今回は中高年の肘の痛みで多い、テニス肘についてお伝えしていきます。
(文章中に、日本整形外科学会の『テニス肘』の図を利用させていただきました。こちらも参考にしてみてください。)
目次
今回の10秒まとめ
①テニス肘はあくまで通称であり、「上腕骨外側上顆炎」という疾患に当たります。
②テニス肘は、肘の外側に付着する筋肉の使い過ぎによって、付着部である上腕骨外側上顆(肘の外側)で炎症が起こります。
③上腕骨外側上顆炎では、日常生活においても、物を持つと肘が痛い、タオルを絞ると肘が痛いなどの症状が出てきます。
④テニス肘の治療としては、まず炎症が落ち着くまでは患部を安静に保ちましょう。
⑤テニス肘の予防として、上腕骨外側上顆に付着する筋肉のケアを行っておくことです。
⑥テニス肘の原因となる上腕骨外側上顆に付着する筋肉は、「短橈側手根伸筋」と「総指伸筋」になります。
⑦予防として、日常的にストレッチを欠かさずに行っていきましょう。
テニス肘の病態
テニス肘は、その名の通り、中年以降のテニスをしている人に起こりやすいため、「テニス肘」と呼ばれています。
テニス肘はあくまで通称であり、「上腕骨外側上顆炎」という疾患に当たります。上腕骨の外側、つまり肘の外側が炎症を起こす病態です。肘の外側に付着する筋肉の使い過ぎによって、付着部である上腕骨外側上顆(肘の外側)で炎症が起こります。
テニスをしていると、ラケットを振ったり、ラケットでボールを打ったりを繰り返すことで、肘の外側に炎症を起こします。
しかし、テニスに限らずラケットスポーツであれば、筋肉の使い過ぎによって肘の外側への負担がかかりやすくなります。上腕骨外側上顆炎は、テニスだけに起こる病態ではないことも注意しておきましょう。また、日常生活においても、物を持つと肘が痛い、タオルを絞ると肘が痛いなどの症状が出てきます。
上腕骨外側上顆炎の概要は以下の記事をご参照ください。
テニス肘は、症状、診断、治療方法ともに、上腕骨外側上顆炎と同様になります。テニスを定期的に行っていて、その際に、痛みが強く出てしまう場合であれば、テニス肘と言われます。この記事では、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の予防についてお伝えしていきます。
テニス肘の予防
テニス肘の治療としては、まず炎症が落ち着くまでは患部を安静に保ちましょう。
テニス肘の予防として、上腕骨外側上顆に付着する筋肉のケアを行っておくことです。
上腕骨外側上顆に付着する筋肉は、「短橈側手根伸筋」と「総指伸筋」になります。短橈側手根伸筋は、上腕骨の外側上顆(肘の外側の出っ張り部分)から指の背面に付着する筋肉で、「手首を反らす、親指側に手首を曲げる働き」をする筋肉になります。総指伸筋は、「指を反らす働き」をする筋肉になります。
テニスの中では、ラケットを持てば手首を立てて、親指側に手首を曲げる。ボールを打ちに行く時には手首を反らす。その動作の繰り返しがテニス肘、上腕骨外側上顆炎へとつながっていきます。これは、テニスに限らず、ラケットスポーツを行う以上、必要不可欠な動きです。だからこそ、日々のストレッチ等の身体のケアが重要になります。
ストレッチは、痛みが強い場合は行わないようにします。炎症、痛みが少し落ち着いてからストレッチをしていきましょう。もしくは、予防のために日々ストレッチしておくことをお勧めします。
短橈側手根伸筋のストレッチは、手首を掌側に曲げながら、小指側に曲げてください。反対の手を使って少しずつ気持ちよい伸びを感じながら行ってみてください。そのまま、指全体をグーにするように曲げると、総指伸筋も併せてストレッチすることができます。痛みが出ない範囲で20-30秒程度無理のないように行ってみてください。
日常生活での手首を反らす動き、親指側に手首を曲げる動きの繰り返しにも注意が必要です。
・バケツなど物をつかんで持ち上げる動作
・手首や指を頻繁に使う職業
・飲み物を注ぐ動作
・フライパンを使う動作
・タオルを絞る動き
以上のような動作が多い方、それで肘の外側が少し痛い方がいれば、日々のストレッチを取り入れてみてください。
テニス肘、上腕骨外側上顆炎に関連した、短橈側手根伸筋や総指伸筋だけでなく、肘関節、前腕手首、手指などデスクワークやスマホ等で硬くなりやすく、日常的にストレスが溜まりやすい部位に関しては、特に日々のケアを行うようにしていきましょう。
当院のご紹介
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