足立慶友医療コラム

膝の捻挫 – 着目した原因・症状・改善方法の理解と回復の流れ

2025.01.08

膝の捻挫は、スポーツや日常生活の中でも思いがけず起こるケガです。

痛みだけでなく、関節の不安定感や歩行のしづらさなどが現れ、放置すると長引くケースも少なくありません。

リハビリや再発防止のためのケアを意識しながら適切な治療を進めることが大切です。

膝の構造を理解し、一人ひとりの状態に合った対策を考えることで、症状の軽減や回復のスピードが左右されます。

この記事では、原因や症状、治療の流れなどを詳しく示していきます。

膝の捻挫とは何か

ここでは、膝の捻挫がどのような状態なのか、その概要と基本的な考え方を述べます。

膝に起きる捻挫の特徴を理解することで、どのような症状が出やすいかイメージしやすくなり、早めの対応を考えるきっかけになるはずです。

捻挫の定義と膝への影響

捻挫とは、関節を支える靱帯や軟部組織が外力によって過度に伸ばされたり損傷したりする状態を指します。

膝に強いひねりや衝撃が加わると、膝の内側や外側にある靱帯、もしくは複数の靱帯や関節包が傷つきます。痛みだけでなく、膝を動かすときの違和感や不安定感が強まる場合があります。

適切な治療と安静期間を確保しないと、周辺の筋肉バランスが崩れやすくなり、回復が遅れるリスクがあります。

膝の靱帯は人体の中でも大きな負荷がかかる部分なので、早めの診断と治療を意識してください。

捻挫が起こる主なタイミング

捻挫は日常生活からスポーツに至るまで、多様な場面で生じます。膝の捻挫を誘発する主なタイミングを挙げると、以下のようなものがあります。

  • ジャンプの着地時にバランスを崩す
  • 急な方向転換で膝をひねる
  • 転倒や衝突によって強い衝撃がかかる
  • 慢性的にオーバーユース(使いすぎ)している状態で軽い衝撃を受ける

このように、膝の捻挫は突発的な動きや不意のアクシデントに限らず、疲労や使いすぎも関係します。

軽度・中度・重度の違い

膝の捻挫には、靱帯損傷の程度によって軽度・中度・重度と大きく分類されます。症状の度合いと回復の見込みが異なるので、一般的な特徴を押さえておきましょう。

分類損傷の程度主な症状
軽度靱帯に微小な損傷や伸びがある痛みは軽いが、歩行時にわずかな違和感が生じる
中度部分的に靱帯が断裂強い痛みと腫れ、膝の不安定感が大きい
重度靱帯が完全に断裂、複数箇所の場合もある非常に強い痛みと不安定感、日常的な動作も困難

重度になるほど膝の機能に大きな影響が及び、完治までに時間がかかる可能性があります。早期の診断を受けて適切に対応することが重要です。

膝の捻挫が及ぼす日常生活への影響

膝の捻挫は、日常生活にも大きな支障をきたします。痛みがある状態では、動きが制限されたり、階段の上り下りが困難になったりします。

症状が悪化すると、通勤・通学や家事などにも差し障りが出るので、無理をしないようにしてください。

膝の捻挫が長引くと、周辺の筋肉が萎縮し始め、さらに膝をうまく支えられなくなる恐れがあります。

時間をかけてでも回復を図り、可能な範囲で筋力維持のトレーニングを取り入れると、後々の生活が楽になります。

ここで、主な注意点をまとめます。

  • 急性期の痛みや腫れを我慢しすぎない
  • 仕事や家事で膝に負担をかけすぎないようにする
  • 早めに医療機関で診断を受ける

膝の捻挫は「放っておいても自然と良くなる」と考える方もいますが、それが長期的な悪影響につながる恐れもあるので油断は禁物です。

膝関節の基本構造と捻挫の仕組み

膝がどのような構造で成り立っているかを理解すると、なぜ捻挫が起きやすいのか把握しやすくなります。ここでは膝関節の骨や靱帯、軟骨などの要素を詳しく見ていきましょう。

