バスケットボールは、攻撃と守備を繰り返しながら得点を競うトランジションスポーツです。
つまり、切り返し動作・ストップ動作・着地・ターン・トップスピードからの急速な減速動作が必要とされる競技です。
そのため、膝前十字靭帯などの下肢急性外傷が発生しやすい特徴があります。
今回は、膝前十字靭帯損傷に繋がるジャンプ動作の着目点や修正方法についてお話をいたします。
目次
今回の10秒まとめ。
① 膝前十字靭帯は、膝関節の過剰な動きを制限する役割である。
② ジャンプからの着地動作は、ACL損傷が発生しやすい動作の一つである。
③ ACL損傷しやすい不良なジャンプ着地動作の原因は、体幹・下肢筋力・柔軟性が関わる。
④ 練習方法としては、サイドリーチやランジ動作で体幹・股関節機能を再獲得する必要がある。
⑤ 前十字靭帯損傷後の治療方針としては、保存療法と手術療法の2つがある。
膝前十字靭帯の役割とは?
前十字靭帯は、上の図の様に膝の上下の骨を繋いでいます。
この靭帯は、下の骨(脛骨)の前方への移動・捻る(内旋)・伸びきる(過伸展)動きを制限する役割を持っています。
スポーツ中の方向転換・ジャンプからの着地・ダッシュからの減速や停止など、膝関節へ過度なストレスが加わるとACLの断裂が生じます。膝関節の激痛とACLの断裂音を感じる事が多いです。
膝前十字靭帯の損傷に関しては、以下の記事をご覧ください。
前十字靭帯を損傷したら手術は必要ですか?
バスケットボールでACL損傷しやすい場面は?
発症場面
①片足ジャンプからの着地時
②切り返し動作時
③踵からの着地し膝を捻る
①ジャンプ着地動作
シュートやリバウンドなどでよく行われる動作ですが、ACL損傷が発生しやすい動作の一つです。特に中高生を中心とした若年女性に損傷率が高くなります。
②切り返し動作
ボールをもらうためにディフェンスを振り切ったり、ディフェンス時に相手の動きに反応するとい予測できない姿勢をコントロールする能力が必要です。切り返し動作で片足へ体重をかけた時に足部や体幹が外側に傾きすぎると膝へのストレスが増大します。
③踵からの着地
踵から着地し膝を捻ることでも損傷するリスクが高まるとされています。
ACL損傷しやすい着地動作と身体的原因
ACL損傷しやすい不良なジャンプ着地動作
身体機能の原因
①体幹が弱く着地側へ傾く
②下半身(大腿部や殿筋など)で衝撃吸収ができず、膝が内側に入りやすい
③足首が固い・股関節が外に開かず内股になりやすいなど、柔軟性の低下
着地動作改善する練習方法
練習方法としては、着地動作を反復しても良いですが体幹や殿筋群の筋力低下が起きている場合は、以下のような練習方法もあります。
サイドリーチ
メディシンボールを把持したランジ
サイドリーチやランジ動作で体幹・股関節機能を再獲得していきます。
特に上記のランジ動作時に膝が内側に入らないように意識して、殿筋群に負荷をかけましょう。
もし受傷してしまったら?ACL断裂後の手術に関して
前十字靭帯損傷後の治療方針としては、保存療法と手術療法の2つがあります。
入院期間やスポーツ復帰までのリハビリを考えると手術は避けたいと思う方も多いのではないでしょうか?
ACLの手術は、膝の腱や太ももの腱を用いることによって靭帯を再建する手術になります。
この再建術により膝関節の不安定性が改善します。
ACL再建術後は、スポーツ復帰についても比較的良好な成績が示されています。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
前十字靭帯を損傷したら手術は必要ですか?
まとめ
今回は、バスケットボールとACLについてまとめました。もしACL損傷をしてしまうとスポーツ復帰の目安は8~9ヶ月程かかると言われています。普段の練習を意識して行う事でACL損傷を防ぐことも重要です。
特に指導者やトレーナーさんに抑えて頂きたい知識になるので、参考にして頂ける幸いです。
また当院には、膝関節専門医がおります。
充分にお話を聞き診察を行った上で最も最適な治療をお勧めさせて頂きます。
膝関節に関する事でお困りの方は、ぜひご相談下さい。
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