足立慶友医療コラム

腰椎椎間板ヘルニア:腰から足のしびれ・痛み

2019.09.03

今回は、下肢痛を引き起こす坐骨神経痛の原因の一つである『腰椎椎間板ヘルニア』についてお話をします。

今回の10秒まとめ

① 腰椎椎間板ヘルニアは、坐骨神経痛の原因の一つ。

② 腰椎椎間板ヘルニアとは、椎間板(=背骨の間にある軟骨)が後方に飛び出し神経にぶつかることで生じる。

③ もっとも良く起こるのは第4と第5腰椎の間であり、臀部〜太ももの後面〜ふくらはぎの外側および足にかけて痛みや痺れがでる。

④ 椎間板ヘルニアの約7割の患者様が、3ヶ月以内に自然に痛みが消失する。

⑤ 足が動かない、便が出ない場合には緊急手術が必要となる。

⑥ これまでの治療法には(1) 保存療法、(2) 手術療法の2通りがあった。

⑦ 神経に直接痛み止めをする神経根ブロックなどを行なっても痛みが改善しない場合も手術を検討する必要があった。

⑧ 新しい治療法として「椎間板内酵素注入療法」が2018年8月から保険適応になり、認定施設でのみ行うことが可能になった。

⑨ 椎間板内酵素注入療法は、椎間板を縮小させることで神経の圧迫を解除する方法であり、現在注目を集めている治療である。

腰椎椎間板ヘルニアは、坐骨神経痛の原因の一つ

脊椎は、椎骨と呼ばれる骨と、椎骨に挟まれクッションの役割をしている椎間板と呼ばれる軟骨で構成されています。

腰椎椎間板ヘルニアとは、その椎間板が後方に飛び出し、後ろにある神経とぶつかることで、神経を障害する病気です。脊椎の中にある神経は、臀部から足の先まで伸び坐骨神経と呼ばれます。そして、この神経が障害されるとその走行に沿った痛みやしびれが生じます。これを坐骨神経痛と呼びます。

椎間板ヘルニアの好発部位は、4番目と5番目の椎骨の間

ヘルニアが最も生じるのは、腰骨の上から数えて4番目と5番目の骨の間です。次に多いのが5番目の骨と骨盤の骨の間です。この好発部位にヘルニアが生じると、臀部から太ももの後面や、ふくらはぎの外側から後面、および足にかけて痛みや痺れ、皮膚の違和感が生じます。

70%の患者様は3ヶ月以内に症状が改善する

椎間板ヘルニアの患者様の約7割の方は、3ヶ月以内に自然に痛みが消失します。従って、症状が出て3ヶ月以内では、特別な理由がない限り手術療法は行わず、薬物療法や神経で経過観察を行います。

椎間板ヘルニアで麻痺症状があれば緊急手術が必要

手術を行うべき特別な理由とは、下記の2つです。

① おしっこが出しづらくなる

② 足の動きが悪くなる

上記の場合は緊急手術が必要になりますので、早急に手術が可能な病院を受診することをお勧めします。

椎間板ヘルニアの保存療法は投薬とブロック注射

手術治療を行わない場合は、疼痛の早期改善のために投薬やブロック療法を行います。

ブロック療法には、

① 疼痛部位や神経の通り道に注射を行う

② 神経に直接注射を行う(=神経根ブロック)

というものがあります。神経根ブロックは他のブロック療法や薬物療法が効かない場合にのみ行います。

他院で「手術しかない」と言われた患者さまの中には、当院で神経根ブロックを行い痛みが劇的に改善し、手術治療を行わずに済んだ方もいらっしゃいます。

当院では神経根ブロックを含め様々な方法を用いて治療を行っており、なるべく手術を行わないことを基本にしています。ぜひ一度ご相談ください。また、2018年8月から(以下に詳しい説明があります)がこれらの治療が無効な場合にのみ手術を行います。

腰椎椎間板ヘルニアに対する椎間板内酵素注入療法

2018年8月から腰椎椎間板ヘルニアに対する新規の治療法として椎間板内酵素注入療法が保険適用となりました。

これまでの腰椎椎間板ヘルニアの治療法には、

① 薬物療法、理学療法、ブロック療法などの手術を行わない治療法(=保存療法)

② 椎間板摘出術や腰椎固定術などの手術療法

の2通りの治療法がありました。

保存療法にて疼痛の改善を認めない患者さまにとって手術療法は非常に効果的ですが、入院期間、全身麻酔、合併症の危険性などの問題があり、「受けたいけど時間がない」、「危険そうなので躊躇している」という患者さんが多くいらっしゃいました。

腰椎椎間板ヘルニアに対する新規の治療法である椎間板内酵素注入療法とは、椎間板に針を刺し薬剤を注入することで椎間板を縮小させ、間接的に椎間板ヘルニアによる神経の圧迫を緩和する治療法です。現在、同治療法は認定された施設でのみ行える治療であり、当院に併設している足立慶友リハビリテーション病院は認定施設になっております。

(注入する薬剤が椎間板内に水分を貯留させる機能を有するタンパク質を選択的に分解することで、椎間板内の水分量が減少し椎間板が縮小することで、神経の圧迫を緩和します。)

本治療法は、椎間板に向けて背中から細い針を刺すだけですので、手術療法に比べて安全性は格段に高く、入院も1~2泊で行えます。保存療法を充分に行ったにも拘らず症状が改善しなかった方が、手術を考える前に試してみるべき治療法です。

この治療法は多くの椎間板ヘルニア患者さんに行うことが可能ですが、患者さまの状況によっては治療効果があまり見込めない場合もございます。

当院には日本脊椎脊髄病学会が認定した本治療法を行うことができる脊椎脊髄外科指導医がおります。充分にお話を聞き診察を行った上で最も適切な治療法をお薦めさせて頂きます。

「病院に通っているけどなかなか足の痛みがとれない、でも手術はちょっと・・・」と思っている方は、一度ご相談ください。

Author

北城 雅照

医療法人社団新潮会 理事長
医師・医学博士、経営心理士

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