足立慶友医療コラム

股関節の臼蓋形成不全による症状と治療の進め方

2025.07.23

股関節に痛みや違和感を抱えていませんか。その症状は、もしかしたら「臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)」が原因かもしれません。

この名前を初めて聞く方も多いでしょう。臼蓋形成不全は、股関節の骨盤側の受け皿(臼蓋)が浅いために、太ももの骨の先端(大腿骨頭)を十分に覆うことができず、関節が不安定になる状態を指します。

この記事では、臼蓋形成不全がなぜ起こり、どのような症状を引き起こすのか、そしてどのような治療の選択肢があるのかを、一つひとつ丁寧に解説していきます。

股関節の臼蓋形成不全とは

ここでは、股関節の基本的なつくりから説き起こし、臼蓋形成不全がどのような状態を指すのかを具体的に説明します。

生まれつきの要因が関わることも多く、特に女性に見られる傾向があります。ご自身の体の状態を正しく知るための第一歩です。

股関節の構造と役割

股関節は、体の中で最も大きな関節の一つです。

骨盤の寛骨臼(かんこつきゅう)というソケット(受け皿)に、大腿骨頭(だいたいこっとう)というボール状の骨の先端がはまり込む形をしています。

この球関節という構造により、脚を前後左右、そして回すといった複雑な動きができます。関節の表面は、衝撃を吸収し、動きを滑らかにする「関節軟骨」というクッションで覆われています。

股関節の主な機能

機能内容重要性
体重の支持立ったり歩いたりする際に、上半身の重さを支える。安定した姿勢を保つために必要。
動作の起点歩行、走行、しゃがむ、立ち上がるなどの基本動作を可能にする。活動的な日常生活を送る上で中心的な役割を担う。
衝撃の吸収歩行やジャンプの際に地面から伝わる衝撃を和らげる。体への負担を軽減し、他の関節や背骨を守る。

臼蓋形成不全の定義

臼蓋形成不全とは、寛骨臼の形状が正常よりも浅かったり、小さかったりすることで、大腿骨頭を十分に覆えていない状態を指します。屋根が小さい家を想像すると分かりやすいかもしれません。

屋根(臼蓋)が小さいと、柱(大腿骨頭)が不安定になり、少しのことでぐらついてしまいます。この不安定さにより、関節軟骨の特定の部分に過度な負担がかかりやすくなります。

なぜ臼蓋形成不全が起こるのか

臼蓋形成不全の多くは、生まれつきの股関節の形状に起因します。胎児期の発育の過程で、臼蓋が十分に深くならなかったことが主な要因と考えられています。

遺伝的な要素が関与することもありますが、必ずしも親から子へ遺伝するわけではありません。

また、乳幼児期の抱き方やおむつの当て方などが、股関節の発育に影響を与える可能性も指摘されています。

日本人における特徴

臼蓋形成不全は、欧米人と比較して日本人に多い傾向があります。特に女性に多く見られ、その背景には骨格的な特徴や、かつての生活習慣などが関係しているという説もあります。

多くの場合、若い頃は無症状で過ごし、年齢を重ねるにつれて徐々に症状が現れることが特徴です。

臼蓋形成不全の性別・年代別傾向

項目特徴補足
性別女性に多い(男性の数倍から10倍程度)骨盤の形状やホルモンの影響などが考えられる。
発症年齢30代後半から50代にかけて症状が出やすい加齢や体重増加、活動量の変化がきっかけになる。
自覚の有無若い頃は自覚症状がないことが多いレントゲン検査で初めて指摘されるケースも少なくない。

臼蓋形成不全が引き起こす主な症状

臼蓋形成不全があっても、すぐに症状が出るとは限りません。しかし、関節への負担が蓄積すると、痛みや動かしにくさといったサインが現れ始めます。

ここでは、初期段階から進行期にかけて見られる症状の変化を詳しく解説します。

初期段階で見られるサイン

初期の症状は、比較的軽いものがほとんどです。長時間歩いた後や、運動の後に股関節の付け根(鼠径部)や、お尻のあたりにだるさや重い感じを覚えることがあります。

痛みが出たとしても、少し休むと和らぐことが多いため、見過ごしてしまうことも少なくありません。「何となくおかしい」と感じる程度の違和感が、最初のサインである場合が多いです。

