足立慶友医療コラム

埼玉県中体連柔道練成会サポート活動報告

2023.10.24

2023年5月5日(金)に埼玉県立武道館にて埼玉県中体連主催の埼玉県中体連柔道練成会が開催されました。

当院のリハビリテーションスタッフ6名で救護班の一員として参加し、選手たちのサポートをしてきました。

今回はこのような機会をいただいたので、その活動について報告させていただきます。

今回の10秒まとめ

① 埼玉県中体連柔道錬成会のサポート活動へ行ってまいりました。

② 救護班として外傷評価、創傷処置、アイシング、テーピング、搬送、運動・セルフケアの指導などを行いました。

③ 救護班として活動へ参加し、当院のスタッフも学びを得るとともに、様々な職種の方と協力し、適切な救護活動に務めました。

今回の柔道大会の概要

今回の埼玉県柔道錬成会では、埼玉県内だけでなく、北海道から和歌山県までの中学校やクラブの選手が参加しました。

参加者は男女あわせ約1400名の中学生の柔道選手です。

試合場が20面あり、5分間の試合を各チーム入れ替えながら計5時間行われました。

今回救護班を取り仕切る方(責任者)からお声がけをいただき、当院リハビリテーションスタッフで選手のケガの処置や外傷評価、運動指導等を行いました。

救護班としての実施内容

柔道の試合現場での対応として主に以下の対応を行いました。

外傷評価

柔道では腕や脚の骨折や肩関節の脱臼、肘関節・手首・指の捻挫、足関節捻挫などのケガが多く発生します。

それらのケガの状態疑いの有無を検査(評価)し、重症度を判断(評価)します。

創傷処置

試合中は組み合うことで手や足に相手の爪があたったり、頭と頭がぶつかったりと出血してしまうことも少なくありません。

それらのケガに対して、流水で洗い流したり、創部を保護したり、出血部位を圧迫したりという処置を行います。

アイシング

上記の創傷処置と同様、相手と接触のあるスポーツのため、打撲や捻挫などが多く見られます。

アイシングには炎症の抑制や痛みを和らげる効果があります。 

テーピング

テーピングには主に3つの役割があります。

  1. 怪我の部位の固定
  2. 筋肉のサポート
  3. ケガの再発防止

今回特に多かったものとしては、手や足の指の固定でした。

柔道の競技特性として道着をつかむ、裸足で競技するため、足の指のケガは多く見られました。

搬送

今回の大会中は頭部の外傷などはなく、意識を失う選手はみられませんでした。

しかし、脚を痛めたり、骨折し動けなくなる選手がいたため、担架を使用し救護室まで搬送することがありました。

担架搬送には意外と知られていない注意点があります。

担架搬送の注意点

  1. 地面から持ち上げる時は、掛け声をかけてゆっくりと持ち上げる。 
  2. 平地では足側を進行方向にする。
  3. 階段の上りは頭側が進行方向にする。 
  4. 階段の下りは足側を進行方向にする。

皆さんももし搬送のお手伝いをするようなことがあった際は、上記のことに気を付けてみてください。

運動・セルフケア等の指導

今回は中学生の大会でしたが、想像以上にケガを経験し後遺症の残る選手が多数いました。
我々医療スタッフはこうした選手を減らすために、ケガの処置だけでなく、ケガをした部位のセルフケアや再発防止のための運動指導などを行います。

特に多かったのは捻挫などの靭帯損傷でした。
靭帯は関節を安定させる仕事をするため、損傷が起こると関節に緩みが生じます。
そのため安定せずグラついたり、痛みが出現したりします。
損傷した靭帯の代わりに筋力をつけることで関節の安定が期待できるため、筋力トレーニングのアドバイスなどを行いました。

救護班として参加し感じたこと

柔道は他のスポーツと比べ、特にケガが多く発生することから試合に出場できる選手の入れ替え(チームから離脱して試合に出場できなくなること)は多いと考えられます。
そのため選手はケガを負っても「痛い」と言いにくく、我慢しながら試合に復帰することが多く見られます。

これらの選手の気持ちを尊重しながら、復帰させるか中断させるかを判断することの重要性を考える必要があります。
その選手の将来を考え、ケガの重症度の説明を行った上で選手や指導者、親御様に判断していただくことが大切です。
安易な判断で復帰または中断させることでその選手の将来を大きく変えてしまう可能性があるということに、大きな責任感を感じました。

また、試合中のケガであれば評価と処置を実施し、試合に復帰させるか中断させるかの判断を早急に行わなければなりません。
整形外科クリニックで働いている我々にとっては、1分1秒を争う中で評価や処置などを行うことは滅多にありません。
そのため、今回の現場での経験はとても新鮮であり、そして選手にとってより良いものを短時間で判断し提供するということの難しさを痛感する機会となりました。

救護班は45名のスタッフで構成され、多職種、同職種など様々なスタッフと交流することが出来ました。

テーピングなどの処置のコツや、個人の特徴に合わせ意識するポイントなどを教えていただいたり、実際に見学させていただいたりと多くの学びを得ました。

反対に医療系の学校に通う学生や、1年目のスタッフもおり、指導する立場になることもありました。

異なる資格や学生などの様々な視点から、選手たちのケガや問題点を評価することで、選手にとって最適な処置をすることが出来ていたと感じています。

当院リハビリテーション部の紹介

当院リハビリテーション部に、今回のような外部活動に携わる理学療法士、トレーナーが在籍しております。

先日は、当院リハビリテーション部の野球班のスタッフが、埼玉baseballサミットにて外部サポート活動を行いました。

スポーツで関節の痛みを抱えている方は、ぜひ一度当院を受診してみてください。

選手一人一人の身体の機能に合わせてリハビリを行い、なるべく早い復帰をお手伝いさせていただきます。

当院のご紹介

整形外科の診療に必要な設備が整った診療所

当院は、各種専門領域を持った医師の診療に加え、大学病院と同様の医療機器を有し、かつ、理学療法士・作業療法士によりリハビリテーションも積極的におこなっている診療所です。また、併設の慶友整形外科脊椎関節病院では手術加療も行なっております。

そのため当院では、整形外科疾患におけるほぼ全ての治療を提供することができます。

初めての患者さまへ当院のご紹介

当院の『7つの特徴』や『ミッション』についてご案内いたします。

各部門の専門家が集まった特殊外来を設置

当院は、一般的な関節の痛みや筋肉の痛みを診る整形外科の他に、「脊椎(首・腰)」、「肩関節」、「股関節」、「膝関節」、「手」、「足」とそれぞれの専門家が集まった専門外来を用意しております。

他院で診断がつかない症状に関して、各領域の専門家が診察をいたします。

整形外科のご案内

手や足が痺れる、膝や股関節は痛い、背中が曲がってきたなどの症状でお困りの方へ。

都内最大級のリハビリ室を完備

患者様の健康を取り戻すため、当院ではリハビリテーションに力を入れております。

国家資格を有するセラピスト達が、責任を持って治療を行います。

リハビリテーション科のご案内

腰が痛い、姿勢が悪い、歩くとふらつくなどの症状でお困りの方へ。

交通事故診療に強い整形外科専門医が診察

不幸にも交通事故に遭われた患者様の多くは、「事故のことは保険屋さんに聞けば良いが、体の不調をどこに相談すれば良いのかわからない」という悩みを抱えていらっしゃいます。

当院では交通事故診療に強い整形外科専門医が治療を行います。ぜひ一度ご相談ください。

交通事故にあわれた方へ

当院は、整形外科専門医が交通事故治療を行う医療機関です。

Author

加藤優二

Author

虎岩太朗

理学療法士

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