足立慶友医療コラム

肩関節周囲炎の検査・診断と治療について(五十肩・四十肩)

2020.08.24

今回は肩関節周囲炎の検査・診断と治療について詳しく説明していきたいと思います。肩関節周囲炎の概要については以下のコラムをご参照下さい。

「肩関節周囲炎について」

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今回の10秒まとめ

①肩関節周囲炎の診断は他の疾患を除外して行われる。

②肩関節周囲炎の検査は、レントゲン検査・CT検査・MRI検査・超音波検査の4種類を行う可能性がある。

③肩関節周囲炎の治療は、保存的治療を第一選択とし、やむを得ない場合に手術を行う。

肩関節周囲炎の診断

 肩関節周囲炎、いわゆる五十肩・四十肩は、男女を問わず4050代に好発する、肩関節周辺の痛みと可動域制限を認める疾患で、明らかな原因は未だに解明されていません。定義上、6か月から2年以内に自然治癒する疾患とされています。原因が明らかではないので、その他の疾患を検査で除外していき最終的に肩関節周囲炎と診断されます。

肩関節周囲炎と鑑別すべき疾患は以下の通り数多くあります。

【鑑別疾患】

肩峰下滑液炎/腱板炎/上腕二頭筋長頭炎/石灰化腱炎/肩関節炎/腱板断裂/肩峰下インピンジメント症候群/変形性肩関節症/肩鎖関節変形性関節症/リウマチ/肩手症候群/骨折・脱臼/頚椎症/肺に腫瘍/心筋梗塞

 

肩関節周囲炎の画像検査

先ほども述べたように画像検査では肩関節周囲炎ではない病気を見つけることが大切です。その為に画像検査として行う可能性があるのは、以下の4つです。

レントゲン検査

CT検査

MRI検査

超音波検査

 

〇レントゲン検査・CT検査

 ➡骨折などの骨の状態を検査します。肩関節周囲炎では異常がないのが特徴です。

〇MRI検査

 ➡靭帯や筋肉などの軟部組織に損傷がないかを判断するために行います。

〇超音波検査

 ➡空間的限定はありますが軟部組織の描出に優れ、動的評価、また炎症の経過などの時間的評価も可能です。

肩関節周囲炎の治療

治療法は保存療法と手術療法に分かれます。 保存的治療を第一選択とし、やむを得ない場合に手術を行います。

 

【保存療法】

1)薬物療法  2)関節内注射  3)リハビリテーション

【手術療法】

1)麻酔下徒手的授動術(サイレントマニュピュレーション) 2)鏡視下手術

 

保存療法

1)薬物療法

薬物療法では痛み止めの飲み薬や貼り薬が処方されます。一般的にはNSAIDs(:エヌセイズ)という非ステロイド性抗炎症薬を使用します。(商品名:ロキソニン・セレコックス)

〇NSAIDsの作用機序

体内では炎症や痛みなどを引き起こすプロスタグランジン(PG)という物質があり、シクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素などにより生成されます。NSAIDsCOXを阻害しPG生成を抑えることで、炎症や痛みなどを抑える作用があります。

COXには2つ種類があります。

 COX1:胃粘膜保護や血小板凝集・胃血流量増加などに関与。

 COX2:炎症細胞に作用し炎症を引き起こす。

 

NSAIDsはこのCOX1・COX2双方の働きを阻害するため、胃粘膜保護などに関わるCOX1の抑制により消化性潰瘍(症状:腹部痛・吐気・食欲不振など)などの副作用が起きる可能性があります。

 近年では、COXのうち痛みや炎症、発熱などに深く関わるCOX2をより選択的に阻害する薬(セレコキシブ〔商品名:セレコックス〕など)が開発されています。この薬は「COX2選択的阻害薬」とも呼ばれ、胃粘膜保護などに関わるCOX1に対する作用が少なく、副作用がロキソニンに比べて少ないメリットがあります。

