足立慶友医療コラム

当院での全人工股関節置換術の手術とリハビリテーション

2020.07.10

股関節

今回は、当院併設の慶友整形外科脊椎関節病院で行っている全人工股関節置換術(THA)とそのリハビリテーションについて紹介します。

全人工股関節置換術は、主に変形性股関節症の治療法として用いられます。

変形性股関節症については以下の記事をお読みください。

変形性股関節症について

変形性股関節症の症状、治療について

この記事では、上記の記事でも紹介している当院での手術方法を簡単に振り返り、実際に入院してから退院までの流れを紹介します。

手術に対して不安を抱えている方・わからないことがある方はぜひ参考にしてみてください。

今回の10秒まとめ

①全人工股関節置換術は、痛み・脚長差の解消、歩行・移動能力の再獲得を目的に当院で行っている手術です。

②手術を行った翌日から歩行練習を行い、痛み・脱臼の危険性のない動作の獲得を目指しましょう。

③退院後も継続してリハビリに取り組み、痛み・脱臼の危険性のない動作の獲得を目指しましょう。

④当院スタッフがサポートをしていきますので、手術から退院後のリハビリまで一緒に頑張っていきましょう。

当院での手術法

全人工股関節置換術は、変形性股関節症の進行・関節リウマチ・骨折などにより修復が困難な股関節を人工物に取り替える手術です。

痛み・脚長差の解消歩行・移動能力の再獲得を目的として、当院ではこの手術を行っています。

当院で行う全人工股関節置換術の特徴は、筋肉を切らず行うため、術後翌日からベッドから離床し歩行訓練等のリハビリテーションを開始することができます。

手術前日・当日の流れ

基本的には、手術前日に入院をします(手術前日が休日の場合や、内科疾患のコントロールが必要な方は異なります)。

手術前日

レントゲン・血液検査・CT・MRIなどの必要な検査を行います。

40〜60分程度リハビリを行い、股関節の曲げ伸ばしの角度・筋力・歩き方・痛みの状態などの確認をします。

また、手術前日の夜から看護師の指示の下、食事・飲水制限が始まります。

手術当日

手術時間は1〜2時間程度となっています。

手術後は、血圧や脈拍など体の様子を確認し、徐々に食事・飲水を再開していきます。

手術後の合併症である深部静脈血栓症の予防をしましょう。

深部静脈血栓症とは、寝ている状態が続くことで体内の循環が滞り、血の塊が出来てしまう術後合併症です。

この合併症を予防するため、弾性ストッキングの装着足首を反らしたり戻したりする運動を行いましょう。

手術翌日〜1週間の流れ

手術翌日からリハビリがスタートします。

リハビリで主に行う内容は歩行練習脱臼しない動作の獲得です。

基本的には、手術翌日から歩行練習が可能となります。

一般的に、歩行器を使用しての歩行練習、T字杖を使用しての歩行練習、フリーハンドでの歩行練習を順に行います。

当院で行う方法は、筋肉を切らずに手術を行う方法であるため、脱臼のリスクは極めて低いです。

しかし、脱臼しやすい姿勢は極力控えるようにします。

脱臼しやすい姿勢とは、股関節を屈曲(曲げる)し、内旋する姿勢です。いわゆる『女の子座り』のような肢位を控えるようにしましょう。

人工股関節術後の脱臼については下記の記事に詳しくまとめております。

是非一度ご覧ください。

人工股関節置換術後に重要となる脱臼の予防方法

術後1週間〜退院の流れ

リハビリを継続して行い、歩行練習階段の上り下りの練習を行います。

入院期間は、平均して10日〜14日程度となっていますが、患者様の状態により前後することがあります。

退院後のリハビリテーション

退院時、自宅で取り組んで頂く自主トレーニングメニューの資料を配布しております。

退院後も継続してトレーニング・動作練習に取り組むことが痛みの無い生活を支えます。

退院後は人工関節の状態を確認するために、定期的に専門医の診察を受けていただきます。

当院の外来リハビリも活用し、筋力増強股関節の動きの拡大日常生活の課題解決に努めていきましょう。

よくある質問・解答

Q:自転車や車の運転はできますか?

A:自転車や車の運転はしていただいて構いません。
     サドルの高さ・運転席の位置を調節するなどして、股関節の曲げすぎに注意しましょう。

Q:入浴はできますか?

A:入浴も可能ですが、運転と同様に股関節の曲げすぎに注意しましょう。

Q:スポーツはできるようになりますか?

A:ウォーキングなど軽度のものから徐々に可能になります。
     スポーツの種類によっては人工関節の性質上困難なものもありますので、担当医との相談をするように
     しましょう。

股関節の痛みや、人工関節置換術についてお悩み・ご検討の方は、一度当院までご連絡ください。

オンライン予約はこちら

当院のご紹介

整形外科の診療に必要な設備が整った診療所

当院は、各種専門領域を持った医師の診療に加え、大学病院と同様の医療機器を有し、かつ、理学療法士・作業療法士によりリハビリテーションも積極的におこなっている診療所です。また、併設の慶友整形外科脊椎関節病院では手術加療も行なっております。

そのため当院では、整形外科疾患におけるほぼ全ての治療を提供することができます。

初めての患者さまへ当院のご紹介

当院の『7つの特徴』や『ミッション』についてご案内いたします。

各部門の専門家が集まった特殊外来を設置

当院は、一般的な関節の痛みや筋肉の痛みを診る整形外科の他に、「脊椎(首・腰)」、「肩関節」、「股関節」、「膝関節」、「手」、「足」とそれぞれの専門家が集まった専門外来を用意しております。

他院で診断がつかない症状に関して、各領域の専門家が診察をいたします。

整形外科のご案内

手や足が痺れる、膝や股関節は痛い、背中が曲がってきたなどの症状でお困りの方へ。

都内最大級のリハビリ室を完備

患者様の健康を取り戻すため、当院ではリハビリテーションに力を入れております。

国家資格を有するセラピスト達が、責任を持って治療を行います。

リハビリテーション科のご案内

腰が痛い、姿勢が悪い、歩くとふらつくなどの症状でお困りの方へ。

交通事故診療に強い整形外科専門医が診察

不幸にも交通事故に遭われた患者様の多くは、「事故のことは保険屋さんに聞けば良いが、体の不調をどこに相談すれば良いのかわからない」という悩みを抱えていらっしゃいます。

当院では交通事故診療に強い整形外科専門医が治療を行います。ぜひ一度ご相談ください。

交通事故にあわれた方へ

当院は、整形外科専門医が交通事故治療を行う医療機関です。

Author

虎岩太朗

理学療法士

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