症状が進行した場合の変化

状態が進行すると、痛みがより頻繁に、そして強くなります。安静にしていても痛みが続くようになったり、夜間に痛みで目が覚めたりすることもあります。

関節軟骨のすり減りが進むと、関節の動きが悪くなり、「あぐらがかけない」「靴下が履きにくい」「足の爪が切りにくい」といった、日常生活での具体的な支障が現れます。

初期症状と進行期症状の比較

項目初期症状進行期の症状
痛みの頻度長時間歩いた後など、時々感じる安静時や夜間にも痛み、持続的になる
痛みの強さだるさ、重い感じ、軽い痛み日常生活に支障をきたす強い痛み
関節の動き違和感はあるが、ほぼ正常に動く動きが制限され、特定の動作が困難になる

日常生活で感じる具体的な痛み

臼蓋形成不全による痛みは、股関節の付け根(鼠径部)に感じることが最も一般的です。

しかし、人によっては太ももの前側やお尻、膝に痛みを感じることもあり、腰痛と間違えるケースもあります。次のような動作で痛みを感じやすいのが特徴です。

  • 立ち上がりや歩き始めの一歩
  • 階段の上り下り
  • 車やバスの乗り降り
  • 和式トイレでの動作や深くしゃがむこと

跛行(はこう)について

跛行とは、痛みや関節の動きの制限を避けるために、無意識に歩き方が不自然になる状態を指します。

具体的には、痛い方の足をついている時間が短くなったり、体を左右に揺らしながら歩いたりするようになります。

これは、痛みをかばうための代償動作であり、症状が進行している一つのサインと捉えることができます。

症状を自己チェックする方法

股関節の不調を感じたとき、それが臼蓋形成不全によるものか、ご自身で簡単なチェックをすることができます。

ただし、これらの方法はあくまで目安であり、正確な診断には専門医による診察が必要です。気になる点があれば、自己判断で終わらせず、医療機関に相談しましょう。

股関節の動き(可動域)の確認

仰向けに寝た状態で、左右の脚の動きを比べてみましょう。片方の膝を胸に引き寄せたり、膝を立てた状態で内外に倒したりしてみてください。

このとき、左右で動きの大きさに差があったり、特定の方向に動かすと痛みや詰まる感じがしたりする場合、股関節に何らかの問題がある可能性があります。

特定の姿勢で痛みが出るか

椅子に座って足を開いたり、あぐらをかこうとしたりした時に、股関節の付け根に痛みや違和感が生じるかを確認します。

また、靴下を履く動作や足の爪を切る動作が、以前と比べてやりにくくなっていないかもチェックポイントです。

これらの動作は股関節を深く曲げたり、開いたりする必要があるため、問題があると困難になります。

ご自身で確認できるチェック項目

チェック項目確認する内容注意すべきサイン
あぐら床に座ってあぐらをかけるか。膝が床から浮いてしまう、付け根が痛む。
爪切り・靴下椅子に座って楽に足の爪が切れるか。足を引き寄せるのがつらい、体が硬くなったと感じる。
しゃがみ込みかかとをつけたまま深くしゃがめるか。バランスを崩す、付け根が詰まる感じがする。

