2024年2月3日~2月4日の2日間、天皇杯 第49回日本車いすバスケットボール選手権大会が東京体育館で行われました。職場のご協力をいただきながら、社会人車いすバスケットボールクラブチームNO EXCUSEの選手として参加する機会をいただきました。
今回は天皇杯の活動報告と日々の取り組みについて、そして当院スポーツのサポート体制についてお伝えします。
目次
天皇杯について
元々リハビリとして始まった障がい者スポーツですが、上皇陛下は一般のスポーツと変わらずに楽しむスポーツとして発展して行くことを期待されてこられました。そんな中で、日本車いすバスケットボール連盟は、2018年に障がい者スポーツ競技大会として初めて、天皇杯・皇后杯を下賜いただくこととなりました。
そこから日本車いすバスケットボール選手権大会は「天皇杯」と呼ばれ、先日第49回大会を迎えました。

天皇杯に出場するまで
車いすバスケの天皇杯は、一次予選、二次予選を勝ち抜いた8チームが参加できる大会です。
車いすバスケの天皇杯に出場できるのは、
①前回大会優勝チーム
②東日本予選/西日本予選で上位3チーム
③東日本予選/西日本予選の4位チーム同士で試合を行い、そこで勝利したチーム
の全8チームです。
NO EXCUSEは、2023年9月に北海道きたえーるで行われた東日本予選で2位となり天皇杯に出場を決めました。

コンディショニング
予選を勝ち抜いて天皇杯に出場するためには、日々の練習でも結果が求められる環境で、継続して高いレベルの練習を行う必要がありました。
週に3回、多い時は週に5回練習があり、私は理学療法士として当院に勤務しながら両立を図る必要があります。選手個人で練習環境が違いますが、自分のコンディショニングにはそれぞれが責任を持つように伝えられています。
常に自分のパフォーマンスを良い状態にするために、ウォーミングアップでは肩周りを動かすのはもちろんのこと、骨盤帯や股関節の準備運動も入念に行うようにしました。
それにより肩や腕周りの負担感が軽減し、シュートやパスの正確性につながると考えています。しかし、試合のミスにはプレー中の認知・判断や車いすを操作するスキルなど、複数の要素が関わっています。そのため、ミスを減らすためには場面事の分析をしっかり行い改善を続けていく必要があり、それをプレーで表現することには苦労しています。
他には自分の食事調査を元に、適切なタイミングで栄養を摂取していく方法を学んだり、理学療法士として自身の可動域をチェックしたりと身体管理を欠かさずに行いました。

怪我への対応
日々の身体管理を行っていても、怪我は急にやってきます。大会2週間前の練習試合で車いすのタイヤに小指を挟み怪我をしてしまいました。この試合では、もう1人指の出血で試合出場が困難になってしまった選手がいました。手の外傷予防という観点で、理学療法士として何ができるか考え直したいと思いました。
次の日に当院の診察を受け、骨には異常がないことがわかりました。手の固定器具処方と超音波、マイクロカレント(微弱な電気を流すことで細胞の修復を促し、治癒促進や痛みの緩和が期待できる)治療を行い、競技復帰へ向けて直ぐに行動を取れました。非常に有り難い環境にいると再認識しました。


天皇杯の結果
天皇杯本戦では、一回戦でワールドバスケットボールクラブと戦い、52-29で勝利しました。
私は3Qの途中から出場しましたが、昨年に比べてゲームスピードについていくフィジカルは上がりましが、オフェンスファウルを連続で2つしてしまい、プレーの正確性に課題を残す結果となりました。
続く準決勝では、昨年決勝で対戦した神奈川VANGUARDS(昨年まではパラ神奈川)に24-71で敗れました。
来年へ繋げるためにも、気持ちを切り替えて臨んだ3位決定戦でしたが、西日本第2次予選会1位通過の伊丹スーパーフェニックスに40-53で敗れ、チームの結果は4位となりました。

