足立慶友医療コラム

痛風による膝の腫れと痛み – 発症部位と特徴的な症状

2025.06.13

ある日突然、膝に激しい痛みと腫れが生じ、歩くことさえ困難になる。このような症状は、多くの方が「年のせい」や「関節の使いすぎ」と考えがちですが、実は「痛風」が原因かもしれません。

痛風は足の親指の付け根に発症するイメージが強いですが、膝関節に症状が現れることも決して珍しくありません。

この記事では、「痛風 症状 膝」や「痛風 膝 腫れ」といったキーワードで情報を探している方に向けて、なぜ膝に痛風が起こるのか、その特徴的な症状や痛みやすい場所、そして他の膝の病気との違いについて、分かりやすく解説します。

痛風とは何か?基本的な知識

膝の痛みの原因を探る前に、まずは痛風そのものについて正しく理解することが大切です。痛風は単なる関節の痛みではなく、体内で起こっている代謝の異常が原因で発生する病気です。

痛風の正体は尿酸の結晶

痛風の直接的な原因は、「尿酸」という物質です。尿酸は、体内でプリン体という物質が分解される際に作られる老廃物の一種です。

通常、尿酸は血液に溶け込み、腎臓でろ過されて尿と一緒に体外へ排出されます。しかし、何らかの理由で尿酸が体内で過剰に作られたり、排出がうまくいかなくなったりすると、血液中の尿酸濃度が高くなります。

この状態を高尿酸血症といいます。血液中に溶けきれなくなった尿酸は、鋭い針のような形をした「尿酸塩結晶」となり、関節や体のさまざまな組織に蓄積していきます。

この結晶が関節に溜まり、何かのきっかけで剥がれ落ちると、それを異物とみなした白血球が攻撃を始めます。

この時に激しい炎症反応が起こり、「痛風発作」と呼ばれる耐え難い痛みや腫れを引き起こすのです。

なぜ尿酸値が高くなるのか

血液中の尿酸濃度、すなわち尿酸値が上昇する背景には、主に3つのタイプがあります。自分の生活習慣がどのタイプに当てはまるかを知ることは、予防や対策を考える上で重要です。

高尿酸血症の主なタイプ

タイプ原因特徴
産生過剰型体内で尿酸が過剰に作られる。プリン体を多く含む食品の過剰摂取や、アルコールの飲み過ぎなどが関係します。
排泄低下型腎臓からの尿酸の排出能力が低下する。遺伝的な体質や、肥満、特定の薬の影響、腎機能の低下などが要因です。痛風患者の多くがこのタイプとされています。
混合型産生過剰と排泄低下の両方の要因が重なっている。両方の特徴を併せ持ち、尿酸値が特に高くなりやすい傾向があります。

高尿酸血症と痛風発作の関係

尿酸値が高い状態(高尿酸血症)が続いても、すぐに痛風発作が起こるわけではありません。多くの場合、自覚症状のない期間が何年も続きます。

しかし、この間にも尿酸塩結晶は着々と関節内に蓄積していきます。そして、飽和状態になった結晶が、激しい運動、ストレス、暴飲暴食などをきっかけに関節内に剥がれ落ちると、突然、激痛を伴う痛風発作が始まるのです。

「風が吹いても痛い」と表現されるほどの痛みは、この炎症反応によるものです。

したがって、症状がないからといって高尿酸血症を放置するのは危険であり、発作を予防するためには尿酸値を適切に管理することが求められます。

痛風が膝に発症する理由と特徴

痛風といえば「足の親指」というイメージが定着していますが、実際には体のさまざまな関節で発症する可能性があります。中でも膝は、足の親指の次に痛風発作が起こりやすい部位の一つです。

