランスの偏りが軟骨の修復を妨げる
軟骨の主成分であるコラーゲンを体内で合成するには、たんぱく質やビタミンCが欠かせません。加えて、カルシウムやビタミンDは骨を丈夫に保つ役割を担っています。
偏った食事を続けていると、これらの栄養素が不足し、軟骨や骨の新陳代謝が滞ってしまいます。バランスのよい食事は、関節を守るための土台ともいえるでしょう。
股関節の健康を支える栄養素
| 栄養素 | 主なはたらき | 多く含む食品 |
|---|---|---|
| たんぱく質 | 筋肉・軟骨の材料になる | 肉、魚、大豆製品 |
| ビタミンC | コラーゲン合成を助ける | 果物、ピーマン、ブロッコリー |
| カルシウム | 骨の強度を維持する | 乳製品、小魚、小松菜 |
| ビタミンD | カルシウムの吸収を促す | 鮭、きのこ類、卵黄 |
睡眠不足や過度なストレスが炎症を長引かせる
慢性的な睡眠不足は体内の炎症反応を高めることが研究で明らかになっています。股関節に炎症が起きている状態で十分な睡眠がとれなければ、痛みの回復が遅れてしまいます。
また、ストレスが続くとコルチゾールというホルモンが過剰に分泌され、筋肉の緊張や血行不良を招きやすくなります。心身のリラックスを意識することも、股関節を守るための立派なセルフケアです。
長時間同じ姿勢でいるデスクワークも股関節の敵
椅子に座ること自体は床に座るよりも股関節に優しい姿勢ですが、長時間同じ姿勢を続ければ話は別です。股関節まわりの筋肉が硬くなり、立ち上がったときに痛みを感じやすくなります。
30分〜1時間ごとに立ち上がり、軽く体を動かす習慣をつけましょう。タイマーをセットしておくと忘れにくく、こまめな休憩が自然と身につきます。
自宅でできる股関節を守るためのセルフケアと正しい運動法
変形性股関節症の進行を抑えるうえで、適度な運動とセルフケアの習慣は欠かせません。大切なのは「やりすぎない」こと。股関節に優しい方法を選び、毎日少しずつ続けていくのが効果的です。
水中ウォーキングと自転車こぎは股関節にとって優等生
水中では浮力によって体重の負荷が大幅に軽減されるため、股関節への衝撃を抑えながら全身を動かせます。プールで歩くだけでも筋力維持に役立ち、水の抵抗が適度なトレーニング効果をもたらしてくれます。
自転車こぎも股関節に体重がかかりにくい運動の一つです。エアロバイクを使えば天候に左右されず、自宅でも安全に取り組めるでしょう。
股関節まわりの筋力トレーニングが関節を支える鎧になる
股関節を安定させるためには、お尻の筋肉(中殿筋・大殿筋)や太もも前面の筋肉(大腿四頭筋)を鍛えることが重要です。筋肉がしっかり関節を支えることで、軟骨にかかる負担を分散できます。
仰向けに寝た状態で行うお尻上げ(ブリッジ)や、椅子に座ったまま太ももを持ち上げるトレーニングなど、関節に衝撃を与えない方法を選びましょう。回数は少なくてよいので、毎日の継続がカギです。
入浴で血行を促して関節のこわばりをやわらげる
38〜40度のぬるめのお湯にゆっくり浸かると、股関節まわりの血流が改善し、筋肉の緊張がほぐれます。痛みが強い日でも、温かいお湯で関節を温めるだけで楽になることは多いものです。
ただし、炎症が強く腫れや熱感がある場合は温めると逆効果になる可能性があるため、主治医に確認してから行うようにしてください。
杖やサポーターを上手に使えば外出がぐっと楽になる
杖を使うことに抵抗を感じる方もいますが、正しく使えば股関節への負荷を約20〜30%軽減できるといわれています。痛い側と反対の手で持つのが基本です。
股関節用サポーターも、関節の安定感を高めて歩行をサポートしてくれます。外出が億劫になると運動量が減り、筋力低下を招いてしまうため、道具の力を借りて積極的に体を動かしましょう。
自宅で取り組みやすいセルフケア一覧
| セルフケア | 期待できる効果 | 頻度の目安 |
|---|---|---|