歩き方の変化に気づく

ご家族や友人に歩き方を見てもらったり、ショーウィンドウに映る自分の姿を確認したりするのも一つの方法です。

以前と比べて歩幅が狭くなっていないか、体を左右に揺らして歩いていないか、といった変化は、股関節の問題を示唆するサインかもしれません。

自己チェックの限界と注意点

これらの自己チェックは、あくまでも受診のきっかけとするためのものです。痛みや動きの制限には、他の病気が隠れている可能性もあります。

自己判断で運動を始めたり、マッサージをしたりすると、かえって症状を悪化させる危険もあります。不安な症状があれば、必ず専門の医療機関を受診してください。

医療機関での診断の流れ

股関節の専門医は、丁寧な問診と身体診察、そして画像検査を組み合わせて、臼蓋形成不全の診断を的確に行います。

ここでは、医療機関を受診してから診断が確定するまでの一般的な流れを解説します。ご自身の症状を正確に伝える準備にも役立ててください。

問診で伝えるべきこと

医師があなたの状態を正確に把握するために、問診は非常に重要です。いつから、どこが、どのように痛むのかを具体的に伝えることが大切です。

以下の点を整理しておくと、診察がスムーズに進みます。

  • 症状が始まった時期
  • 痛みの場所(付け根、お尻、太ももなど)
  • 痛みが強くなる動作や状況
  • これまでの病歴やけがの経験
  • 家族に同様の症状を持つ人がいるか

身体診察(視診・触診・徒手検査)

次に、医師が直接股関節の状態を確認します。歩き方や姿勢を観察し(視診)、痛みの場所や筋肉の状態を触って確かめます(触診)。

さらに、ベッドに横になって医師が脚を動かし、股関節の可動域や痛みが出る角度を調べる徒手検査を行います。この検査により、股関節の機能的な問題を評価します。

画像検査の種類と目的

問診と身体診察で得られた情報をもとに、診断を確定させるために画像検査を実施します。

主にレントゲン検査が行われますが、より詳しい情報が必要な場合にはMRI検査やCT検査を追加することもあります。

レントゲン(X線)検査

レントゲン検査は、骨の状態を評価するための基本的な検査です。

臼蓋の被りが浅いかどうか(臼蓋形成不全の程度)や、大腿骨頭との位置関係、関節の隙間の広さ(軟骨の厚さ)、骨の変形の有無などを確認します。

立って体重をかけた状態で撮影することで、より正確な関節の状態を評価できます。

MRI検査

MRI検査は、レントゲンでは写らない軟部組織、つまり関節軟骨や、関節唇(かんせつしん)と呼ばれる臼蓋の縁にある組織の状態を詳しく見るために行います。

軟骨がどれくらいすり減っているか、あるいは関節唇に損傷がないかなどを評価し、治療方針を決定する上で重要な情報となります。

CT検査

CT検査は、骨の形状を三次元的に、より詳細に評価するために用います。特に手術を検討する際には、臼蓋や大腿骨頭の立体的な形を正確に把握するために実施することがあります。

この情報により、より精密な手術計画を立てることが可能になります。

各種画像検査の比較

検査方法主な評価対象検査で分かること
レントゲン検査臼蓋の被りの程度、骨の変形、関節の隙間
MRI検査軟骨、関節唇、筋肉など軟骨のすり減り、関節唇損傷、炎症の有無
CT検査骨(立体的評価)骨の形状や位置関係の詳細な把握

診断確定までの道のり

医師は、これら問診、身体診察、画像検査の結果を総合的に判断して、最終的な診断を下します。

臼蓋形成不全と診断された場合、その重症度や、変形性股関節症への進行度合いなどを評価し、一人ひとりの状態に合わせた治療方針を検討していきます。

治療法の選択肢

臼蓋形成不全の治療は、年齢、症状の程度、活動レベル、そして患者さん自身の希望などを考慮して決定します。

治療法は大きく「保存療法」と「手術療法」の二つに分けられます。それぞれの目的と特徴を理解し、ご自身にとってどのような選択肢があるのかを知ることが大切です。

保存療法の目的と主な内容

保存療法は、手術をせずに症状の緩和と進行の予防を目指す治療法です。主に、症状が比較的軽い場合や、まだ関節の変形が進んでいない初期段階で選択します。

目的は、股関節への負担を減らし、痛みをコントロールしながら、できるだけ長く自分の関節を維持することです。

運動療法(リハビリテーション)