膝関節を支える主な骨と軟骨

膝関節は大腿骨(太ももの骨)、脛骨(すねの骨)、膝蓋骨(ひざのお皿)で構成されています。この3つの骨の間には軟骨がクッションの役割を果たし、衝撃から骨を守ります。

大腿骨と脛骨の間にある半月板も重要なクッション素材であり、衝撃を吸収したり関節の安定性を高めたりします。

ただし、何らかの原因で骨同士の位置関係がずれると、靱帯や半月板に余計な負担がかかりやすくなります。長期的な負担の蓄積や急な動きによって捻挫を起こすケースも多いです。

靱帯が果たす役割

膝には複数の靱帯が存在します。代表的なものとして、前十字靱帯と後十字靱帯があります。これらは膝の前後の安定性を保ち、膝が過度に伸びたり曲がったりしないようにサポートします。

また内側側副靱帯と外側側副靱帯は横方向の安定性を担い、捻じれなどに対して抵抗力を発揮します。

これらの靱帯が損傷すると、膝が思うように踏ん張れなくなり、関節がずれる感覚や痛みを引き起こします。捻挫を放置すると二次的な怪我のリスクが高くなり、負の連鎖を生むこともあります。

どうして膝は捻挫しやすいのか

膝は歩行や走行などの日常動作から、ジャンプや急な方向転換などのスポーツ動作まで、体重を支えながら大きく動く関節です。

このため、外部からの衝撃や体重負荷の影響を受けやすい構造になっています。

以下は、膝が捻挫しやすい背景の一例です。

  • 体重を支える負荷が常に高い
  • 前後・左右・回旋など多方向への動きがある
  • 筋肉量や柔軟性が不足すると靱帯や軟骨に負担がかかりやすい

膝の捻挫を予防するには、筋力アップや柔軟性の向上が大切です。

捻挫が膝関節に及ぼすメカニズムを示す表

膝の捻挫が起こるメカニズムを簡単に整理すると、以下のようになります。

きっかけ膝関節への影響結果
外力(衝突・転倒など)靱帯や関節包に大きな衝撃が加わる靱帯の損傷、膝の安定性低下
急激な方向転換捻じれに対する抵抗が間に合わず、靱帯が伸びるまたは断裂激痛や腫れ、関節の動揺
長期間のオーバーユース微小な損傷の蓄積で靱帯にダメージが蓄積軽度な痛みの慢性化、弱い衝撃での捻挫発生

膝は常に負荷のかかる部位なので、どのような動作でもリスクは存在します。痛みを感じたり違和感が出たりしたら、早期に専門家の診断を受けると安心です。

膝の捻挫で起こりやすい症状

膝の捻挫には、代表的な症状から時間の経過とともに出てくる症状などさまざまなパターンがあります。

ここでは、膝の捻挫を疑うときに注目したいサインや、症状が進行した際に見られる兆候などを詳しく触れていきます。

急性期に見られる主な症状

膝をひねった直後に生じる急性期の症状としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 激しい痛みと膝関節周辺の腫れ
  • 膝に熱感が生じる
  • 歩行が困難、膝が抜けるような感覚
  • 体重をかけにくい

激しい痛みや腫れがある場合、靱帯が大きく損傷している可能性があります。アイシングや圧迫などの応急処置を行ったうえで、医師の診断を仰いでください。

痛み以外の要注意サイン

痛みと腫れ以外にも捻挫を見極めるうえで重要なサインがあります。痛みにとらわれやすいですが、下記のような症状にも目を向けることが大切です。

  1. 膝のぐらつき感
    • 歩行時に膝が安定せず、思わぬ方向に力が逃げる感覚
  2. 引っかかり感
    • 動かそうとすると膝内部に何かが引っかかるような違和感
  3. 可動域制限
    • 曲げ伸ばしがスムーズにいかず、一定の角度で痛みや抵抗を感じる

