足立慶友医療コラム

前十字靭帯を損傷したら手術は必要ですか?

2021.09.28

下肢, 膝関節

前十字靭帯損傷後の治療方針としては、保存療法手術療法2つがあります。

(※前十字靭帯:Anterior Cruciate ligament:以下ACL・ACL損傷の概要についてはこちら!

手術療法は、侵襲による痛みを伴いますし合併症のリスクもあります。

入院期間やスポーツ復帰までのリハビリを考えると手術は避けたいと思う方も多いのではないでしょうか?

(ACL再建術後のスポーツ復帰についてはこちら!

ACL損傷した場合、本当に手術が必要なのか?

ACL損傷診療ガイドライン2019」の情報をもとに解説していきたいと思います.

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当院のご紹介

今回の10秒まとめ。

ACL損傷により半月板・関節軟骨の損傷、変形性膝関節症の発症リスクが高まる

ACL再建術により膝関節の不安定性が改善する

ACL再建術により半月板損傷や関節軟骨損傷、変型性膝関節症の発症予防になる

ACL再建は受傷後早期(3∼6ヵ月以内)に行うことが推奨されている

・術前からリハビリテーションを積極的に行うことが重要

ACL損傷を放置しておくとどうなるの?

前十字靭帯は膝関節を安定させる働きを持ち、損傷することで膝関節の不安定性が増してしまいます。

giving way』という膝のぐらつきが日常生活やスポーツ活動中に生じるのが特徴的な症状です。

日常生活では階段昇降時、スポーツ中では切り返しやカッティング動作などで痛みや不安定感を感じる方が多いです。

このように膝関節の安定性が担保されていない状態で過ごすと、関節軟骨や半月板などの組織へ負担が高まり、損傷リスクが高まります。

(半月板損傷についてはこちら!

ACL損傷を放置すると経時的に関節軟骨損傷・半月板損傷の有病率が増加する。

再建術を行う意味は?

ACL再建術は膝蓋腱や半腱様筋腱を用いて靭帯を再建する手術です。

この再建術により膝関節の不安定性が改善します。

18∼35歳の若く活動性の高い方から中高年の方まで、年齢に関係なく同様の結果が報告されています。

膝関節の安定性が担保されるため結果的に半月板損傷や関節軟骨損傷の発生を抑制することができます。

ACL再建術後のスポーツ復帰についても比較的良好な成績が示されています。

保存治療を選択した場合でも、スポーツ復帰率や変形性膝関節症の発生率に違いはなく一定の有用性はあると考えられています。

また腫脹がおさまれば、損傷の程度によっては一定の不安定感が残るものの痛みなく生活もできます。

しかし半月板損傷や関節軟骨損傷を予防する観点から現在では手術療法が推奨されています。

ACL再建術によって膝関節の不安定性が改善し半月板損傷や関節軟骨損傷の発生を抑制することができる。

ACL再建術は変形性関節症の発症を防ぐことができる?

ACL損傷は、ACLの単独損傷だけでなく、半月板や内側側副靱帯(MCL)を同時に損傷する場合があります。

半月板やMCLも膝関節を安定させる働きをもつ組織であり、損傷する事で変形性関節症の発症リスクが高まります。

半月板損傷などの合併損傷がある場合には特に、再建術を行うことで変形性関節症の発症リスクを軽減させることができます。

再建術は、半月板損傷などの合併症を伴う場合、変形性膝関節症の発症リスクを軽減させる。
(変形性膝関節症についてはこちら!

再建術の時期はいつが良いか?

繰り返しになりますが、ACL損傷後は半月板損傷の合併が比較的高頻度にみられます。

半月板損傷の発生リスクは受傷後 26週から高まり、期間がさらに長くなると関節軟骨損傷を生じる可能性も高まります。

受傷後3ヵ月以内にACL再建を行うことで半月板損傷の合併を抑えられるため、ACL再建は受傷後早期(3∼6ヵ月以内)に行うことが推奨されています。

ACL再建は受傷後、3∼6ヵ月以内に行うことが推奨されている。
慶友整形外科脊椎関節病院で脂肪幹細胞医療(再生医療)をはじめました。

ACL術前リハビリは必要か?

術前からしっかりとリハビリテーションを行うことで膝関節の機能は改善します。

【術前リハビリテーションのポイント】

・炎症症状の管理を行う

・損傷した靭帯に負担をかけない動作を習得する

・膝関節の拘縮を作らない。

・損傷靭帯に負荷のかからない範囲で筋力の維持、改善を図る

術前に膝周囲筋力が保たれていると術後スポーツ復帰, 患者満足度,膝機能評価において良好な結果を得られるため術前からリハビリテーションを積極的に行うことが重要です。

術前からリハビリテーションを積極的に行うことが重要

今回紹介させて頂いた内容は一般的なものであって、検査や治療の選択、リハビリテーションの進行に関しては、各患者様の病期や合併症の有無などにより変わります。

当院には、膝関節専門医がおります。充分にお話を聞き診察を行った上で最も最適な治療をお勧めさせて頂きます。

膝関節に関する事でお困りの方は、ぜひご相談下さい。

オンライン予約はこちら

当院のご紹介

整形外科の診療に必要な設備が整った診療所

当院は、各種専門領域を持った医師の診療に加え、大学病院と同様の医療機器を有し、かつ、理学療法士・作業療法士によりリハビリテーションも積極的におこなっている診療所です。また、併設の慶友整形外科脊椎関節病院では手術加療も行なっております。

そのため当院では、整形外科疾患におけるほぼ全ての治療を提供することができます。

初めての患者さまへ当院のご紹介

当院の『7つの特徴』や『ミッション』についてご案内いたします。

各部門の専門家が集まった特殊外来を設置

当院は、一般的な関節の痛みや筋肉の痛みを診る整形外科の他に、「脊椎(首・腰)」、「肩関節」、「股関節」、「膝関節」、「手」、「足」とそれぞれの専門家が集まった専門外来を用意しております。

他院で診断がつかない症状に関して、各領域の専門家が診察をいたします。

整形外科のご案内

手や足が痺れる、膝や股関節は痛い、背中が曲がってきたなどの症状でお困りの方へ。

都内最大級のリハビリ室を完備

患者様の健康を取り戻すため、当院ではリハビリテーションに力を入れております。

国家資格を有するセラピスト達が、責任を持って治療を行います。

リハビリテーション科のご案内

腰が痛い、姿勢が悪い、歩くとふらつくなどの症状でお困りの方へ。

交通事故診療に強い整形外科専門医が診察

不幸にも交通事故に遭われた患者様の多くは、「事故のことは保険屋さんに聞けば良いが、体の不調をどこに相談すれば良いのかわからない」という悩みを抱えていらっしゃいます。

当院では交通事故診療に強い整形外科専門医が治療を行います。ぜひ一度ご相談ください。

交通事故にあわれた方へ

当院は、整形外科専門医が交通事故治療を行う医療機関です。

Author

田中哲志

理学療法士 認定理学療法士(運動器・脳卒中・地域理学療法) CSCS

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