理学療法士などの専門家の指導のもと、股関節周辺の筋力を強化したり、関節の柔軟性を高めるストレッチを行ったりします。

筋力をつけることで関節の安定性が増し、痛みの軽減につながります。

薬物療法

痛みが強い場合には、消炎鎮痛薬(飲み薬や貼り薬)を使用して、一時的に炎症や痛みを和らげます。

ただし、薬は根本的な解決策ではなく、あくまで症状を緩和するための対症療法と位置づけます。

日常生活の工夫

股関節に負担をかける動作を避けることも重要です。体重管理、杖の使用、和式から洋式の生活への変更などが含まれます。

このことにより、関節への負担を日常的に減らすことができます。

手術療法の種類と適応

保存療法で十分な効果が得られない場合や、症状が進行し日常生活に大きな支障が出ている場合には、手術療法を検討します。

手術の目的は、痛みの原因を根本的に取り除き、股関節の機能を取り戻すことです。

骨切り術

比較的若く、まだ関節軟骨の状態が良い場合に適応となることが多い手術です。自分の骨盤の骨を切って臼蓋の被りを良くするように移動させ、関節の安定性を高めます。

自分の関節を温存できる点が大きな利点です。

人工股関節置換術

関節の変形が進行し、軟骨がすり減ってしまった場合に選択する手術です。傷んだ股関節を、金属やポリエチレンなどでできた人工の関節に置き換えます。

除痛効果が高く、早期に安定した歩行能力を獲得できることが特徴です。

治療方針の決定

最終的な治療方針は、医師と患者さんが十分に話し合って決定します。

それぞれの治療法の利点と欠点を理解し、ご自身のライフスタイルや将来の希望を医師に伝えることが、納得のいく治療選択につながります。

保存療法と手術療法の比較

治療法主な目的主な対象
保存療法症状の緩和、進行の予防症状が軽度、関節の変形が少ない方
手術療法痛みの根本的な除去、関節機能の再建症状が重度、日常生活に大きな支障がある方

保存療法を詳しく解説

手術を選ばない、あるいは手術の時期を遅らせたいと考える場合、保存療法が中心となります。日々の地道な取り組みが、股関節の健康を維持する鍵となります。

ここでは、ご自身で取り組める運動療法や生活上の注意点を具体的に見ていきましょう。

股関節周辺の筋力強化

股関節を支える筋肉、特にお尻の筋肉(中殿筋など)を鍛えることは、関節の安定性を高め、負担を軽減する上で非常に重要です。

ただし、自己流でトレーニングを行うと、かえって痛みを悪化させる可能性があります。必ず医師や理学療法士の指導のもと、正しい方法で行いましょう。

自宅でできる筋力トレーニングの例

トレーニング名方法注意点
ヒップアブダクション横向きに寝て、上側の脚をゆっくりと持ち上げる。体が開かないように、お尻の筋肉を意識する。
ブリッジ仰向けで膝を立て、お尻をゆっくりと持ち上げる。腰を反らしすぎず、お尻と太ももの裏の力を使う。

可動域を維持・改善するストレッチ

関節が硬くなると、動きが制限されるだけでなく、周囲の筋肉にも負担がかかります。痛みが出ない範囲で、股関節周りの筋肉をゆっくりと伸ばすストレッチを行いましょう。

特にお尻や太ももの筋肉を柔軟に保つことが大切です。お風呂上がりの体が温まっている時に行うと、より効果的です。

体重管理の重要性

股関節には、歩行時に体重の3〜4倍、階段の上り下りではさらに大きな負荷がかかります。体重が1kg増えるだけで、股関節への負担は大きく増加します。

適正体重を維持することは、股関節への負担を直接的に減らす、最も効果的な方法の一つです。バランスの取れた食事と、無理のない範囲での運動を心がけましょう。

痛みを悪化させないための注意点

日常生活の中で、無意識に股関節へ負担をかけていることがあります。以下の点に注意して、関節をいたわる生活を送りましょう。

  • 床に座る生活から、椅子やベッドを使う洋式の生活へ切り替える。
  • 重いものを頻繁に持たない。
  • 長時間の立ち仕事や歩行を避け、こまめに休憩をとる。
  • 痛みが強いときは無理をせず、杖などを使用して負担を減らす。