なぜ足の親指だけでなく膝にも起こるのか

尿酸塩結晶は、体温が低く、血流が滞りやすい場所に蓄積しやすい性質を持っています。

足の親指の付け根は、心臓から最も遠い末端にあり、体重の負荷がかかりやすいため、これらの条件に合致します。これが、痛風発作が足の親指に最も多くみられる理由です。

一方、膝関節もまた、大きな負荷がかかる関節です。特に立ったり歩いたりする際には常に体重を支えており、関節内部で微細な損傷が起こりやすい環境にあります。

このことにより、関節内の環境が変化し、尿酸塩結晶が沈着しやすくなるのです。

また、変形性膝関節症など、もともと膝に何らかの問題を抱えている場合、その部分の炎症が引き金となり、痛風発作を誘発することもあります。

膝の痛風発作でみられる典型的な症状

膝に痛風発作が起こると、非常に特徴的な症状が現れます。これらの症状は他の関節の病気と区別する上で重要な手がかりとなります。

膝の痛風における症状の進行

段階症状の特徴解説
発作直前膝の違和感、むずむず感本格的な痛みが始まる前に、前兆として軽い違和感を覚えることがあります。
発作時(急性期)激痛、著しい腫れ、熱感、発赤突然、膝がパンパンに腫れ上がり、熱を持ちます。皮膚が赤くなり、触れるだけでも激しい痛みが走ります。
発作後(寛解期)徐々に症状が和らぐ通常、1週間から10日ほどで痛みや腫れは自然に治まりますが、根本的な原因が解決したわけではありません。

膝のどのあたりが痛みやすいか(発症部位)

「痛風 膝 場所」で検索される方が気になるのは、具体的な痛みの場所でしょう。膝の痛風では、関節全体が腫れぼったくなることが多いですが、特に痛みが強く出やすい場所があります。

それは、膝のお皿(膝蓋骨)の周辺や、膝関節の内側・外側の隙間(関節裂隙)です。

関節液が溜まる「膝蓋上嚢(しつがいじょうのう)」という膝のお皿の上あたりに炎症が集中すると、膝全体が大きく腫れ上がります。

膝の痛風は片方の膝だけに起こることがほとんどで、両膝同時に発症するケースは稀です。

膝の痛風の具体的な症状 - 腫れと痛み

膝の痛風がもたらす症状は、日常生活に大きな支障をきたします。特に「腫れ」と「痛み」は顕著であり、その特徴を詳しく知ることで、早期の対処につながります。

突然始まる激しい痛み

膝の痛風発作における最大の特徴は、何の前触れもなく、夜中から明け方にかけて突然始まる激しい痛みです。

ズキズキ、ジンジンといった拍動するような痛みが特徴で、その強さは「骨折かと思った」と表現する人もいるほどです。

この痛みは発症から24時間以内にピークに達し、少しでも膝を動かそうとしたり、物が触れたりするだけで激痛が走ります。

パンパンに腫れあがる膝

痛みと同時に、あるいは少し遅れて、膝の「腫れ」が現れます。「痛風 膝 腫れ」で検索する方が多いように、この腫れは非常に顕著です。

関節内に溜まった尿酸塩結晶に対する炎症反応によって、大量の関節液が分泌され、膝がパンパンに腫れ上がります。

ズボンの着用が困難になったり、膝の輪郭が分からなくなるほど腫れたりすることもあります。この強い腫れは、膝の曲げ伸ばしを著しく制限します。

膝の腫れのレベル

レベル見た目の特徴状態
軽度健常な側と比べて少し腫れぼったい。膝のシワが浅くなる程度。
中等度明らかに膝の輪郭がぼやけている。関節液が溜まっているのが分かる。
重度膝がパンパンに張り、皮膚が光って見える。膝の曲げ伸ばしがほとんどできない状態。

