2025年1月31日~2月2日の3日間、天皇杯 第50回記念日本車いすバスケットボール選手権大会が東京体育館で行われました。今回は1年を通して職場のサポートを受けながら、社会人車いすバスケットボール(以下車いすバスケ)クラブチームNO EXCUSEの選手として参加してきました。
本記事では、車いすバスケについてや天皇杯の結果報告を行います。
これまでの活動報告やトレーナーから選手へ移行したきっかけなども記事にしているので、是非お読みください。
目次
車いすバスケについて
これまでの記事で車いすバスケの競技ルールや魅力をお伝えできていなかったので、詳しく解説します。
車いすバスケのルール
・コート上には5人の選手
・コートの広さやゴールの高さは一般のバスケと同じ
・10分✕4ピリオド
・トラベリング ボールを持った状態で3回以上車いすを漕ぐと反則
・ダブルドリブル ダブルドリブルはない。何回でもボールを保持したりドリブルをつくことができる
ダブルドリブルがないことは特徴的なルールですが、それ以外はほとんど一般のバスケと同じルールとなっています。
◎クラス分けとは?
車いすバスケはクラス分けの理解が重要です。
車いすバスケでは選手が車いすに乗った状態での身体機能に応じて1.0-4.5点のクラス(持ち点)に0.5点刻みで分けられます。健常者プレーヤーとして参加している私は、身体機能に関わらず4.5点の持ち点です。この持ち点が、コート上5人の合計14.0以下になるようにしなければいけません。例えば、私が出場するときは4.5, 4, 3, 1.5, 1の持ち点の選手で合計14.0点になるラインナップが多かったです。このルールがあることで、様々な障がいのある選手が試合に出場することができるようになります。NO EXCUSEは選手が多いので、様々なラインナップで出場することができます。
◎健常者や女子選手の参加
健常者や女子選手も出場ができ、健常者は4.5点、女子選手は1名につきチームの合計の持ち点から1.5点を引くことができます。健常者と女子選手はそれぞれ2名まで同時にプレーできます。
このルールによって、障がいの有無に関わらず多くの人が参加できるスポーツになっていることが魅力的であり、インクールシブなスポーツとしての側面もあります。
◎車いすの種類
日常用の車いすに比べて車輪がハの字に開いた形状になっているため回転性に優れ、スピーディーにコート上を駆け回ることができます。また、それぞれの身体に合わせた車いすでプレーすることにより、車いすを漕ぐスピード力や俊敏性、細かく正確な車いす操作を実現させることができます。1番わかりやすいのは車いすの高さで、高くなるほど座位バランスを保っていおくことが難しくなるので、1~2点台の持ち点の選手は低い車いすに乗ってプレーすることが多いです。さらに座位バランスを安定させたい選手は座面を後ろに傾けることもあります(図参照)。このように車いすのセッティングを調整し身体的な制約を超えプレーする姿は、観る人もプレーする人にとっても多くの楽しみがあるスポーツだと思います。

理学療法士としての視点
日々の練習や筋力トレーニングを行う上で、身体に痛みが生じプレーに影響が出ることは、車いすバスケのみでなく多くのスポーツにおいて起こることです。特に同じ場所が繰り返し痛む時は、その動作に関わる関節の動きが悪いことで出現する場合があります。
例えば、車いすバスケは転倒した際に手をつく事が多く、手首に回内背屈の圧迫ストレスがかかることがあります。それにより、手関節背屈・橈屈制限や母指橈側外転制限が生じ手首の動きが悪くなります。そのままプレーを続けると、手と肘と肩の運動に繋がりがあるため、車いす駆動時に肘が開き肩が前に出てしまい、肩が痛くなる事があります。
この場合は肩の痛みを取るために、肘や手首の関節の動きも同時に良くする事が重要になります。
日々のリハビリでも
リハビリの患者さんも痛みがある場所以外に原因がある時も多いです。日常生活の動作に問題がないか、患者さんの生活状況やこれまでの怪我の話を丁寧に聞いて対応することを心がけています。
理学療法士の視点を持ちながら1人のアスリートとして活動してきたことで、競技パフォーマンス向上のために必要な身体管理を考え実践することに磨きがかかったと思います。
