足立慶友医療コラム

今回は、外反母趾について説明していきたいと思います。

今回の10秒まとめ

①外反母趾とは、足の親指が付け根から、小指側へ「く」の字のように曲がっている状態です。内反小趾を併発している場合も多く、女性で圧倒的に多くみられる変形です。

②外反母趾になる原因は、ハイヒールやパンプス等の靴による物理的な変形、扁平足や開張足等の足のアーチの崩れからの併発、関節リウマチからの合併症など様々な原因があります。

③外反母趾が起こす問題は、母趾の付け根にバニオンと呼ばれる胼胝(べんち、たこ)を形成し、痛みを生じることです。歩くことで、痛みや腫れが増強してしまうことも多いです。

④外反母趾への対処法としては、靴の選定や体重管理などの生活指導、インソール調整、運動療法などの保存的治療と、外科的治療があります。

 

外反母趾とは?

外反母趾は、足の親指(母趾)が付け根から、小指側へ「く」の字のように曲がっている状態です。

似たような足の変形で、内反小趾というものがあります。
内反小趾は、外反母趾とは反対に、足の小指(小趾)が親指の方向に曲がってしまう状態です。

外反母趾、内反小趾は併発している場合も多く見受けられます。

男女の比率としては、圧倒的に女性の方が外反母趾になっている人が多い

 

外反母趾になる原因

① ハイヒールやパンプス等の靴による変形

ハイヒールなどの足の先端が狭くなっている靴を履くことで、
物理的に親指のくの字が強制されて変形が起こります。
女性は特にハイヒールを履くことが多いため、外反母趾になりやすいです。

② 扁平足や開帳足からの併発

扁平足や開帳足はという足の疾患はご存知でしょうか?
足は内側縦アーチ(一般的な土踏まず)横アーチ外側縦アーチという3つ立体構造で構成されています。そして足はこのアーチ構造を有する事で、地面からの衝撃を吸収でき、足、膝、腰などへの負担の軽減(クッション)となります。

また、扁平足や開帳足はこのアーチ構造が崩れることで生じます。
扁平足:足の内側縦アーチが低い状態
開帳足:足の横アーチが低い状態。足が扇状に広がり、足幅が広い状態

扁平足や開帳足は、外反母趾の原因の一つと考えられています。
足のアーチが正常であれば、土踏まずの名前の通りに足の内側は地面に接しませんが、
足のアーチが低下することで、足の内側、親指側への体重がかかりやすく母指球荷重が強くなり、外反母趾になりやすくなるからです。

③ 関節リウマチからの合併症

関節リウマチも足の変形を伴うことが多い疾患です。
外反母趾以外にも、内反小趾、開張足、扁平足、槌指(ハンマートゥ)、鉤爪趾(クロートゥ)などがあります。

外反母趾が起こす問題

外反母趾が引き起こす問題には、母趾の付け根にバニオンと呼ばれる胼胝(べんち、たこ)を形成し、痛みを生じることが挙げられます。
また、靴の内側と擦れることによって、腫脹発赤痛みが増強する場合も多くあります。

外反母趾が進行すると、横アーチが低下する事で足の第2趾やときに第3趾の付け根の足底面への負担が増加し、その部位にも痛みを伴う胼胝ができやすくなります。

変形が強くなると母趾が第2趾や第3趾の下に入り込むようになり、母趾の付け根の関節が背側に脱臼することもあります。

外反母趾への対処法 

保存的治療

生活指導

① 足に合った靴を履くこと
靴を選ぶ時に、自分の幅にあっているか、内側と当たっている部分がないか、など確認することが必要です。足がむくんでいるときに、靴との圧迫が強くなりやすいため、靴を選ぶときは足がむくみやすい夕方が良いとされています。
② 体重負荷を減らす
外反母指は足部への圧力、足のアーチの崩れが原因になることも多いです。体重が増えることにより、その圧力が強くなりますので、過度な体重増加には気を付けましょう。

インソール

外反母趾には、扁平足や開張足など足のアーチの崩れが伴うことが多く、歩行時に母趾で蹴り返しを行いずらくなるため、母趾の付け根にストレスがかかりやすくなります。
インソール(靴の中敷き)調整にて、歩行時の足のアーチの崩れを修正し、母趾の付け根に過度にストレスがかからないようにします。

インソールについてはこちらの記事をお読みください。

インソールについて

運動療法

外反母趾は、母趾が外側へ開かなくなってしまい、母趾だけでなく足の指全体で力を発揮しにくくなります。意識して足の指を動かす機会が減ってしまっているため、足の指を動かしていくことが大切になります。
足の指を使いやすくするために、足の指同士の間のマッサージを行うことや、
運動として、母趾を中心とした足の指の体操(グーパー体操、タオルつかみ運動)を行うことが効果的です。   

外科的治療

保存療法を行っても疼痛が改善しない場合は、手術療法を検討する必要があります。

具体的には、母趾の根元の骨を切り良い方向につなぎ合わせる方法が用いられています。

 

外反母趾は早期の対応が重要

外反母趾にならないために予防することが重要です。

外反母趾かな?と少しでも思っていて、異常を感じているのであれば、直ぐに専門家に相談して診てもらいましょう。当院では足の専門医による足の外科外来がございます。遠慮なくご相談ください。

仕事の関係上、ハイヒールやパンプス等を履かなければならない場合は、仕事以外の時間で、マッサージや足の指の運動をして日常的にケアをすることが特に大切になります。

日常生活でのストレスが外反母趾を助長しますので、ケアをしっかりしていきましょう。

 

当院のご紹介

各部門の専門家が集まった専門外来を設置

当院は、一般的な関節の痛みや筋肉の痛みを診る整形外科の他に、「脊椎(首・腰)」、「肩関節」、「股関節」、「膝関節」、「手」、「足」とそれぞれの専門家が集まった専門外来を用意しております。

他院で診断がつかない症状に関して、各領域の専門家が診察をいたします。

整形外科のご案内

手や足が痺れる、膝や股関節は痛い、背中が曲がってきたなどの症状でお困りの方へ

都内最大級のリハビリ室を完備

患者様の健康を取り戻すため、当院ではリハビリテーションに力を入れております。

国家資格を有するセラピスト達が、責任を持って治療を行います。

リハビリテーション科のご案内

腰が痛い、姿勢が悪い、歩くとふらつくなどの症状でお困りの方へ

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不幸にも交通事故に遭われた患者様の多くは、「事故のことは保険屋さんに聞けば良いが、体の不調をどこに相談すれば良いのかわからない」という悩みを抱えていらっしゃいます。

当院では交通事故診療に強い整形外科専門医が治療を行います。ぜひ一度ご相談ください。

交通事故にあわれた方へ

当院は、整形外科専門医が交通事故治療を行う医療機関です。

Author

高橋佳佑

理学療法士、ピラティスインストラクター

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