| 水中ウォーキング | 筋力維持・全身の血行促進 | 週2〜3回 |
| 椅子でのもも上げ | 大腿四頭筋の強化 | 毎日10回×2セット |
| お尻上げ(ブリッジ) | 中殿筋・大殿筋の強化 | 毎日10回×2セット |
| ぬるめの入浴 | 血行促進・筋肉の弛緩 | 毎日15〜20分 |
変形性股関節症の進行を食い止めるために住環境を整えよう
股関節への負担は、自宅の環境を少し工夫するだけで大幅に減らせます。毎日過ごす場所だからこそ、住環境の見直しは長期的に大きな恩恵をもたらします。
和式トイレ・低い椅子・布団生活は股関節の大敵
しゃがむ動作は股関節を深く屈曲させるため、軟骨への圧力が急激に高まります。和式トイレをまだ使っている場合は、洋式への変更もしくは簡易的な便座の取り付けを検討してみてください。
低い椅子からの立ち上がりも同様に股関節に負担がかかります。座面の高さが膝より少し高い椅子を選ぶと、立ち座りの動作が楽になるでしょう。布団よりベッドのほうが、起き上がるときの関節への負荷を大幅に減らせます。
滑りにくい床材と手すりの設置で転倒リスクを減らす
変形性股関節症の方は、痛みによって足をかばう歩き方になりやすく、転倒のリスクが高まります。滑りやすいフローリングにはカーペットや滑り止めマットを敷くだけで安全性が大きく向上します。
浴室やトイレ、廊下に手すりを設置するのも効果的です。体重を手すりに預けることで、股関節にかかる力を分散できます。
股関節に優しい住環境づくりのポイント
- 和式トイレを洋式へ変更する
- 布団からベッドに切り替える
- 座面が高めの椅子を用意する
- 玄関・浴室・廊下に手すりをつける
- 床に物を置かず動線を広く確保する
玄関の段差対策で毎日の外出が怖くなくなる
日本の住宅では、玄関に大きな段差があることが珍しくありません。靴の脱ぎ履きの際にバランスを崩して転んでしまう事故は意外と多いものです。
踏み台を置いて段差を分割したり、玄関にベンチを設置して座ったまま靴を履けるようにすると、安全性が格段に上がります。ちょっとした工夫で「外出が億劫」という気持ちもやわらぐでしょう。
福祉用具のレンタル制度を活用すれば費用を抑えられる
手すりの設置や歩行補助具の購入には費用がかかりますが、介護保険を利用すれば福祉用具のレンタルや住宅改修費の補助を受けられる場合があります。対象かどうかは年齢や要介護度によって異なるため、お住まいの地域の地域包括支援センターに相談してみてください。
経済的な負担を減らしながら住環境を整えられれば、長く自宅で安心して生活を続けられます。
病院で受けられる変形性股関節症の保存療法を正しく活用しよう
日常生活の工夫に加えて、医療機関で行う保存療法を適切に取り入れることで、痛みのコントロールはさらに安定します。手術を受けない段階でも、専門家のサポートを積極的に活用してほしいところです。
薬物療法は痛みを抑えるだけでなく炎症を鎮める手段でもある
整形外科では、消炎鎮痛薬(NSAIDs)や外用薬(湿布・塗り薬)を用いて痛みと炎症を同時に緩和する治療が広く行われています。医師の指示どおりに服用・使用すれば、日常生活の質を維持しやすくなるでしょう。
痛みが和らぐと、つい薬を自己判断でやめてしまう方がいますが、炎症のコントロールが中途半端になると症状がぶり返すことがあります。服薬の調整は必ず主治医と相談してください。
理学療法士によるリハビリが股関節を守る筋力を育てる
病院やクリニックで受けられるリハビリテーションでは、理学療法士が一人ひとりの関節の状態に合わせた運動メニューを組み立ててくれます。自己流の運動とは異なり、安全な負荷量や正しいフォームを指導してもらえるため、効果が出やすいのが特長です。
自宅でのセルフケアと組み合わせることで、通院しない日も筋力を維持でき、長期的な症状管理につながります。
ヒアルロン酸注射の効果と限界を知ったうえで受けよう