膝が熱を持つ感覚と赤み

炎症が起きている部位では血流が増加するため、患部は熱を持ちます。膝の痛風でも同様に、腫れている部分に触れると明らかに熱っぽく感じます。これを「熱感」といいます。

また、皮膚の表面が赤くなる「発赤」という症状も伴います。これらの熱感や発赤は、体内で激しい炎症が起きているサインです。

冷たいタオルなどで冷やすと、一時的に心地よく感じることがあります。

歩行が困難になるほどの症状

激しい痛み、著しい腫れ、そして可動域の制限。これらの症状が複合的に作用し、膝の痛風発作が起きると、多くの場合は自力での歩行が困難になります。

体重をかけるだけで激痛が走るため、杖や松葉杖が必要になったり、ひどい場合には寝たきりに近い状態になったりすることもあります。

この状態は通常数日間続きますが、日常生活への影響は計り知れません。

他の膝の痛みとの見分け方

膝が痛む病気は痛風だけではありません。適切な対処をするためには、他の代表的な病気との違いを知っておくことが重要です。

変形性膝関節症との違い

高齢者の膝の痛みの原因として最も多いのが変形性膝関節症です。これは、加齢や体重の増加などにより、膝関節の軟骨がすり減って炎症や変形が起こる病気です。

痛風との大きな違いは、痛みの現れ方です。変形性膝関節症の痛みは、歩き始めや階段の上り下りなど、動作の開始時に現れることが多く、安静にしていると和らぐ傾向があります。

一方、痛風の痛みは安静時にも激しく、突然発症するのが特徴です。

痛風と変形性膝関節症の比較

項目痛風(膝)変形性膝関節症
発症の仕方突然、急速に悪化するゆっくりと慢性的に進行する
痛みのピーク24時間以内動作時が中心
腫れ・熱感非常に強い軽度〜中等度(急性増悪時を除く)

関節リウマチとの比較

関節リウマチは、免疫の異常によって自分自身の関節を攻撃してしまう自己免疫疾患です。

朝起きた時に関節がこわばる「朝のこわばり」が特徴的な症状で、多くの場合、手や足の指の関節から発症します。

関節リウマチは、左右対称に複数の関節が腫れて痛むことが多いのに対し、痛風は一つの関節(膝の場合は片膝)に急激な症状が現れる「単関節炎」が典型的です。

この発症パターンの違いが、両者を見分ける一つのポイントになります。

偽痛風(ぎつうふう)との鑑別

痛風と非常によく似た症状を引き起こす病気に偽痛風(ぎつうふう)があります。

偽痛風は、尿酸塩結晶ではなく、「ピロリン酸カルシウム」という別の種類の結晶が関節内に沈着して炎症を起こす病気です。

症状は痛風発作と酷似しており、突然の激しい関節痛、腫れ、発赤、熱感を引き起こします。偽痛風は高齢者、特に膝や肩などの大きな関節に発症しやすい傾向があります。

症状だけでは区別が困難なため、確定診断には関節液を採取して顕微鏡で結晶の種類を調べる検査が必要です。

痛風になりやすい人の特徴と生活習慣

痛風は「贅沢病」と昔から言われるように、日々の生活習慣と深く関わっています。どのような人が痛風になりやすいのか、その特徴を知り、自身の生活を見直してみましょう。

食生活とプリン体の関係

プリン体は尿酸の元になる物質です。プリン体は体内で生成されるほか、食事からも摂取されます。レバーや白子、魚の干物、えび、あんこう鍋などに多く含まれています。

これらの食品を過剰に摂取する食生活は、尿酸値を上昇させる大きな要因となります。バランスの取れた食事を心がけ、プリン体の多い食品に偏らないようにすることが大切です。

プリン体を多く含む食品群の例

食品カテゴリー具体例注意点
肉類(特に内臓)レバー(鶏・豚・牛)、ハツ高プリン体食品の代表格。摂取量に注意。
魚介類白子、あん肝、干物、イワシ、エビ特に魚卵や小型の魚に多く含まれます。
その他ビール酵母、大豆健康食品でもプリン体が多い場合があります。

アルコール摂取の影響

アルコールは尿酸値を上げる複数の要因を持っています。まず、アルコール自体が体内で分解される際に尿酸の産生を促進します。次に、アルコールの利尿作用によって体内の水分が失われ、一時的に血液中の尿酸濃度が上昇します。

さらに、腎臓からの尿酸の排出を妨げる働きもあります。特にビールはプリン体を多く含むため注意が必要ですが、プリン体ゼロを謳う発泡酒や焼酎、ウイスキーなど他の種類のアルコールであっても、アルコールそのものの作用によって尿酸値は上昇します。