これらは捻挫だけでなく、半月板損傷など別の膝のトラブルが関わる場合もあります。複合的に症状を捉えて、判断を誤らないように注意しましょう。

症状が長引いたときに考えられる状態

捻挫後に適切なケアをせず、無理をしてしまうと、痛みや違和感が長引くことがあります。下記のような症状が続く場合、自然に治るという期待は危険です。

長引く症状考えられる原因注意すべき点
慢性的な鈍い痛み靱帯の部分的損傷が治りきっていない症状が悪化すると手術が必要になるケースも
膝の軽度のロッキング感半月板など軟骨系のダメージの併発軟骨損傷が進行すると関節の変形につながる
不安定感や抜けるような感覚筋力不足によるサポート力の低下筋トレやリハビリの怠りが慢性的悪化につながる

痛みや不安定感がしばらく続く場合は、リハビリや筋力トレーニングのプログラムを見直すことが大切です。

膝周辺だけでなく、股関節や足首の連動も考慮すると、効果的に膝を支えられるようになります。

膝の捻挫を早期に疑うためのチェックリスト

症状が軽いうちに受診して適切な対応を取ると、その後の回復がスムーズになりやすいです。膝の違和感を覚えたら、以下のような項目をチェックしてみてください。

  • 痛みはどの程度続いているか
  • 階段の上り下りで膝に負担を感じるか
  • 腫れや熱感は引いてきているか
  • ぐらつき感や引っかかり感があるか

1つでも当てはまる場合は、捻挫の疑いを持って専門機関を受診するとよいでしょう。

診断の流れと検査方法

膝の捻挫が疑われる場合、どのように診断を受け、どのような検査を行うのか知っておくと安心です。ここでは、医療機関で一般的に行う診察のステップや検査手段について紹介します。

初期診察での問診と触診

医師はまず、患者の症状や受傷機転(ケガをしたきっかけ)について詳細に聞き取ります。

捻挫を起こした場面や痛みの強さ、腫れの有無などをチェックし、膝周辺を実際に触れることで痛みの場所や腫れ、熱感の程度を確認します。

問診と触診だけでも、ある程度の損傷部位や重症度の見込みを立てられることが多いです。

また、膝の可動域テストや靱帯のゆるみを確認する特殊テストを行い、どの靱帯が損傷しているかなどの仮説を立てます。

画像検査の活用

より正確に状態を把握するため、以下のような画像検査を行うことがあります。

  • X線撮影(レントゲン):骨折や骨の変形がないか確認
  • MRI検査:靱帯や軟骨の損傷程度を詳細に調べる
  • CT検査:骨の微細な損傷や変形を立体的に把握する

捻挫の場合、骨折が伴っているケースもあるため、画像検査は痛みの原因を特定するうえで大切です。

診断後の説明と治療方針

医師は検査結果をもとに、捻挫の程度や可能性のある合併症を説明します。そのうえで、以下のような治療方針を提案します。

  • 安静や固定の必要性
  • 痛み止めや消炎剤などの投薬
  • リハビリテーションの開始時期とプログラム
  • 手術の必要性の有無(重度の場合)

患者の生活習慣や仕事・スポーツの頻度なども考慮しながら、適切な治療プランを策定します。

医療機関による診断の流れを示す表

膝の捻挫診断で一般的に行われる流れをまとめると、下記のとおりです。

ステップ主な内容ポイント
1. 問診痛みの場所・程度、受傷時の状況を確認痛みが出始めた時期や動作など細かく伝える
2. 触診膝周辺を触れて熱感や痛みの部位を特定靱帯や関節包の状態を大まかに推定できる
3. 画像検査X線・MRI・CTなどを使って詳細を把握骨折や靱帯損傷の程度を客観的に判定
4. 診断診察結果を総合して診断名と重症度を決定合併症の有無や回復見込みも確認
5. 治療方針固定やリハビリ、投薬・手術の必要性を判断患者の生活に合わせた提案を行い、治療の方向性を決定

受診前に疑問点や不安な点をメモしておくと、スムーズにコミュニケーションを取ることができます。

治療の選択肢とリハビリの重要性

捻挫の治療には、保存療法から手術までいくつかの選択肢があります。また、治療期間中のリハビリテーションは回復を左右する大切な要素です。

ここでは、具体的な治療方法とリハビリの流れについてまとめます。

保存療法(RICE処置)