ヒアルロン酸注射は、関節の潤滑性を高めて痛みをやわらげる治療法です。膝関節では広く使われていますが、股関節にも適用されるケースがあります。
ただし、効果の持続期間には個人差があり、根本的に軟骨を再生させるものではないという点は押さえておきましょう。医師と相談しながら、ほかの治療法と組み合わせて活用するのが現実的です。
手術が必要と言われたら慌てずにセカンドオピニオンを
保存療法では症状が改善しない場合、人工股関節置換術などの手術が提案されることがあります。手術と聞くと不安に感じるかもしれませんが、手術のタイミングは非常に重要で、早すぎても遅すぎてもよい結果にはつながりにくいといわれています。
一つの病院の判断だけで決めるのではなく、セカンドオピニオンを求めて複数の専門医の見解を聞くと、自分に合った選択をしやすくなります。焦らず、納得のいくまで情報を集めてから判断しても遅くはないでしょう。
保存療法の種類と特徴
| 治療法 | 主な目的 | 通院頻度の目安 |
|---|---|---|
| 薬物療法 | 痛み・炎症の緩和 | 月1〜2回(処方に応じて) |
| リハビリ | 筋力強化・可動域維持 | 週1〜2回 |
| ヒアルロン酸注射 | 関節の潤滑性向上 | 月1回程度 |
| 装具療法 | 関節の安定・歩行補助 | 必要に応じて調整 |
二度と悪化させたくない!変形性股関節症と上手に付き合う毎日の心がけ
変形性股関節症は、一朝一夕に治る疾患ではありません。だからこそ、日々の小さな心がけの積み重ねが、長い目で見たときに大きな差を生みます。焦らず、できることからコツコツと取り組んでいきましょう。
痛みの日記をつけると悪化パターンが見えてくる
毎日の痛みの強さ、どんな動作で痛みが出たか、天候や体調などを簡単にメモしておくだけで、自分特有の悪化パターンに気づきやすくなります。主治医にも共有すれば、治療方針の調整にも役立ちます。
スマートフォンのメモアプリや手帳など、続けやすい方法で構いません。記録を続けるうちに「この動作のあとは痛みが増す」といった傾向がつかめるようになるでしょう。
痛み日記に記録したい項目
- 日付と天候
- 痛みの強さ(10段階など自分なりの指標)
- 痛みが出た場面や動作
- その日の運動内容と時間
- 服薬の有無と効果の実感
完璧を目指さず「7割できたら合格」のスタンスが長続きの秘訣
生活習慣を一気に変えようとすると、ストレスが溜まり長続きしません。今日は歩きすぎてしまったとしても、明日気をつければ問題ないのです。大切なのは「完璧に守ること」ではなく「意識を向け続けること」です。
週に5日できれば十分。自分を責めず、少しずつ改善を積み上げていく姿勢が、結果的に股関節を守ることにつながります。
家族や周囲のサポートを遠慮なく頼ることも大切な治療
重い荷物を運ぶ、高い場所の物を取るといった動作は、家族に手伝ってもらうだけで股関節への負荷がゼロになります。遠慮せずに「手伝ってほしい」と伝えることも、立派な自己管理の一つです。
周囲の理解を得るためには、自分の病状やどんな動作がつらいのかを具体的に説明することが効果的です。相手も何を手伝えばよいかわかれば、気持ちよくサポートしてくれるでしょう。
よくある質問
変形性股関節症で避けるべき運動にはどんなものがある?
変形性股関節症では、股関節に強い衝撃が加わるジョギング、ランニング、登山、跳躍を伴うスポーツなどは避けたほうがよいとされています。加えて、あぐらや正座のように関節を深く曲げたり大きく開いたりする姿勢も、軟骨への圧力が高まるため控えるのが望ましいでしょう。
代わりに、水中ウォーキングやエアロバイク、ゆるやかなヨガなど、関節にかかる衝撃が小さい運動を選ぶと、筋力を維持しながら症状の悪化を防ぎやすくなります。どの運動が自分に合っているかは主治医や理学療法士に相談して決めてください。
変形性股関節症は体重管理でどのくらい改善が期待できる?