天皇杯を終えて
天皇杯はチームとしても個人としても悔しい結果となってしまいました。
さらなるフィジカルの強化、試合に臨むメンタリティ、状況を見てプレーを選択する判断力など、課題は沢山あります。
理学療法士として患者さんのニーズに応えるように、チームから求められるニーズを選手として捉え、自分の身をもって体現することができるように改めてチャレンジしていきたいと思います。
アカデミー活動
チームとして天皇杯優勝を目指す一方、障がいのある子どもたちがバスケットボールの練習を続けられる環境作りとして、『アカデミー』という活動に、サブ講師として一年間携わりました。
今の障がいのある学生世代のスポーツを取り巻く環境は、同年代とスポーツで競い合う機会を得にくい、練習できる機会が少ないなどが挙げられます。私が所属している社会人チームとの架け橋となる環境がないため、いきなり社会人チームに入るとレベルの差に圧倒され、活動を続けていくことが難しいと感じて断念してしまうケースもあります。
私は大学生の頃から車いすバスケットボールに関わっているため、理学療法士の視点から個人への身体のアドバイス、その場で車いすをメンテナンスできるスキルを持ち合わせています。
今までの知識や経験をこの活動で活かし、将来の車いすバスケットボールプレーヤーを生み出す一助となれれば嬉しいです。さらに障がい者スポーツが様々な場所で行える環境作りには、これからも貢献していきたいです。

当院のスポーツサポート体制
足立慶友整形外科/慶友整形外科脊椎関節病院ではスポーツの怪我に対する手術やその後のリハビリテーションを提供しております。またスポーツ外来も2021年12月より開始されています。
外来では野球班を設立して投球障害に対する取り組みを強化しています。さらに当院のマスコットキャラのゴリラマークでおなじみの認高喜笑助くん(みとめだかきしょうすけくん)と同じゴリラマークを持つ下町ゴリラズ(HP:https://shitamachi-gorillas.tokyo)というアメリカンフットボールのチームサポートを行っており、医師・トレーナースタッフが試合時のサポートを行っています。
アスリートサポートシステムの案内
2023年1月から、スポーツを行う中で前十字靭帯断裂や半月板損傷を患い、手術をされた方に対してスポーツ復帰に向けたリハビリテーションをより一層強化する取り組みとして「アスリートサポート」が始まりました。詳しい情報に関しては、こちらの記事に記載してありますのでご覧ください。https://clinic.adachikeiyu.com/5972
今後の当院のスポーツ支援の取り組みにも、ぜひご期待ください。地域の方々に貢献できるよう鋭意努めて参ります。
当院のご紹介
整形外科の診療に必要な設備が整った診療所
当院は、各種専門領域を持った医師の診療に加え、大学病院と同様の医療機器を有し、かつ、理学療法士・作業療法士によりリハビリテーションも積極的におこなっている診療所です。また、併設の慶友整形外科脊椎関節病院では手術加療も行なっております。
そのため当院では、整形外科疾患におけるほぼ全ての治療を提供することができます。
当院の『7つの特徴』や『ミッション』についてご案内いたします。
各部門の専門家が集まった特殊外来を設置
当院は、一般的な関節の痛みや筋肉の痛みを診る整形外科の他に、「脊椎(首・腰)」、「肩関節」、「股関節」、「膝関節」、「手」、「足」とそれぞれの専門家が集まった専門外来を用意しております。
他院で診断がつかない症状に関して、各領域の専門家が診察をいたします。
手や足が痺れる、膝や股関節は痛い、背中が曲がってきたなどの症状でお困りの方へ。
都内最大級のリハビリ室を完備
患者様の健康を取り戻すため、当院ではリハビリテーションに力を入れております。
国家資格を有するセラピスト達が、責任を持って治療を行います。
腰が痛い、姿勢が悪い、歩くとふらつくなどの症状でお困りの方へ。
交通事故診療に強い整形外科専門医が診察
不幸にも交通事故に遭われた患者様の多くは、「事故のことは保険屋さんに聞けば良いが、体の不調をどこに相談すれば良いのかわからない」という悩みを抱えていらっしゃいます。
当院では交通事故診療に強い整形外科専門医が治療を行います。ぜひ一度ご相談ください。
当院は、整形外科専門医が交通事故治療を行う医療機関です。
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