今回は、腱板断裂で手術をしてから日常生活や仕事、スポーツに復帰するまでの流れをお伝えできればと思います。
目次
今回の10秒まとめ
・再断裂予防のためにはリハビリが重要である。
・手術後は時期に応じてできることを増やしていく。
・入院中は日常生活指導、手術後の機能改善を中心に行なっていく。
・退院後のリハビリは数ヶ月継続して行なっていく必要がある。
腱板断裂について
腱板断裂については下記の記事で原因・診断・治療について詳しく記載しております。
肩関節の痛みでお悩みの方は、下記の記事を参考にしてください。
腱板断裂とは 原因・診断・治療について
今回は、この腱板断裂の手術加療後のリハビリテーションについて解説いたします。
手術後のリハビリの重要性について
手術後のリハビリの目的は、腱板の機能を再び獲得させることです。
そのためには修復した腱板が再び切れてしまう「再断裂」を防がなければいけません。
腱板断裂の原因は様々ですが、加齢によって筋肉の腱が脆くなってしまう状態で、間違った使い方や使いすぎにより起きてしまいます。
間違った使い方などが修正されない状態では、再断裂ということにもなりかねません。
そのため、リハビリでは可動域を取り戻したり筋力を強化したりするだけではなく、断裂してしまった原因に対してもアプローチしていきます。
手術後の日常生活や仕事に復帰するまでの流れ
術後~4・5週間 装具を装着しての生活
装具を装着し続けることで起こる弊害もあるため、
段階的に装具を外していきます。
5週間~ 徐々に日常生活動作を行なっていく
8週間~ 手を挙げて頭を洗う、後ろに手を回すなど可能に
12週間~ 軽作業の許可(洗濯物を干す、調理、掃除機の利用、窓拭き)
半年以降 重労働の許可(重いものを持つ、運ぶ)
10ヶ月 (スポーツをする方の場合)競技復帰の許可
痛みの程度や腱板の状態、手術した部位によっても多少時期は前後します。
医師に確認をとりながら、段階的にリハビリを進めていきます。
入院中の過ごし方とリハビリについて(手術翌日から2~4週間)
入院中の過ごし方
手術の翌日から痛みにあわせてリハビリを開始していきます。
リハビリは午前、午後に1回ずつ40分程行います。
それ以外の時間も、自主トレーニングを行うことを推奨しています。
最短で3泊4日、平均は2週間程で退院となります。長期入院(2~4週間)も場合によっては可能です。
リハビリの内容
●装具着脱の練習と確認
●日常生活動作指導
●肩関節の運動(負荷を考慮して)
●肩関節以外の関節の運動・全身運動
●自主トレーニング
手術後は、手術の影響や装具を装着することで一時的に機能も落ちてしまいます。
そのため、早い段階で肩に負担をかけずに行える運動をすることが大切になります。
下の写真は手術後に使用する装具になります。
退院時は装具の着脱が1人でもできるかを確認します。
退院後のリハビリについて
退院後は日常生活への復帰・自立、復職等に向けてリハビリを進めていきます。
リハビリの頻度は週に2回ほどを推奨しています。
リハビリの内容
●肩関節の筋力・可動域の向上
●肩以外の関節(手や肘,肩甲骨)と連動させたエクササイズ
●自主トレーニング(強度も時期に応じて上げていく)
●日常生活動作指導
退院後の時期から、装具を段階的に外すことになります。
そのため、固定していた腕・肩が動かせるようになってきます。
しかし、術後6~12週は再断裂のリスクが高くなる時期でもあるため注意が必要です。
リハビリが順調に進んだ場合、約12週(3ヶ月)で肩関節の可動域がおおよそ回復してきます。
日常生活の動作や、肩に負担のかからない動作を獲得するためには、手や肘・肩甲骨などと連動させたエクササイズが重要になります。
また、手術前から筋力低下がある場合や、術後早期は肩に力が入りにくい状態となるため、筋力強化のためのエクササイズも実施していきます。
まとめ
腱板断裂の手術後はリハビリが必要になります。
手術後の肩関節の筋力や可動域の回復には個人差があり、日常生活への復帰や復職に関しては、医師や理学療法士と相談しながら進めていくことになります。
手術後の流れがイメージしにくい方は、この記事を参考にしてみてください。
肩関節の痛みや可動域制限を認める場合、肩腱板損傷を疑う必要があります。
ご心配な方は、当院まで一度ご相談ください。
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