膝の捻挫で最も一般的に取り入れられる初期対応が、RICE処置です。これは次の4つの英単語の頭文字を取ったものです。

  • Rest(安静):負担をかけずに安静を保つ
  • Ice(冷却):氷などで冷やして炎症を抑える
  • Compression(圧迫):包帯などで圧迫し、腫れや内出血を軽減する
  • Elevation(挙上):患部を心臓より高い位置に保ち、血流や腫れの制御を促す

早期から適切に行うと、靱帯のダメージを最小限に抑えられる可能性があります。

ただし、過剰な圧迫や長時間の冷却は逆効果になる場合もあるので、医療従事者の指示を仰いでください。

装具やテーピングの活用

中度以上の捻挫になると、膝の安定性を補う目的で装具やテーピングを使用することがあります。

装具は膝の曲げ伸ばしの制限やサポートを行い、靱帯が回復しやすい環境をつくります。テーピングは関節の動きを部分的に制限しつつ、筋肉への意識を高める効果も期待できます。

装具やテーピングの使用は一時的なサポートであり、長期的には筋力や柔軟性を回復させることが重要です。

装具に頼りきると筋肉が弱くなる恐れがあるため、医師や理学療法士と相談しながら段階的に外すタイミングを見極めましょう。

リハビリテーションのプロセス

膝の捻挫では、リハビリテーションが回復のカギを握ります。痛みが落ち着きはじめたら、次のステップを踏むとスムーズに回復へ向かいやすいです。

  • 関節可動域訓練:むくみや腫れが引いた段階で、膝の曲げ伸ばし練習
  • 筋力トレーニング:大腿四頭筋やハムストリングスの強化
  • バランストレーニング:片足立ちやバランスディスクを利用して膝の安定性向上
  • スポーツ復帰プログラム:徐々に走ったりジャンプしたりする運動を取り入れる

これらのステップを急ぎすぎず、一段階ずつ体の状態と相談しながら取り組むと、再発リスクを抑えながら機能回復が進みやすくなります。

膝の捻挫で行われる代表的な治療方法一覧

捻挫の程度によって治療方法は異なりますが、主な例をまとめると次のとおりです。

程度治療方法備考
軽度RICE処置、サポーター、テーピング数週間の安静と軽めのリハビリで改善しやすい
中度装具固定、理学療法、投薬など数か月単位でのリハビリが必要になる場合もある
重度手術(靱帯再建など)、長期間のリハビリ回復後も再発防止のトレーニングが大切

重度の場合は手術を検討することもありますが、術後のリハビリが長期にわたる点を理解しておくとよいです。

再発防止のためにできるケア

捻挫は一度受傷すると再発リスクが高くなる傾向があります。ここでは、膝の捻挫を繰り返さないための日常生活でできるケアや意識してほしいポイントを紹介します。

筋力強化と柔軟性向上

捻挫を防ぐには、膝を取り巻く筋肉(大腿四頭筋やハムストリングスなど)の強化が必要です。また、筋肉だけでなく腱や靱帯の柔軟性を高めるストレッチも欠かせません。

以下のようなアプローチが効果的です。

  • スクワットやレッグプレスなどで下半身の筋力を鍛える
  • ヨガやストレッチを習慣づけて筋肉の柔軟性を高める
  • ウォーミングアップとクールダウンを怠らない

筋肉がしっかり働くことで、急激な力やひねりの衝撃を和らげられる可能性があります。

体重管理と適度な運動

膝は体重を支える関節なので、体重が増えるほど負担がかかります。体重管理を意識するだけでなく、無理のない範囲でウォーキングや軽いジョギングなど定期的な運動を続けることが大切です。

急激にハードな運動を再開すると膝に負担が集中し、捻挫が再発しやすくなるので、段階を踏んで運動量を増やしてください。

ここで、一例として膝周りに負担をかけにくい有酸素運動の種類をまとめます。

運動種類膝への負担特徴
ウォーキング足首や股関節の連動も意識するとさらに効果的
水中ウォーキング水の浮力で関節への負担を軽減
軽いジョギングフォームを意識して距離・速度を調節
サイクリング負担調整が容易、太ももの筋力強化に適する