したがって、お酒の種類にかかわらず、摂取量そのものをコントロールすることが重要です。休肝日を設けるなど、賢い付き合い方を考えましょう。

肥満や運動不足との関連性

肥満、特に内臓脂肪が多い状態は、尿酸の産生を促進し、同時に腎臓からの排出を低下させることが分かっています。肥満は痛風の強力な危険因子であり、体重を減らすだけで尿酸値が改善するケースも少なくありません。

一方、運動不足も肥満につながり、間接的に痛風のリスクを高めます。ただし、痛風発作が起きている最中や、尿酸値が非常に高い状態での激しい無酸素運動は、かえって発作を誘発する可能性があるため注意が必要です。

ウォーキングや軽いジョギング、水泳などの有酸素運動を継続的に行うことが推奨されます。

性別や遺伝的要因

痛風は圧倒的に男性に多い病気です。これは、女性ホルモンに尿酸の排出を促す働きがあるためで、女性は閉経を迎えるまで痛風になりにくいとされています。

しかし、閉経後は女性ホルモンの分泌が減少するため、女性でも痛風を発症するリスクは高まります。また、尿酸を排泄する能力には個人差があり、これには遺伝的な体質が関係していると考えられています。

家族に痛風の人がいる場合は、より一層、生活習慣に注意を払うことが大切です。

  • 食生活の乱れ
  • アルコールの過剰摂取
  • 肥満・運動不足
  • ストレス

膝の痛風発作が起きたときの応急処置

もし膝に痛風発作と思われる激しい痛みが起きた場合、医療機関を受診するまでの間、少しでも症状を和らげるために家庭でできる応急処置があります。

ただし、これらはあくまで一時的な対処法であることを理解しておきましょう。

まずは安静にする

最も重要なことは、患部を安静に保つことです。痛む膝を無理に動かしたり、マッサージしたりすると、炎症が悪化して痛みがさらに強くなる可能性があります。

仕事や家事は休み、できるだけ動かずに楽な姿勢で過ごしてください。歩く必要がある場合は、杖を使うなどして膝への負担を最小限に抑えましょう。

患部を冷やすことの効果

炎症を起こして熱を持っている患部を冷やすことは、痛みの緩和に有効です。冷たい水で濡らしたタオルや、保冷剤をタオルで包んだものを膝に当てます。

この処置により、炎症による血管の拡張を抑え、痛みを和らげることができます。ただし、凍傷にならないように、保冷剤などを直接肌に長時間当てるのは避けてください。

痛む膝を心臓より高く保つ

横になる際は、クッションや座布団などを膝の下に入れ、膝の位置を心臓よりも高く保つように工夫します。これを「挙上(きょじょう)」といいます。

この体勢をとることで、患部の血流が緩やかになり、腫れや痛みの軽減につながります。就寝時にも試してみると良いでしょう。

痛風発作時の応急処置でやってはいけないこと

行動理由
患部を温める血行が促進され、炎症と痛みが悪化する可能性があります。入浴もシャワー程度にしましょう。
マッサージをする刺激によって関節内の尿酸塩結晶が散らばり、炎症を広げてしまう恐れがあります。
アルコールを飲む血行を良くし、尿酸値をさらに上昇させるため、症状を悪化させる原因になります。

痛風と診断された後の膝のケアと予防

痛風発作の痛みは、時間が経てば治まります。しかし、それは一時的な休戦状態にすぎません。根本的な原因である高尿酸血症を放置すれば、必ずと言っていいほど発作は再発します。

再発を繰り返し、慢性化させないための管理が重要です。

医療機関での診断と治療の重要性

膝に痛風を疑う症状が現れたら、まずは整形外科などの医療機関を受診し、正確な診断を受けることが第一歩です。

医師は、症状の問診、血液検査による尿酸値の測定、関節液の検査などを行い、痛風かどうかを判断します。診断が確定すれば、まずは発作の炎症と痛みを抑える薬(抗炎症薬)が処方されます。

