足立慶友医療コラム

運動しても栄養不足?リハビリテーション栄養について

2020.04.04

今回は、「リハビリテーション栄養」についてのお話です。

近年では、アミノ酸やたんぱく質の摂取し運動することによって筋肉量が増え、運動効果が高まる可能性が示されています。

そこで、筋肉をつけるために必要な栄養素を説明していきたいと思います。

今回の10秒まとめ

①リハ栄養とは、障害者や高齢者の機能を最大限発揮できるような栄養管理を行うこと。

②リハビリ中の低栄養には、色々なリスクがあること。

③筋肉をつけるには、タンパク質・分岐鎖アミノ酸(ロイシンなど)が必要。

④加えてビタミンDを摂取すること。

⑤栄養の過剰摂取・摂取不足には注意すること。

リハビリテーション栄養とは?

リハ栄養とは、障害者や高齢者の栄養状態を考慮した上で、その方の持つ身体機能を最大限発揮できるような栄養管理を行うことです。リハ栄養は、スポーツ栄養のリハビリテーション版と考えると理解しやすいでしょう。

低栄養やサルコペニア(筋肉量が減少して筋力低下や、身体機能低下をきたした状態)の方はリハビリテーション対象者の約50%に認められ、これらの方々のリハビリテーションの効率をよくするためにも、リハ栄養は注目を集めております。

低栄養やサルコペニアを認める方は、そうでない方と比較して、機能の回復、生活の質、再入院率、死亡率が高くなるとされています。

筋肉づくりに効果的な栄養素

タンパク質

三大栄養素(炭水化物・脂質・タンパク質)の一つであり、筋肉量を維持するためには細胞内でのタンパク質合成が必須となります。1日に必要な蛋白質量は、男性で60~65g/日、女性で50g/日に設定されています(強く推奨されている)。

栄養・食事でサルコペニアの発症を予防するためには、適性体重1kgあたり1.0g以上のたんぱく質摂取が有効である可能性が言われています。(強く推奨されている)

筋肉量の減少や筋力低下に対する栄養効果は明らかであり、運動との併用効果についても多く報告されています。タンパク質を手っ取り早く補ってくれるのが、プロテインになります。最近では、コンビニなどでも売られており10~15g程度入っている商品が多い印象です。

BCAA(Branched chain amino acids)

聞きなれないかもしれませんが、筋トレ好きな方は聞いたことがあるかもしれませんね。

タンパク質の合成には原料となるアミノ酸が必須であり、体内で合成されない9種類の必須アミノ酸のうち、バリン、ロイシン、イソロイシンの3つの分岐鎖アミノ酸(Branched chain amino acids:BCAA)がタンパク質の合成のためには重要とされています。そしてこのBCAAは、体内では合成されないので口から摂取することが重要となってきます。

BCAAは、筋肉を構成している必須アミノ酸の約30~40%であり、筋タンパク合成を早め、また分解を抑えます、加えて活動時のエネルギー源にもなる筋肉を維持する役割を持ちます。よって必須アミノ酸を意識することが重要と言われいます。

ロイシンは卵や数の子、マグロや鶏肉などに多く入っていますので心がけてみてください。

ビタミンD

ビタミンDの大きな役割は、腸管からカルシウム・リンの吸収を促進することです。

加齢に伴って減少する血中ビタミンD濃度が高齢者の筋力や歩行速度と関係があると示唆されています。

ビタミンD欠乏症患者にビタミンDを10~20ug/日を摂取すると筋力や身体機能が向上させ、転倒や骨折のリスクを軽減させる報告されています。

ビタミンDの特徴としては、日光(紫外線)に当たることで皮膚で生産といわれております。

食品としては魚類(しらす、鮭、かつおなど)に多く入っていますので、取り入れてみてください。

栄養の過剰摂取の注意点

タンパク質

タンパク質は適性体重1kgあたり1~2gが適切とされていますが、それ以上の過剰摂取には注意が必要です。

タンパク質の過剰摂取は肝臓・腎臓に臓器に深刻なダメージを与える可能性があります。

肝臓は体にとって有害なアンモニアを尿素に変えています。しかし、大量のタンパク質摂取の結果として発生する大量のアンモニアを処理しきれなくなると、肝臓が疲弊しその働きが弱まってしまいます。

これによって影響を受けるのが、腎臓です。腎臓は、体に不要な物質を尿として排出しています。

肝臓がアンモニアを処理できなくなると、腎臓でも尿素に変えるように働くようになり腎機能は低下します。

肝臓や腎臓の状態が悪くなると、疲労感や血液検査で異常値が出る可能性があります。

腎機能低下を指摘されている方は、タンパク質の摂取量についてかかりつけの医師や管理栄養士にご相談ください。

ビタミンD

1日の耐容上限量(過剰摂取による健康障害を未然に防ぐ量)は、成人であると100ug/日とされています。

高カルシウム血症が起こり、血管壁や腎障害、心臓・肺などに多量のカルシウムが沈着します。そのため腎機能障害や食欲不振、嘔吐、神経の興奮性の亢進などの症状が現れます。

 

どんな栄養も過剰摂取・摂取不足には気をつけて、運動の効果を高めていきましょう。

栄養管理や食生活でお悩みの方は、当院の管理栄養士にをご相談ください。

当院のご紹介

各部門の専門家が集まった専門外来を設置

当院は、一般的な関節の痛みや筋肉の痛みを診る整形外科の他に、「脊椎(首・腰)」、「肩関節」、「股関節」、「膝関節」、「手」、「足」とそれぞれの専門家が集まった専門外来を用意しております。

他院で診断がつかない症状に関して、各領域の専門家が診察をいたします。

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国家資格を有するセラピスト達が、責任を持って治療を行います。

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当院では交通事故診療に強い整形外科専門医が治療を行います。ぜひ一度ご相談ください。

交通事故にあわれた方へ

当院は、整形外科専門医が交通事故治療を行う医療機関です。

Author

竹内 雄登

理学療法士・ピラティスインストラクター・住環境福祉コーディネーター

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