手術療法を詳しく解説

保存療法では改善が見込めず、痛みが生活の質を大きく下げている場合、手術療法が有効な選択肢となります。

ここでは、代表的な「寛骨臼回転骨切り術」と「人工股関節置換術」について、それぞれの特徴や手術後の流れを説明します。

寛骨臼回転骨切り術(RAO)

この手術は、自分の関節を温存する手術です。骨盤の骨の一部を球状に切り、それを回転させることで、大腿骨頭への被りを深くします。

これにより、関節の接触面積が広がり、圧力が分散されて安定性が増します。

自分の関節が残るため、術後の活動制限が比較的少ないことが利点ですが、骨が癒合するまでに時間がかかり、リハビリ期間も長くなる傾向があります。

人工股関節置換術(THA)

傷んだ関節面を削り、金属やセラミック、高機能ポリエチレンなどでできた人工の関節に置き換える手術です。

痛みの原因となる部分そのものを除去するため、非常に高い除痛効果が期待できます。手術後の回復も比較的早く、多くの方が安定した歩行能力を取り戻します。

一方で、人工関節には耐用年数があり、将来的に入れ替えの手術(再置換術)が必要になる可能性も考慮します。

骨切り術と人工股関節置換術の主な違い

項目寛骨臼回転骨切り術(RAO)人工股関節置換術(THA)
関節の温存自分の関節を温存する人工の関節に置き換える
主な対象年齢比較的若い世代(20代〜40代)主に中高年以降(50代〜)
術後の回復骨の癒合を待つため、時間がかかる比較的早く、早期の歩行訓練が可能

手術後のリハビリテーション

どちらの手術を受けた場合でも、術後のリハビリテーションは極めて重要です。手術で改善した関節の機能を最大限に引き出し、安定した日常生活を取り戻すことを目指します。

理学療法士の指導のもと、筋力トレーニングや歩行訓練などを、個々の状態に合わせて段階的に進めていきます。

手術を受ける際の心構え

手術は、ゴールではなく新しい生活へのスタートです。手術を受ける前には、医師から手術内容やリスク、術後の見通しについて十分な説明を受け、納得することが大切です。

また、術後のリハビリに前向きに取り組む姿勢が、良好な結果につながります。

よくある質問

最後に、臼蓋形成不全と診断された方や、その可能性を心配されている方からよく寄せられる質問にお答えします。ご自身の疑問や不安を解消するための一助としてください。

Q. 遺伝は関係しますか?

A. 家族内に臼蓋形成不全の方がいる場合、ご自身も同じ傾向を持つ可能性は統計的に高いとされています。

しかし、必ずしも遺伝するわけではなく、発症には複数の要因が関わると考えられています。血縁者に股関節の不調を抱える方がいる場合は、一度専門医に相談してみるのも良いでしょう。

Q. スポーツを続けても良いですか?

A. 症状の程度やスポーツの種類によります。ジャンプや急な方向転換が多い、接触の激しいスポーツは、股関節への負担が大きいため、控えるか、制限する必要があるかもしれません。

一方で、水泳や自転車など、関節への負担が少ない運動は、筋力維持のために推奨されることもあります。どのような運動が適しているか、必ず主治医に確認してください。

Q. 妊娠・出産は可能ですか?

A. 臼蓋形成不全があっても、多くの場合、妊娠・出産は可能です。ただし、妊娠中は体重が増加し、ホルモンの影響で関節が緩むため、股関節への負担が増して痛みが強くなることがあります。

産婦人科医と整形外科医の両方と連携し、妊娠中から産後にかけての体調管理や生活上の注意点について、指導を受けることが重要です。

Q. 治療にかかる期間はどれくらいですか?

A. 治療期間は、選択する治療法や症状の重症度によって大きく異なります。保存療法の場合は、症状とうまく付き合いながら、長期的に生活習慣の改善や運動を続けることになります。

手術療法の場合、入院期間は数週間から1ヶ月程度が一般的ですが、その後も数ヶ月から1年程度のリハビリテーションが必要です。

個々の状況によって大きく変わるため、具体的な見通しについては主治医に確認しましょう。

以上

参考文献

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Author

北城 雅照

医療法人社団円徳 理事長
医師・医学博士、経営心理士

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