2)関節内注射

薬物療法で効果が不十分な場合や痛みが強い場合には関節注射を行うことがあります。関節内注射に用いられる事のある薬は3種類です。

 

①ヒアルロン酸注射

加齢などによって減少するヒアルロン酸を直接関節内に注射します。関節でのヒアルロン酸の産生能を高めたり、痛みや炎症を抑えてる効果が期待できます。 

②キシロカイン注射

キシロカインとは痛み止めの薬剤で麻酔薬の一種です。炎症を抑える効果のあるステロイドに混ぜて使用することが多いです。この場合は炎症による痛みも抑えることもできます。

③ステロイド注射

ステロイド剤は炎症を抑える効果があるので、急性期の激しい痛みに効果的です。ステロイドとは副腎皮質ホルモンの一種で、細胞膜を通過して細胞の持つ免疫作用を調整します。その結果、腫れや痛みを抑えることができます。先にも述べましたが、痛み止めのキシロカインと混ぜて使用することがあります。

肩関節へのステロイド注射は、短期的に肩関節の炎症や痛み、早期の可動域獲得に重要な治療と言われています。一方でステロイド注射には副作用もあるため、ヒアルロン酸注射やNSAIDsとの併用が比較的汎用性があり一般介入として有効とされています。

【ステロイド注射の副作用】

・吐気や胃痛

・長期的に使用すると肝臓や腎臓への障害が発生

・肩関節の軟骨や腱組織の脆弱性の増加

〇ハイドロリリース(hydrorelease)

上記の治療以外に近年注目されている、ハイドロリリースという治療方法があります。ハイドロリリースは、生理食塩水や局所麻酔薬などを用いて癒着している結合組織を剥がす治療法です。結合組織間に生理食塩水・局所麻酔薬を注入することで、痛みや可動域の改善効果があることがわかっています。

 

3)リハビリテーション

肩関節周囲炎の時期に応じて肩の痛みをやわらげる動作指導や肩の働きを改善するプログラムを行います。徒手療法、運動療法、物理療法、生活指導などがあります。

 

手術療法

消炎鎮痛剤の内服や注射などによる保存的治療により症状が改善しない場合には手術的に治療を検討します。手術の目的は、硬くなった関節包をはがすことと切離することです。

1)麻酔下徒手的授動術(サイレントマニュピュレーション)

麻酔により眠った後に医師が肩関節に力を加えて動かします。この操作により硬くなった関節包が伸び、切離されることにより肩関節の動きが良くなります。

2)鏡視下手術

関節鏡を用いながら関節包を切離します。直径4mmほどで小さい皮膚切開にて手術を行います。一般的に徒手的授動術と関節鏡が併用されます。

 

 

今回紹介させて頂いた内容は一般的なものであって、検査や治療の選択に関しては、各患者様の病期や合併症の有無などにより変わります。

当院には、肩関節専門医がおります。充分にお話を聞き診察を行った上で最も最適な治療をお勧めさせて頂きます。

肩の痛みでお困りの方は、ぜひご相談下さい。

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各部門の専門家が集まった専門外来を設置

当院は、一般的な関節の痛みや筋肉の痛みを診る整形外科の他に、「脊椎(首・腰)」、「肩関節」、「股関節」、「膝関節」、「手」、「足」とそれぞれの専門家が集まった専門外来を用意しております。

他院で診断がつかない症状に関して、各領域の専門家が診察をいたします。

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不幸にも交通事故に遭われた患者様の多くは、「事故のことは保険屋さんに聞けば良いが、体の不調をどこに相談すれば良いのかわからない」という悩みを抱えていらっしゃいます。

当院では交通事故診療に強い整形外科専門医が治療を行います。ぜひ一度ご相談ください。

交通事故にあわれた方へ

当院は、整形外科専門医が交通事故治療を行う医療機関です。

 

 

Author

田中哲志

理学療法士 認定理学療法士(運動器・脳卒中・地域理学療法) CSCS

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