足立慶友医療コラム

エコーを用いた理学療法:膝関節前方について

2021.11.10

膝関節

階段を降りる時に膝が痛い、膝が痛くて立ち上がれない、など多くの方が膝の痛みで悩んでいらっしゃいます。

当院のリハビリ部門では、積極的にエコーを利用しています。

今回は、エコーを用いた治療についてご紹介しようと思います。

オンライン予約はこちら

当院のご紹介

今回の話の10秒まとめ。

① エコーは痛みがなく、放射線を使わないので被曝リスクがなく人体に安全である。

② リハビリの場面では、より詳細な病態が判断できる補助器具として活用されている。

③ 膝関節周囲には、「大腿前脂肪体」「膝蓋上脂肪体」「膝蓋下脂肪体」の3つの脂肪が存在する。

③ 人工膝関節置換術の手術では、脂肪体を切除する場合があり硬くなりやすい。

④ 脂肪体へのアプローチ方法は、触れたり動かしたりした際に痛くないかを確認し柔軟性を出していく。

エコーとは?

エコーは超音波検査とも呼ばれます。エコーは痛みがなく、放射線を使わないので被曝の心配もありません。

整形外科の領域で使用するメリットは、レントゲンやMRIと比較しながら筋肉や靱帯・腱などの軟部組織の損傷部位や程度を把握出来るため、より詳細な病態が判断できる補助診断材料として活用されています。

理学療法士がエコーを使ってよいの?

病気や疾患の診断を行えるのは医師のみですが、理学療法士が理学療法を行う上でエコーを用いて患部の観察を行うなどの補助器具して用いることは可能です。

むしろ、病態を正確に掴むために、積極的に用いるべきだと当院は考えております。

エコーで観察できる膝の周りの脂肪とは?

膝関節周囲には脂肪が存在しており、

①「大腿前脂肪体」

②「膝蓋上脂肪体」

③「膝蓋下脂肪体」

3つに分けることができます。

「大腿前脂肪体」

・膝を曲げるときのクッションとして働く

「膝蓋上脂肪体」

・大腿の骨とお皿(膝蓋骨)がぶつかるのを防いでくれる

・膝を伸ばすときに伸びやすく補助してくれる

 

図1.①と②のエコー観察時の様子

図2 膝蓋上脂肪体と膝蓋前脂肪体

「膝蓋下脂肪体」

・靭帯への血液を供給してくれる血流ポンプ作用

・血管や神経が豊富な組織である

・衝撃を吸収してくれる

クッション作用や循環面でも重要なためチェックすることが多いです。

図3.③のエコー観察時の様子

図4.エコーで観察できる膝蓋下脂肪体

人体における脂肪の役割は?

 この脂肪には、以下の役割があります。

1)エネルギーの貯蔵

2)保温効果

3)摩擦や刺激に対する衝撃吸収・軽減

4)スペースを埋め、滑りを良くする潤滑作用

5)組織を再生させる掃除の役割

上記の様に神経や血管が豊富なため、変形性膝関節症や膝の前の痛みに関与する事が報告されています

各脂肪によって役割が違うため、それぞれを評価できるのがエコーの長所と考えます。

変形性膝関節症に関しては以下にまとめてあります。

ぜひご覧ください。

自分で治す!変形性膝関節症の予防・治療について

膝の手術後にも固くなりやすい?

変形性膝関節症が進行した場合、人工膝関節置換術(TKA)の手術を行うことがあります。

この手術では、術式上で脂肪体を切除する場合があります。

その場合、脂肪体は回復過程において、拘縮や癒着と呼ばれ固くなりやすくなります。

人工膝関節置換術とその後のリハビリテーションの内容については、下記で詳しくまとめておりますのでぜひお読みください。

変形性膝関節症とは:その原因・治療法・進行予防について

どんな治療をするの??

脂肪体由来のリハビリのアプローチ方法は、まずは触れて痛くないかを確認します。

触れた時の痛みの程度にもよりますが、脂肪体は硬さが原因となり痛みが生じることが多いため、その柔軟性改善のために、脂肪体へのマッサージや膝関節を動かしながら治療を行います。

固さによっては、超音波などの物理療法を併用します。

まとめ

当院でのリハビリテーション時にはこのようにエコーを用いて介入を行う場合もあります。

エコーは国家資格ではないので、医療現場での活躍が大きく期待されている機器になります。

また膝の症状や膝関節疾患などでお悩みの方は、一度当院までご相談ください

オンライン予約はこちら

当院のご紹介

整形外科の診療に必要な設備が整った診療所

当院は、各種専門領域を持った医師の診療に加え、大学病院と同様の医療機器を有し、かつ、理学療法士・作業療法士によりリハビリテーションも積極的におこなっている診療所です。また、併設の慶友整形外科脊椎関節病院では手術加療も行なっております。

そのため当院では、整形外科疾患におけるほぼ全ての治療を提供することができます。

初めての患者さまへ当院のご紹介

当院の『7つの特徴』や『ミッション』についてご案内いたします。

各部門の専門家が集まった特殊外来を設置

当院は、一般的な関節の痛みや筋肉の痛みを診る整形外科の他に、「脊椎(首・腰)」、「肩関節」、「股関節」、「膝関節」、「手」、「足」とそれぞれの専門家が集まった専門外来を用意しております。

他院で診断がつかない症状に関して、各領域の専門家が診察をいたします。

整形外科のご案内

手や足が痺れる、膝や股関節は痛い、背中が曲がってきたなどの症状でお困りの方へ。

都内最大級のリハビリ室を完備

患者様の健康を取り戻すため、当院ではリハビリテーションに力を入れております。

国家資格を有するセラピスト達が、責任を持って治療を行います。

リハビリテーション科のご案内

腰が痛い、姿勢が悪い、歩くとふらつくなどの症状でお困りの方へ。

交通事故診療に強い整形外科専門医が診察

不幸にも交通事故に遭われた患者様の多くは、「事故のことは保険屋さんに聞けば良いが、体の不調をどこに相談すれば良いのかわからない」という悩みを抱えていらっしゃいます。

当院では交通事故診療に強い整形外科専門医が治療を行います。ぜひ一度ご相談ください。

交通事故にあわれた方へ

当院は、整形外科専門医が交通事故治療を行う医療機関です。

Author

竹内 雄登

理学療法士・ピラティスインストラクター・住環境福祉コーディネーター

Symptoms 症状から探す

症状から探す

Latest Column 最新のコラム

第14回日本ダンス医科学研究会学術集会参加の活動報告

2024.09.09

北部九州総体(インターハイ)2024 埼玉県代表男子バレーボール部サポート活動報告

北部九州総体(インターハイ)2024 埼玉県代表男子バレーボール部サポート活動報告

2024.09.02

第31回JOCジュニア・オリンピック・カップ・フェンシング大会兼2024年世界ジュニア・カデ・フェンシング選手権大会選考会サポート活動報告

第31回JOCジュニア・オリンピック・カップ・フェンシング大会兼2024年世界ジュニア・カデ・フェンシング選手権大会選考会サポート活動報告

2024.05.02

活動報告(天皇杯 第49回日本車いすバスケットボール選手権大会)

活動報告(天皇杯 第49回日本車いすバスケットボール選手権大会)

2024.05.01

埼玉県中体連柔道練成会サポート活動報告

2023.10.24

Ranking よく読まれているコラム

information 診療案内