膝周りの筋肉を働かせながら無理なく続ける運動を選び、ゆっくりと慣らしていく姿勢がポイントです。

正しい動作フォームの習得

スポーツや日常動作での膝への負担を減らすには、正しいフォームの習得が欠かせません。特に膝を曲げ伸ばしするときは、足先と膝の方向をなるべく揃える意識が大切です。

慣れないうちは鏡を使ったり、トレーナーや理学療法士に確認してもらったりすると、フォームが崩れにくくなります。

  • スクワット時:膝が内側に入らないようにつま先と同じ向き
  • ランニング時:足裏全体で着地し、膝に余計なねじれを生じさせない
  • ジャンプの着地:足裏で衝撃を吸収し、大腿部や股関節を連動させる

こうした基本を守ると膝への負担が減り、捻挫の再発を防ぎやすくなります。

日常生活での気遣いリスト

再発防止のためには日常生活の中でもちょっとした工夫が求められます。下記を参考にしてみてください。

  • 椅子に座る際は深く腰掛け、膝を過度に曲げない
  • 立ち上がるときは手すりや机などを活用して膝への負担を減らす
  • 床に座るより、椅子やソファを使って姿勢を保ちやすくする
  • 通勤・通学など移動時間が長いときは、適度に休憩を挟む

小さなケアを積み重ねることで、再発リスクを下げられる可能性があります。

膝の捻挫とスポーツ復帰に向けた取り組み

スポーツを積極的に行っている方にとって、膝の捻挫は競技活動を中断する大きな痛手です。

ここでは、捻挫からの回復を目指してスポーツ復帰するときに意識したいポイントや、競技特性に応じた対策を紹介します。

競技特性に応じたリハビリ計画

スポーツには多種多様な動きが求められます。サッカーやバスケットボールのように急な方向転換が多い競技では、膝に大きな負担がかかりやすいです。

競技の特性に合わせてリハビリ計画を立てることが重要になります。

  • サッカー・バスケットボール:アジリティトレーニングや切り返し動作の練習
  • バレーボール・バドミントン:ジャンプや着地フォームのチェック
  • マラソン・陸上競技:正しいランニングフォームと足首・股関節の連動強化

競技特性に応じたリハビリを取り入れると、実際のプレー時に再び捻挫をするリスクを減らせます。

復帰時期の見極め

回復具合を無視して復帰を急ぐと、痛みがぶり返したり、別の箇所をかばって新たなケガを生じる恐れがあります。

次のようなチェックポイントを踏まえて、段階的に復帰のタイミングを見極めましょう。

  • 痛みや腫れがほとんどなくなっている
  • 軽いトレーニングで膝の不安定感がない
  • 可動域が回復し、以前と同じように動かせる
  • 医師や理学療法士からOKが出ている

特に大会が近い場合は無理をしがちですが、長期的な競技人生を考えると、焦らず膝の状態を整えることが結果的に良いパフォーマンスにつながりやすいです。

テーピングやサポーターの使用

復帰直後はまだ筋力やバランス感覚が十分に戻っていない可能性があります。そのため、テーピングやサポーターを積極的に活用することも視野に入れましょう。

装具の使用は一時的なサポートですが、怪我明けの不安感を軽減し、心理的に安定した状態でプレーを再開できます。

ただし、先述したように装具に頼りすぎると筋肉の自律的なサポート力が養われにくくなります。使用期間の目安を定めて、並行して筋力強化とバランストレーニングを進めることが理想的です。

スポーツ復帰を後押しするメンタル面のケア

膝の捻挫からの復帰には、肉体的な回復だけでなくメンタル面のケアも重要です。思うように動けない時期が続くと、ストレスや不安が蓄積しやすいです。

下記のような工夫を取り入れて、心身のバランスを保つことを意識してください。

  • リハビリの進捗を記録し、少しずつでも成長を感じる
  • 同じ怪我を経験した仲間や先輩に相談して情報交換する
  • 医師やトレーナーとのコミュニケーションを密にし、安心感を得る
  • ネガティブな気持ちになったときは息抜きできる趣味を楽しむ

