足関節後方インピンジメント症候群について

 ジャンプやボールを蹴るといったスポーツ動作や、爪先立ちをすると足首の後ろが痛む・・・

バレエダンサーやサッカー選手に多い足関節後方インピンジメント症候群についてお伝えしていきます。

今回は、足関節後方インピンジメント症候群の特徴や原因について解説していきます。

10秒まとめ

① 足関節後方インピンジメント症候群とは、つま先を伸ばすときに足首の後ろやアキレス腱の周りに痛みが出る病態の総称である。

② バレエやサッカーの他にも水泳など、足首を繰り返し曲げ伸ばしする競技で発生しやすい。

③ 主な症状として、つま先を伸ばした時に足首の後ろやアキレス腱や踵付近に出現する痛みや、つま先を伸ばす動きの制限などがある。

④ 足関節後方インピンジメント症候群で痛みが生じる代表的な要因の一つとして、足首の後ろに存在する過剰な骨が影響する、三角骨障害（さんかくこつしょうがい）がある。これは、つま先を伸ばす動きで三角骨がすねと踵の骨の間に挟み込まれることで生じるものである。

足関節後方インピンジメント症候群とは?

つま先を伸ばすときに、足首やアキレス腱周囲に痛みが出る病態を総称して足関節後方インピンジメント症候群と呼びます。バレエやサッカー・水泳など、足首の曲げ伸ばしを繰り返す競技で多く発生すると言われています。

足首の後ろに痛みが出現する原因はいくつかありますが、代表的なものは足関節の後ろにある三角骨（さんかくこつ）と呼ばれる過剰な骨が、つま先を伸ばすときに挟み込まれたり、擦れたりすることで生じる三角骨障害があります。

主な症状として、つま先を伸ばす時に足首の後ろやアキレス腱や踵付近に生じる痛みが挙げられます。その他にも、足首の腫れ、つま先を曲げ伸ばしするときの引っかかりや、足首の可動範囲の減少など様々な症状があります。

足関節後方インピンジメント症候群の症状とは？

初めのうちは運動中や運動後に詰まり感などの違和感を感じながらも、日常生活への大きな支障は出にくいのが特徴です。

しかし、徐々に足首が腫れたり熱っぽさを帯びるようになったりする関節の炎症など、症状が進行すると、つま先を伸ばす動きで毎回痛みが出るようになったり、歩いている途中や階段の上り下りでも痛みが出たりと、日常生活にも支障をきたすようになることがあります。

▷ スポーツ活動時だけでなく、日常生活の中でも痛みなどの症状を感じる場合は、早めに
　 医療機関を受診することをお勧めします。

足関節後方インピンジメント症候群の原因は？

“インピンジメント”とは、骨などの組織同士が衝突し、挟まれたり擦れたりする現象のことを言います。
インピンジメントの原因は、つま先を伸ばしたときに足首の後ろで骨や靭帯などが挟まれ、圧迫されてしまうことによるものです。

三角骨が脛骨（けいこつ）と踵骨（しょうこつ）に挟まれる骨のインピンジメント、骨の周りの靱帯などの組織が挟まれる軟部組織（なんぶそしき）のインピンジメントなどがあります。

▷ 痛みが出ている原因に応じて治療やリハビリでの対応方法は異なるため、まずは痛みの
　 原因をはっきりとさせることが大切です！

足関節後方インピンジメント症候群の治療法は？

足関節後方インピンジメント症候群の治療法には、注射や理学療法などで痛みの軽減をはかる保存療法と、挟まれている三角骨などを摘出する手術療法があります。

◉保存療法：痛みをとるための注射療法や、発症に関与すると考えられる間違ったテクニックなどを修正するための理学療法など

◉手術療法：三角骨などの挟まれている組織を切除する手術を実施する

※ 一般的に、3ヶ月間の保存療法でも症状が改善しない場合や、再発を繰り返す場合には、
　 手術療法が選択されると言われています。

まとめ

今回は、足関節後方インピンジメント症候群の概要について紹介しました。

足首の後ろが痛くなる理由はさまざまで、発症に至った要因はそれぞれで異なります。

バレエのポアントやサッカーでのインステップキックなど、つま先を伸ばす時に足首の後ろやアキレス腱周りが痛む、つま先が伸び切らないといった症状だけでなく、日常生活の中でも歩くときや階段の上り下りで足首が痛いなどの症状でお困りの際は、一度足の専門医に診てもらうことをお勧めします。