そして、発作が治まった後、尿酸値を下げる薬(尿酸降下薬)による治療を開始するのが一般的です。

自己判断で治療を中断せず、医師の指示に従って根気よく治療を続けることが、再発防止の鍵となります。

尿酸値をコントロールする生活改善

薬物治療と並行して、生活習慣の改善に取り組むことが極めて重要です。薬だけに頼るのではなく、日々の生活を見直すことで、より効果的に尿酸値をコントロールできます。

生活習慣の改善ポイント

項目具体的な行動目的
食事プリン体の多い食品を控え、バランスの良い食事を心がける。尿酸の元を減らす。
飲酒節酒を心がけ、休肝日を設ける。アルコールによる尿酸値上昇を防ぐ。
水分補給水やお茶を1日2リットルを目安にこまめに飲む。尿量を増やし、尿酸の排泄を促す。
運動ウォーキングなどの有酸素運動を継続する。肥満を解消し、尿酸値を下げる。

定期的な検査と継続的な管理

痛風は、高血圧や糖尿病と同じように、長期的な管理が必要な慢性疾患です。

症状がないからといって油断せず、定期的に医療機関で血液検査を受け、尿酸値が目標値(通常は6.0mg/dL以下)にコントロールできているかを確認することが大切です。

継続的な治療とセルフケアによって、痛風発作の再発を防ぎ、膝をはじめとする関節を健康に保つことができます。この地道な管理が、将来の合併症を防ぐことにもつながります。

よくある質問(Q&A)

ここでは、痛風による膝の症状に関して、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

Q. 膝の痛風は一度なると癖になりますか?

A. 「癖になる」というよりは「再発しやすい」と考えるのが適切です。痛風発作は、根本原因である高尿酸血症が改善されない限り、繰り返し起こる可能性が非常に高いです。

発作の痛みが治まっても、尿酸値が高いままであれば、関節内には尿酸塩結晶が蓄積し続けています。

そのため、治療を受けずに放置すると、発作の間隔が短くなったり、膝以外の関節にも症状が広がったりすることがあります。継続的な尿酸値の管理が再発防止には不可欠です。

Q. プリン体を全く摂らない方が良いのですか?

A. プリン体を完全にゼロにすることは現実的ではありませんし、その必要もありません。プリン体は細胞の核を構成する重要な成分であり、ほとんどの食品に含まれています。

大切なのは、プリン体を極端に多く含む食品の摂取頻度や量を減らし、栄養バランスの取れた食事を心がけることです。過度な食事制限はストレスになり、かえって長続きしません。

医師や管理栄養士と相談しながら、自分に合った食生活を見つけることが重要です。

  • レバー類
  • 白子、あん肝
  • 魚の干物

上記の食品は特にプリン体が多いので、摂取量には注意しましょう。

Q. 膝の水を抜くと痛風は治りますか?

A. 膝に溜まった関節液(いわゆる「水」)を注射で抜く「関節穿刺(かんせつせんし)」は、診断や症状緩和の目的で行います。

関節液を抜くことで、パンパンに張った膝の圧力が下がり、一時的に痛みが楽になることがあります。また、採取した関節液を調べることで、痛風の確定診断にもつながります。

しかし、これは対症療法であり、関節液を抜くだけで痛風が治るわけではありません。原因である高尿酸血症の治療を行わなければ、また関節液は溜まってしまいます。

Q. 症状が治まれば医療機関に行かなくても大丈夫ですか?

A. いいえ、大丈夫ではありません。痛風発作の痛みが自然に治まったとしても、それは一時的なものです。

高尿酸血症を放置すると、痛風発作を繰り返すだけでなく、関節の変形、腎臓の機能障害(痛風腎)、尿路結石といった合併症を引き起こすリスクが高まります。さらに、高尿酸血症は心筋梗塞や脳卒中などの生命に関わる病気のリスクを高めることも知られています。

症状がない時期にこそ、将来の健康のために医療機関を受診し、適切な治療と管理を開始することが大切です。

以上

参考文献

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Author

北城 雅照

医療法人社団円徳 理事長
医師・医学博士、経営心理士

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