メンタル面をサポートしながら着実にトレーニングを続けると、競技へ完全復帰するモチベーションを維持しやすくなります。

受診を迷う方へのアドバイス

膝の痛みや違和感を覚えながらも、医療機関を受診するかどうか迷っている方は少なくありません。

ここでは、受診をためらう方に向けた情報と、スムーズな診療を受けるためのヒントを紹介します。

早期診断のメリット

痛みが軽い場合でも、早めに診断を受けて正確な状態を把握するメリットは大きいです。例えば、軽度の捻挫であれば短期間の治療で済むことが多く、早期発見によって重症化を防ぐチャンスが高まります。

逆に自己判断で放置すると、慢性的な痛みや膝関節の変形など、後々大きな問題につながるリスクが増します。

早い段階で医療機関を受診すると、以下の点で有利です。

  • 専門家の視点で正確な診断を受けられる
  • 適切なリハビリ計画を立てやすい
  • 日常生活での注意点を具体的に教えてもらえる

受診時に心がけたいこと

整形外科を受診するとき、医師やスタッフに正確な情報を伝えると、よりスムーズな診断・治療が期待できます。以下のような内容をあらかじめメモしておくと便利です。

  • 痛みが強くなる動作やタイミング
  • 受傷時の具体的な状況(スポーツ中、転倒など)
  • 症状の推移(いつから痛みがあるか、増減の状況)
  • 日常生活への支障(階段の上り下りが辛いなど)

メモを用意しておくと、受診時に伝え漏れが減り、医師とのコミュニケーションが円滑になります。

ここで、医療機関の選び方に関する表を示します。自分の状況に合った医療機関を選ぶときの参考にしてください。

医療機関タイプ特徴こんな人におすすめ
整形外科専門クリニック膝の怪我やスポーツ障害などに詳しいケースが多いスポーツで膝を痛めた方、再発リスクを相談したい方
総合病院さまざまな診療科が集まり、検査設備が充実他の疾患も含めて総合的に診てもらいたい方
リハビリ特化施設治療後のリハビリテーションに重点を置く術後や長期的なリハビリが必要な方

適切な医療機関を選ぶと、捻挫の状態に合った治療とリハビリを受けやすくなります。

自己判断で放置しないために

忙しさや「そのうち治るだろう」という楽観的な気持ちから、受診を後回しにすることも少なくありません。しかし、捻挫を放置すると次のような懸念が生じます。

  • 慢性化による痛みや機能低下
  • 膝関節の変形リスクが高まる
  • スポーツ活動や日常生活で再び怪我をしやすくなる

膝の捻挫は軽視できない問題です。痛みや腫れ、ぐらつきが続く場合は、医療機関の受診を前向きに検討してください。

症状を悪化させないセルフケア

受診前の段階でできるセルフケアとして、以下のようなことを意識すると悪化を防ぎやすいです。

  • 安静とアイシング:痛みが強いときはしっかり冷やす
  • 軽いストレッチ:膝を大きく動かさない範囲で、周辺の筋肉をほぐす
  • 筋力維持のための軽いエクササイズ:足首や股関節の動きを取り入れたエクササイズ
  • 痛みを我慢せず、適度に動かす:完全固定ではなく、身体が許す範囲で動きを保つ

医師の診察を受けたあとも、生活習慣に合わせてセルフケアを続けると、捻挫の回復がスムーズになる傾向があります。

以上、膝の捻挫に関する原因や症状、診断や治療の流れ、リハビリや再発防止策などを総合的にまとめました。

膝の痛みを軽視せず、早めに対処することで長引く不安から解放され、安心して日常生活を送れるようになります。

膝に違和感を抱えたまま放置するのではなく、一度お近くの整形外科クリニックで相談し、適切な治療やリハビリに取り組んでみてはいかがでしょうか。

以上

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Author

北城 雅照

医療法人社団円徳 理事長
医師・医学博士、経営心理士

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