体重が1kg減ると、歩行時に股関節にかかる負荷は約3〜6kg軽くなるとされています。肥満がある方が適正体重まで減量した場合、痛みの軽減や関節機能の改善を実感できるケースは少なくありません。
無理な食事制限ではなく、バランスのよい食事と適度な有酸素運動を組み合わせた減量がおすすめです。急激な体重減少は筋力低下を招くおそれがあるため、月に0.5〜1kg程度のペースを目安に取り組むとよいでしょう。
変形性股関節症で杖を使うときの正しい持ち方とは?
杖は、痛みがある側と反対の手で持つのが正しい使い方です。たとえば右の股関節が痛む場合は、左手で杖をつきます。反対側の手で持つことで体重が杖に分散され、患側の股関節にかかる負担を20〜30%ほど軽減できるとされています。
杖の長さは、まっすぐ立ったときに手首の高さにグリップが来る程度が目安です。長さが合わない杖を使うとかえって姿勢が崩れてしまうため、購入時にはリハビリの専門家に確認してもらうと安心でしょう。
変形性股関節症の痛みが強い日に自宅でできる対処法は?
痛みが強い日は、まず安静を優先しつつ、患部を温めるか冷やすかを状態に応じて判断してください。急に痛みが増し腫れや熱感がある場合は冷却、慢性的なこわばりや鈍い痛みの場合は温めるのが一般的な目安です。
処方されている鎮痛薬がある場合は、医師の指示どおりに服用しましょう。横になる場合は、膝の間にクッションや枕を挟むと股関節の負担がやわらぎます。翌日以降も痛みが改善しない場合は、早めに主治医に相談することをおすすめします。
変形性股関節症は完治しない病気なの?
変形性股関節症は、一度すり減った軟骨を元どおりに再生させることが現在の医学では難しい疾患です。そのため「完治」という言葉を使うのは正確ではないかもしれません。しかし、適切な治療と生活習慣の見直しを続ければ、痛みをコントロールしながら日常生活を十分に送ることができます。
保存療法で症状を管理できている方も多く、必ずしも手術が必要になるとは限りません。進行を遅らせるための取り組みを早い段階から始めることが、自分の足で長く歩き続ける大きな力になります。
参考文献
METCALFE, David, et al. Does this patient have hip osteoarthritis? The rational clinical examination systematic review. Jama, 2019, 322.23: 2323-2333.
KATZ, Jeffrey N.; ARANT, Kaetlyn R.; LOESER, Richard F. Diagnosis and treatment of hip and knee osteoarthritis: a review. Jama, 2021, 325.6: 568-579.
MARCH, Lynette M., et al. Clinical validation of self-reported osteoarthritis. Osteoarthritis and cartilage, 1998, 6.2: 87-93.
RUNHAAR, Jos, et al. Diagnostic criteria for early hip osteoarthritis: first steps, based on the CHECK study. Rheumatology, 2021, 60.11: 5158-5164.
KIM, Chan, et al. Association of hip pain with radiographic evidence of hip osteoarthritis: diagnostic test study. Bmj, 2015, 351.
ALTMAN, R. D. Criteria for the classification of osteoarthritis of the knee and hip. Scandinavian Journal of Rheumatology, 1987, 16.sup65: 31-39.
CIBULKA, Michael T.; THRELKELD, Julie. The early clinical diagnosis of osteoarthritis of the hip. Journal of orthopaedic & sports physical therapy, 2004, 34.8: 461-467.
CALDERS, Patrick; VAN GINCKEL, Ans. Presence of comorbidities and prognosis of clinical symptoms in knee and/or hip osteoarthritis: a systematic review and meta-analysis. In: Seminars in arthritis and rheumatism. WB Saunders, 2018. p. 805-813.
JUHAKOSKI, Riikka, et al. Factors affecting self-reported pain and physical function in patients with hip osteoarthritis. Archives of physical medicine and rehabilitation, 2008, 89.6: 1066-1073.
ABHISHEK, A.; DOHERTY, Michael. Diagnosis and clinical presentation of osteoarthritis. Rheumatic Disease Clinics, 2013, 39.1: 45-66.
Symptoms 症状から探す