本記事は、2022.6.29に足立慶友整形外科で行われた地域勉強会の内容を記事したものです。
その④についてもぜひご覧ください。
目次
再生医療 変形性膝関節症に対する新しい治療法
- PRP療法
- ASC療法
PRP療法
PRP(Plate Rich Plasma)療法とは、ご自身の血液を取り出し、それを遠心分離にかけると毛細胞成分、血小板を多く含む血漿(= Plate Rich Plasma)、細胞成分の乏しい血漿、の3層に大きく分離し、この血小板を多く含む血漿を取り出して関節内に投与する方法です。
このPlate Rich Plasmaには、傷んでしまった軟骨を再生するのに必要な成分が多く含まれており、これを関節内に投与することで、自己再生力を高め、通常では修復しない軟骨を再施する方法です。
当院でもこれまで多くの患者様にこのPRP療法を行なってまいりました。
このうち、104例122膝の患者様に対して行なったPRP療法をまとめました。
治療を行なった患者様をその病期に分類し、それぞれの治療効果について解析を行なったところ、KL2という変形初期の患者様の88%に症状の改善を認めました。
逆に、KL4という変形の強い患者様では50%の方しか症状の改善を認めませんでした。
よって、当院では変形初期の患者様に対して積極的に同治療を進めています。
また、変形の強い患者様であっても、体調によっては手術を行えない患者様もいらっしゃるため、そのような状況ではこの治療法をお薦めする場合もございます。
ASC療法
この治療法はご自身の脂肪を採取し、そこから幹細胞と呼ばれる様々な組織や細胞に分化・成長することができる細胞を取り出し、培養・増殖させ、ご自身の膝関節に投与する治療法です。
当院では2021年の10月よりASC(Adipose derived cultured Stem Cell : 脂肪組織由来間葉系幹細胞)治療を開始しました。
自検例は8症例11膝とまだまだ症例は少ないのですが、現状では施行された患者様に幸いにもご満足いただける結果となっています。
再生医療の長所と短所
再生医療の長所には、
- これまで再生が困難と考えられていた組織の治療が望めること
- 自分自身の細胞や組織を使用するためアレルギー反応などが起こらず非常に安全であること
の2点が挙げられます。
しかし短所として、
- 新しい治療であるため、治療効果やその持続時間などがまだわかっていないこと
- 保険適応でないため、治療費が高額になってしまうこと
の2点が挙げられます。
患者様それぞれの事情に応じて、保存療法・手術療法・再生治療、の選択が必要になります。
ご自身では自分にとって何が最も良い治療なのか判断することはなかなかできません。
当院には膝の治療を専門的に行なっている医師が3人おります。
膝の痛みでお悩みの際は、ぜひ一度当院にご相談ください。