身体に痛みがあることで満足にスポーツ活動や趣味を行えていない方は、是非一度来院してご相談して下さい。
メンタルマネジメント
どんな精神状態で競技に臨めば良いか。今年はパフォーマンス向上のために避けては通れない道だという課題意識を持って取り組んで来ました。試行錯誤する中で、チームトレーナーさんと話していて得た考え方を一つご紹介します。
車いすバスケは一つ一つの結果が数字で出るため、自分が出場していた時に勝っていたのか、シュート確率はどうだったかが一目でわかります。なので、この数字に着目して『確率を残せるように成功させる』という強い気持ちを持って試合に臨むことが多かったです。しかし、そのメンタリティでは自分のことに集中し過ぎ一つ一つの場面で緊張してしまい、中々結果が出せないことがありました。
そんな中でチームトレーナーさんから、『自分のプレーに目を向けず、チームを喜ばせるにはどんなプレーがあるか考えてみてはどうか』とアドバイスがありました。この考え方のポイントは場面ごとにチームを主軸に考えるので、プレーの集中力向上や、失敗してもすぐに切り替えることに繋がるので、その結果良い数字を残せていることが多くなるという好循環を回せることです。当然スキル不足によって起こるミスもありますが、この考え方でプレーすることで自分の良さを出せることが増えたので、チームスポーツを行なっている方の一つの考え方として参考になれば幸いです。
今大会の結果
東京ブロックの1位で出場した天皇杯本戦
1回戦 VS千葉ホークス 61-51 勝利
2回戦 VSワールドバスケットボールクラブ 63-45 勝利
準決勝 VS神奈川VANGUARDS 49-79 敗北
3位決定戦 VS富山県車椅子バスケットボールクラブ 58-38 勝利
第3位で今大会を終えました
天皇杯を終えて
NO EXCUSEは2013〜2015年の間に天皇杯で優勝するという目標を掲げて活動していました。今回は3位決定戦に回ってしまいましたが、チームメンバーやファンの方々と一体となって戦い、最後は勝って終わることができたのは良かったと思います。
この1年間は自分の役割を果たすためのフィジカル、メンタリティ、車いす操作スキルを高め続け、どんな場面でもNO EXCUSE(言い訳しない)を貫き通せたのではないかと思います。また競技活動に本気で取り組むことで、チームワークやコミュニケーションの重要性に改めて気付くことができたので、職場でも還元していければと思います。
当院のご紹介
整形外科の診療に必要な設備が整った診療所
当院は、各種専門領域を持った医師の診療に加え、大学病院と同様の医療機器を有し、かつ、理学療法士・作業療法士によりリハビリテーションも積極的におこなっている診療所です。また、併設の慶友整形外科脊椎関節病院では手術加療も行なっております。
そのため当院では、整形外科疾患におけるほぼ全ての治療を提供することができます。
当院の『7つの特徴』や『ミッション』についてご案内いたします。
各部門の専門家が集まった特殊外来を設置
当院は、一般的な関節の痛みや筋肉の痛みを診る整形外科の他に、「脊椎(首・腰)」、「肩関節」、「股関節」、「膝関節」、「手」、「足」とそれぞれの専門家が集まった専門外来を用意しております。
他院で診断がつかない症状に関して、各領域の専門家が診察をいたします。
手や足が痺れる、膝や股関節は痛い、背中が曲がってきたなどの症状でお困りの方へ。
都内最大級のリハビリ室を完備
患者様の健康を取り戻すため、当院ではリハビリテーションに力を入れております。
国家資格を有するセラピスト達が、責任を持って治療を行います。
腰が痛い、姿勢が悪い、歩くとふらつくなどの症状でお困りの方へ。
交通事故診療に強い整形外科専門医が診察
不幸にも交通事故に遭われた患者様の多くは、「事故のことは保険屋さんに聞けば良いが、体の不調をどこに相談すれば良いのかわからない」という悩みを抱えていらっしゃいます。
当院では交通事故診療に強い整形外科専門医が治療を行います。ぜひ一度ご相談ください。
当院は、整形外科専門医が交通事故治療を行う医療機関です。
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